25 ご馳走
目の前にいるのは、恥じらう姿も愛らしい、
メイド服姿のシュレディーケさん!
……スゲェ。
何と言いますか、見た瞬間に心拍上昇・血流濁流・脳内激震。
つまりは、とめどなく舞い上がっちゃったわけで。
うむっ、お似合いですのひと言なんかじゃもったいないほどの艶姿。
「……あまり見るな」
いや、目が離せないとはまさにこのこと。
なんと言いますか、とにかくスゲェ。
「……着替えてくる」
いけません、シュレディーケさんっ、そんな御無体な。
ってか、できればその場でくるりと回っていただきたく……
「お料理、冷めちゃいますよっ」
……申し訳ありません、ルルナさん。
いや、なんだか食べる前からお腹いっぱいなご馳走様気分……
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食後の歓談も、なんだかフワついた気分。
だって目の前には、甲斐甲斐しくお給仕してくれた素敵なメイドさんがおふたり。
まさに、極楽気分夢気分。
「変ですよ、それって」
「シュレディーケさんの素敵な御姿はともかく、私のメイド服姿なんて見慣れているでしょう」
いえいえ、ルルナさん。
お互いが引き立て合うことにより双方が更に輝きを増すという素敵な相乗効果が今まさに我が家の居間に御降臨。
この瞬間こそが紛うことなき美の共演にしておふたりだからこその晴れ舞台。
「なんだかフォリスさんの真面目一辺倒だった魂が、アランさんに乗っとられちゃったみたいで怖いです」
「これぞまさに恐れていた最悪の事態」
ひどいな、おふたりとも。
そもそもおふたりのメイド服姿が素敵過ぎることが、殿方を惑わす罪つくりな原因。
ではありますが、その素晴らしいメイド服にも、もちろん可憐なおふたりにも、なんら非は無いのです。
それすなわち、罪を憎んでメイド服を憎まず。
「残念ながら、もう手の施しようが無いな」
「悪いが着替えてくるので、しばらくこの浮かれポンチの相手をしていて欲しい」
「本当に済まない、ルルナさん」
……シュレディーケさん、退出。
「本当にもう、駄目ですよ、フォリスさんっ」
「せっかくおじいちゃんが夜なべして作ってくれた特別なメイド服だったのにっ」
「シュレディーケさんも、お披露目を楽しみにしていたんですからねっ」
……ルルナさん、超お怒り。
はたと、正気に戻る。
ヤバい夢から覚めたような、
頭からつらら混じりの冷水を浴びせられたような、
針のむしろにすまきにされているような、
重たく苦しくいたたまれない心持ち。
何やってんだろ、僕。
これぞ、まさに、やらかし。
今は只々、猛省あるのみ……




