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#11 『事件』が終わって……

 『ロックリザード襲撃』から数週間が経過し、俺の周囲まわりは『ちょいと』騒がしく成ってしまった。

 何せ『冒険者の登竜門』ともされている『ロックリザード』、其れも此処数年見られた事の無い『大物』も含めた『複数体』を、歳はも行かず『C−級』の魔力しか持たない俺が仕留めたのだから、『あの後』は大騒ぎだった。


 俺は孤児院に担ぎ込まれたと同時に、お湯の入った大ダライで丸洗いされベッドに放り込まれた。 その後は何と3日も眠り続け、その間レイナはずっと泣きっぱなしで、俺が起きたと同時に抱きついて来た。

 そして目が覚めたのを見計らう様に、村長を筆頭に村の皆がお見舞いに訪れ散々『お礼』を言われた(中には『ウチの娘を嫁に貰って欲しい』とまで言われ面食らってしまい、その度にレイナは『女の子がしてはいけない顔』に成っていた)。


 『御礼参り』が終わって2週間後に、改めて皆から事情を聞かれて(ぶっちゃけ内緒で『魔法の特訓』をしていた事は、後で先生からコッテリ絞られた)、俺が発見した泉や『ロックリザード戦』で使用した大剣は村長を含めた村の長老達すら知らなかったらしく、翌日にその場へ案内すると全員が目を見開いていた。

 長老達も『長い事此処に住んで居るが、見た事が無い』と言っており、先生も『認識阻害』系の結界が無いかを調べたが、そう言った類いの物は見られなかったので単純に『長い間、誰にも見つけられなかっただけ』と決定付けられ、いつの間にか誰とも無くこの泉を発見者であり『町の英雄』の俺に肖り、『リオンの泉』と呼び出した。

 正直こっ恥ずかしくて堪らなかったが、村長達が熱心に説得して来るので、結局は此方こちらが折れる形で決まってしまった。


 その際、長老の1人が『図々しい事で申し訳ないが』と前置きした上で、『この泉を、村の皆の憩いの場にしたい』と提案して来たので、二つ返事で了承した(提案した当の本人は、目を見開いて驚いていた)。

 本当はもう少し『独り占め』したかったけど、其れじゃ味気ないからなぁ。

 其れと『泉を汚さない』『泉の周りのストープやマンジーの実は取り過ぎない様に』と条件を付けさせて貰い、『『剣』の為に祠を建てて欲しい』とお願いすると長老達も『必ず守る』と快く了承してくれたので『泉の側に休憩所のあばら屋を建てる』『看板は泉の前に』と計画を話し合いながら帰路に着いた。


 孤児院に戻ると、『あの時』発現した『ベルセルク』と言う魔法に付いて調べる為に図書室に篭った。

 何せ名前が『狂戦士ベルセルク』だからなぁ……。 万が一にも暴走等の危険性も捨てきれないし……。

 本を読み進めて行き、丁度10冊目で漸く『くだん』の記述を見つけ其れに寄るとやはり『身体強化魔法』の一種と判明した。


 『身体強化魔法』とは、その名の通り身体能力を強化するする魔法で魔導士が1番最初に覚える『身体強化』を始め、『身体強化』の上位互換であるバランス型の『ブースト』、腕力を強化する『パワーライズ』、移動速度並びに反応速度、思考速度を高める『アクセル』と言った種類が存在し、この『ベルセルク』は『身体強化魔法』の最上位に位置する魔法で全ての要素を併せ持つと言う。


「なんとまぁ……、『お約束』のチート染みた魔法ですコト……。

んっと、『この魔法を使用した後、術者は極度の疲労を覚える。 尚、熟練度の上昇に比例し疲労は軽減される』か……。

やっぱり、あの後凄ぇ疲れたのは魔法の反動か……」


 デメリットは存在するものの、ラノベ系で『御馴染み』の主人公専用の『チート魔法』が目醒めた感じだな……。

 でも、そのお陰でレイナ達を守れたのだから発現してくれた事に感謝しなければバチが当たる。


「後は、どう付き合って使い熟せるかだけど……。

此れからも要勉強だな……」

「あ、リッ君居た!!」


 と、本を読み終えたと同時にレイナが図書室に入って来た。


「あ、レイナ、どうした?」

「『どうした?』じゃないよ!

もうお昼の時間なのにリッ君が居なかったから、ずっと探してたんだよ!!

ほら、行くよ!!」

「あ、ちょ、分かったから引っ張らないで……!」


 あの『事件』の後1番変わったのは間違いなくレイナで、此処最近は事ある毎に俺の世話を焼く様に成った。

 まぁ、ロックリザードと『殺り合った』後のボロボロな姿や3日も寝込んだ事を考えたら当たり前か……。

 ただ、その『世話焼き』が度を超しているのが『悩みの種』に成ってしまっている。

 今みたいに俺を探して回るのはまだ良いが、風呂場やトイレにまで入って来たり(流石にソレは『脳天チョップ』をお見舞いして止めた)、挙句が何時の間にか俺の寝床で一緒に寝ている事も有った(無論、『罰』はしっかりと受けた)。


 その日の午後に『事件』を知ったセヴォンさんが俺に会いに駆け付けて来た(思いっきり抱き付かれた)事以外は、何事も無く平穏に日々が過ぎて行き、以前の様に舞い込んでくる仕事や魔法の特訓に精を出した。

 ただ『特訓』の方は先生にバレてしまったので迂闊に行う事が出来ず、人気の無い岩場等で『魔力の纏わせ』を中心とした『短時間集中』を余儀無くされてしまったが……。

 因みにレイナの方も『事件』が余程ショックだったらしく、魔法の訓練も積極的に先生に挑んだり、勉強の方も(俺も手伝いながら)目を白黒させながらも一生懸命励んでいた。


 其れから1ヶ月程過ぎたある日、朝食の後片付けをしていると年少の子から『午後1番で来客が来るので、事務室に来てくれ』と言う先生からの伝言を貰い、その日は特に作業等の予定も無かったので了承し、午前中は孤児院の雑務を熟し、昼食の後片付けを終わらせた後でレイナ達に後を任せて、事務室へ向かった。


『そう言えば、今日は先生の姿を殆ど見なかったなぁ……。

『お客様』と関係が有るのかな?』


 そんな事を考えながら、事務室の前に着くと扉をノックし『どうぞ』の声を聴くと名前と要件を言いながら部屋へ入った。

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