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仮面と奴隷と不思議な世界  作者: エイシ
序章:仮面と奴隷と不思議な世界で
18/41

序章幕間:ミラ

 ミーちゃんのなまえは、ほんとうは『ミラ』ってなまえ。

 ママがつけてくれた、だいじななまえ。



 きょうもミーちゃんはママといっしょだ。

 ミーちゃんはいっつもママといっしょにいる。


 おへやのなかには、ミーちゃんとママのほかにもウサギさんのおねえちゃんとか、ワンちゃんのおねえちゃんとか、あと、ちっちゃなおねえちゃんがいる。

 みんな『どれー』のひとたち。みんななかよしで、ミーちゃんもみんなすき!



 でも、さいきんオニさんのおねえちゃんがいなくなった。

 シンさまといっしょにおそとにいって、そのままかえってこなくなっちゃった。


 かえりみちがわからないのかなってママにきいたら、オニさんのおねえちゃんはシンさまとくらしてるっていってた。


 うーん、もしかしていまごろスープをのんでるかもしれない。

 ミーちゃんものみたいなあっていったら、ママがいつかのめるよっていってくれた。ミーちゃんはうれしくてとびはねた!





「……もう四日、どうしたのでしょうシン様」


「シン様は……大丈夫! きっと、来てくれる……私は、信じる……」


「うん、ボクも信じるよ……でも、お腹空いたなぁ……この前ボクがもっと頑張ってれば……」




 みんなシンさまがこないからおなかがすいてげんきがなかった。

 いつもやさしいウサギさんのおねえちゃんはハァ……ってためいきばっかり。

 いつもげんきなイヌさんのおねえちゃんはおなかがグゥ~ってなっていた。

 ちっちゃなおねえちゃんはいつもどおりだ。もうすぐ“ふゆ”さんがくるから、『まふらー』をつくろうってかみをプチプチぬいていた。


 『まふらー』ってなんだろう?

 シンさまは『まふらー』もらえたらうれしいなかな?


 ミーちゃんもつくってみようかなとおもったけど、ダメだった。おなかがすいてちからがでない。

 ミーちゃんはゆかにねる。おなかがすいたらうごかないでねっころがるんだよってママがいってたもん。


 ゴロンしてたら、ママが「ほらシン様から貰ったパンを取っておいてあるから少しづつ食べなさい」ってパンをくれた。

 やったあ!


 みんなもすこしだけ、ちょびっとだけ、パンをとってあるみたい。

 たまにちょっとだけパクパクたべてる。

 だけど、きっともうすぐなくなっちゃう。

 だって、ミーちゃんのはすぐなくなっちゃった。

 ごはんがもらえなくて、ミーちゃんはなんだかかなしい。




 かなしいときはあそんでわすれる。

 ミーちゃんはいっつもママとあそんでる。

 ママがいろんなおはなしをきかせてくれたり、“どれーごっこ”ってのをやる。“どれーごっこ”のときはママがシンさまになって、いろいろと“めいれい”をする。ミーちゃんがちゃんとそれをまもると『えらいえらい』してくれる!

 なんだかけっこうたのしいからミーちゃんは“どれーごっこ”がすき。




「ママぁ、でも、ほんもののシンさまこないねぇ……」


「うん、ダンジョンに行くって言ってたから少し心配ね、無事だといいのだけれど……」



 『だんじょん』ってとこはあぶないってママがいってた。

 でも、シンさまならだいじょうぶ! だってシンさまはいつもパンをかってくれる『いいひと』だから!

 ママはいつも『いいひと』になれるようがんばりなさい、っていう。そうすればいつかいいことがあるんだって!

 だからミーちゃんはいっつもいいこにしてる。シンさまはいつも『いいひと』だもん、きっといいことがあるからだいじょうぶ。


 ミーちゃんも『いいひと』になるんだ。そしたらきっとまたおいしいスープがのめるから……







 ……


「スー……スー……ハッ!! ミーちゃん寝てた!」


「ん、おはよう! 丁度シン様の匂いがしてきたところだよ! きっと今、この奴隷商に来てる!!」


「ほんと、ワンちゃんのおねえちゃん!? シンさま、きたの!?」





 そのあとすぐにおじちゃんが来て、ミーちゃんはシンさまと会えた!

 シンさまは【しろいおめん】じゃなくて【はんぶんのおめん】をつけてた。すごくカッコイイやつ。

 ミーちゃんはシンさまにあえて、うれしくてピョンピョンしたんだけど、おかしいなあ……シンさま、げんきないみたい。

 はんぶんだけのおかおがしょんぼりしてる。

 おなかがすいちゃったのかなあ?




