第九十一の話 レッツクッキーング♪
随分前にご要望があったアルスとクルルとフィフィの料理奮闘記!だったらいいな♪
〜花鈴視点〜
「ふぅ・・・ごちそう様。」
うん、今日のお昼もナイスだったわね♪いやぁここ来る前に料理の特訓した甲斐があったわ。
「さて、と。片付けよ。」
後々溜め込むとメンドくさいからね〜。
【ピン、ポーン】
「?誰だろ?」
【キュ】
一旦洗い物から手を離してインターホンのテレビ画面から外を確認する・・・
「・・・・・・・・何してんのあの子?」
クルルが思いっきり脳天を画面に押し付けていた。
「・・・。」
【ガチャ】
「クルル。」
『あ、カリンちゃん!こんにちわー!』
「うん、こんにちは。何してんのあなた?」
『え〜っと・・・ウケ狙い?』
「いや聞かれても。」
『ちょ、魔王・・・こんにちはカリンさん。』
「いらっしゃいアルス。上がる?」
『えっと・・・お邪魔します。』
【ガチャン】
インターホンからドアロックを解除してアルスとクルルを招き入れる。
【ガチャ】
「こんにちわー!」
「お邪魔します。」
「やっほーカリン。」
あ、フィフィもいたんだ。
「いらっしゃい。」
「・・・今アンタ私もいたんだって思った?」
!!??
「・・・ソンナコトナイヨ。」
「何その片言!?忘れてたでしょ!」
・・・。
「ごめん。」
「・・・いいさいいさ、どうせ私は虫みたいな体だから皆無視するんだ・・・いいもんいいもん・・・。」
あぁぁぁぁ落ち込んじゃったぁ・・・。
「ご、ごめんってフィフィ!」
「・・・クスン・・・。」
「フィフィ、とりあえず泣き止んでよ・・・。」
「・・・うん・・・。」
さすがアルス、泣き止ませるのに慣れてるっていうか・・・
いや、でもまだフィフィの顔暗いわよ?
「え〜っと・・・とりあえず何か飲み物持ってきてあげるわ。」
えっと確かあれが・・・。
「え、そんな。悪いですよ。」
「冷たいココアでいい?」
「もちろん!!」
早!?遠慮したかと思えばココアで即答ってアンタ!?
まぁ、とりあえずお盆に三つのココアが入ったコップを載せてテーブルへ。
「で?今日はどうしたの?」
コップを二人の前に置きながら聞く。あ、フィフィの分はアルスと共有して飲むから、アタシの合わせて三つでいいの。
「えっとねぇ、今日はお願いがあって来たのー。」
「お願い?」
「んくんく・・・はい、そうなんです。」
お願い、ねぇ・・・。
「龍二に頼むことじゃないの?」
「うん、ちょっとね・・・。」
??
「えっと、実はね・・・
何か作ってあげたいの。リュウくんに。」
?何か?
「えと、ほら。ボクらこの世界来て結構経つんですけど、その、料理とかって作ったことないし・・・。」
「それでね、今日クルルが提案したんだけど、日頃お世話になってるリュウジに何か作ってあげたいな〜って。」
・・・・・・・・・・・・・
へぇ・・・。
「・・・粋なことするわねぇアンタ達って。」
「「「?」」」
なるほどねぇ・・・それでアタシを頼ってきたってわけね・・・。
「・・・いいわ。教えてあげる。」
「本当!?」
「当然よ。そういうことなら任せなさいって!」
まぁ、料理の腕なんて龍二に比べたら大したことないだろうけど、それなりにはできるしね。
「あ・・・でも今アタシん家の台所、汚いからなぁ・・・。」
「なら、リュウジさんの家でしますか?」
「あれ?いいの?」
「はい。今リュウジさん散歩で留守ですし。」
あいつ相変わらずゴーイングマイウェイねぇ・・・。
「んじゃ行こっか。」
「あ、待ってくださいせめてココア飲んでから・・・。」
・・・龍二に感化されつつあるわねこの子達・・・。
〜龍二宅・台所〜
「そんじゃ、何作るの?」
え〜場所は変わって龍二の家の台所・・・ひとまず私は愛用の花柄エプロンを着た。
「え〜っと・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
で、アルスは白、クルルはピンク、フィフィは水色(超ミニサイズ)といった色違いのエプロンを着てる・・・あ、チェックの柄が何だか可愛い・・・。
ってそれよりも・・・まさか・・・。
「・・・決めてないの?」
「「「・・・。」」」
はぁ・・・まったく・・・。
「う〜ん・・・じゃラーメンとかは?」
あいつラーメン好きだし。
「・・・よくわかんないです・・・。」
・・・あ・・・そういえば私もラーメンとか作ったことなかったっけ・・・。
じゃこれ却下ってことで・・・。
「・・・ココア?」
「粉に牛乳注いで終わりじゃないの。」
てかさっき作ったし。
「あ!じゃチョコ!」
「カカオがありません。」
それ以前にどやって作るのって話。
「サクランボ!」
「「「あれは育てる物です。」」」
種まいただけで料理っていうんなら誰だって簡単に出来てるって。
ってかそれ全部アンタ達が好きなやつでしょうが。
「「「う〜・・・。」」」
・・・・・・・・・・・・・
あ、これならいけるかも・・・。
「じゃさ、クッキーとかどう?あれならどうにかなるかも。」
ここに来る前に、よく一人でクッキー焼いて家族で囲んで食べてたっけなぁ・・・。
「クッキー・・・ですか?」
「いいねぇそれ!食べたことあるよ!」
「あれはおいしかったし・・・まぁいいんじゃない?」
おし!じゃメニューはクッキーに決定〜♪
〜はい調理開始〜
そんじゃまずは・・・材料確認。
無塩バター
塩
砂糖
卵黄
薄力粉
水
こんなもんかな?
