#2『土台』固め
大変遅くなりました。
こんな感じの不定期更新ですが、どうかよろしくお願いします。
そんなこんなで、3年程の月日が流れた。
『程』と言うのは、『この世界』では1年が15ヵ月、時間も1日が26時間だった為だ。
これだけ暦が細かくなっていたら、『前の世界』での時間の『感覚』が狂ってしまうのは致し方無い……。
そんな訳で、俺は無事『此方』で3歳(実年齢48歳)を迎える事が出来た。
まぁ、実を言うと1歳に成り漸く身体が動く様になってから、色々と身の回りの事を出来る限りで整理はしていた。
○此処が所謂『孤児院』で有る事。
○この孤児院を経営しているのは、俺を抱っこしてくれた女性で名を『ノルン』と言い、聞く限り中々著名な『魔女』と言う事(勿論、『ファンタジー』で御約束の『悪い』方では無い)。
○ノルンさんは、孤児院の経営だけで無く孤児院や一般の子供達にも読み書き等の勉強を教えている、言わば『寺子屋』の先生も兼任している(なので俺も『ノルン先生』と呼ぶ)。
まだ沢山有るが主なのは、この3つだ。
そして3歳に成り、言葉も喋る事が出来る様になった。
本当なら町に繰り出して、色々と見て回りたかったが、残念な事に『規則』で6歳にならないと1人で外出出来ない為、諦めざるを得なかった。
俺は午前中はノルン先生の授業を受けて、午後は孤児院の子供達と遊びつつも、図書室に篭り『この世界』の『地理』や『歴史』、『一般常識』を徹底的に頭に叩き込んだ。
この『異世界』の『始まり』は、俺自身が感じた風では、『ギリシャ神話』と『北欧神話』が大まかに混じり合い、『日本神話』が細かい部分を補強している感じだった。
しかし『世界』の誕生が『20万年前』と言うのには、少々面食らった。
前の『世界』で教わった限りでは、人類の歴史が始まったのは『約700万年前』だったと言うのだが……。
恐らく『此方の世界』では、『歴史学』や『考古学』と言った『過去を調べる』学問が未発達なのだろう。
只、『神様』と言われる存在が世界を『創り』、
『魔王』が世界を混乱に陥れ、『神様』に選ばれた後の『6大勇者』と呼ばれる英雄が平和を取り戻したと言う英雄譚は、『ファンタジー』物の『御約束』通りに存在していた。
そして、この『6大勇者』は『この世界』を構成する6種属を指し、人族、亜人族、妖精族、龍人族、獣人族、魔族に分類される。
因みにエルフやドワーフは妖精族、鬼やオーガ、ゴブリンに巨人は亜人族、吸血鬼やサキュバスは魔族に含まれる。
又、調べた限りではエルフとドワーフ、エルフの中でも『ハイエルフ』や『ダークエルフ』もしくは『ハーフエルフ』の間には、『前の世界』の設定とは違い、『迫害』や『差別』等は全く無く、お互いに尊重し合い異種族婚も極当たり前に存在し、良く『人』とは『敵対関係』に成る『鬼』や『オーク』らも『此方』では全然そんな事が無くて、互いに助け合い異種族婚も普通に有った。
まぁ、まだ『この世界』の事を良く知らない訳だが、変な『差別』や『迫害』が無い事は、大いに素晴らしい事だ。
そして、『6大勇者』は今も尚親しまれており、多くの童話や英雄譚の下地に扱われている。
次に『地理』だが、大まかに言えば『前の世界』の地球に酷似していて、その周りを7つの大きな大陸が囲んでいる感じだった。
因みに、『地球』に似た部分を『人界』、その周りを『外世界』と呼称している。
『外世界』には、かつて文明も栄えたらしいが現在では特殊な風土、強力無比で凶暴なモンスター達が織りなす生態系の為、『人』が立ち入る事が出来ない『無法地帯』なのだそうだ。
そして最後に『一般常識』として、『この世界』には『魔法』が存在し、男性を『魔術師』、女性を『魔女』と呼び、『魔導士』や『魔法使い』は総称的な呼び方に成る。
歴史的な背景も有り『魔術師』の社会的地位は高く、勿論『ピンキリ』は存在するが高い級で有れば有る程、その地位は高く成る。
大まかに分けると、
S(ピンキリ有り。 特に高ければSS、SSSも)
A(+〜ー)
B(+〜ー)
C(+〜ー)
D
に成る。
基本的に、魔法の才能が有る者は最低でも生まれながらにB級の魔力を有していて、コレは外部からでも大まかに分かるらしい。
そして、本人の努力や魔法の相性等で更に上のAやSに成る事も可能だが、C級から上に上がった例は歴史上一例も無く、言わば『生まれながらに勝ち組、負け組が決まっている』と言う事だ。
その為、王族や貴族は魔力の高い者との婚姻を尊ぶ傾向に有り、中には愛し合っていた者が引き裂かれる悲劇も多々有るのだそうだ。
そして、そう言った魔力が高い者同士が婚姻し生まれた子供達には魔力の高い者も多く、比例して古い血族や高位な者程魔力も高い。
特にS級とも成れば、乱暴な言い方では有るが『凡ゆる権力』を保持し末代まで豪遊しても使い切れない程の『富』を得る事も可能だと言う事だ。
『何とまぁ〜……、シビアですコト……』
正直俺は、此処までの『魔力至上主義』には舌を巻いた。
何せ、『魔力の高さ』云々で結婚すらままならないと言うのだ。
『前の世界』の、サスペンス物でお馴染みの貴族や大金持ちの『家柄』、『血族』主義も真っ青だ。
また魔法は、
○攻撃魔法
○補助魔法
○回復魔法
の3系統に分かれる。
攻撃魔法は、『火』等の属性を付与する属性魔法と魔力其の物を攻撃に転用する無属性魔法が有る。
補助魔法は、肉体強化等の攻撃の補助を目的とした魔法で、防御魔法も此方に属する。
回復魔法は、読んで字の如く怪我や病気等の状態異常を治す魔法だ。
因みにノルン先生は、B+級の『魔女』で攻撃や補助よりも回復を得意としている。
その為、診療所の先生的な仕事も兼任していた。
先の通り魔法には『火』『水』『風』『地』『光』『闇』『無』の7つの『属性』が存在し、『氷』は『水』に、『雷』は『風』に統合される。
『無』属性は先の6つのどれにも当て嵌まらない属性で、一代限りの発現も多く別名『個人魔法』とも呼ばれている。
因みに『属性』は、魔法の適正が有る者ならば必ず1つは持っていて、高位の者に成ると複数持ちもザラらしい。
又、2つ以上の属性魔法を合わせて発動する『融合魔法』と言う物も有り、例を上げれば『火』と『地』で『溶岩』、『水』で『酸』、『風』と『地』を合わせ、有る時は『砂』、又有る時は『磁力』に成る。
『無』の場合は少々特殊で、例えば『シールド』と言う所謂『バリヤー』を張る魔法に『地』を合わせると、『地』特有の防御力を『シールド』に付加出来る等、組み合わせ次第で『無限』の可能性が有る。
無論、高い魔力を有して無いと話にならないのだが……。
因みにノルン先生は、1つで有るが光属性を持っている。
実を言うと色々『疑念』が有るのだが、どうやら俺は『魔法の才能』に恵まれなかったらしい。
しかし、それくらいの『逆境』で無いと燃えないし、だからこそ『成り上がる』のが面白いと言う物だ。
『まぁ『その為』にも、先ずは『土台』をしっかり固めないとな!』
俺は気合を入れ直し、今日も今日とて『猛勉強』に精を出すのだった。