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第八十八の話 激辛スナックは迷惑菓子?

〜龍二視点〜



「リュウくんリュウくんリュウく〜ん!!」

「んあ?」


昼食後、縁側でまったりしているとクルルが何か俺の名前を連呼した。一回だけにしろうるせえ。


「どした?」

「見て見てこれ!」

「んあ?」


嬉しそうな顔をしながら抱えているダンボールを見せた・・・結構でかいぞ?


「どしたこれ?」

「カリンちゃんがお裾分けだって!両親から送られたらしいの。」


ほぉ、意気なことすんなあいつ。


「ん、そんじゃ開けてみっか。」

「うん!」


ってなわけで、リビングへ。


「?何ですかその箱?」

「でっかいね〜。」


和室でゴロゴロしていたアルスとフィフィも興味津々の様子でリビングへ。


「じゃ開けるぞー。」


【ビィィィィ・・・】


ダンボールの封をしているテープをカッターで切り裂く。


『・・・私はカッターではない。』



カッター=エル。



「汎用性高くてお買い得でっせ?」

『誰に言っている!?』


読者の皆様。


まぁそれはともかく、だ。中身中身・・・。


【パカ】


「おぉ。」



開けてビックリ。何とスナック菓子の袋とかが所狭しとダンボールに敷き詰められている。



「わはぁー!お菓子いっぱいだぁ!」

「・・・多すぎません?」

「へぇいろいろあるのねこの世界のお菓子って。」


クルル歓喜、アルス苦笑、フィフィ感心、俺はどうでもいい。


「ふ〜ん、こりゃまた仰山ぎょうさん・・・。」


つーかこういうのって大体その地方の名産品とかが普通じゃね?まぁ普通だとあんまおもしろくねぇけどさぁ。花鈴の親ってどんな神経してんだか。


あ、そういや一回会ったことあるな。うちの両親よりかは大人しいけどあれはあれでおもしろい。


そう考えたらスナック菓子送ってきたのも納得できる。あの二人スナック菓子大好きだったからなぁ。


「どれ・・・お、これいいな。」


ヒョイと取り出したのはベビースターラーメンのソース味。これ近所の近くのコンビニでも売ってるが、まぁただより安いもんはないし、ご愛嬌。


「リュウくん、私もいい!?」

「おう、いいぞ。こんだけあんだから食え食え。」

「わぁい♪」

「えっとじゃボクも。」

「私も〜。」


さて、三人が品定めしてる間に、俺は縁側でベビースター食うかな。あ、どっこいせ。


【ポリポリ・・・】


・・・ん、相変わらずうまいなこれ。さすが。


あ〜にしても・・・これもまたいいな。スナック菓子を頬張りながらのんびりと日光浴・・・うん、悪くない。




「リュウくうううううん!!」

「?」


あ?


「どしたクルル?」

「からあああい!!」


あぁ、辛い菓子に挑戦したか。どんなのだ?・・・・・・・・・・




おいこら。




「これのどこが辛い。」

「だって辛いもん!」


涙目で駆け寄ってきたくらいだからどんな菓子食ったのかと思ったら・・・



『暴君ベビネロ』・・・あ、これ知ってる人は知ってるだろ?最近じゃ売られてないけどさ。



まぁ確かにピリリとするけどさ、ちょっとよちょっと?どこが辛いよ。


「オメェの舌って軟弱だな。」

「むぅ〜!違うもん!ただ舌が拒否しただけだもん!」


拒否した時点でダメじゃね?


