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第九十六の話 こーゆー一日

龍二とエルと珠が意外なことに・・・!?

〜龍二視点〜



「ふぁ〜あ・・・。」

『・・・スー・・・スー・・・。』


ども〜・・・あぁ眠い・・・。


現在地、公園の林・・・木漏れ日が差し込む中、太い木を背もたれにしてまったりお昼寝モ〜ド。地面は柔らかい草で覆われていて、めちゃくちゃ気持ちがいい・・・あ、アルス達は花鈴の家で遊んでるだろ。


ついでに言うと、俺のすぐ隣で木に立て掛けてある鞘入りのエルは寝息を真っ先にたてていた。剣のくせに俺より先に寝るなバカ。


いや、しっかしねみ〜わこれ・・・。





『龍二さ〜ん。』

「?・・・おぉ、珠か。」


向こうからトットットと走ってくる猫発見。久しぶりの登場だな。


【ポス】


で、いきなりまったりしている俺の腹の上に飛び乗った。こら。


「何故飛び乗る。」

『寝心地がいいからです。』

「あ、なるほど。」

『納得してくれて安心です。』


寝心地がいいと言われて怒るような奴じゃないぞ俺は。


「さて・・・久しぶりだな、珠。」

『そですね〜。』

「最近何してた?」

『例によって例の如く、放浪してました。』

「どこら辺を?」

『下水道を。』

「どけ。」

『いやですー。』

「汚ねぇ。どけ。」

『ひどいですー。』

「さっさとどけ。燃やす。」

『燃やすのだけは勘弁してください。大丈夫です。ちゃんと洗いました。』

「何でだ?」

『水溜りで。』

「猫の串焼きってうまいのか?」

『ごめんなさい嘘ですちゃんと石鹸で洗いましたから。』

「ならよし。」

『まぁよその家の石鹸ですけどね。』

「許可は?」

『猫が家の人に許可求めるとびっくりして倒れます。だから無許可。』

「なるほど。」

『簡単に信じてくれてよかったですー。』

「でも勝手に侵入するのは悪い。」

『それもそうですね。』

「まぁ過ぎたことなんざどうでもいいけどな。」

『でしょー?』

「だな。」

『そっちは最近どうですか?』

「昨日親父とお袋が家に来ていろいろ。」

『いろいろ?』

「おう、いろいろ。」

『いろいろ?』

「いろいろ。」

『いろいろ?』

「いろいろ。」

『いろいろ?』

「いろいろ。」

『いろいろ?』

「いろいろ。」

『りろりろ?』

「りろりろ。」

『やめません?無限ループですよ?』

「そだな。さすがにこれは俺でも飽きる。」

『読者の皆様も相当飽きてますよ。』

「だな。」

『にしても、龍二さんのご両親ですかー。見てみたいです。』

「いずれな。帰ってきた時会わせてやる。」

『あれ?もういないんですか?』

「日本から出て行っちまったよ。」

『そうですかー。残念です。』

「ドンマイ。」

『気ニシニャーイ。』

「あ、パクった。」

『ずっと前からパクってますよ?』

「ありゃ?そだっけ?」

『はい。』

「そうか。なら仕方ない。」

『度量が広い人ですね。』

「気ニシナーイ。」

『それにしても、今日は天気がいいですね。』

「だな。あったかいぜ。」

『フニャ〜・・・眠くなってきました・・・。』

「そだなぁ・・・俺もそろそろ。」

『うにゃ〜・・・おやすみなさいです〜・・・。』

「おやすみ〜。」



しばらくすると、珠は体を丸めた状態で俺の腹の上で寝息をたてはじめた・・・あったかいなこいつ。腹巻代わり。


あ〜にしても・・・俺もそろそろZzz・・・。








〜ライター視点〜



『ふに・・・。』

『スー・・・スー・・・。』

「くゅ〜・・・。」


木にもたれながら無防備な状態で眠っている龍二。その腹の上で眠る珠。龍二の隣で立て掛けられたまま寝息をたてるエル。その光景は、とても和やかだった。




しかし、この和やかな雰囲気が変化する・・・。





『チチチチチ・・・。』


やがて、掌サイズの小鳥が林に舞い降りてきて・・・


『チチチ・・・。』


そのままエルの宝玉が付いた柄頭にとまった。


『チチチチチチチ・・・』


さらに二匹が珠の背中に乗った。


【ヒラヒラヒラヒラ・・・】


