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第九十の話   勇者対あれ

今回はvsあれ。

〜アルス視点〜



「ん〜!」


いい天気です〜♪


「気持ちい〜ね〜・・・。」

「だね。」


えっと、今庭に出て背伸びをしていますボクとボクの肩に乗っているフィフィ。リュウジさん曰く、天気がいい日に外に出て背伸びするとめちゃくちゃ気持ちいとのことだったから実践してみたら、ホントに気持ちよかった♪


あ、リュウジさん今散歩に出てますけど。


「・・・リュウジさんの散歩、付いて行ってもよかったかなぁ?」

「ずっと傍にいれるから?」

「そ・・・って違う!!」


あ、あっぶなぁ・・・油断してた・・・///////


「照れるない♪」

「う、うるしゃい!」

「・・・しゃい?」

「・・・噛んだ。」


あぅぅ・・・恥ずかしい・・・//////////


「・・・へへ〜♪」

「笑うなああああああ!!!」


むぁ〜!その小悪魔的笑顔が何だか腹立だしい!


「ま、いいじゃないの♪」

「むぅ・・・。」


・・・まぁ、これ以上言い争っても無駄かも・・・いっつも最終的にはボク負けてるし・・・。


「それよりさぁ・・・何かな〜・・・。」

「?何?」

「いや、ねぇ・・・今回、こんなまったりとした感じで終わるのかなぁって思うとさぁ・・・。」

「・・・。」




否定できない・・・。




「・・・き、気のせいだよね?」

「・・・う、うん!そうだよ、気のせい気のせ「アルスううううううううう!!!」・・・。」




・・・やっぱりまた・・・はぁ・・・。




「アルスアルスアルスアルスアルスアルスアルスアルスアルスアルスアルスアルスルスルスルスルスルスルス留守留守留守留守留守留守留守留守留守留守留守ぅぅぅぅぅ!!!」


途中で“留守”になってる!?


「な、何?魔王。」


振り返ってみれば、魔王が顔面蒼白状態で駆け寄ってきた・・・って、ちゃんとサンダル履いて外出ないと入るとき床汚れるってリュウジさん言ってたのに・・・。


「で、でで、でででででででででででででで!!」


“で”って何?


「でででででででででで、でっででででっでーでっでーで、でっででででっでっでーでー!!」


今リズム付けたでしょ明らか!?


「クルルうるさいよ。どしたの?」

「で、で、出たの!」


何が?


「何が出たのよ?」

「あ、あれが!何か、あれが!あれが!!」


あれあれ言われてもわからないんですけど・・・。


「と、とにかく落ち着いて・・・何が出たの?」

「あれが!何か、黒いあれが!あれが!!」


・・・ダメ、無限ループ。


「クルル、落ち着きなさいってば。」

「だだだだだってえええええ!」


もう、一体何?


「!!??」


?あれ?急に動きが止まった?


「・・・・・・・・・・ひ!」


ゆっくり振り返ってまるで恐れおののいてるかのような表情になる魔王。


一体何なのs


【カササササ】


・・・。


【カササササササササササ】


・・・・・・・。


【カサササササササササササササササササササササササササササササ】


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。










!!!!!!!!!!!??????????








「な、な、な、な、な!?」

「ひ、ひぃぃぃ!」

「き・・・気持ち悪・・・。」


なんていうか・・・大きさは掌サイズなんですけど・・・


頭の角のような物がウニョウニョって動いてて、背中とか何か不気味に光ってて、足は何か変に速くて・・・


えと・・・確かテレビで見たな・・・この生き物は確か・・・







「・・・これが・・・“ゴキブリ”・・・。」




は、初めて見たけど・・・不気味・・・。




【カササササ】

「ひ!あ、アルス何とかしてよ!」

「ちょ、お、押さないでください!ボクだって嫌です!」

「わ、私だって嫌ぁぁ!!」


魔王が背中をグイグイ押し出す・・・ってゴキブリ何かこっち向いたまま動かないんですけど!?すっごい睨まれてるような気がするんですけど!?


うわぁこれ山の中でオーガって魔物のボスに睨まれた時より戦慄覚えるんですけど!?


「こ、恐いって・・・怒ったリュウくんよりかはマシだけど恐いって・・・。」

「マシなら何とかしてください。」

「何とかできるレベルじゃないから無理!」

「と、とにかく何とかしてよぉ・・・。」


な、何とかったって・・・・・・・・・・・



あ、そういえば・・・。



「確かテレビで見た時、丸めた紙を使ってゴキブリを退治してたんだっけ。」

「そ、それなら紙取ってこないと・・・。」


・・・とは言ったものの・・・紙といえば、テーブルの上に置いてある新聞紙ぐらいしか目につく物がない・・・でもテーブルまでは結構な距離がある上に、その直線状にはあのゴキブリが待ち構えている・・・



最大の難関ってこういうこと?



「ほら、アルス。レッツゴー。」

「よし・・・って何でボク!?魔王行ってきてよ!」

「無理だよぉ・・・フィフィ〜・・・。」

「わ、私!?無理無理!」

「小さいから素早く取ってこれるんじゃないの?」

「そ、それでも無理!」


何でぇ!?


「ま、魔王。ここは第一発見者として魔王が・・・。」

「い、いやぁ!絶対にいや!」


わ、喚かないで!ゴキブリこっち来そうで恐いって!


「ね、ね、アルスお願い!ホントお願い!」

「だ、だからぁ・・・。」

「ねぇアルス〜!ホントお願い!」


フィフィまで!?



