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選ばれし第1皇子

この小説はダブル主人公です。

やっともう1人の主人公が現れます。


 

 "サクリファイス大帝国"




 ユートピア_この世界の名前である_でこの国の名前を知らない人間は居ない。自国は勿論、他国で起きた戦争や内乱を"処理"するユートピア屈指の軍事国家だ。王族は勿論、国民でさえ剣術を初めとする武術を仕込まれる。全ての国に諜報部員が潜伏しているとかいないとか。


 だが、野蛮な訳ではなく、確立され整った政権である為基本的には平和な国だ。






 しかしながら大帝国と呼ばれる大国にはそれに伴う所以があるもので。




 この国は____龍神の、龍神による、龍神の為の国とも呼ばれている。




 サクリファイス大帝国を全世界の人間が知ってるのと同じ…………………否、それ以上に"龍神"を知らない者など居ないだろう。




 龍神____このユートピアを創造した神。あらゆる生命を生み出し、また、奪うことの出来るたった1匹の黒い龍。死神とも呼ばれている故に崇められ重宝される存在。サクリファイス大帝国はその龍神を従えていると専らの噂である。



 噂である、というのはその"龍神"を誰一人として見た事がないから。神話の存在とされているが、それでも1つ、奇妙な言い伝えが。






 "サクリファイス皇族の第1皇太子は必ず20歳でお隠れになる"というもの。





 サクリファイス大帝国でそれを嘘だと風潮する者は居ない。それは"必然"だからだ。しかし理由は誰も知らない______など、夢物語の話である。









 「……………」







 ここに、1人の少年が居る。

 金と赤で統一された煌びやかな部屋、少年1人には広すぎるそこで、少年は静かに読んでいた本を閉じ、顔を上げる。





 紅銀の短髪、ルビーのような紅い瞳。人形のように整った顔だが深く刻まれた眉間の皺が性格の厳しさを表している。




 少年は立ち上がり、鏡の前に立つ。



 ____これは俺の趣味ではない。

 大方、嫌味な弟共が仕組んだ代物だろう。



 俺はその鏡を見る。弟共よりも、父上よりも濃い紅銀の髪、紅い瞳、これらは全てあるひとつの事柄を表している。





 俺が____その、第1皇太子だと言うことを。



 「ッ、クソ!」




 そこまで思い至った所で鏡を思いっきり殴った。ガシャァン!と割れ、破片が散らばる。騒がしいメイド共が来るまで、血の流れる自分の拳を見る。





 何故、この血が____俺の運命を決めるんだ。





 少年____サクリファイス大帝国第1皇太子、ラフェエル・リヴ・レドルド・サクリファイスは小さな破片に映る自分に再び眉を顰めた。








 

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