「材料オッケー?」
「「「オッケーでーす。」」」
そんじゃいきますか。
「まずは・・・ボウルに入れたバターをちょっと溶かします。」
「オッケー。
『炎よ、飛b』「はいストーーーーーーップ!!!」。」
初っ端からかい!!
「あのねぇ、炎出さないでよ・・・自然に柔らかくするの。」
「え、そうなの?」
キョトンとした顔で言わないでよクルル。
はぁ・・・何だか先が思いやられる・・・。
まぁ、ともかくバターが少し柔らかくなったところで・・・。
「そんじゃバターをこのゴムベラで練って。」
「どれくらいですか?」
「え〜・・・大体クリーム状になるまで。」
「はい。」
「ほらクルルも練って。」
「は〜い♪」
まぁ、これくらいはできるわね。難なくクリーム状になってきたわ。
「え〜そんで次、塩を入れる。」
「しおーがないな〜。」
「クルル〜?しょーもないこと言ってるとブツよ〜?」
「ごめんなさいです・・・。」
ったく・・・。
「お塩ですね・・・そぉ〜・・・」
そうそうそうやって塩の袋を大きく振りかぶり
って!!!!!?????
「れ!」
「チェストオオオオオオオオオ!!」
【バシコオオオオン!!】
振り下ろされる寸前に塩の袋を殴り飛ばした・・・あぶな〜・・・。
「ななな何してんの!?」
「え、え、だ、だってリュウジさん味が濃い方が好きかな〜って・・・。」
「限度ありすぎ!!つーかクッキーはお菓子なんだから塩辛くしすぎてどうすんの!」
それこそ糖分ゼロのソルトクッキー!!
「塩は一つまみよ。」
「は、はい・・・すいません。」
ふぅ・・・危ない危ない・・・。
「カリンちゃ〜ん。」
「?何クルル・・・て!!??」
何でバター溶けてるのよおおおおおおおお!!!???
「・・・練り過ぎちゃった♪」
テヘ♪ってな感じで舌を出さない!
「も〜・・・『時よ、戻れ』。」
【キィン!】
うぁ、クリーム状に戻った。
「しっかりしてよクルル。この魔法すっごい疲れるんだから。」
「は〜い!」
うん、フィフィが補助してくれるから助かるわぁ・・・。
「はい、そんじゃ次は砂糖を三回に分けて加えてください。」
「ほうれすか(こうですか)?」
「・・・それ咥える。」
砂糖が乗っているスプーン咥えてどうしろってんですKA。わざとですKA。
「三回に分けてってどういう意味なのカリンちゃん?」
「一回入れて混ぜて、しばらくしてまた入れて、そして混ぜてからまた入れるってこと。」
「へぇ〜・・・。」
やっぱ料理未経験なのよねこの子ら・・・。
「ともかく、三回に分けて砂糖を加えていってください。それで白くなるまで練ってください。」
「「はーい。」」
まぁ、これは簡単よね。
わぁ、アルスきれいな白になってるなぁ・・・対してクルルは黒く
What!!!!!!???????
「クルルううううううううう!!!!何入れたのよおおおおおおおお!!!!」
「えっと・・・黒ゴマ?」
疑問系で聞くなああああああ!!!!
