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28 狩人


 穏やかな暮らしです。


 僕は狩人、静かに森で狩りをする。


 時々、村に行ったり、訪ねてきた友人たちのお相手をしたり。


 みんなから冒険に誘われたら、もちろん、僕にできることを、僕なりのチカラで。


 周りのみんなが、僕たちの静かな生活のために、凄く気を遣ってくれているのが分かります。


 深く感謝しながらも、それに甘えて思う存分らぶらぶしちゃうのです。




 シュレディーケさんは、冒険者。


 今はソロではなく、友人たちのパーティーにお呼ばれされることが多くなりました。


 みんなは、冒険内容に応じて最適なパーティーになるようにメンバーをその都度入れ替えるそうで、


 つまりは、シュレディーケさんを必要としてくれているパーティーでの冒険。


 願いが叶って、良かったですね。



「いつか、フォリスさんとふたりきりで冒険の旅がしたい」


 もう少しだけ、僕が変われたら、かな。




 ルルナさんは、通いのメイドさん。


『ゲートルーム』で飛んできて、本職の技でてきぱき家事仕事。


 僕たちの家事の問題点を指摘してくれたり、


 らぶらぶについて、シュレディーケさんと熱く語り合ったり。



「どんなに熱烈ならぶらぶを見せつけられたって、もう平気ですっ」


 ……どうやら、らぶらぶ耐性が付いちゃった模様。




 イーシャさんは、良きお姉さんです。


 来訪頻度は稀ですが、いらした時は、お供のライクァさんとのベテランのらぶらぶを見せつけてくれます。


 本当に、僕たち以上のらぶらぶっぷりなんですよ、あのおふたりは。


 きっと、女王としての高みを守り続けるために必要な何かが、あのらぶらぶにあるのです。


 たぶん。



「そろそろ退位して、悠々自適な隠遁生活かしら」


 後継者は、きっとカミスさんでしょうけど、まだまだ先の話しでしょう。



 ---



「聞いても良いだろうか」


 何をですか、シュレディーケさん。



「フォリスさんの御両親の事だ」


 そういえば、詳しくは話していませんでしたっけ。



「私の出自については、もう余す所なく語っている」

「出来れば、フォリスさんの……」


 はい、特に秘密にしたい事でもないですし。



 ---



 父さんは、狩人。


 お爺ちゃんも、狩人。


 先祖代々、狩人。


 この森の、この家で、狩りをしながら静かに暮らしてきた。



 母さんは、召喚者。


 ある時突然こちらの世界に召喚されて、気付いたら森の中。


 魔蜘蛛に噛まれて動けなくなっていたところを、たまたま通りかかって救ったのが、狩りをしていた父さん。



"天災召喚"って呼ばれているそうですね、


 誰かに召喚魔法で呼ばれるのではなく、突発的な自然災害的に召喚されちゃう迷惑極まりない"召喚"



 突然召喚されてこの世界でひとりぼっちだった母さんは、いろいろあってこの家で暮らすことになって、父さんと結婚して、僕が生まれたわけで。


 言葉使いが変だってよく言われますが、母さんの影響で召喚者っぽい話し方になっているのかも。



 まあ、そんな感じです、僕の出自は。


 別に、召喚者の息子だからって、特別なチカラはないですよ。


 たぶん。



 ---



 僕はフォリス、魔灸の森の狩人。


 この森で、大好きなシュレディーケさんと、静かに暮らしたい。




 あとがき


 これまでの主人公たちとはひと味違う道を歩むべく颯爽と登場したフォリスさん、


 そしていつものメンツに導かれるがまま、いつも通りのあんな感じに。



 つまりは、これからもこんな感じでよろしくお願いします。



 投稿の方も、こんな感じで不定期となりますが、何とぞご容赦の程。



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