11 ふたり旅
つつがなく、アウド村に到着。
ふたり旅をみんなから冷やかされたりするのは正直勘弁してほしかったのですが、
シュレディーケさんの嬉しそうな照れ顔を見ていると、なんだか落ち着くのはなぜだろう。
そんな感じで村を出て、街道をエルサニア王都へ。
村のみんなは、王都みやげ、期待していてください。
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王都目指して、街道を北へ。
途中の夜営は、例の『空間』テントで。
みんなは"一軒家テント"などと呼んでいますが、テントの中は『空間』魔法のおかげで、まさに広々一軒家。
居間、寝室、台所、各種『収納』、もちろんお風呂とトイレも。
なんだか申し訳ないくらいの快適『空間』
夜営中の周辺警備を『Gふなずし』での『探索』と『結界』にお任せするだけで安眠可能。
これが文明の利器、ですね。
「アリシエラさんには、感謝しかない」
これらの優れモノ魔導具の製作者は、
天才魔導具技師、アリシエラさん。
未だお会いする機会はないのですが、確かに感謝しかないのです。
って、いかにふたりきりとはいえ、お風呂上がりにそんな薄着でうろうろしないでください。
以前も言いましたが、夫婦間とはいえ節度ある間柄で。
「以前も言ったが、こういう時こそ存分に甘えるのが妻の務め」
……謹んでお受けします。
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旅は順調です。
いろいろと妙な疲れがあるような、変に元気が湧いてくるような、
えーと、そんな感じ。
実は、エルサニア王都に行くのは初めて。
っていうか、こういう長旅は初めて。
狩人としての僕の人生は、あの森の中で完結していたので。
「旅を楽しんでくれていると嬉しいのだが」
ええ、とても楽しいですよ。
その、いろいろと。
「私も、楽しい……その、いろいろと」
……行きますか。
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街道は、王都に近づくにつれて広くなり、整備が整っていく。
つまり歩きやすくなっているのだが、
なぜかペースはのんびりに。
要するに、この旅をもっと楽しみたいのです、ふたりとも。
そんな感じのアレな旅なのですが、
いつまでも浮かれ気分でいられるほど、旅も人生も、甘くない。