【キラキラキラキラキラキラキラキラ・・・】



う・・・そ、そんなおねだりする時に出すキラキラ光線を同時に発さないでください・・・。



【キラキラキラキラキラキラキラキラ・・・】



・・・・・・・・・・うぅ・・・・・・・・



「・・・わ、わかりましたよ。行けばいいんでしょ行けば。」

「「やったぁ!」」


ついに屈してしまったボクでした・・・。


「・・・じゃあ・・・行きます。」

「気をつけてね。」

「無理しないでね。」


心配してくれるのはありがたいけど、どこか安心したって顔しないでください・・・。


『・・・。』


ボクがリビングに入ってきても、ゴキブリはさっきからず〜っとこっちを見たまま動かない・・・ただただ触角をウニョウニョと不気味に動かしているだけ。それが余計に恐怖心を煽る・・・。


この緊張感は、眠っているドラゴンの脇を潜り抜けるくらいに匹敵するんじゃないかな・・・?


「う・・・動かないでくださいね?」


言っても効果ないと思うけど、言わずにはいられません・・・。


『・・・。』


そっと回りこんで、ゴキブリから遠く離れた位置からゆっくりと移動・・・



って、何かこっち見てるんですけど・・・ゴキブリ・・・?



『・・・。』


あ、あと少し・・・あと少しでテーブル・・・










【ジャキン!】←体を持ち上げたところ


【バシュ!】←羽を開いた音


【グゥオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!】←飛び立った音





!!!!!!??????





「にゃあああああああああああああああああああ!!!!????」


と、飛んだあああああああああああ!!!!!!


【注:先ほどの効果音は全てアルスの幻聴です。ゴキブリがジェット噴射の時と同じ音出すとは限りません(あってたまるかそんなこと)。】


「あ、アルスうううううううううううう!!!」


いやあああああああああああああああああ!!!!


「せ、聖剣召喚!!」

【バシュウ!】


咄嗟に剣を召喚、逆手に持ち替える。正当防衛ですからしょうがありません!


「てやあああああ!!」


そしてそのまま振りかぶる!


【ビュン!】


あぅぅ・・・外した。


【ブウウウウウウウウウン!】


!しまっ・・・目の前に・・・!


『時よ、封じよ!』


【キィン!】


途端、ゴキブリの体を灰色の球体が包み込んだ。


「アルス、今のうちに紙を!」

「は、はい!」


フィフィが時間停止魔法でゴキブリを止めてる間に・・・仕留めないと!


【パシ!ガサガサガサガサガサガサ・・・】


新聞紙を長く丸めて・・・


「・・・できた!」

【バン!】


手製の棒を掌に叩きつけて強度を測る。うん、ちょうどいい!


「よぉし!」


後は退治するだk









【カササササササササササササササ】

【カササササササササササササササ】


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。




「・・・い、いやああああああああああああああああああ!!!!」




ふ、増えてる!黒いのが三つに増えてるうううううううううううううう!!!!




【ブゥン】

「!?アルス逃げて!時間停止魔法解けた!」


あ、あぅぅぅ・・・。




「・・・囲まれました・・・。」




今ボクは背後にテーブル、正面にはゴキ一号、右前にはゴキ二号、左前にはゴキ三号といった状態・・・



に、逃げられない・・・やばいよ・・・。



『『『・・・・・・・・。』』』




【ジャジャジャキン!!】←三匹同時構え


「ひぅ!?」


く・・・来る・・・!


「アルスううううううううう!!」


【バシュシュシュ!!】←三匹同時羽、展開






・・・も、ダメ・・・。






【ギュオオオオオオオオオオオン!!】←三匹同時発進!


「やああああああああああああああ!!!!」








【ベシベシベシ!】







・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・?あれ・・・?



「・・・。」


おそるおそる庇っていた腕を降ろすと・・・



足元にゴキ二匹がピクピクと痙攣しながら裏返っていた・・・う、裏側も何だか・・・。



「オメェら何してんの?」


!!


「・・・り、リュウ・・・。」



リュウジさ〜ん・・・(泣)。



【カサササ・・・】


!?ま、まだ・・・!


「ん。」


【グシャ!】

【バキ!】



・・・・・・・・・・・・・・へ。



【カササササササ】

「お、そっちにもいたか。」


【ピィンパァン!】



・・・・・・・・・・・・・ぇぅ。



「さ、てと。ティッシュどこやったっけな?」


・・・・・・・リュウジさん・・・


「ティッシュ〜ティッシュ〜。」




ゴキブリ素足で踏み潰すって・・・




「え〜っと・・・あ、あったあった。」




手で叩き潰すって・・・




「ん、便所に流してくるかな。」




デコピン衝撃波だけで真っ二つにするって・・・。




【ジャーーーーーー・・・】

「はいオッケー。」



・・・・・・・・・・・。



「?おいお前ら何してんだ?早く入ってこいよ。」

「「・・・・・・・・・・・。」」

「お〜い?どしたぁ?」

「「「何でもないです。」」」



・・・こうして、ボクらの危機(?)は回避されたのでした。











後になって、ゴキブリ相手にあそこまで動揺した自分が恥ずかしくなりました・・・同時に、リュウジさんはあらゆる意味で最強だと改めて認識しました・・・永遠に勝てそうもありませんボクらでは・・・


はぁ・・・。

あれ=ゴキブリでした。


・・・素足でゴキブリ踏み潰せる人手ぇ上げて〜はーい♪


・・・すいません、引かないで。


えぇ、そうです、俺は素足で踏み潰します。新聞紙がどこにもない場合の話ですが。


だって、婆ちゃん普通にプチっと足でやりますもん。何か憧れますやん?え?憧れない?そうですか俺だけですかごめんなさい。

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