「みんな、顔を出せなくてゴメンね? 待たせてる癖に悪かった……昨日ソフィアにも来てもらったけど心配もかけちゃったかな?」


「そ、そんなことは!」

「そ、そうです頭を上げてください!」

「ソ、ソフィア様ですか?」


「ん? そう、ソフィアだけど……昨日来なかった?」


「い、いえ? 昨日は私達、特に誰にも会っていません」


「え!? そうなの!? あとでソフィアに聞かないと……ゴメン」


「シンさま、どうしてゴメンなさいなの?」


「うん、なんだか行き違いがあったみたいだから。それと、前回はほとんど話せなくて色々と突然の出来事のあと顔を出せなかったからね……今日は少し落ち着いたし皆とこの前のこと話に来たんだ……」


「シ、シン様、あの……目が……目元に大きな隈が……」


「あぁ、うん……ちょっと疲れてるんだ……」


「そ、そうなんですか!? えっと、ボク達は顔を見られただけでも安心出来たんで今日はゆっくり休んでもらっても……」


「えぇ……! ミーちゃん、シンさまとおはなししたい!」


「こ、コラ!」




 あれ?

 そういえば、オニさんのおねえちゃんはどうしたんだろう?

 シンさまといっしょにきてないみたい。

 まいごになっちゃったのかな?




「シンさま! オニさんのおねえちゃんはどこいっちゃったの?」


「ッ! ……え、えっとね……」


「コ、コラ!! もっと楽しい話しましょ? ネッ? あ、そうだ、ほらこの前作ったシン様の歌を聞かせてあげたらどう? ねぇ、それがいいわ!」




 シンさまがかなしいおかおをしたら、ママがうたをうたおうっていってきた。

 ママ、うたいたくなっちゃったみたい。しかたないなぁ!

 ミーちゃんは「いいよ!」っていって、シンさまのうたをママとうたうことにした。



「じゃあいくよママ? サン、ハイッ!」

「「シン(さま)はパンをくれるよ〜♪ だからとってもとってもいい(ひと)だ〜♪ あったかいスープは美味(おい)しいよお〜♪ とってもとっても美味(おい)しいよ〜♪」」

「いいこになったらスープがのめる!」

「い、いい子になったら、く、果物が食べれる!!」

「「だ〜か〜ら〜頑張(がんば)ろう〜♪♪♪」」

「じゃん! おわりっ!」



 ふふふ!

 ミーちゃんうたった!!

 シンさまもわらってくれたからだいせいこう!!



「……ふふ……ミラ、ありがとうな! とってもいい歌だ、俺の名前は最初しか聞こえなかったけど、ちゃんと歌ってくれた良い子には今度スープを持ってきてあげよう! ……あと、果物もね!」


「あっ、そ、それは……」


「どうしたのママァ? おかおがまっかっかだよ?」


「プッ……ミ、ミラ、ママは少し放っておいてあげようね? さて、他の皆にも今回は休んだ分何か買ってきてあげよう、何がいいかな?」


「そ、そんな!! 私達は何も……」

「シ、シン様ぁ……ボク、一生懸命働くんでお肉を……」

「あ、あの……私、は……シン様の、髪を……」


「コ、コラァ!! てか、肉はまだいいとして髪って何する気!? ほ、ほら、シン様も引いてるよ!!」


「え、えっとロアは肉、コレットは毛糸と編み棒とかでいいかな……ほらバニーも」


「え、わ、私……ですか? えっと、それじゃ毛布を……」


「毛布……?」


「もうすぐ冬が来ます、小さな子もいるので暖かくさせてあげたくて……」


「そうか、うん、分かった!」




 ウサギさんのおねえちゃんがミーちゃんをみてたので、ニコッてしたら、おねえちゃんもニコッてした。

 ふたりでニコッてするとなんだかうれしくなる。

 だからミーちゃんはシンさまにもニコッてしておく。

 シンさまもニコッてしてくれたらミーちゃんはもっとうれしい。




「さて、それじゃこの前のことだけど……俺は君達を買おうと思う。でも、たぶんすぐに解放させてあげるのは無理だ。お金もないし、皆には少し働いてもらうことになる」


「頑張ります!」

「シン様の……ため、なら!」


「あ、あの、ボク……ここから出られるってことですよね?」


「あぁ、時間はかかるだろうけど必ず出すつもりだよ」


「そ、そしたら一つだけお願いがあるんです! 頑張るんでそれだけ聞いてもらいたいんです!」


「……ん、わかった。そしたらまたロアを買う時に俺に伝えてくれ」




 そのとき、ワンちゃんのおねえちゃんのおなかがグゥ〜ってなった。

 ミーちゃんもなんだかおなかがすいてきた!



「さて、それじゃお腹が空いているみたいだし、俺は帰るからゆっくりパンを食べてね!」



 シンさまのくれるパンはいっつもおいしい。

 きょうのもすごくおいしかった!

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