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三人寄れば文殊の知恵

(6)浮かれるべからず




はたして何杯目であろうか…


何度目かの紅茶のお替りを注いでもらった際、

ふと感じた肌寒さに、私は無意識で肩をさすった。

「あら、もうこんな時間なのね。」

私の仕草に、素早く気が付がいたアリアは、開かれた窓に、手を伸ばす。

空は、茜色に染まりつつあった。


アリアが窓から差し込む夕日を見ながら、「今日の夕食は―…」と言いかけた言葉に

私のお腹が、グキュルッと大きな返事する。

「ひゃぅッ」

急いでお腹を押さえたが、すでに遅し。


「ふふ、そろそろ食事にしましょうか・・・」

アリアは笑顔で立ち上がる。



恥ずかしさに、少しの間、お腹を押さえていた私だったが・・・

視線の先で、浮いているものに気が付いた瞬間・・・、恥ずかしさなど吹っ飛んだ!



「・・・ああ゛っ!!」

忘 れ て タ!!!



急いで二人の元へ、駆け寄ると、アリアもゆっくりこちらへ来る所だった・・


「食事は流石に、エルが居ないとダメなのよね…」

まだ不服そうな顔のアリアだったが、


「うん・・【イデ夜ハ明ケシ闇夜ニ揺蕩ウ者アラズ――】」と唱えた。


キン――と音がし、ドタドタと、床へ崩れ落ちる二人。



アリアの詠唱って、なんだか、古語みたいに感じる。

「吾輩は、猫である――」みたいな・・

アリアに、古語の事を聞いたら、どう伝わるのかな・・・


はっ!

じゃなくてっ

まずは、二人の事でしょ~がっ


エルと、アルくんの傍に、慌てて掛け寄ると、

二人はグッタリと・・・・・

全然動く気配が無かった


えーー・・・・・3~4時間?

天窓から太陽がサンサンとしていた時から、今迄だと、

その位は、待たせた事になり・・・ますね。。。


本当に申し訳ございませんっ!!!!


仰向けで、グッタリ横たわるエルと、

生まれたての子鹿の様に腕と足をガクガクさせてるアルくん。

長時間、無理な体勢でいたから、痺れて立ち上がれない様・・です。



キレイに浮いてたから・・二人に重力の負荷は無いのかな、なんて勝手に思ってたんだけど・・

しっかり、重力かかってましたね・・・ぁぃゃ~。


「立て、ますか?」

手を貸そうかと、二人に近寄ったのだが、そこを、アリアの声が阻んだ。


「エルドレット、アルジャーノン、

直ちに、起き上がらないと、今から『鉱石採掘』行かせるわよ?」



その瞬間、ガバッ!と、血相変えて立ち上がる二人



ええー?!

さっきまで、とてもじゃないけど、動けませんでしたよね??


ハアハア・・・息が上がる二人に、

「あら残念。」と、全く残念そうじゃないアリアが、二人に背を向ける。



『鉱石採掘』・・・恐るべし・・・・



未だ、足がガクガクしているアルくんは、

吸い寄せられる様に、フラフラと椅子まで歩くと、

エルに向けて「後で行く」と言い残し、テーブルに突っ伏した(力尽きた?)。


エルはアルくんを横目に、ふう…と一度息を吐くと、

私を見て

「・・腹ぁ、空った?」と声をかけてきた。


急に声をかけられた私は、「は、はいっ」と上ずった返事をしてしまう。

エルは少しだけ口角を上げると、「ん・・・作るか。」と、隣の部屋へ身を向けた。


「あ!私も、手伝います」と追いかけると、エルは一瞬、止まったが、

「・・・頼む」と言ってくれた。

断られると思ってたので……ちょっとホッとした。

エルの後について私も隣の部屋に入る。



そこは、大きなキッチン…というより、作業場という感じだった。

部屋は、少しだけ薄暗く、換気の為か、天井近くに窓がいくつもあって、

そこから、夕日が差し込んでいる。


「すごい…」

部屋の壁は、大きな棚が四方をグルリと囲っていて、中央に大きな作業台がある。

棚は私の背より、はるかに高く、何の生物のホルモン漬けなのか分からない、不気味な瓶も山ほど陳列されていた。


棚が気になって、キョロキョロ見渡していると、

エルから「こっち・・・・」と、声がかかる。


エルの方へ顔を向けると、

エルは口に手を当てて、肩を揺らしていた。

ん?・・・笑ってる?


