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彼は何者?

 






 …………って、結局彼のこと何も分かってないじゃない!





 そう気づいたのは、部屋に戻ってからだった。リングに上手いように言いくるめられた、というか話題をそらされた、というか私が間抜け過ぎた、というか。




 「あ~もうっ!」




 ぼふん、と枕に顔を埋める。

 つまり彼は誰なの?リングでさえ知っているようだった。会ったことないはずなのに、だ。何か何か、手掛かりになるものはないか………



 必死に記憶を辿る。伊達に16年も生きてない。何か関連することが………



 「…………あ。」





 ふと、サクリファイスという言葉に思い当たる節があった。

 カイテルが偶に"サクリファイス大帝国が……"と言っていた。




 サクリファイスの生贄………サクリファイス大帝国………無関係だとは思えなかった。大帝国というくらいなのだから、国よね。やっぱり王子っていう線が濃厚じゃない?交流してるとか?




 ………ううん、でも、それにしては妙だわ。




 直ぐに考え直す。

 何故なら、彼は1度もガーランドと会ってないからだ。寧ろガーランドは追い返している。なにより交流を図っているというならなんで王子1人しか来ないの?仮に彼が王子だとしたら、護衛とか側近とか……あるわよね。






 「あぁあ、わかんない!」





 ガバッ、と起き上がった。私はベッドから降りてからクローゼットに手をかける。



 お気に入りの黒のストールを取り出して、羽織ってから部屋を出た。部屋の外には____漆黒の龍。ガーランドだ。私といる時は殆ど人間の姿だから久しぶりに見た気がする。




 黒くて、大きくて、………ゴジラだってガーランドより小さいわ。きっと。




『ん…………、どうしたんだい、アル』




 「あ、…………」





 優しい低い声。ガーランドが私に気づいたのだ。大きな尻尾_大蛇のように長く思ったより柔らかい_が私を包んで引き寄せた。見上げても顔が見えない。首痛いなぁ。





 そんなことを思っていると、ガーランドは段々小さくなって、最終的に人型になった。長い黒髪、綺麗な黄金色の瞳___私との違いなんて、身長と性別、着ている服ぐらいなんじゃない?髪の毛縛ったり、してみようかな。





 「どうしたんだい、こんな夜更けに。久しぶりに恋しくなったのかい、アル。一緒に寝ようか」





 ガーランドは心配そうに顔を曇らせながらあっという間に立派な黒いベッドを作り出した。……って。




 「いやいやいや、一緒には寝ないわよ」




 「遠慮しないでさ。我達は家族だろう?」




 「その前に年頃の娘よ」




 「親離れが早すぎなんだよ。お前はまだ16歳だろう?赤子でしょうに」





 「………確かに、ガーランドから見たら私は赤ちゃんでしょうね。ばぶばぶ」




 「今の可愛い。もう1回」




 「やりません。……私、聞きたいことがあってきたの」




 「なんだい?」






 「………彼の事………サクリファイス大帝国のこと、知りたいの」




 「…………」





 私はベッドに近づいて、座る。ガーランドは身体を起こしてぽん、と頭を撫でた。




 「"彼"って、此処によく来るサクリファイスの小僧かい?」



 「サクリファイスはわからないけど………ここに来る男の人。皆知ってるのに、私だけ知らないの、可笑しいわ。



 彼はなんなの?私___ガーランドにとって、なに?」





 「……アルはなんだと思う?」





 「えっ」







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