さらにさらに今度はアゲハチョウが三匹、龍二達のもとへと飛んできて、龍二のヘッドフォンにとまった。



【ガサガサガサ・・・】



さらにさらにさらに草むらが揺れ・・・。


【ガサリ】

「わん。」


中からとても小さな子犬が現れた。


【テテテテテテ】


そして小さな足で龍二の脇のとこまで来ると・・・。


『くぅ〜ん・・・。』


丸まって寝始めた。


【トトトトトトトト】


さらにさらにさらにさらに、今度は龍二達が眠っている木の上からシマリスが・・・何故公園にいるのかは謎である。


シマリス達は、龍二の髪にポスン、と音をたてて飛び乗り、そのまま目を閉じた。





ね?変化したでしょ?・・・いや、レベルアップしたがいいかな?





〜数分後・・・〜



「う〜ん、困ったなぁ・・・。」


一人の冴えない服装をした、グルグルメガネを掛け、今時ベレー帽を被った時代遅れな青年が林の中をスケッチブックを抱えたまま歩いていた。


彼の名前は絵画えが 描来鯛乃助かきたいのすけ。何つーか親のネーミングセンスを疑うかのような名前をした青年だ。趣味は絵画。まさに名前通り。


彼は今年、ある三流美術大学を卒業して画家を目指すために日々奮闘しているが、元々の容姿も原因なのかもしれないけど、貧乏生活を余儀なくされて、アルバイトと親の仕送りでどうにか生活を維持しているほどだった。そんな彼の愛用の道具は、絵の具とスケッチブック一冊だけ。他の道具を買うなんてもっての他。


しかし、彼に逆転のチャンスが訪れる。近々全国レベルの絵画コンテストが開催され、それに自分の絵を出展させようと考えていた。理由は、最優秀賞には何と一千万。せめて百万にしろとツッコミたい。


そんなわけで、彼は出展するための絵を描きにこうして歩いているわけだが・・・そのモデルがない。


風景画なら大得意だが、コンテストでは人物像を描かなければならないという限定ルールがあった。しかし、生憎と彼は人見知りするタイプであり、モデルを頼もうにも億劫になってしまう。裸婦画は芸術的にもポイントが高いらしいが、そんなもの彼に描けるわけがない。ならどうやって大学卒業できたんだコラとツッコミたい。そしてどうして画家になろうとしたのかツッコミたい。


「誰か・・・自然と一体化になったような人はいないかなぁ・・・。」


どんなんやそれ。裸族か。マサイ族か。


「はぁ・・・もうダメかなぁ・・・諦めるか・・・。」


本日、百回目を越えたため息を吐いた描来鯛乃助。すでに諦めモードだった。





しかし。





「?・・・・・・・・・・!!!!????」




彼は見てしまったのだ。






「くー・・・。」

(−、−)





様々な動物達と一緒になって眠る、自然と一体化したかのような少年を。






「!!!!オウ!?ワンダホー!ビューティホー!!トレビアーーーーン!!!」


いきなりのことで突然とち狂ったかのようになり何言ってんのかわからないカキタイノスケ(もう漢字書くのめんどくさくなりました by作者)であった。


「・・・こ、これだ・・・これこそ僕が求めていたモデルだ!!!」


彼は素早くスケッチブックを開き、写生を始めた。







〜数日後、荒木宅〜



朝刊にて・・・



『天才現る!?全国絵画コンテストで最優秀賞を獲得した新人画家!世界的にも有名な審査員でさえも唸るその絵画は、まさに奇才!?』



「・・・ふ〜ん、すごい奴だなこいつ。どんな絵描いたんだ?」

「見てみたいね〜。」

「世界中でも唸るくらいですよね?確かに見てみたいです・・・。」

「ふ〜ん、絵かぁ・・・私絵好きだし、興味あるなぁ。」

『ほぉ、絵か・・・どのような物か見てみたいものだ。』

「ミ〜。」






龍二達は、その奇才が龍二と珠とエルをモデルにしたというのを知らない・・・。






その後、エガカキタイノスケはどうなったかというと。





彼は貧乏生活から脱出し、プロの画家としての人生を歩み始めたという。


ほのぼの感を出しまくりたかった結果、こうなりました。え?何故に動物が寄ってきたか?



それはあれです、龍二だからです♪

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