「アホ面・・」


あっ

無意識に、口が開けっぱなしになっていた様だ。

急いで口を閉じたが・・・

エルには、しっかり見られたらしい・・・ずっと笑ってる。

間抜け顔を見られたのは、ショックだったけど、エルの笑顔の前では、些細なことに感じてしまった。

笑顔が眩しい…デス…


どこから出したのかエルは中華鍋の様な、大きな片手鍋を出し、部屋の右端にある、釜戸に向かった。


『着火』

ボッ

火種の、枯れ葉と薪が組まれている所に、火が付く。

着火…。「燃えろ」とは言わないんだ…。

ひとりフムフム考えていると、


「そこのバジル取って。」

とエルから声がかかる。

「え?え?バ、バジル?」

エルが指さす先に、葉が入った瓶があった。「これですか?」と、瓶を掲げると、

エルに「そう。…3枚」と言われ、急いで蓋を開けて、葉を3枚取り出した。

すると葉は、私の手から離れ、フワリと宙に浮く…


『かまいたち』

スパスパスパ

瞬間、葉は空中であっという間にバジルは刻まれた。

そのまま、風に乗って鍋に入っていく・・


「直前に刻むと、香が良いんだ・・」エルは穏やかに、私に話かけてくれる。


鍋にはいつの間にか、鶏肉だろうか?大きく切られた肉と、赤や黄色の野菜が入っている。

あ、あれ?いつの間に・・具材入れた?

エルの動作に見惚・・・ゴホン。

エルの傍にある、釜戸の火を見過ぎてて、鍋の中見てなかった・・・


鍋で炒められている食材は、餡かけみたいに、テラテラしてて、見た目は…酢豚みたい。

ヤバイ超美味しそう・・。


そこへ、扉の開く音がし、振り返ると

「…どんな感じ?」

気だるげなアルくんが入ってきた。


「一品できた。大きな深皿出してくれ」

「はーいよ」


片手鍋を、作業台に置いたエルは

今度は、足元から寸胴鍋を取り出す。


大きな深皿を持ったアルくんが、こちらへ近づいてきて、エルの手元の寸胴鍋に向かって、

『蒸留水』と唱えた。

手をかざした一瞬で、寸胴一杯の水が現れた。

わあ、すごい…。


アルくんは料理の匂いで、少し元気が出たのか、鼻歌交じりで、作業台にある片手鍋から、料理をお皿へ移している。

エルは、水が満たされた寸胴鍋を釜戸に、うんしょ、と運んでいた。


生活魔法てやつだろうか・・?

…とっても自然に、魔法が溶け込んでいる。すごいすごい。

感心しっぱなしな私に、エルが声をかけてくる。


「メイコ、そこの棚にあるハーブ瓶、取れる?」


「あ、はい。えっと・・・これ?

ちがう?こっちか。

んー・・・届かない。」


棚の前で手を伸ばし、奮闘していると、

「ああ、悪い。届かないか…」

と、エルがこちらの方へ来ようとする気配がした。


あう…役に立ちたいのに……

あと少しで届く瓶を見つめながら、自分を鼓舞する為に

声を出した・・・・つもりだった。

「大丈夫です。もうちょっと、【こっちへおいで】。」


ストン

私の手元へ、瓶が落ちて来た。

「届きました!」

瓶を片手に、誇らしく胸を張ってみせると、


「「 いや、届いてないっ 」」

ふたり声が見事にハモる。

仲良いデスネー…


「今の、詠唱だったか?」

「いや、聞き取れなかった・・・」

「じゃあ、魔女術か?」

「魔女様の音とも違くない・・?」

「・・・・・」

「・・・・・」

二人は食いる様に、私を見つめる。


あれ?まずかった?

