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02 シュレディーケ


 シュレディーケさんは、ソロの冒険者。


 この魔灸の森にいる魔物の分布や生態に異常がないかを調べる仕事をしていたそうだけど、


 魔蜘蛛にやられるような人は森に入らないほうが良いと思う。



「……」


 とりあえず、早く身体を治してください。


 歩けるようになったら、近くの村まで送りますから。



「名前を……」


 僕はフォリス。


 ひとり暮らしの狩人。



「命を救っていただいたこと、我が生涯を懸けて……」


 えーと、そういうのはいいですから、早く身体を治して帰ってください。


 見ての通り、この家、狭いので。



「……」



 ---



 トイレまで歩ける程度には回復したけど、村まで歩くのはまだ無理。


 早く治って帰ってほしいので、滋養があるものをどんどん食べさせなきゃ。


 普段はめったに狩らない大いのししの魔物とか、味よりも滋養重視の野草とか。



 採ってきた食材を、自己流で調理。


 シュレディーケさんは、なんでも美味そうに食べる。



「フォリス殿は料理上手なのだな」


 いえ、ひとり暮らしの適当料理ですよ。



「私にはこの味は出せん」


 たくさん食べて、早く身体を治してください。



「……ありがとう」



 食後のシュレディーケさんは、すぐに眠りに就いた。


 でも、感謝されても困る。


 早く出ていってほしいだけだし。



 ---



 会話は、自己紹介程度。



 シュレディーケさんは定住していない、旅暮らしの冒険者。


 今はひとり旅だけど、一緒に冒険の旅をしてくれる仲間を探しているそうだ。


 パーティーに誘ってくれる人は多かったけど、どうしても長続きしないらしい。



「私がメンバーに加わると、なぜかは分からんがどんなパーティーでも諍いが起きてしまう」

「結局、ひとり旅が一番楽なのだが、やはり信頼できる仲間が欲しい」


 そうですね、ひとり暮らしが一番楽なのはとても良く分かります。


 早く良くなって、冒険頑張ってください。



 確かにこんなに綺麗な人は、まわりがほっとかないだろうし、


 つまりは、揉めちゃうんだろうな、パーティーが。


 そして本人は、そのことに全く気付かない鈍感さんだ、と。


 いっしょに冒険できる信頼できる人、早く見つかると良いですね。


 ってか、なんで結婚しないのかな、こんなに綺麗なのに。



「フォリス殿は、冒険には興味は無いのか」


 全く無いです。


 僕は狩人ですから。


 あと、殿って呼ぶのはやめてください。



「……フォリスさんは、ずっとここでひとり暮らしなのか」


 両親が死んでからは。



「……済まない」

「不躾だったな」



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