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いざ、最後の戦いへ

 





 「………………よし、これで演説は終わったし、行こう」




 アルティアは長方形を全て消して背を向けた。…………様子が、おかしい。




 アルティアの声色はいつも通りなのに、一抹の不安を覚えて、アルティアの肩に手を乗せた。





 「___アル、お前、何かあったのか?」




 「……………何も無いよ」






 嘘だ。



 そう思った。




 どれだけ長い時間共に過ごしてきたと思う?わからないわけがなかった。けれど、アルティアはそ、と私の手の上に自分の手を乗せて言う。





 「____大丈夫だよ。必ず、初代龍神は殺す」




 そうじゃない。そうじゃないんだ。




 「アル____」




 「ラフェー、どうせついてくるなって言っても着いてくるんでしょう。


 なら、絶対死なないでよ。



 あんたには、"これからの世界"を導いてもらうんだから!」






 アルティアはそう言って、首を動かして私に笑いかけた。





 ____何も言わせない笑顔だ。


 この顔のアルティアには滅法弱い。





 「…………………嘘をつくのが下手だ、馬鹿」





 ラフェエルはさっさと歩くアルティアに聞こえないくらい小さな声で毒づいた。







 * * *








 上空を覆う大きな黒龍。それがガーランドだと言うのはすぐにわかった。ガーランドの身体が、初代龍神に操られている。




 無理やり人を殺させられてる。


 ____そんな事をするガーランドを、見たくない。本当のガーランドを知っているから。




 だから早く行って、止めなきゃ行けないんだけど……………………………







 「………………………なんでいるの?」






 アルティアは黒龍から目を逸らさず、聞いた。




 アルティアの後ろには_____国に帰ったはずのクリスティド、エリアス、フラン、ガロ、リーブ、ダーインスレイヴ、ラフェエル。





 ラフェエルはまだわかる。ずっとそばにいたし、意地でもついて来るって思ってたから。




 だけど他のメンツはわからない。国ほっぽりだして戻ってきたの?アホなのかな?アホの子なのかな?





 「2人で行かせるわけがないでしょう?」




 「で、です!わたくしだって、アルティア様と行きます!」




 「こーんな大ピンチ、聖女の私が動かなくて何がヒロインですか!」




 「ガロ、アルさま、側近、だから」




 「私もラフェエル様の側近なので」




 「俺がガーランドに会わなければならないんだ、お前を連れてな」






 イツメンはどんな状況でもイツメンだ。……………本当に、馬鹿ばっかり。相手はこの世を統べる神だよ?逃げ出していいのにね。



 ……………まあ、こういう皆だから私は安心して背中を任せられるんだけど。



 そんなことを考える私の頭に、もうすっかり慣れた大きな手が乗った。私と同じ事を考えているのか、薄く笑みを浮かべている。




 「…………………いい加減、諦めろ。


 こいつらはこういうヤツらだって」




 「ん。そうだね。



 じゃあ_____いっちょ、世界を救ってみましょうか」





 「はーい!最終章、最後の戦い!開幕でーす!」






 アルティアの言葉に、いつも通り元気よく拳を天に掲げたフランだった。









 * * *







 「……………で、これからどうするんですか?」





 フランはカーバンクルに跨りながら首を傾げる。


 私たちはアルティア先輩の幻獣・ヴァル、エリーの幻獣・リンカネーション、そして私の相棒である聖の精霊・カーバンクルに跨り、黒い蛇みたいな生き物_これが龍神らしい_の真下に来た。





 RPGだったら、ここで戦闘よね!腹に攻撃して、風穴開けて!最後の戦いらしく豪快に行くよね!?ね!?同志のアルティア先輩!!!!




 期待を込めてアルティアを見る。



 しかし、そんなRPG脳なフランの考えなど分かるはずがないアルティアはぴと、と龍の腹に触れて呟いた。





 「_____秘術・扉開(ドア・オープン)





 「え」






 アルティアがそう唱えると、龍の腹に扉が生まれた。アルティアは平然とドアノブを掴んで開けた。




 「………………うん、上手くいったみたい。ここから入れるよ」




 「………………………………」






 超地味なチート能力で最後の戦いは開幕しました。……………もっとさあ、派手にドカーンとやろうよ………………ドギャーン!って驚くようなさぁ……………力が抜けるなぁ…………













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