「・・・あれね、黒ゴマクッキー。」
フィフィ、その一言で片付けない・・・。
・・・で・・・まぁ、その後っていうか、色々説明していくのも大変なので音声で。
「ちょ、アルス!?卵は黄身だけ入れるんだってば!」
「クルルそれ洗剤!それダメえええ!!」
「あああああだからアルスそれ混ぜすぎだって!まとまるくらいでいいのに!」
「って生地をつまみ食いすなクルル!!」
「ちょと待って二人揃って何入れてんの!?」
「ちょアルス!?めん棒で伸ばしなさいよ!箒で伸ばさない!」
「クルルうううう!!剣で形作ろうとすなああああああ!!」
「フィフィ!魔法使おうとすな!オーブンで焼きなさいオーブンで!」
〜・・・で〜
「「「出来たぁ!」」」
「・・・疲れた・・・。」
ま、まぁ何とか出来上がりました・・・。
いい感じに焦げ色が付いてて、形は多種多様。ウサギさんとか星とか様々。ただいくつか黒ゴマのせいで黒くなってるけど・・・ご愛嬌。
それらをお皿に盛り付けて完成・・・なんだけど・・・
途中でアルスとクルルが・・・何ていうかまぁ・・・ちょっと目を離した隙にいろいろ混ぜちゃったみたいで・・・
味見する勇気がありません・・・正直・・・。
「じゃ、後はリュウくんに食べてもらうだけだね!」
「そ、そうだね・・・。」
自信満々なクルルに対して、どこか不安げなアルス・・・うん、分かるよその気持ち。食べてもらうのって緊張するよね。
「大丈夫だって!私がいたじゃん!」
フィフィ〜?あなた時間巻き戻す以外に何かした〜?最後盛大にクッキー燃やそうとしたの誰ですか〜?
【ガチャ】
「たっだいま〜っと。」
「「「!お、おかえりなさい!」」」
「あ、龍二おかえり〜。」
「おいっす花鈴。いらっしゃい。」
エプロンを脱いでると、龍二が丁度帰ってきた。心なしか顔が晴れやかだった。
「いやぁ近所で飼ってる犬に子供が生まれたんだと♪めでてぇや♪」
うっわぁすごい眩しい笑顔・・・あ、いや、別に見惚れてなんかいないわよ!?///////
「?・・・お前ら何してたんだ?アルスとクルルなんて顔に白いの付いてるぞ?」
「えっと・・・///」
「エヘヘ♪」
「ふふ〜ん♪」
モジモジするアルスと、ニコニコ笑うクルルと得意げに笑うフィフィ。
「・・・お?何だそりゃ?」
あ、クッキーに目がいったわね。
「その・・・実は「リュウくんの為に一生懸命作ってみました〜♪」・・・。」
あ、アルス先にクルルに言われて落ち込んだ。
「ほぉ?お前らだけでか?」
「そうよ?アタシはただ監督しただけ。」
「へぇそいつぁすげぇな。」
・・・ただ、監督したって言うけどアタシの不注意が為にとんでもないことになったっていうのは黙っておこ。
「リュウくん、食べてみてよ!」
「まぁまずは一口いってみなさい。」
お皿に乗せたクッキーの山を差し出すクルル。その笑顔には若干緊張が含まれてるような気がする・・・。
「ん、じゃせっかくだしもらうか。」
何の躊躇いも無く、そのクッキーの山の中から一番の上にあった星型のをつまむ龍二。
・・・ごめん、言い忘れてたけど・・・何だろう、そのクッキーの山から変な邪気っぽいものが漂ってきてる気がする・・・。
「どれ。」
【パク】
!・・・ついに食べた。
「「「・・・・・・・。」」」
三人はじ〜っと龍二の顔を見つめたまま、その成り行きを見届けてた・・・目が真剣そのもの。
「・・・。」
【ボリボリボリボリ・・・】
・・・・・・・・・・・・・。
「・・・ん・・・。」
「「「・・・・・・・・・。」」」
「・・・まぁいいんじゃね?悪くねぇぞ?」
へ?
「ほ、ホント!?」
「おうよ。」
「よ・・・よかった・・・。」
「やったねぇアルスクルル〜!」
嬉しそうにはしゃぐ三人。その顔には安堵と嬉しさで溢れていた。
「頑張ったじゃん。えらいえらい。」
【ポンポン】
「へへ♪」
「あ、あぅ・・・//////」
「当然♪」
龍二に頭を撫でられて嬉しそうに笑うクルルと照れるアルスと踏ん反り返るフィフィ・・・あ、何かいいなぁ三人とも。羨まし・・・ゲフンゲフン!
にしてもまぁ・・・
「よかったね。」
「はい!」
「うん!」
頑張った甲斐があったわ、ホント。いやぁよかったよかった♪
あ、そういえば・・・
「龍二、一つもらうわね。」
「おう。」
クッキーを一つ取る。さっきは何か邪気が漂ってくるとか思ったけど、龍二は普通に食べてるし、アタシの気のせいだったかな?
どれ・・・
【パクリ】
・・・・・・・・・・・・・・・・・
【バタ】
「!?か、カリンさん!?」
「どしたの!?ねぇ!」
「カリン!?」
「おりょりょ?」
その後、花鈴は龍二による荒治療を受けて意識を回復、一命を取り留めたという。
byライター
え〜あの後クッキーは龍二が全て平らげました、が。
皆さん、想像してみてください。そのクッキーの欠片を食べたゴキブリが一瞬にして死んでしまうのを。
まぁ、龍二ですからね♪そこらへんはご愛嬌♪
ってなわけで、アルス達の料理風景でした〜♪