私も手伝いたかっただけなんだけど・・


「あ・・の・・、

とりあえず、お食事にしません…?」

そろそろマジで、またお腹鳴っちゃいそうなんデスガ~~~

と、お腹を軽く押さえて提案すると、


二人は目配せし合い、

「そ!そうですね。食事にしましょうか!」

アルくんが棚へ移動し、グラスや、スプーン等を棚から出し始めた。


エルは、まだ納得してない様だったが…ひとまず、寸胴の方へ向き直る。

だか、やはり気になるのか、

エルからの視線は、何度も感じられた。

うーん・・

やっぱり、私の単語(ことば)って変なのかな?


まだ、手伝える事があるかと、エルの方へ近づくと

エルは、一瞬ビクッとしたが、

すぐ「あ…すまない」と、柔らかそうな耳を下げる仕草が見られた。


あああ…これ以上、気をつかわせてしまうのは気が引ける…。


「あの!鍋は、後どうするの?」

「ああ、スープを作ろうと、根菜類と、干し肉、ハーブが入った袋を入れたから、

このまま火が通るまで、火にかけるだけだ。」

「どのくらいの時間、煮込むの?」

「スープは明日の、朝の分も兼ねて作っているから、このまま一晩煮込む。

夕飯分のスープは、ここから別鍋に少し移し、溶き卵でも入れて、即席のスープを作ろうかと考えてる。

本当は、昼からじっくり煮込んで、夕飯に間に合うように出したかったんだが…

さすがにもう時間が無い。」


うん。時間の事はホントごめんなさい。

要は、足りない時間を…足せばいいんだよね。スープに。


「エル、試したいことがあるんだけど、ちょっと良いですか?」

「…試したいこと?」

「失礼シマス」と、エルの前の寸胴に手をかざす。

「【弱火でじっくりコトコト8時間経過】。」

ボココッ!

寸胴が少し震えた。


寸胴の中を覗くと、ほのかに甘い野菜の匂いと、複雑なハーブの香りがしてきた。


「わ!見て!すごい!

野菜も少し溶けて、良い感じにトロトロにできましたよ!!」


思ったより簡単にできた《時間経過》に、大満足でエルを振り返ると、

鋭い眼差しをしたエルに、両肩をガッと掴まれた。

「おい、いま何をした!」

「え!?」

エルの大きな手と、真剣な顔に、息を詰めると、


「そんな複雑な詠唱をして、身体は、大丈夫なのか?

具合悪くなっていたりしてないか?」


肩に置かれた手はそのままに、エルは、心配顔だ。

一瞬、怒られるのだと思い、身構えてしまったが、勘違いでした・・ふぅ・・・。


「・・ご、ごめんなさい」

はて?

どの辺が、複雑な詠唱だったのかな?

私には、エルが何をそんなに、心配しているのかが判からない。

しばし、無言になる二人だったが、


「それだけ濃い魔力を使用して、メイコ様の魔力が枯渇してしまわないか、

エルは心配したのですよ。」

背後から、アルくんが助け舟を出してくれた。



「…ま…魔力濃かったですか?」



二人は目を丸くする。


「気づいてらっしゃらないのですか??」

「あんなに、濃い色の魔力を使っておいてかっ!?」

二人は、これでもかと、詰め寄ってきた。


「ま、まって。待って下さい。

そもそも魔力に濃さとか、色とかあるんですか?」


・・・・・


「「 そ、そこから?? 」」


二人とも、声大きいよぉ・・・・・・


はぁと、ため息をついたのはアルくんで、

「とりあえず食事しながら、話しましょう。魔女様呼んできますから」

と、エルに未だ肩を掴まれたままの私を置いて、アルくんは部屋を出て行ってしまった…。


残されたエルは、まだ私を心配そうに見つめてる。


「私ホント大丈夫です!スープみんなの分用意しましょう!

あ、溶き卵入れるんでしたっけ?」

私の声にエルは「ああ…」と答えたきり、黙ってしまった。

視線は感じるけどね。


今さっき、『じっくりコトコト8時間』にしてしまったスープを、

エルとふたりで人数分注いで、中央の作業台兼、テーブルに並べていると、

アルくんがアリアを連れてやって来た。


「良い香り、スープかしら。豪華な夕食ね。」


ふふふと優雅に微笑みながら、席に着く。

アリアは、さっきまでの黒のワンピから、緑の落ち着いたワンピへと着替えていた。

けど、胸元はがっつり開いているデザインなので、エロ…じゃない、セクシーな印象は変わってない。

同じ女子で、なぜこうまで違うのか…。


アリアの横にアルくん。私の横にエルが席に着いた。

「さ、いただきましょうか」

アリアの言葉を皮切りに、食事が開始された。


「あら、おいしい!

