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第八十三の話 龍二の日記

〜アルス視点〜



「ふぅ・・・。」


いいお湯でしたぁ・・・。


「やほー。気持ちよかった?」


タオルを頭に乗せたまま和室に入ると、フィフィも魔王もそれぞれパジャマに着替えていた。ついでに魔王、枕に顔乗っけて和んでる。


「うん、もう最高だった。」

「うん、どうでもいいけどね。」

「フィフィ・・・?(怒)」

「ごめん・・・調子乗ってた。」


時々カチンとくるようなこと言う癖、直して欲しいんだけどなぁ・・・。


「んみゅ・・・眠くなってきちゃった・・・。」

「え、もう?」


まだ八時半なのに・・・。


「私基本昼型だからぁ・・・。」

「・・・魔王、ホントこの世界に溶け込んでるね。」


かくいうボクらも言えた義理じゃないけどさ。


「あれ〜?そういえば私のヘアブラシどこいったか知らない?」

「え?鏡台の引き出しの中じゃないの?」


とても小さいヘアブラシだから、無くすのも無理ないよね。


「え〜っと・・・。」

【シュー】

「・・・?」


?フィフィの動きが止まった?


「・・・何これ?」

「フィフィ?」


引き出しの中に何かあったみたいで、ボクも鏡台へと近づく。


「・・・これは・・・?」


引き出しから取り出したのは・・・



ノート?



「なぁにそれぇ?」


魔王も起き上がってボクの肩越しからノートを見つめた。


題名は・・・



『よい子の絵日記』



・・・・・・・・・・・・絵日記?



『名前 荒木龍二 11歳』



龍二さんの!?



「!これリュウくんの日記・・・!」

「・・・てゆーかこれは・・・。」

「・・・うん。」


ノートの表紙には、とても可愛らしい動物の絵柄が描かれてあった・・・明らか子供向けじゃないですか?


「結構古いよねこれ・・・子供の頃の奴?」

「だと思うよ?だって11歳って書いてあるし。」


でも名前に年齢書きますか普通?


「・・・ねぇ。読んでみようよ。」

「えぇ!?だ、ダメですよ、人の秘密を覗くなんて。」


魔王の言葉に反論するボク。絵日記っていうのはリュウジさんから聞かされたからどういうのかわかっている。今リュウジさんはお風呂に入っていて近くにいないけど、だからってこういうのはそっとしまっておくのが


「とか言って、アルスも興味あるんじゃないの?」

「え・・・。」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



「・・・な、無いですよそんなの。」

「じゃこっち見て言いなさい。それと何その間。」


・・・いや、でも・・・ねぇ?


「じゃ、私とフィフィだけで見よっか?」

「賛成ー。」

「・・・・・・・。」


が、我慢我慢・・・。


【パカ】

「あ、開いた開いた。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・。」







・・・・・・・そ〜っと・・・・・・・。







「ほら、ビンの蓋が開いたでしょ?」

「だましたなーーーーーーーーーーー!!!!」


とゆーよりどこから出したのそのジュースのビン!?


「ほらぁ、何だかんだ言ってホントは見たいんじゃん♪」

「うぅ・・・。」


・・・正直言います・・・物凄く興味ある。


「・・・わかりましたよ。付き合います。」

「そうこなくっちゃね♪」


まぁ、バレなきゃいいか。


「じゃ、読もう。」

【パラ】


魔王が最初の一ページを開いた。



・・・・・・・・・・・・。



「・・・フィフィ?」

「・・・何?」

「・・・これ、絵日記だよね?」

「うん・・・そうだよね。」

「・・・これ何?」

「さあ?」



丸と線だけの人と背景が物凄く幼稚というか・・・何で端っこに『ちぇけらー』って言葉書いてあるんですか?これ絵日記というかラクガキでしょ。



「・・・ま、まぁ読んでいきましょうか?」

「そうそう、大事なのは内容だからね。」


そうですよね・・・。


とりあえず読んでみることにした・・・




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『2000年 6月14日(晴)


今日から日記をつけることにした。理由はノリ


(ノリ!?)


まず最初に思ったことを書く。“よい子の絵日記”というどういう子か限定された題名を考えた奴は死ねばいいと思う。


(いきなり毒!?)


まぁ書いてる俺はよい子じゃないけどな。あえて悪い奴が書くとどうなるか実験してみた。


(実験ってあなた!?)


でも何にも起こらなかった。しけてやがる。無駄な時間を過ごした。人生の半分を使い切った気持ちになった。


(大袈裟です・・・。)


まぁ嘘だけどな。


(嘘ですか!?)


