異世界生活、四週間目・・・
(7)異世界生活、四週間目・・・
地球のみなさん、こんにちは~
今日もそこそこ元気な、鈴原 芽依子です
私はいま、(絶対)地球じゃないだろう所の、キミ国のアリア村にいます。
自然が豊かで、大変、のどかな村です。
アスファルトに慣れまくった私には、土も、緑も魅力的!
・・・・でした。
最高でした。はじめの三日までは・・・・
ここに来て、早くも四週間が経ち、現代っ子、すでにノックアウトです・・・。
――――――― ここからは、【文明の利器に染まりきった子】の歌をお送りします ―――――――
色んなこーと、調べたいけど、スマホが無いのでググれ~ません♪
この世界の解析書など、基本知識を知れるツールが、ご~ざい~ませんっ♪
風呂も、シャワーも当~然あーりません♪
化粧水、乳液、メイク道具・・・ご~ざいーません!!♪
コンビニ・・・あるわけござい~ませんっ♪
トイレットペーパー・・・・は、あったけどっ
まさかのザラザラ品質!
おっしりが、限ー界ですっ♪
夜!
何か動物の遠吠え~が聴こえて、怖す~ぎますっ♪
「星がキレイ・・・」とかいう余裕は、ご~ざい~ません♪
月があればマシだけどー、漆黒の闇から、
グフッ・・グルルル(百獣の王かな~)て、声とか、
ハッ、ハッ、ハッ、カカカカカ(あれ?私食われちゃうのかな~)て、呼吸音&何か叩く音とか、
高い樹の上なのに、遠吠えは、すっごい届くんだよ~~~♪
ナイトサファリみたいだよネ~~~☆
不思議だね~~~♪
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ふふ・・ふふふ・・・
だから、寝不足です・・・・・(泣)
そう!
んで、気が付いたら、四週間!!
女神様は、現れません!!!!
なんでだ~~~~!
・・・まさか、こんなに早く、不眠症になるとは・・・ううう・・。
もう少し順応できると思っていたのに・・・《日常生活》で、つまずくとは・・・。
こんな時こそ、言霊でなんとか、できたらー!て、・・・・・・思った!思いましたっ!
んで、すぐ行動しました!
でも!でもでもでも!!!!!
あれから何度も、いろんな【発言】を試みたんだけど、
なぜか発動しないことが、多々・・・多々ありまして・・・・・
そんな、こんなで、
《なぜ言霊が発動しないのか》を絶賛、探り中であります・・。
輪をかけて、テンションだだ落ちです・・・・・はぁ・・・
何で、出来なくなちゃったのか・・・
スープの時間経過は、すぐ出来たのに~~
あ、でも!でもですね!
何も進展がない訳じゃないんです!
少しだけ解ってきた事も、ありました。
たとえば!
「【いでよ!オレンジジュースっ】」
シーーーーーン
・・・。
まぁ・・こんな感じで・・
《無から、有は生まれない》らしく・・・。
肝心の、オレンジも無いしね・・・
でも!なんと!
〈水〉はできましたっ
「【いでよ!水っ】」
ぐるるるる~
サーーーーーーッ
目の前で、渦を巻いて、少しだけ、〈水〉が集まった。
空気中や、植物には、多少なりとも水分を含んでいる訳で・・・
成分は解らないから、純粋な〈水〉では無いだろうけど・・・
水分は集められるだろうと、予想したら・・・できました。
こんな感じで、想像のできる範囲であれば、言霊は、発動できる・・・らしい。
この考えからいくと!
私は、あらゆる辞典やら、専門書などあれば、ある意味、無敵なはず!・・と、思ったんですがっ!!
・・・肝心の辞典や、専門書が無い・・・・。
・・・知識さえあれば、
シャワー設備も、湯沸かし器も、速攻造るっ
トイレットペーパーだって、すーぐ作るのにっっ
・・・・あ!
・・・そういえば、
小学校の時、牛乳パックを再利用して、葉書作ったな・・・
繊維細かくしたら・・・近いもの作れるのかな?
