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※実はヒロインです

 







 「お父様、おわかりになりませんでしょうか?」




 「なにがだい?」




 「私は15歳です」




 「そうだねえ。もう15歳だねえ。早いねえ」




 「女の子です」




 「おっぱいもお尻も出るところは出てるしねえ。アルは人間ではないけれど、人間の姿は美しいよねえ」





 「………そこまでわかってて………いつまで私を抱き上げるんだぁぁぁぁぁぁ!!」






 ガーランド基龍神の玉座、わざわざ人間の姿をしたガーランドはそう騒ぐアルティアを膝に乗せて抱きしめていた。




 ……って、巫山戯んな!!




 「いい歳して?親の?お膝に?おっちゃんこ?……なんのプレイよこれ!アホじゃないの!?」




 「ははは。親にとって子供はいつまで経っても子供なのだよ。昔はいつもこうしていただろう?龍の姿の方が安心するかい?


 アルが龍に化けてくれるのなら喜んで我も龍になるよ」




 「絶対いや!私は死んでも龍にならない!」




 私は勿論龍になることはできる。一応龍神の娘だしね。けどね、龍ってとってもとっても疲れるの。大きいから無闇に動けないし小回り効かないしなってるだけでなんか疲れるしなにより!可愛くない!………って、そんなことより!




 「降ろせ!!!」




 「氷を飛ばしても我には効かないよ、上位魔法ではないと傷つかないオートキープの魔法がかかっているからね。もちろん、上位魔法を使うというのであればアトランティスが壊れかけないから半殺しにするけど?」





 「ぐ………」




 ガーランドの言葉に抵抗をやめる。……認めたくないけど、ガーランドは強い。何度か家出の為に気絶させようとしたけど私がいつも気絶して終わる。やはり世の中上手くいかないことばかりである。





 それでも………前世のように卑屈にならず、誰かに話しかけたり遠慮せず明るい気持ちでいれるのはこのムカつくガーランドが、カイテルが、リングが……ここに住むアンデッド達が大切にしてくれるからで。




 そこだけはちゃんと感謝してる。そこだけだけどね!





 「じゃあ、抱っこはやめて」



 「じゃあの使い方が可笑しいねえ。ちゃんとカイテルと言葉の勉強をしてるかい?」




 言葉の勉強。唯一私に行われている教育だ。以前カイテルに聞いたけど、本来なら魔法の使い方も教わるらしい。そこは私が優秀だから省かれていて、今は言葉の勉強だ。人間で言う、国語のようなものだ。この世界は全人類が同じ言葉を使うらしい。で、人間には王様が居るらしくてそういう人達と話す時のための言葉を教わっている。




 ここを逃げ出したら平民になろうと思ってるから、王様になんて会う予定、ないけどね。




 「ガーランドだからこういう言い方してるんだし」




 「パパは一応龍神様なんだよ?世界で1番偉いんだよ?」




 「あいにくですが外に出たことございませんのでわかりません。


 ではでは、お勉強がございますのでここらでお暇しますわ。自室に戻るだけでしたらよろしいでしょう?」




 「………せっかくの親子の時間だと言うのにつれないねぇ。まあいいよ。はい、どーぞ」




 ガーランドがパチン、と指を鳴らすとあっという間に私は自分の部屋に居た。……隣の部屋なのに、なんて贅沢な。まあいいや。



 私はリングがつけてくれた髪飾りをぽい、と備え付けられたソファに投げ捨てて私のお気に入りの黒くて大きなダブルベッドにダイブした。

 





 ……今日も脱出失敗。もうかれこれ10年毎日やってるのに1度も成功したことないって逆に凄くない?清々しいわ。



 でも。



 今日、久しぶりにあの男の子と会った。





 紅銀の髪、紅い瞳の男の子___男の子、じゃないか。もう立派な青年って感じ。私と同い年くらい?ううん、もっと上っぽい。脱走する時の密かな楽しみになっていた。だって、人間なんて彼以外と会ったことないし。特別って言えば特別だよね。あの人形みたいな顔はどんどん男らしくなって、筋肉もついていた。



 あれは絶対どこかの王子だな。じゃないとあんなにきらびやかな服は着れないし似合いもしないだろう。喋ったこと、あまりないからどんな人かはわからない。無視されっぱなしだけどなーんか悪い人のような気がしないんだよな。……というより、なんか、いつも難しい顔をしているっていうか……彼が笑った所見た事ない。表情筋死んでるんじゃない?




 これが小説なら、彼はきっとヒーロー側だな。なら、ヒロインや悪役令嬢が彼を救う……って所だね。そのヒロイン役が私なら彼を笑顔にしなければならないのだろうけど、私は龍神だし。人間じゃないし。






 お役じゃありません、ってか。






 「……ヒロインがよかったなー。


 なんて、ね」





 私は目を閉じた。








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