今日は終わり。』


(え、これで!?)



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



・・・。


「・・・。」

「・・・何ていうか、まぁ・・・。」


リュウジさん・・・子供の頃から飛ばしてますね色々・・・。


「さ、次々。」


パラリとページをめくる魔王。


「・・・・・・・・あれ?」

「?どしたの魔王?」

「・・・・・・・・・日付が。」

「?」






「・・・2008年ってなってる。」

「「・・・・・・・・。」」




今日から日記つけるって言っておいて超サボってるううううううう!!??




「・・・日記の意味がないじゃないの・・・。」

「・・・だよね。」

「・・・うん。」


まぁ、リュウジさんらしいといえばらしいけど・・・さ?


「・・・まぁ読んでみよ。」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『2008年 1月17日 (ハレ)


(何でカタカナなの?)


小さい頃書いてた絵日記を見つけたんで、再び書いてみよっかな〜的なノリで開いてみたらアラびっくり、一ページしか書いてねぇじゃねえのふざけんな昔の俺。


(いや、昔の自分に文句言っても・・・。)


しょーがないのでいつもの如く勝負を挑んできた久美をフルボッコにして鬱憤晴らした。


(ひど!?)


今日はラーメンデイだ。チャイムが鳴ると同時に学食へと文字通り突っ込んでいった。


(文字通り・・・?)


その時、大量の生徒が保健室へと運ばれたと聞いたが気ニシナーイ。


(原因明らかアナタでしょ!?)


ラーメンをたらふく食って幸せでした。おしまい。』


(・・・何だろう、すごく周囲の人たちが不幸に見える・・・。)



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「さ、次々。」

「うん・・・。」

【パラリ】



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『1月18日(晴れ?)


(いや聞かれても!?)


今日は雅にラーメンを奢ってもらった。


(“奢らせた”って文字を消した跡があるんですけど・・・。)


さすがに五百杯食ったら店長が滝の如く嬉し涙を流し、俺らを見送った。


(いえそれ多分悲しみの涙ですよ。)


そして帰り道、奇妙な奴らに会った。


(?)


勇者と名乗るバカと魔王と名乗るボケだった。


(・・・なんでだろう、罵られた気分・・・。)

(うん・・・私も・・・。)


しかも何か異世界から来たとか抜かしやがる。こいつらは一度死んで人生やり直した方がいいと思う。


(恐っっ!!??)


でもまぁ、珍しい妖精むしもいることだし信じてやるとしよう。


(虫って言うなああああああああああ!!!)

(フィフィ、落ち着いて!)


勇者とかいう奴がアルス、魔王がクルル、で、虫がフィフィだとそれぞれ名乗った。


(だから虫って言うなあああああああ!!!)


まぁ、仲間探してるっていうし、しばらく置いてやるとするか。』



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「・・・第一印象、そんなんだったんですね。ボク達。」

「・・・うん・・・。」

「虫・・・。」

【パラ】



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『1月19日 (貼れ)


(何を!?)


学校で雅達に聞いてみたところ、どうやらアルスとクルルの仲間をそれぞれの家に置いてやっているらしい。クソめんどっちーなぁとは思わず、あいつらの家に行ってみた。


(本音駄々漏れですよ・・・。)


まず雅の家ではスティルという魔法使いが捕らわれていた。鎖で。


(な、何があったのスティル!?)


まぁ軽く笑ってやった。


(悪魔・・・。)


第一印象、哀れ。


(哀れスティル・・・。)


次は久美の家。リリアンという女戦士がいきなり斧で俺に攻撃してきた。


(えぇ!?)


受け止めて事なきを得た。


(すご・・・。)


第一印象、寡黙。


(確かにそうですけど・・・。)


次、香苗。もうメンドイ。代われ。


(命令口調!?ってか誰と!?)


いきなり双子が襲い掛かってきました。ぶっ飛ばしました♪


(♪付けられても・・・。)


第一印象、カルマ、冷静。ケルマ、変態。


(何で!?)


その晩、無礼にも夜中に我が家に押しかけてきたアルスとクルルの仲間達。ドラマ見れなかったじゃねえか。死ねコンチクショウどもが。


(まぁ確かに怒ってましたよね・・・。)


そんでまぁホントに異世界から来たってもんだからしゃーなしにそれぞれの家で居候させることにした。路上で野垂れ死にされても困る。


(の、野垂れ・・・。)


ってなわけで、我が家に勇者と魔王と妖精というアホくさい奴らが居候として我が家に居つくことになりました。出費が大変だと思うが、楽しくなればいっかと思って気ニシナーイことにした。』


(アホくさいって・・・。)



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「次は?」

「えっと・・・。」

【パラリ】



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『1月25日 (晴れろ)


(命令形!?)


