01 フォリス
『リヴァイス 65 若仙人とヤリ過ぎな包囲網』の続きで、
新登場キャラのお話しです。
お楽しみいただければ幸いです。
「いつもありがとうございます、フォリスさん」
受け付けのミュネさんから、討伐対象だった獲物の売却金を受け取り、
小さく礼をして、目立たないように仮設冒険者ギルドを出る。
村内の商店で調味料や雑貨などを購入。
この店のノズマさんは、余計な会話をせずに応対してくれるのでありがたい。
必要な買い物が済んだら、すぐに村を出る。
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森の中を、静かに進む。
不必要な狩りはやりたくないので、気配を消して真っ直ぐ家に向かう。
狩るのは、食べることに不自由しない程度。
毛皮などの売れる素材が溜まったら、村まで来て、売れるものを売って必要なものを買う。
この森で、ひとり静かに暮らしたい。
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途中、魔蜘蛛の巣のある洞穴のそばで、倒れている人を発見。
服装は標準型の冒険者服、硬直した身体はぴくりともしないが、触ると温かい。
魔蜘蛛に噛まれて、麻痺したのだろう。
小指の爪ほどの大きさの魔蜘蛛のオスに咬まれると、毒に耐性の無い生き物は麻痺する。
麻痺した獲物を、群がったオスが巣に運び、
メスに卵を植え付けられた獲物は、生きたままエサにされる。
自然の営みではあるが、人が襲われていたら放置できない。
大量の魔蜘蛛にゆっくりと運ばれている身体を起こして、全身にうぞうぞと引っ付いている魔蜘蛛を手で払い落とす。
僕は耐性があるから咬まれても平気だけど、この人の解毒をするには家に置いてある毒消しの草が必要。
落ちている荷物、バッグと片手剣を拾う。
僕より大きな人だけど思ったより軽い、
などと考えながら、担ぎ上げて家に向かう。
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家に着いたので、とりあえず全部脱がして咬み跡を確認。
服の中に潜り込んでいた魔蜘蛛を処理。
身体中の咬み跡に、毒消し草を煮詰めた汁を塗る。
しつこい毒なので、意識が戻っても話せるようになるまで数日かかる。
しばらく飲み食いできないけど、冒険者だったら体力は保つ、はず。
ベッドに寝かせたら、適当な布をおむつにする。
下の方は垂れ流しになるので、ちょっと世話が面倒。
世話と言っても、他には身体を拭くくらい。
裸の身体に毛布だけ掛ける。
まあ、助けると決めたから、最後まで面倒は見る。
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数日後、ようやく目覚めたが、まだ満足に動くこともできないので世話は継続。
最初は身体を拭かれるのを嫌がっていたが、今はおとなしくしている。
下の世話をされるのも、ものすごく嫌がっていたが、
僕だって嫌だと言ったら、諦めたように受け入れた。
白湯を飲めるようになったが、まだしゃべることはできない。
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しばらく経って、話せるようになったが、
最初の言葉は、
「なにか着せてほしい」
タンスの奥にしまっていた母さんの寝巻きを着せる。
女の人は、シュレディーケと名乗った。




