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女神の闇②

それが何であるか最初は認識出来なかった、余りにも原型を留めていなかったから。

この高さでの損傷としては酷すぎないだろうか。

自分の冷静さも不思議だった、その肉塊は落下による損傷にしては妙で、刃物傷と裂き傷まである、内臓もぶちまけられ脳漿も垂れ流しており眼球も・・。

それは見ないことにして機器の破損はないか確認する、空調機などは正常、記録はタブレットが真っ二、つ、ああこれじゃ点検が記録できない。

手に取ろうとするがすり抜ける、なんとなく普通じゃないことがわかってくる。なんかとても痛かったような気がする。


ほんやりと記憶を辿っていく

その時不意に声が聞こえて思考が中断した

「転生者よ」

その声には聞き覚えがある、何日か前から、寝不足で幻聴が聞こえてると思っていた、「お前は良く働いたこちらで暮らす手伝いをしてやろう」。

はっきりしない意識、いや意識だけではなく自分の肉体そのものも陽炎のようにどこか捉えどころがない、ここはどこだろう?機械室ではなくなっている、白い大理石の床に円形の模様が組み合わされているのが感じられるが細かいところは把握できない、これは目で見ているのではないのかな。

会社がやっとMRシステムを導入してくれたのか、これはきっとそのテストなんだ。

「喜ぶがいい、お前は過労死寸前だった、それを我が力で転生させる」。

冗談か?寸前?それってまだ死んでないよな、転生するということはその時点で死んでるんだよな、つまり普通それはとどめ刺したっていうよな、詐欺だよな、元の世界に戻せよ、訴えるぞ。

「どうせあと数日で寿命だったのだ、大して違いはない」。

「だ・か・ら・お前は良く働いたからこちらで暮らす手伝いをしてやろう」。

大違いだ、数日あればお別れととか後始末とか引き継ぎも十分できる

「馬鹿な、寿命を知って後始末できる人間などそうはいない、諦めることだな、それに私に任せていなければ転生できなかったのだ、幸運と思うが良い」。

いや、なんか違う騙された感が盛り盛りだ。

「全く貴様が紐で身体を落ちないように結ぶから、鉄の棒を切るのに手間取ったぞ、お陰で体もバラバラになってしまったではないか」。

なっ、それであの傷なのか!なんてことしてくれたんだ!労災申請が大変じゃないか。

ずいっといきなり見覚えのない女性の顔が目の前に実体化し混乱する、今は見えないはずの目に金髪の美人?いや老婆?年齢が判然としない、じゃ此処は何処だ日本じゃないのか?、でなければやばい飲み屋とか。

元々女に耐性が薄い上に彼女と別れて、急速な接近に慌ててしまった。

近い近い!避けようとした

構わず彼女は続けた「お前は本当に運がいい、さて転生の準備は整った。私は女神である。」

女神と称して話しかけている、本当に困る、私は総統であると言ってるのと同じでこういう奴は大体信用できないし、それを信用できると仮定した場合については、転生を信用する事になってしまう、信用しないとなるとこの状況の説明がつかない、夢オチしか無くなるなるってなんなんだ、まさかやっぱり死んだとか。

「転生出来る人間なぞ100000万人に1人も居ない、特別幸運なことだ、心して受けるがよい」

似たようなセリフ前にもなんか聞いたことがあるな、俺の採用時に課長が言っていた言葉だ

この不況で採用された君達は運がいい頑張りなさい、と、その時のメンバーで残っているのは俺一人、結局は皆条件の良いところにもしくは悪いところに転職してしまった。

今はとにかく、状況が普通じゃないのは確かだしまずは深呼吸そして情報収集、その為には話には一応乗っておこう、どう転んでも損はないだろう、他に選択肢も無いし。

どんな状況でも情報は力だし、そのおかげで今まで苦しいしい中でも何とかやりくりしてきたんだ。

転生後の生活は保証してやろう、なんの苦労もなく贅沢できるようにな。

「転生せよ!実体化せよ!」女が叫ぶと

徐々に呼吸と心臓の鼓動が感じられて手足の感覚が戻ってくる。

だがいきなり頭を突き抜ける様な嫌な感触、転生後の能力はなんだ、能力を見せろ、彼女は頭を鷲掴みにして強引に頭の中に割り込んでくる

なんなんだ!これはちょっと、きもい、やめてくれ、俺のプライバシーが!

始まったときの様にそれは唐突に終わり、そして彼女は大きく溜息をつくと頭を横に振った、「そんな馬鹿な何ということだ、かつて無いほどに力を使ったのだ此処までしたというのに、手を貸したというに、何も無い、欠片さえ無い、これは空っぽ、お前は・おおハズレだ。」

女は怒り狂い何かを唱え俺はいきなり視界が不規則に回転し吐き気と混乱が頭のなかで渦巻き。

なんなんだ説明してくれ!声が出ない

吸った息を吐く前に視野がまたしても暗転した。

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