うむ、実に六日ぶりの日記だ。張り切っていこうと思ったけどやめた。


(紛らわし!?)


アルス達も大分この生活に慣れてきたみたいだ。現にクルルなんておかわり何杯する気だって思った。そろそろ息の根を止めておくべき・・・


(((!!??)))


・・・というのは冗談として、


(((ホッ・・・)))


こっそり晩飯にカキフライと見せかけてナメクジフライ入れてやった。


(((!!!!!!??????)))


マジで。』


(((!!!!!!!!!!!!????????????)))



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「・・・・・・・・・・・・ぐはぁ!」

「クルル!?クルルーーーーー!!!」

「魔王、しっかりして!死んじゃダメえええええ!!!」



〜数分後〜



「はぁ、はぁ・・・。」

「クルル、大丈夫?」

「う、うん・・・ナメクジ・・・。」

「・・・ま、まぁ害は無いみたいだし、いいじゃないの?ほら次々。」

【パラ】



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『1月26日 (雨だやっほー!!)


(テンション高っ!?)


今日は生憎の雨だ。憂鬱。


(じゃさっきのテンション何!?)


何かのんびりとしたい気分なので、ゴロゴロすることにしました。


テーブルの足に頭ぶつけた。痛い。


(文字通りゴロゴロ!?)


にしても湿気てるな・・・雨だからか。


こんな日には・・・


風呂場に生えてたキノコを採って、アルスの晩飯に混ぜてやった。


(!!??)


HAHAHA!安心しろ


(ホッ・・・。)


毒じゃない。』


(!!!!!!??????)




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「がはぁ!!」

「!?アルスううううううう!!!」

「死んじゃダメえええええええ!!!」


〜数分後〜


「はぁ、はぁ、はぁ・・・ぼ、ボクも・・・。」

「ドンマイ。」

「・・・次、行こっか。」

【パラ】



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



1月30日 (曇りガラス)


(確かに曇ってますけど・・・。)


今日は魔法について学んだぜ。水を呼び出す方法。


(あ、そういえばリュウジさん魔法使えたんでしたっけ?)

(一回だけね。)


正直言います。ショボ。


(えぇ!?)


せめてテレポーテーションとか浮遊とかそんなんしたかった。以上。


(うっわぁ簡潔だ・・・。)


追伸:アルスの濡れ姿が愉快だった。』


(最後余計な上に悪魔あああああああ!!)



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「やっぱリュウくんってすごいね・・・。」

「性格も合わせて、ですけど・・・。」

「つ、次行ってみよー!」

【パラ】



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『2月3日 (あいつの頭の中が晴れ)


(誰の頭の中!?)


道を歩いていたら、不良にカツアゲされた。


(・・・。)


【ピーーーーーーーーーー】にした。』


(やっぱりいいいいい!!??)



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「・・・え、これだけ?」

「短いね。」

【パラ】



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『2月4日 (瀬○の頭の天辺=晴れ)


(怒られますからやめてくださあああああああい!!!!)


今日は実にいい天気だった。そりゃもう凄く。ウキウキルンルンだ。


(・・・何だろう、この罪悪感・・・。)


ってなわけで、日向ぼっこすることにした。日光を浴びてエネルギー的な物を養っていく俺。これで消費電力を節約できるわけがねえな。


(何言ってるんですか!?)


日向ぼっこは気持ちよかった。喉が渇いたんでドリンクで体力を補給することにした。が、間違ってアルスのココアを飲んでしまった。


(あぁ!?あれリュウジさんが犯人だったんだ!)


飲んでしまってうあ、やべと思った。


二秒ほど。


(短っ!?)


文句言ってきたら実力行使で黙らせてやるか。』


(・・・・・・・・・・。)



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



・・・文句言おうにも言えなくなってしまいました・・・。


「アルス・・・あれ犯人私だって決め付けたよね・・・?」

「・・・。」


魔王から殺気が上ってきました・・・。


「・・・つ、次行きましょ次!」

「逃げたわね・・・。」

【パラ】



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『2月5日 (春うらら)


(・・・晴れなのこれは?)


今日は幼稚園児達とゴーゴーダンスを踊った。ハラショー。


(は、はらしょー?)