トイレットペーパーっぽいもの・・・
・・・・・・やってみようか☆
古い材木や、木くず・・集めて。
水解紙のように、溶ける紙は難しそうだから・・・
まずは、《落し紙》状で、作ろう。
木の繊維は、なるべく残さず、超粉砕して、
水に溶かして・・・木枠に入れて、紙すきをする。
あ、木枠、用意しないと。
ロール状は、作業工程の想像が、ちょーと無理だから・・・
ひとまず、15㎝×15㎝の《落し紙》。
ふむふむ・・。
こんな感じで、作りたいものをメモして、・・・少しづつ、実行している。
実は、このペンも、言霊で作ったものだ。
あ、
でも一応、この世界には、ペンも、インクもあります。
各国の王都や、王都近くの街に行けば、ちゃんと売っている。
けど、ベラボーに高いらしい。
羽根ペンから、アンティークペン、細工が施されているペンなど、多種多様。
特に、インク瓶は、職人さんによる一点ものが多いそうで、
大変貴重で、中には、家一軒分、する品物も有るそうな・・・
いやいや・・・この国の、家一軒いくらよ!と言いたい。
要は、ガラス細工(工芸品)が、貴重ということだ。
ガラス・・・ケイ酸・・ホウケイ酸だっけ?
ガラス細工は、いつか挑戦してみたい・・・。
けど、お金もないので、古いペンを、再利用しました。
少し、改造を加えて。
ペンと、インク瓶を、合体させた形にしてあります!
10文字程度書いては、インクを足さなくちゃいけないのが、
ボールペンに慣れてる私には、どうも億劫で・・・・ならば!
ペンに、インク瓶を付けちゃえ!的な感じから、
アリアから、古い羽ペンと、割れたガラスをもらって、いざ挑戦。
ボールが回転することで、インクが出てくる、現代のボールペン式のペン先と、
上からインクが落ちてくるように、薄形状の、空洞の容器と、芯を想像しつつ、
【ボールペン風に、ペン作成っ】を、してみたら・・・
見事に完成!(やっぱり、発動条件は、想像力のようです。)
これで、インクは付け足す必要はなく、容器にインクを満たしておけば、永遠に書ける!
アリアは、ボール式のペン先を、いたく気に入った様で、「大発明だ!」と、
こちらが、恥ずかしくなるほどに、感心しっぱなしだったけど、
そんな、アリアの様子を見て、
ふと・・・今更、気が付いたんですが・・・・・・
《ボールペン風》では無くて、《ボールペン》を作れば良かったのでは・・・(恥)
いや、いやいや!
ボールペンは今度にしよう。
とりあえずは、これで・・・おけ☆ですよね?
あと、
そんで、今日は~《落し紙》を作りませう!
まずは木枠づくり~~
ツリーハウスの根本には、これでもかと落ち葉や、枝、木くずが毎日沢山、手に入る。
アル君たちが、交代制で、朝に掃除をしているので、最近は私も一緒に掃除を手伝っている。
その際、一カ所に集めた枝などを、実験材料にもらっている。
今回も、そこから紙の資源として、もらおうかと考えているのだが、
さて・・・《落し紙》に必要な繊維は、どれくらいだろうか・・・大量に必要な気がする・・・。
私の作業場は、ツリーハウスの下から、数えて五階の部分にある部屋を作業部屋として借りている。
(ちなみに、私の作業部屋の下に、アリアの広~~~い作業部屋(四階)があって、
その、アリアの作業部屋内の一角が、みんなで食事をするリビング的な場所になってます。)
要するに・・・地上から五階まで、何往復もして、木材を運ばないといけない訳。
・・・人力で。
実は、前回《メモ用紙》を大量に作ろうと思って、言霊で木を浮かして、作業部屋まで運んだら、
集中力が、五階まで続かなくて、四階位の高さから木材を、ばら蒔いてしまった。
四階といえど・・・普通の四階の高さじゃなかったから、大惨事。
ツリーハウスの、一階から四階までで、20m位の高さがあり、
(現代の平均的なマンションで、一階から四階まで、約12m位なので、本当にデカい樹なんだけど・・)
そんな高さから、落した木材は見事に、大きな衝撃音と共に散乱。
一階ロビーは、めちゃくちゃになった。
当然、アル君とエルからは、しこたま叱られ、アリアからは、超超超心配されました・・・。
その節は、ホントごめんなさい・・・
