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10 同棲


 ……同居生活から同棲生活になったけど、まだ夫婦生活って感じではない気がするのは、僕が普通の人よりも情が薄いからかもしれない。



 シュレディーケさんは、少し変わったかも。


 べたべた甘えたりはしてこないけど、なんというか、安心して寄り添ってきてくれている、と思う。


 日々の生活自体は以前とさほど変わらないけど、ふたり暮らしでの居心地が良くなった、という感じがしないでもない。



 えーと、まさに事実婚ですね、これ。


 結構、幸せ、です。



 ---



「突然だが、新婚旅行がしたい」


 本当に突然ですね。



「フォリスさんが静かに暮らしたいという気持ちは理解しているのだが、そろそろみんなに夫を見せびらかしたいという妻の気持ちも分かって欲しい」


 どうしても行かなきゃ駄目ですか。


 僕は、今のふたりだけの生活、結構好きになってきているのですが。



「私が側にいるだけで満足……」


 シュレディーケさんは?



「それを言われては、わがままを通すことは出来ん」

「だが、ツァイシャ女王様への御挨拶だけは、是非」


 シュレディーケさんの恩人ですものね。


 御挨拶の旅、行きますか。



 ---



 訳あって故国を離れることとなったシュレディーケさん、


 名を捨てて家族とも別れての流浪の旅暮らしだったけど、


 故国からの追手があるかもしれない彼女を保護してくれたのは、ここエルサニア王国のツァイシャ女王様。


 思うがままに自由に暮らしなさいと仰っていただけたそうだけど、


 こうなっちゃったことだし、やはり一度御挨拶に伺わないと。



 ということで、ふたりでエルサニア王都へ。


『ゲートルーム』で、エルサニア王都へ『転送』しようとしたら、



「初めてのふたり旅でもあるし、出来れば……」



 上目使いでおねだり、ですか。


 最近のシュレディーケさんは、なんと言いますか、甘え上手さん。


 では、徒歩でのふたり旅にて、エルサニア王都へ。



「いざ!」



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