で、帰ってきてみればびっくり、懐かしき幼馴染、花鈴と再会した。


(あ、これあの時の話かぁ・・・。)


見た目だけしか変わってなかった。中身は昔と変わってねぇ。


(へぇ・・・。)


変わってない=バカ。


(・・・。)


まぁ久しぶりだし、ラーメン食わしてやるか。』



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「・・・カリンさん・・・昔どんな人だったんですか?」

「・・・ま、まぁ気ニシナーイってことで次!」

【パラ】



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『2月6日 (バカ)


(天気じゃない!?)


もう絵書くのめんどくさいから文章だけにする。


(丸と線だけなのに!?)


つーか日記に絵って何よ?意味あんの?やってらんねえ。


(いきなり愚痴りだした!?)


今日はこんだけ〜。』



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「・・・・・・・って終わり!?」

「これまた短っ!」

「・・・つ、次つぎ。」

【パラ】



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『2月7日 (晴れ)


(あ、普通だ。)


書くことがありません。』


(じゃ書かないでください!)



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「次いこ。」

「うん。」

【パラ】



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『2月8日 (半!)


(半!?)


よござんすね?よござんすね?


(何が!?)


丁!!


(だから何丁って!?)


・・・・・・・目は半です。


(目!?)


はい博打の風景でした〜♪』


(何がしたかったんですか!?)



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「ホントわけわからないこと書くね、リュウくん。」

「うん・・・。」

【パラ】



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『2月9日 (晴れ)


今日はクルルの奴が元気なかった。どうもリリアンに言われたことが気になるらしい。


(これって・・・。)

(・・・。)


やはりこいつのことだからスティルと仲良くやりてぇんだろうなぁ・・・しばらく様子を見てやろうかな。』



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「これ、あの時の話だよね?」

「うん・・・。」

【パラ】



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『2月10日 (晴れ)


スティルとクルルがお互い話し合った。やはり衝突は避けられなかった。


そん時俺は思わずその場に入っていってしまった。少し後悔した。あいつ自身が決めることなのに俺が出しゃばってしまった。


(・・・。)


ただ少しだけ、少しだけ力を貸してやるつもりでスティルにクルルの事情を話してやった。余計なお節介かもしれんが、できるならこの二人は仲良くやってほしい。


(リュウくん・・・。)


結果、クルルから聞いた話ではまだ許す範囲までにはいかなかったそうだ。だけど、少しずつ分かり合えるかもしれないとのこと。兆しが見えてきたみたいだった。


できることなら、俺もこれから微弱ながら力を貸していってやろうと思う。やっぱ元気なクルルが一番だ。』



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「・・・リュウくん・・・。」

「・・・あいつなりに結構考えてるんだね。」

「うん・・・。」

【パラ】

「・・・あれ?日付が飛んでる。」

「・・・サボったんですね。」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『2月30日 (曇り)


アルスとフィフィが珍しく喧嘩した。


(!これ・・・。)


理由はアルスがフィフィの小さな腕輪をうっかり踏み潰しちまったんだと。まぁ踏んだのも悪いし、ほったらかしにしたのも悪いし、どっちもどっちだな。


((・・・・・・・。))


しかしまぁ、このままじゃフィフィの奴がかわいそうなんで腕輪を修復してやることにした。ただやってみて思ったこと。


超ムズイ。ジグソーパズルなんざよりも集中力を消費する作業だった。


(リュウジ・・・。)


晩、アルスがフィフィを探しに行った。まぁあいつらならほっておいても大丈夫だろう。俺が出来ることといやぁ、あいつらの分のメシを作ってやって風呂溜めてすぐ入れるようにしてやるくらいだ。つかそれもあるが、腕輪の修復難しい。


((・・・・・・・。))


しかし、帰ってくるのが遅い・・・たまらず連絡かけられる奴ら全員に捜索を頼んだ。俺も行きたかったが、あいつらが帰ってきた時にメシとかどうすればいい?そう思ったんで留まった。今度あいつらにメシの暖め方教えてやらにゃあならん。


しばらくし、後輩の明から連絡が入った。アルスらしき人物を目撃した情報を得たとのこと。本来なら一安心するべきはずなのに、何か胸騒ぎを覚えたんですぐ飛び出した。


自慢の勘で倉庫街まで来て、許されざる光景を目にした。


ボケどもが、アルスとフィフィをこんなにまで傷つけやがって。許さん許さん許さん許さん許さん・・・許したくない。


(リュウジ・・・さん・・・。)