今日のスープ美味しいわ。お肉もとても柔らかいし。」

アリアがスープを絶賛するのと逆に、複雑な顔になっていくアルくんとエル。


「朝から仕込んでいたのね…流石だわエル。」

「いや・・、これは」

さすがに、黙っては居られなかったエルが、

先程の、私の聞き取れない詠唱の件と、強力な魔力を私が使用した事を、アリアに簡単に報告した。


黙ったまま聞いていたアリアが、

「メイコ様が詠唱を?・・・そう。

ちなみに、何と詠唱したのかお聞き…いえ、書いて頂いてもいいですか?メイコ様。」

アリアは、どこから出したのか、紙と羽ペンとインクを手渡してくれた。


確か…私のスキルに、[言語解読変換で記入可能]とあったよね…?

果して、そのまま日本語で書いて、…アリアの知る文字にちゃんとなるのかな?

アリアは、私がこちらの世界の文字が書けると、自負しているようだけど…


『弱火で、じっくりコトコト8時間経過』と日本語で書き、こんな感じですと、アリアに手渡した。


「弱火でじっくり…コトト?…8時間ケイカ」

カタコト発言になるアリア。


「あれ?伝わってない?」

なんとか読めてはいるが、『単語』としては伝わってないようだ。

コトコトとか、オノマトペはダメだったかな…?

「えっと、簡単に言えば、時間を進めたんです。8時間。」


「「 時間を、進めたっ!? 」」


そばで、私たちを見守っていたエル・アルだったが、またもタイミングばっちりで入ってきた。

しかも驚愕の顔で私を見つめている…

もう、穴開きそうだよ……。

肝心のアリアは、頬を赤くして震えているし。

えっと・・・どうしよう?


「ま、ままま待ってください!」

沈黙をやぶったのは、アルくんだった。


「時間を操るなど、聞いた事ありませんよ?

いや!それだけではなく、鍋のスープだけに《時間操作》をしたということは、

同時に鍋の周り《空間操作》まで、された事になりますよね!?」

アルくんは、額に手を当てながら困惑顔である。


そんなに複雑な事をしたつもりはなかったんだけど…

そうか…確かに、私たち自身は、8時間の影響は受けて無いから、

アルくんの言う《空間操作》を行った事に、なるのだろうか?(した覚えはないのだけど…)

うーん…と考えに耽っていると、


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁん

本当に、ホントに素晴らしいですぅぅぅぅぅ」


今度は、アリアが叫ぶ。


「《時間操作》に、《空間操作》!

も、もう!き、きき…奇跡としか言いようが無いですわ!

やはりメイコ様は、女神カヤが遣わせし、巫女様なのですねぇ!」

熱い視線、蒸気した頬、うるうるの瞳、しかも興奮のせいで、ハアハア肩で息をしてる。


ヤバ…じゃなくて、ちょっと落ち着こう…アリアさん。

「え?でも、アリアもさっき、二人の時間止めてたよね?」


「不可能です!誰も、時間や空間には、干渉などできません。

私が、二人にかけたのは、闇魔法。

固まった様に見えたかも、しれませんが、精神に負荷をかけた影響で、動きが制限されただけです。

ゆっくり、動いていましたでしょ?」


「あ・・、そうだったんだ・・」


「はいっ!

時間操作なんか、できてしまったとしたら、それはもう・・・・・神っ・・・・・・」


アリアから、さらに強い視線を送られ、思わずブルッと寒気が走る。

気付かないふりで(さり気なく)、アリアから視線を逸らすと、横に居るエルと目が合った。


「…そもそも、基本のエレメントは、『火』『水』『風』『土』『闇』『光』の6つ。

皆、自由に使える訳ではなく、遺伝だったり、修行することで会得できたりするんだ。

だが、万能なわけでは無い。

アリアの言っていた通り、『時間』や『空間』は、どの属性にも当てはまらないし、

操れるはずが無いんだ。」

エルは、属性についてやさしく説明してくれる。


「そうなんですね…」


すると、私の正面に座るアルくんが、

「基本、会得できるのは二属性なんです。それ以上は、身体に負担をかけますから。

だから、『水』と『風』の変化型で『氷』、『闇』と『水』の変化型で『毒』など、

稀に、複合属性を作り出している方もいます。本当に稀ですが・・。」

と、補足をしてくれた。


「ああっ!

