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三題噺(モアイ像、桜の木、枝付きフラスコ)

作者: 春夏冬 悪姫

昔から好奇心旺盛な性格だった

不思議なことがあると調べずにはいられない

例えば、モアイ像がなんであるか?とか

結局ネットで調べても分からなかったけど



高校の春

桜の木が満開の花を咲かせ

花びらが舞う時期

私は特に何も考えず

ただ日々の過ごしていた

将来のことも今なにかしようとも

漠然とした大丈夫という意識だけがあり

みんなも似たようなものだと言っていた

そんな中一人変わった子がいた

その子はいつも理科室にいた

うちの学校には科学部という部活がある

その子はその部の部長だった

と言っても一人しかいないが

それでも

科学部なので幽霊部員が多いのだろう

一人でぶつぶつ何か言いながら理科室に籠る様子は

なかなかに不気味だった

「あの子変だよね」

なんて陰口はしょっちゅう聞いた

私も話を合わせるためにそうだねなんて言ってたクチだ

だからという訳では無いが

私はその子に興味を持っていた


季節は変わって夏

午前二時くらい

私は自転車を走らせていた

目的などなく健康のためのサイクリングだ

鼻歌混じりに自転車を漕いでいると

ふと白衣を着た誰かが見えた

きっと音を立てて自転車が止まる

誰だろう

目を凝らすとあの科学部の部長殿だった

望遠鏡を覗いて星を観察してるようだ

そういえば駅は同じところから乗ってたな

そんなことを思い出す

この辺は私の家から大分離れてるしご近所さんではないようだ

私はそっと彼女に近づく

「天体観測?」

そう声をかけると

「ひゃい!?」

と悲鳴が上がる

まさか、声をかけられるとは思ってなかったのだろう

私をまじまじと見つめると

「なんの御用ですか?」

と少し身構えながら聞く

「べつに?見かけたからだけど?」

素直にそう答えた

「あなたはなにを?」

「サイクリング」


「あれがデネブで」

彼女は嬉嬉として話している

私は星空を見ながらそれを聞いている

彼女は星が好きらしい

他にも実験室で枝付きフラスコ使って水蒸気置換をしたり

ペットボトルロケットをより遠くに飛ばす方法を考えたり

とにかく科学が好きなんだという

そんな話を聞いたらふと聞きたくなった

「将来は科学者?」

何気ない質問に彼女は顔を曇らせた

聞いてはいけなかったのだろうか

「その……私の家兄弟多くて長女の私は安定した職につかないといけないので」

世知辛い話だった

なりたいものになれないのか

私の気持ちが伝わってしまったのか

彼女は寂しく笑う

「大丈夫ですよ」

何が大丈夫なのが分からなかった

でも

聞いたところで多分意味なんてない

「星が綺麗ね」

私は再度空を見上げた

話をそらしたかった

空を見上げると一筋の光の線が見えた

「流れ星」

隣をみると彼女が何かを祈っていた

科学が好きでも流れ星の願うんだ


そんなことを想いながらも私は祈る

どうかみんなの願いが叶うように

お題をくれた方々

お粗末さまでした

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今回は違和感なかったです。 優しいおはなしやと思った。 [気になる点] 女の子に話しかけるときの台詞。 見かけたからって台詞が何かもやもや。 [一言] 流れ星の願うんだ➡流れ星に願うん…
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