これ以来、「報告・連絡・相談」の、懐かしのホウレンソウ指令が出された私は、
木枠&落し紙用の(大量の)木材を、どう運ぶかを算段しつつ、アル君たちに相談しなくては・・・
と思っていた。
どうしたもんかと、・・考えながら、アル君たちを探そうと階段へ向かうと、丁度、階段を上ってきたアル君に会った。
「メイコ、ちょうど良かった。昼ごはん出来たってさ。」
「アル君!丁度いい所に。」
「うん?どうかした?」
「ちょっと、ご相談が・・・」
「ああ・・じゃあ、
下でエルが待ってる事だし、後で一緒に聞こうか?」
アル君と一緒に階段を下りる。
アル君には、何度か【言霊の実践】を手伝ってもらっていて、
今では、「様」付けを取ってもらえる位には、うち解けることができていた。
明るくて、親切なアル君は、今の私にとっては、弟のような、友だちのような・・・
和みと、温かさをくれる存在になっている。
いつも食事をしている、アリアの作業部屋に着くと、
エルが水差しと、木製のカップを人数分出している所だった。
「こんにちは、エル。何か、手伝いますか?」
「いや、全て終わった。」
「そうですか・・・」
「なら、あとアリア様を呼ぶだけだね。」
「あ!それなら、私が呼んできます!隣りの部屋ですよね?」
駆け足で、隣りの部屋に向かう。
コンコン・・
「アリア~?」
ノックしても、声をかけても、返事がない。
うむ、いつも通り。
「失礼しま~す・・・」
部屋を少しだけ開けて、中を覗くと、真っ暗の中、ベッドに横になるアリアが見える。
エル曰く、寝起きのアリアは危険らしい・・・
私は、後ろを振り返り、エルと、アル君に視線を送った。
さあ!最近の私の、日課になりつつある、[アリアを起こそう]のミッションである!
簡単に言えば、【あらゆる言霊を試して、起こす】ってこと。
さあ・・今日はどうするか・・・
昨日は、寒いと起きるだろうと、頭上に少し、雪を降らせようと試みたが、
結果、アリアの全身が雪に埋まってしまった・・・。
アリアは、笑って許してくれたが、・・・大問題である。
雪だったから良かったものの、コンクリだったら・・・とか!考えただけで、ヤバ過ぎる!!
集中力の修行が、今の私の、最大の急務なのである。(モノづくりの為にも!)
集中・・・集中・・・・
今日は何を考えてるっかって?
柔らかいもの。そして暖かいもの。
そう!羊毛っ!
羊毛?・・・・羊毛だけでは軽いかな・・・??
いやいやいやいや、いいよ、羊毛で。
「【適度な、フワフワの羊毛っ!ドン!】」
――ドサン!
「ンメーーーーーーーッ」
「ぐはぁっっ」
適度な大きさの、羊が、アリアの上に落ちて来た。
えーーーーーーーっ
適度違いっ
「あーー・・・らら」
「フハ!マジか」
振り返ると、いつの間にか、すぐ背後にエルたちが立っていた。
アル君は、私から視線を外し、エルに至っては、肩を震わせている。
・・・大ピンチである。
「エ~~~ル~~~~・・・・・」
暗い部屋から、ドス黒いオーラをまとった地獄の閻魔様が、ベッドから、ゆら~りと立ち上がる。
「・・・は?? オレ??!」
どうやら、アリアは、笑っているエルが犯人だと思った様だ。
「アリア!!ごめん!私ですっ」
エルを隠す様に、前に出ると、
次の瞬間、
部屋を埋め尽くしていた、ドス黒いオーラは、パっと消え、
「もぉ~~~
メイコ様ぁ~~ 私、すっごく驚きましたよぉ~?」
そこには、いつも通り、おどけた声のアリアが、腰に手を当て立っていた。
閻魔様は、無事・・・地獄へ戻られたよう・・・・・デス
「・・・すみません。言霊、また失敗しました・・・」
「大丈夫です!これからも諦めずに、挑戦!挑戦!」
さっきの、ドス黒閻魔様がウソの様に、やさしいオーラに包まれたアリア大天使様の微笑みが咲く。
その際、真後ろで、誰かが崩れ落ちた音がしたが
巻き込まれ事故にあったエルだと、見ずとも想像できたから、あえて見ませんでした。はい。
後で、ちゃんと謝りまするっ
とにかく・・・
集中力の課題を早くクリアしないと・・・と考えた時、
そういえば、木材運びの相談が、まだだった事も思い出す。
あああ・・・
エルには、絶対ゲンナリされてしまうな・・・・とか思いつつ・・・
改めて、アリアを昼食へと誘ったのだった。