21 夜営
旅は順調、魔物も盗賊もヴァンパイアも襲ってきません。
夜営の準備も手慣れたもの。
食事の方は、リュックの『収納』にたっぷり詰め込んできた、ルルナさんオススメのお弁当屋さんの美味しいお弁当で。
「やはりどなたかに料理を教わるべきだろうか」
えーと、僕たちのペースで頑張りましょう。
もちろん、料理上手な皆さんとの交流は、アリですよ。
「ルルナさんが言っていたのだ」
「家庭料理とは、その家ごとに工夫され積み重ねられてきたものだから、美味しさという均質化は必ずしも必要では無い、と」
つまりは、料理が上達していく過程も楽しみましょうってことですよね。
家庭料理だけに。
「良き夫に巡り会えたこと、生涯感謝する」
シワシワになって、お互いのおむつを交換するようになるまで、添い遂げたいです。
「……おむつのことは、忘れて欲しい」
忘れてあげません、大切な思い出なので。
「クロ先生に、記憶消去薬をお願いするべきだな」
違法薬物所持は、巡回司法官へ通報しますからね。
「アリシエラさんに、精神操作魔導具をお願いするとしよう」
危険な魔導具の開発は、ロイさんが阻止してくれます。
「妻をいじめてはいけない」
毎晩いじめられているのは僕の方かと。
夜営の夜は、夜ふかししがちなのです……




