犯人扱い
冬休みに吹奏楽のコンサートを控えていた。
一生懸命練習して一ヶ月で楽器が吹ける様になった事を
認めて貰えコンサートで一曲だけ皆との合奏に参加させて貰える事が決まった。嬉しかった!
部員達は・・・面白くない様子。
何か嫌な予感がする・・気のせいだろうか・・・。
コンサートを前日に控えたある日の部活終わり顧問が音楽室を出て行ってすぐの事
先輩の一人が廊下を覗き込み・・「先生もう居ないよね?」と確認。
そのころ皆で帰り支度をそれぞれしていた。
すると・・・先輩が突然声を上げる。
「携帯電話が無くなったんだけど、みんなで探してくれる?」
それを聞いた部員達は、手分けして探した。つられて自分も探した。
ん?!
携帯電話??学校に持ってきていいの?
疑問だけが頭に浮かんだ。
しばらく探しても見つからないので 先輩の一人が「私鳴らしてみるから!」と姿を消した。
それから間もなくして・・バイブ音で近くで気づいた部員が携帯を見つけた。
部室のロッカーの端の奥にあったと言っていた。
解決したと思い帰り支度を再開していると・・・
またザワザワし出した。
先輩と同級生数人が集まって何やらヒソヒソと話し込んでいる。
みんながこっちを見ている・・・目線が鋭い。
すると・・・同級生IMがこちらへ向かって来た。
「先輩Kの携帯電話がいたずらされているんだけど!知らない?」
「今日一人で部室で練習して居たよね?!」
「知らない!」と答えると・・・
同級生IMは・・「おかしいんだよね~!!」「本当に知らないの??」
気づくと先輩と同級生数人に囲まれていた。
「先輩Kの携帯電話を誰かがいじってメールを送ったみたいなんだけど!」
とIMは話すが・・携帯の持ち主の先輩Kは黙って下を向いているだけだった。
同級生IMは一人で仕切って話をしている。
「携帯電話なんて見てもいないし触ってもいない」「本当に知らない!」
いくら言っても皆は信用してくれないし決めつけているのが分かる。
もう話をしても無駄だ!と思い帰宅した。ショックだった・・・。
本当に知らない・・・なんなんだろう・・・
その直後、同級生3人と先輩2人は職員室に居る顧問へこの出来事を言いに行った。
携帯電話を見せ詳しく説明した。犯人は○○だ!!・・・と。
部員から話を聞いた顧問は・・すぐに電話を掛けてきた。
「今度は証拠があります!!!」と。
「実は部員の携帯電話が紛失しイタズラされた形跡がありまして!」
「ウザいからもう友達やめる!!とメールが友達に送られていまして」
「その送信時間が・・○○さんが一人で部室に居た時間と一致するんです!!」
「携帯の持ち主はその時間は皆で合奏をしていて音楽室に居ましたから・・」
「状況証拠になります!」と自信満々と言い放った。
「携帯電話って・・・校則で禁止されていますよね?」との問いに
「はい。本人には指導しました!その上でお話しているんです!」と答えた。
中学校の校則では、携帯電話・スマホ・音楽プレイヤー・ゲーム機・お菓子等
学校に不要な物は持ち込まない。
見つけた場合は教員が没収し保護者に連絡し保護者に取りに来てもらう
となっているにも関わらず保護者にも連絡していないと言う。
この時点で間違っている!!
校則違反の携帯電話の犯人捜しですか・・・。
それも決めつけたものの言い方・・・信じられない。
顧問はこうも続けた
「今までも紛失事件が多数ありまして、皆○○さんが犯人だと思っています。しかし
証拠がなかった事で私も対処が出来ませんでしたが、今回は状況証拠がありますので!!」
「友達を阻害することは許しがたいことですので!!」
「携帯電話の持ち主の生徒は大変真面目な生徒です!!今回はたまたま持ってきてしまった様です!」
真面目な生徒は・・校則違反はしないと思うけど・・・。
阻害行為を行っているのは、貴方と吹奏楽部全体でしょ…
「誰か見た人がいるのか?」
「携帯が紛失した時に確実に○○の居た場所にあったのか?」
「指紋でも出てきたのか?」
「犯人だという証拠はあるのか?」聞いてみると、「いいえ」「状況証拠のみです」と言う。
状況証拠とは?
何を根拠に状況証拠と言えるのか?
犯人と言える証拠もないのにこの決めつけたものの言い方。
ただの言いがかりにしか思えない。
中学生は皆携帯を持ち操作出来るという前提で話をしているが
携帯は持ったことがないので・・人の携帯を簡単に操作することなんて可能なのだろうか?
そんなに犯人を探したいならば警察を呼んで指紋でも取ったら?
警察署に行ったって構いませんよ。
警察が動いてくれる事件かどうかわかりませんが…
馬鹿馬鹿しい・・・携帯電話を学校に持ってこなければこんな事は起こらない!
学校が校則に沿って一貫した指導をすればいいだけの話ではないのか?
そもそも生徒が教師に校則違反である携帯でトラブルがあっても通常は怒られるのが目に浮かぶはず。
それを平然と教師に相談しに行けるということは・・・
その教師は生徒に相当舐められているということだ!
この顧問の一方的な犯人扱いに・・・もうどうでもよくなった。
今までの一連で強く保っていた心の糸が・・・プツンと切れた。