神々の集結inセイレーン皇国
「え?」
「はい?」
2人の目が点になる。そりゃそうだ。突然こんなこと言われたらそうなるよね。だから、思ったことを素直に説明した。
「精霊のことは精霊、妖精神の方が詳しいと思って。長く生きているのだろうし、交流があると誰かが言っていたわ。なら、聖域の場所をわかるかもしれないじゃない?」
「確かにそうだと思うのですが…………他国に妖精神様を招くことは可能なんでしょうか……………?」
「こればかりは、やってみるしかないね。
私がまず試してみます」
私の言葉に考え込むエリアスをよそに、クリスティドは我先にと動き出した。両手の手袋を取ると、右手には水色の契約印、左手には藍色の契約印が顕になる。
いつも影が薄く、忘れられがちなクリスティドは水の精霊と海の妖精神の2人と契約をしているなんだかんだ凄い人物なのだ。その水と海に愛されし爽やか王子は契約印を光らせる。
「水の精霊・アクア様、海の妖精神・マリン様、どうかこのクリスティド・スフレ・アド・シースクウェアの前にお姿をお見せ下さい」
クリスティドがそう言うと、ぽう、と両手の甲から水色と藍色の球が現れた。そして、ぽん!と音を立てて………………………藍色の短髪髪に金色の瞳、セーラー服姿の水の精霊・アクアと藍色のウェーブのかかった長髪に金色の瞳、同じくセーラー服の海の妖精神・マリンが親指程度の大きさで姿を現した。
『呼んだー?』
『仕方ないからきてやったわよ!』
か、かわいい………………!じゃなくてっ!
「なんでそんなに小さいの?滅茶苦茶可愛いんだけど?なに?欲しいこの人形。どこに売ってる?」
『僕達の本体は国から離れるわけにはいかないからねー、分身で話してるの!』
『神を呼び出しておいて人形呼ばわりするなんて、失礼しちゃうわっ!アルティアは相変わらず生意気!』
『マリン怒らないでよ~海が荒れちゃうから~!で、どうしたの、クリスティド?』
「ちょっと聞きたいことがあって………………と、その前に。
エリアス姫、このとおり妖精神様はいらっしゃってくれます。呼んでくれますか?」
「わ、分かりました…………!」
エリアスはこくこく、と頷いて深緑色の前髪を手で上に持っていく。緑色の契約印が顕になる。………このエリアスも魔法オタクを拗らせているが、森の妖精神と契約を交わしてる凄い姫なのだ。
…………というか、周囲にこれだけ契約をしている人間がいると本当に契約って凄いことなのか疑問になるなあ。
そんなことを思っている私をよそに、エリアスはもう片手で契約印をなぞり小さな声で言った。
「も、森の妖精神・リーファ様、どうかこのエリアス・ラピュード・ヴァリアースに尊きお姿を………………!」
緑色の契約印が光る。ふわ、と1枚の葉が出現し、これまたぽん!と音を立てて黄緑のグラデーションの長髪を前で三つ編みし、金色の瞳を持った片肩丸出しの袈裟みたいな服を着た小さな森の精霊神・リーファが姿を現した。
『エリー、呼んでくださりありがとうございます。わたくし、アルティア様とお話したかったのです。グランドが戻ってきて、わたくし、嬉しくて………………』
「あー、いい、いい、それは気にしないで。グランドも近くにいる?」
『おります、しかし、エリー…………エリアスは契約をしていないので姿を現せない、と残念がっております』
「そっか。私もグランドに会えなくて残念よ。………でも今、のんびりお話を楽しむ余裕、ないの。
だから、私の聞きたいことに答えて欲しい。
マリン、アクア、リーファとグランド…………あと、もう1人の神も呼ぼうかしら」
「!」
「わぁ!」
「な…………!」
アルティアは面倒臭そうにぱちん、と指を鳴らした。黒い渦状のゲートが現れる。それを見て驚く人間組を横目に、言葉を重ねた。
「"太陽神・ドゥルグレ、私の元に来なさい"」
『ぐあっ!!』
その言葉の直後に黒い渦からオレンジ色刈り上げ頭、ピアスの沢山ついた大きな福耳、金色の瞳、褐色の肌を惜しみもなく晒す4本腕の太陽神・ドゥルグレが落ちてきた。
*作者から読者様へ~100話記念~
中途半端ではありますが、無事100話を迎えました。
読んでいただきありがとうございます。
ブックマーク、評価を頂きとても嬉しいです。
100話を迎えましたが、物語は未だ5分の1程度しか進んでおりません。
"隠された真実"というのは?
"真なる龍神"とは?
"次期龍神の契約者が持つ本当の役割"とは?
…………等など、徐々に公開していこうと思いますのでご愛読のほどよろしくお願い致します。




