#0 死にたかねぇよ……‼︎
『小説家になろう』初投稿です!
拙い部分や未熟な所も多々ありますが、よろしくお願いします!
「やれやれ……。『俺の人生』も此処までか……。」
そう呟いて、俺は溜め息を吐いた。
上から伸し掛かる瓦礫を受け止めている腕には、もう感覚は残っていなかった。
周りは『火の海』と化し、身体を舐め回す炎にも熱さをも感じられない。
鉄骨が身体中を指し貫いていても、痛いのか熱いのかすらも曖昧だった。
俺『紅 蓮也』が、この様な壮絶な最期を迎えつつ有るかは、ほんの数時間前に遡る……。
恥ずかしながら俺は、45にもなって未だ独身である(しかも童貞ときたモンだ……(泣))。
理由と言うのも、先ず1つは言い訳がましいが『家庭環境』に有った。
ああ、付け加えて置くが決して両親と仲が悪かった訳では無いぞ。
寧ろ、他から見ても仲の良い家族だったし、こっ恥ずかしい言い方だが、俺も両親が大好きだった。
唯、『ちょいと』特殊だったのは否めないかな……。
と言うのも、俺の両親は『格闘家』で有り親父が『料理人』、お袋が『料理研究家』だった。
俺もその影響と生来の『凝り性』故か、自然と両方に師事していたし、特に親父には俺自身も恥ずかしながら『ヒーローオタク』なのも有って大いに影響を受け、そんなこんなで両親からは『格闘技』と『料理』を一通り叩き込まれ、更に俺自身が興味を持った『剣術』も粗方ではあるが極める事が出来た(因みに両親は、俺が25の時災害に巻き込まれた人達を救って『帰らぬ人』となっている)。
とどの詰まり、自分自身の『凝り性』故に『格闘技』『料理』『剣術』に没頭し過ぎて『恋』や『結婚』を考えていなかったのだ。
もう1つの理由としては、俺は『人一倍のお人好し』との事らしい(両親及び友人談)。
まぁ、確かに他の連中の面倒を見たり世話を焼いている内に『この歳』になってしまっていた。
俺自身としては、唯単に『放って置けない』から手を差し伸べた迄だから『何でも無い』事と思っていたが、周りから見れば相当な『お人好し』との事だそうで、そのお陰か所謂『(何か知らんが動物まで)人望が厚い』と言うのが俺の数少ない自慢だ(まぁ、『巻き込まれ体質』とも言う……)。
つまり、『人に世話を焼き過ぎる』のも理由の1つだ。
でも一番の理由として、『1つの事にのめり込み過ぎる』のが大きいかな?
何かに集中したら1日過ぎていたなんてザラだったからなぁ……。
さて前置きが長くなってしまったが、その日俺は友人の娘の9歳の誕生日にローストビーフを作る予定だった。
友人もその奥さんも長らく不妊治療をしていて漸く生まれた『その娘』を本当に可愛がっていて、俺も『自分の娘』の様に接していたし、『その娘』も俺に良く懐いてくれた。
だからこそ、腕に寄りを掛けて美味い物を作ろうとしていたが、材料を切らしていて丁度予定が有った友人家族と共に最寄りのデパートへと買い出しに出たのだった。
ところが買い物中、突如デパートの大フロアで爆発が起き、俺達は武装した集団に囲まれてしまった。
その連中は所謂『反政府グループ』と言う奴等で、『日本にも居るんだなぁ』と呑気な事を考えていたが『人質』として友人の娘を連れて行こうとして銃口を『その娘』に向けた途端、俺は頭に血が昇って我に返ったら『カンフー映画』張りの大立ち回りを演じて、人質の見張り番を伸していた。
そして、その勢いのまま『テロリスト』相手に大暴れ(お袋に『銃の分解』を習っていて本当に良かった(汗))。
そんなこんなで『テロリスト』連中を『お縄』にして『国家権力』の方々(知り合いもいて『蓮さん、またか』と呆れられた。解せぬ。)に引き渡そうとした、その時『テロリスト』のリーダー格が苦し紛れに爆弾を作動させてしまったのだ。
しかも一番大きな爆弾だったらしくデパートの屋上まで吹き飛ばし、瓦礫が友人の娘に落下していた。
まぁ、早い話が俺が『その娘』を庇って今の状況になっている訳だ。
友人家族や知り合いは俺の名前を絶叫にも思える程の声で叫んでいたが、俺は正直『もう助からねぇな……。』と悟っていて、『俺の事は良いから早く逃げろ‼︎』と叫び返した(その時、口の中に血が吹き出して来たのにはビックリした)。
友人達は号泣しながらも、俺の声に従い脱出したのだが、最期まで俺を呼ぶ『その娘』の声は流石に応えたなぁ………。
正直『死ぬ』のは怖くなかったが、唯『約束を守れなかった』事が辛かった。
そして、俺は遂に『最期』を迎えつつ合った。
正直、めっちゃ『未練』が有った。
もっと色んな美味いモンを食いたかったし、出来れば結婚もしたかった。
色んな物を見たかったし、何より『あの娘』との『約束』守りたかった。
親父、お袋、結婚も出来なくて其方に逝く事、どうか許して下さい。
今更ながら、目から涙が溢れてきた。
『悲しい』気持ちも勿論有ったが、1番占めていた感情は『悔しい』だった。
「死にたかねぇよ……。」
絞り出す様に俺は声を上げていた。
「俺、まだ死にたかねぇよ……!
まだまだやりたい事が山ほど有るんだ……‼︎
こんな事で、人生終わりたかねぇよ、ちくしょう……‼︎」
そう言いながら俺は慟哭を上げていた。
しかし、俺の慟哭は瓦礫の崩れる音と炎の轟音にかき消され、次第に俺の意識は遠のいて行った。
『死にたかねぇよ……。』
ただ『それだけ』を心の底から叫びながら、俺は意識を手放した。
『死にたかねぇよ…………‼︎』