・・・だけど殺すのはまずい・・・かろうじて残っていた理性を総動員させて半殺し程度に済ませてやった。幻覚も見せてやった。二人の痛み、思い知れって奴だ。


真夜中、皆が家で待っていた。今日は泊まらせてやった。お疲れー。


アルスが目覚めた時、あいつの心中を知った。勇者としての自分しか見てくれない周囲に、不満を抱いていたとか何とか。


少なくとも、俺らは普段笑っているあいつを見ている。あいつ自身を俺らは知っている。あいつはあいつだ。そう話してやった。まぁ所詮人生まだ半分も生きてない若輩者の戯言だけどな。


(・・・。)


朝、どうにかフィフィの腕輪も○ロンアルファでくっつけた。あ〜しんど。もうジグソーパズルは見たくねぇわ。


だけどまぁ、アルスもフィフィも仲直りできてよかったよかった。』



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「リュウジさん・・・。」

「・・・。」

「・・・よかったね、二人とも。」

「?何が?」

「リュウくん、アルス達のことホントに心配してたっていうのがわかったでしょ?」

「・・・うん。」

「・・・ヘヘ♪」

「じゃ、次いこっか。」

【パラ】



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『3月1日 (曇り)


あ、クルルのチョコ食っちまった。


(((いきなりかい!!!)))


ま、気ニシナーイ。』


(((うぉい!!??)))



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「せ、せっかくしんみりしてたとこなのに・・・。」

「台無し・・・。」

「リュウくん・・・怨むよ・・・。」

【パラ】



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『3月7日 (ラーメン)


(ここでラーメンきた!?)


今日は特に何もなかった・・・と思いきや


(?)


空から何か流星みたいなのが降ってきて、一人真夜中山へと向かった。


そこで何か剣拾った。


(まさか。)


生きてる剣だとよ。もうファンタジーは我が家にいる勇者と魔王と妖精で十分だってのに。


(エルのことですね。)


つーわけで、埋めた。


(埋めた!?)


すぐ掘り出して朝になってから事情を聞いた。何でもこいつ、エルも異世界から来たらしいが、アルス達の世界とはまた別のとこかららしい。どうでもいいですYO!


(何最後のノリ!?)


まぁ売り払ってもよかったんだが、いさせてくれと懇願されたから包丁代わりとして使わせてもらうことにしてやった。ラッキー。


(エル・・・不憫・・・。)


さ、寝よ。』



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「じゃ次。」

【パラ】



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『3月8日 (飴)


(漢字が違うのでは・・・?)


あいつらと特訓した。俺対アルス達多数。


(あ、これこないだのだね。)


超手加減して戦ったが、ここまでやるとはな。うむ、よかよか。


(((・・・・・・・・・・・・・・・・。)))


ま、新しいお仕置き技じゃなかった雷発射も覚えたし万々歳だ。』


(((お仕置き技!?)))



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「・・・あれで手加減って・・・。」

「・・・むゅ・・・。」

「・・・ま、まぁまぁ・・・次いこっか?」

【パラ】

「・・・あれ?これで最後みたい。」

「どれどれ?」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『3月11日 (晴れ)



まぁ今日は特に何もなかったなぁ。


(無いんかい!)


日記もそろそろ疲れたし、これで最終回にしよっかね?


(つ、疲れたって・・・。)


最後に言いたいこと。




アルスとクルルとフィフィとエルが来てから毎日楽しくてしょうがねえ。


(え・・・。)


特に三人の寝顔をイジめるのが。


(・・・何だろう、この違和感。)


ま、これからもよろしくってことで。チャオ♪』



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「・・・。」

「・・・。」

「・・・。」


【パタン】


読み終えて、ボクらは日記を閉じた。


「・・・何ていうか、リュウジさんの本音を見た気がする。」

「うん。」

「私もそう思った。」


・・・ただ、一つ思うことは・・・。


「・・・リュウジさんって思ったらすぐに行動する人ですね。」

「そだね。」

「うん。」


まぁ前々から気付いてましたけど・・・。


「・・・でも何かおもしろかったね。」

「だねぇ。」

「まぁこれリュウくんに見られたら何言われるかわかんないけどね。」


納得。








「何してんだお前ら?」

「「「!!!!!??????」」」


やば・・・リュウジさん、お風呂から上がってた・・・。


「「「な、なななな何も!!??」」」

「?・・・あ、そう。」


ふぅ・・・。


「ところでさぁ。」

「「「?」」」









「日記覗いたな?」

「「「・・・・・・・・・・・・・・。」」」










ボクらは夜中にこってり説教を受けました・・・クスン。











〜おまけ〜



『・・・私は今回出番無いのか・・・。』


エルは龍二の部屋で一人(一本)さみしく呟いた。


ところどころあえて日付をずらしました。理由はありません。


それと下弦先生、ごめんなさい。

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