アリアの毒属性。あれ、複合属性なんですね!」


「そうですわ」と笑うアリアに、私も微笑む。

すると、

「そうか・・・、

メイコ様は鑑定もできるんでしたっけ・・・そういえば、そんな話を、されてましたよね・・」

アルくんにも鑑定の時の、会話は聞こえていたらしい。


「正直、さっきの、メイコの詠唱は、高度な水属性魔法だと思ったよ。」

と、スプーンを器用にクルクルと、手元で回しながら、エルがつぶやく。


それを聞いたアルくんが、

「うん、私もそう思った。けど、熱を加えていた様だから、

『火』と『水』の複合かも…と考えたけど、魔力の色混じってなかったからね。

単色なら、メイコは何属性なんだろう?」

またもや、こちらを見つめる2人。


「あー…無属性です。」


「ム…属性?」


「どの属性にも当てはまらない、[無属性]なのよ。」

アリアが補足してくれた。


「メイコ様は、《言葉》に魔力を込めることで、詠唱と同じ事をしていると、考えられるわね。

《どの属性にも当てはまらない》のだから、可能性は無限なのかもしれないけれど、

体にどんな影響があるか未知数だから、注意すべきよね・・・。」


「未知数な部分は、追々確認して行くとして、

[無属性]のことは、ここだけの話で、止めた方がいいかもしれないですね。

メイコ様の貴重さに気が付いた者が現れたら…ちょっと、面倒くさいですよ。」


「ちょっと所じゃなくて、かなりだろう!

トーキ国の奴らになんか知られたら、誘拐されるんじゃないか?」


「ちょ…ちょっと!怖いこと言わないでくださいよっ」


「「「 いや、マジで(すわ)。 」」」

三人が笑顔で肯定。こわっ。


いやいやいや

誘拐て!私はピーチ姫かっ!

いま時、誘拐なんて・・・!

トーキ国ヤバ・・・《常識ある》人族じゃないんかい。。。


「もし誘拐されたら、どうなるんですかね・・?

人体実験とか・・?ハハハ…まさかね(笑)」


「「「 ・・・・・・。 」」」


否定してよーーーー!(泣)


「三人の前以外では、使わないようにします…」


「それが良いかと、思われますわ。」


「…でも、

発動方法とか、どんなことまで可能なのか…

ちゃんと調べたい気もあって…」


「それでしたら、

このエルドレットと、アルジャーノンのどちらかを監督者として、ご利用下さい。

何か不測の事態にも対応できるでしょう。」


エルたちも、

「ああ」

「はい、構わないですよ。」

と、快く了承してくれた。


さっきまで、「魔法は便利」なんて安易に考えていたけど、

アルくんが言っていた「身体に負担」て部分が、すごく気になる。

エルも、私を大げさな位、心配してくれてた訳で…。

気付いていないだけで、実は危険なことになってました~なんて…ヤバ過ぎる!

ちゃんとしなきゃ!慎重に。よく考えて。

色だとか、濃さなんかも色々教わろう。限界があるなら知った方が良いし。


「…色々教えて下さい、よろしくお願いします。」

三人に向かって頭を下げると、

「はい、大丈夫です」

「気にするな…」

「ふふふ、きっと、何とかなりますわ。」

各自、食事を再開しながら、私に笑いかけてくれる。


「それに・・・

メイコ様なら、この二人を、大いに、こき使って下さって結構ですわよ。」


「「 えっ?! 」」


「あはは、助かります。」


誰かと一緒の食事は久しぶり。


この世界も、魔法も、解らない事だらけだけど…、

この三人のそばに居たら、大丈夫な気がしてくる不思議な感覚。

不安は沢山あるけども、食べて、体力つけよう!

芽依子はスプーンを握りしめた。


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