16 関係
サイリさんの入院準備完了。
あんなに大勢、看病してくれる人がいるなら大丈夫だよね。
人族以外も大勢いましたが、素敵な女性ばかりでした。
眠り姫を起こすには王子様の口づけが、って皆さんが言ってたけど、
がんばれ、サイリさん。
例の3人は、麻痺拘束解除後もおとなしくしております。
どうやら、タリシュネイアのヴァンパイアたちにとって、『若仙人』サイリさんは特別な存在らしいのです。
後でサイリさんから詳しい事情を聞かねば。
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3人を引き取りに、巡回司法官が来てくれました。
巡回司法官というのは、国家の枠組みに縛られない広域犯罪取締組織。
巡回司法官のリシェルさんは、シナギさんの恋人さんだそうです。
リシェルさんから、今回の件に関する国家間の諸々の事情を聞きました。
エルサニア王国とタリシュネイア王国は、正式な国交樹立に向けて調整中だったそうですが、
近衛騎士が侵入しての狼藉に、国交関連は保留になりそうとのこと。
ツァイシャ女王様、大層お怒りだとか。
個人的には、犯罪者の扱いうんぬんのためにも、早く正式な国交を結んで揉め事を諌める厳格なルールを制定してほしいです。
先ほど病室でサイリさんを看病していた恋人のスーミャさんとイリーシャさんは、実はタリシュネイア出身のヴァンパイア。
でも、おふたりを見てると分かる通り、人族とか魔族とか関係無いですよね。
素敵な存在も忌むべき存在も、種族がどうとかは全く関係無し。
それにしても、さすがはサイリさん。
種族問わずに家族に受け入れて、らぶらぶしちゃうんですね。
リグラルト王家とロイさんの関係も気になるところ。
その件に限らず、もっとみんなと交流して、知るべきことを知るべき、かな。
でもまあ、自分のペースを乱さぬよう、交流は慎重に、ですね。
サイリさんの尊い犠牲、無駄にはしません。
そんなこんなで、モノカさんのお宅での皆さんとの交流は、とても楽しいものとなりました。
そしていよいよ、この旅の本来の目的、
ツァイシャ女王様との謁見。
謁見前に、シュレディーケさんの出自に関する秘匿情報を知ってしまいました。
えーと、シュレディーケさんはツァイシャ女王様の姪っ子、で合ってますよね、たぶん。
安心したような、緊張が増したような、
不思議な心持ちなのです。