「はいはい、水入れて飲んどけ。」

「ぶー!リュウくんの意地悪!」


頬を膨らませつつ、リビングに戻るクルル・・・世話の焼ける奴。


さて、俺はのんびりとベビースターをポリポリ・・・んまい。










「リュウぐううううううん!!!」


・・・またかい。


「今度は何だ?」

「う゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!がらあああああああああい!!!」


号泣するくらい辛いの食ったのかよ。


どれ?・・・・・・・・・・


あぁ、なるほどね。これは納得できるかも。



『暴君ハバネロ』。あのベビネロの激辛バージョン。人によっては舌が痺れるとか何とか?まぁ小さいお子様には食わすなって書いてあったな確か。そんくらい辛いってことか。



「またどうしてこれ食った?」

「だっで・・・だっでぇ・・・!」


涙声で訴えるなよ。


「ほらほら水飲んできな。」

「ううぅ・・・。」


ベビネロで辛いって言うくらいなんだから食わなきゃよかったってのに・・・。


そういやアルスらは何食ってんだ?ちょっと気になったから振り返ってみた。


「【ポリポリ】・・・おいし。」


アルスはココアフレークか・・・まぁ幸せそうに食って。


「【モグモグ】・・・ちょっと硬いかな?」


サクランボグミにしがみつきながら食ってるフィフィは滑稽だな。


つーかクルルも甘いの食えばいいのに・・・まったく。


「・・・ま、次は大丈夫だろ。」


再び庭へと目を向ける。お、小鳥。可愛いなぁ。












「リ゛ュウぐううううううううううううううん゛!!!!」


・・・またかい。


「う゛・・・う゛え゛・・・がらい゛。」


うーわー顔真っ赤&涙と鼻水でえらいことんなってんじゃん。


舌もダラリと下げてまったく・・・何食った今度は?・・・・・・・・・・


・・・おいおい。レベル上がってんじゃん。



『超暴君ハバネロ』。暴君に“超”が付加されたくらいにレベルが上がった激辛スナック。その辛さは、辛党でも火を吹くとか吹かないとか。



・・・つーかまた何ちゅうもん食ってんだこいつ。


「あぁあぁもう・・・ほら、顔貸せ。」

「う゛・・・ぐずん・・・。」


ティッシュでこのお騒がせ娘の顔を拭いてやる。うわ、顔熱。


「ほら、水飲んでこい。氷入れろよ?」

「・・・ぐず・・・うん・・・。」


元気ゼロじゃん・・・また来たらどうなっても知らんぞ俺は。


さ、そうと決まればっと・・・ん、やっぱうまいなベビースター・・・お?あそこにいるのは近所の山本さんとこの子供か。いやぁ前会った時はハイハイしてたのに、今じゃ元気に走り回れるくらいになってたのか・・・うむ、よかよか♪


あぁ、平和だ・・・。











「リ゛ュ゛ううううううううううううグううううううううううううんんんんん!!!!!!!」


・・・・・・・・・・・・・・。


「おい、いい加減に」

「@”#$“!#$%@&#%$*$#@$%#”!!!!!!!????????」



あ、こりゃダメだわ。精神崩壊起こしとる。



でぇ?今度は何?・・・・・・・・・・


うん、予想通り。



『大魔王ジョロキア』。ハバネロの倍の辛さを持つ唐辛子を使用したスナック菓子。インド北東部、アッサム地方原産の唐辛子で、正式名称『BhutバフットJolokiaジョロキア』、現地の言葉で『幽霊の唐辛子』と呼ばれている。←詳しくは東○トホームページ



その辛さはさすがの辛党もやばいと言うくらいだと呼ばれているが(俺平気だけど)・・・こいつまたどうしてこんなもん食うかね?袋見ただけでヤバイってのに。


「はぁ・・・ほら、ティッシュ。」

「う゛ぇ・・・。」


もっかいゴシゴシ拭いてやる。ちょっといい加減にしろよこの野郎という気持ちも込めてるから、強めに擦る感じで。


「・・・じだいだい・・・。」

「“舌痛い”んだな。よしよし。」


頭を撫でてやる。よくわかったなと自分で自分を褒めてあげたい。


「で?また何でそんな激辛スナックばっか食ったよ?」


こいつチョコ好きだったはずだよな?箱に一杯入ってるってのに・・・あれか?未知の体験に挑戦ってことか?


「・・・だっで・・・リ゛ュウぐんがわだじのじだがなんじゃぐだっでいう゛がら・・・。」


あ〜、直訳すっと、『だってリュウくんが私の舌が軟弱だっていうから』な。



・・・つまり、俺の言葉を真に受けてむきになって食ってみたっと・・・ねるへそ。



「・・・まったくお前はそうやってすぐむきになる。」

「あ゛ぅ・・・。」


クルルの頭に手を乗せながら立ち上がる俺。ベビースターも食い終わっている。


「しゃーねぇ。甘いもんでも飲んだらマシになるだろ。」

「ココア!!」


一番反応早かったなアルスよ。ココアになったら周りが見えなくなるってか?


「はいはいココアな。ほらクルル。それ寄越しな。」


手に持っていたジョロキアを受け取る。また食って号泣されたらたまったもんじゃねぇし。


「もうこういうの食うなよ?」

「はい・・・。」


舌の感覚が戻ってきたみたいだな。


とりあえず、ちょっといつもより甘めに改良した特製ココアを三人に出してやった。飲んだ後すぐに機能が回復したクルルは、素直にチョコ菓子を貪り始めた。


「んまんま・・・やっぱりチョコレートだね!」


これに懲りて慣れないことしないよう祈っとくか。






で、結局ダンボールの中は一日で空になりましたっと。相変わらず三人揃って甘いのがお好きなようで。




余談だが、激辛菓子は全部俺が食ってやった。俺辛いもんとか甘いもんとか全部いけるし。



あ、それとも一つ気付いたことがあったな。








“本物の魔王”であるクルルを泣かせた“超暴君”ハバネロと“大魔王”ジョロキアの方がラスボスとしてふさわしいと思ったのは俺だけじゃないと思う。

今回は、俺が暴君ハバネロを一時友達と一緒に食べたことを思い出してネタにしました。さすがにクルルみたいな反応はしませんでしたが、もしかしたらこういう反応する人も少なくないのでは?

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