22 森
道中何事も無く、無事にアウド村に到着。
王都みやげのエルサニア銘菓詰め合わせ、とても喜んでもらえました。
みんなからの冷やかしから、逃げるように村を脱出。
森の奥の我が家を目指します。
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「あの洞穴が、魔蜘蛛の巣、だな」
この場所で、シュレディーケさんと出会いました。
「思い出の場所、と言いたいところだが、正直ここには近寄りたくないのだが」
もう平気ですよ。
「?」
シュレディーケさんは、一度噛まれてから完治していますので、魔蜘蛛の毒に耐性ができています。
「ほう、ではこれから洞穴に突入して、魔蜘蛛を巣ごと駆除出来るな」
やめておきましょう。
魔蜘蛛も、この森の一部ですから。
「……」
魔蜘蛛のような厄介な魔物がいるからこそ、この森の平穏が保たれているのです。
人に害を及ぼすからとそれらを駆逐しまくれば、安全になった森に資源を求めて人が殺到します。
そうなるとこんな森なんて、すぐに空っぽになっちゃいますよ。
「魔物たちがこの森を守護していたのだな」
「森には森のルールがある」
「狩人らしい考え方だと思う」
狩人のお嫁さんも、森に馴染んでくださいね。
「これからも、いろいろと教わりたい」
一方通行ではなく、お互いが教師ですから。
「夫婦とは、良いものだな」
同感です。




