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神々は祝福する

 






 ラフェエルはそこで1度言葉を切って、国民を見る。国民の顔には不安の色が伺えた。





 「____不安なことも沢山ある、だが、時間も沢山ある。


 だから、大丈夫だ。

 

 一人一人が力を合わせ、共に歩めば…………きっと、大丈夫だ。私も___ラフェエル・リヴ・レドルド・サクリファイスも、尽力することを誓う」





 その言葉に、国民達は笑顔を取り戻し、やはり騒いだ。五月蝿い連中である。



 しかし_____これからは、私が守っていかなければならない。




 大きな責任を背負うことになった。



 自由、とは言えないのかもしれない。



 だが。





 「……………………そして、この機会を使い、紹介したい者が居る」





 ラフェエルがそう言うと、後ろからコツ、コツ、と足音が聞こえた。ヒールを鳴らしながら、"その者"は隣に立つ。




 長い黒のドレスの裾を持つ銀髪の短髪、金と赤の瞳の少年を引き連れる、黒髪黄金瞳を持つ、美しい女。




 国民は突然現れた美しい女に唾を飲んだ。ラフェエルは少し不機嫌に男達を睨みながら、口を開いた。






 「本日を持って、私と妃となった女_____皇妃、アルティア=ワールド=サクリファイスだ」




 ラフェエルの紹介に、アルティアは優雅な振る舞いで頭を下げた。そして、自身に言葉拡張の魔法を掛けてから、口を開いた。






 「わたくし、アルティア=ワールド=サクリファイスは_____龍神の末裔です」




 その言葉にびく、と国民達が肩を揺らす。アルティアはそれに眉を下げてから、それでも首を振ってからしっかりと前を向いて、言う。





 「世界の秩序を乱した龍神の末裔として___私は、私の持つ全ての力を持ってして、この国を、この世界___ユートピアをお守りすることを、ここに約束いたします。



 どんな困難が降り注いでも、火の粉が注いでも………………私は皆様の幸せを、必ず守り続ける。




 ですから___信じてください」




 そう言って、アルティアはふわり、優しい笑顔で笑った。



 国民は戸惑いながらも、それでも"世界最終日"の時に見た女だと気づいては再び騒いだ。





 「アルティア皇妃、万歳!」



 「ラフェエル皇帝、万歳!」




 「サクリファイス大帝国、ばんざーーーーい!」





 沢山の歓声を聞きながら、それを見ていた海の妖精神・マリンは星の妖精神・ゼグスに言う。





『ねえ……………本当にやるの?』




『勿論。ねえ、ハデス』




『ああ。今日のよき日にやるのが、楽しいだろう?』




 死神・ハデスはそう言って、笑う。それを横で聞いていたスカイは溜息をついた。


『全く…………………男共はどうしてこうなのだ』



『俺はなんも言ってねえよ!こっちみんな!』



 太陽神・ドゥルグレはムッとして反論する。それをまあまあ、と止めたのは森の妖精神・リーファだった。





『こんなよき日に喧嘩などしないでください。それより、やるならはやくやりましょう?



 さあ、祝福を』






 リーファはそう言うと、沢山の光の花を空から降らせた。それに合わせてマリンは魚達を放ち、空中を泳がせる。ゼグスはキラキラと光る星屑を落とし、ハデスは黒い粒子を降らせる。スカイは雲を退かしドゥルグレは太陽を一際輝かせた。




 それらは全て_____妖精神流の祝福で。



 それを見ていた精霊達も動き出す。



『僕もやるよー!えーい!』



『いいな、私もやろう』


 水の精霊・アクアは水魔法で水柱を作る。魚達が泳いでいくのを見ながら、土の精霊・グランドは地面を綺麗な砂に変える。





『ほら、俺たちもやろう、カーバンクル』



『ぼ、ぼくも!?』




 闇の精霊・ケルベロスは無理やり聖の精霊・カーバンクルの手を取り闇と聖の光を混ぜた灰色の流砂を落とす。シヴァはそれを見てカカカ、と笑い風の精霊・ウェイトを見た。




『よっしゃ!やるぞ!』



『んもう、シヴァちゃんは強引なんだから。ちゃんと手加減してよ?』





 降り出した雪を丁度いい風が国民たちの上に送る。




 全ての力が混ざりあって、色気のない闘技場が幻想的な光景に変わった。国民達は目を輝かせ、その光景を見ている。



 それを見ていたラフェエルが呆れた声を出した。





 「なにをやってるんだアイツら?」



 「私も知らないわ」




 アルティアはそう答えた。…………この国が1番神々に愛されているという実感のないまま、2人は肩を寄せ合ってその様子を見ていたのだった。














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