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第六十八の話 キャッチボールをしよう

〜クルル視点〜



「ねぇねぇリュウく〜ん。」

「何だ。」

「暇だから遊ぼ〜。」

「今無理。」

「え〜いいじゃ〜ん。」

「ダメだ。」

「ねぇねぇ。」

「ダメ。」

「ちょっとだけ〜。」

「却下。」

「ぶ〜!」

「ほっぺた膨らませたってダメ。」


さっきから私ことクルル・バスティは、アルス達が今お昼寝中に対して目が冴えちゃってるのでただいま洗濯物を畳んでいるリュウくんの首に抱きついておねだり中。おねだりおねだり♪


「おケチ〜。」

「ケチだから。」

「・・・リュウくんがその気なら、こっちだって考えがあるんだから。」

「?」


ふふ〜ん、カリンちゃんから聞いたもんね〜。


「・・・あのこと言っちゃうよ?」

「あのこと?」


そう!人は大抵弱味を握られると絶対に服従してしまうというシンリ的弱点が!


「私がこないだお風呂入ってた時に気付いたんだけど〜。」

「ふんふん。」

「・・・リュウくん、私が使ってたボディソープ使ったでしょー!」

「だからどうした。」

「・・・。」

「・・・。」

「・・・じ、じゃあさぁ。昨日散歩してる時に風が吹いてきて〜・・・私のスカートがフワって浮いたの見たでしょー!」

「正面にいたからなお前。それがどうした?」

「・・・。」

「・・・。」

「・・・な、ならば!リュウくんが小学生の頃に女子更衣室に入ったでしょー!」

「部屋間違えたからなあん時は。変態とか勘違いしてほざきやがった女子の連中に鉄拳制裁加えて土下座させたっけなぁ。」

「・・・。」

「・・・。」

「・・・じゃあオネショ」

「幼稚園からしてねぇなそういえば。」

「・・・。」

「・・・。」





ゴメンナサイ、この人の弱味というのが見当たりません。とゆーより弱味と思ってないですこの人。


小学生の女子更衣室事件はカリンちゃんから得た情報だけど全然効果ないし。


「で?今忙しいんだが。」

「・・・じゃあさぁ。」

「今度は何だ。」

「・・・お昼ラーメン行こうよ。」

「洗濯物畳み終えたら遊びに行くぞ。」

「わーい!」


教訓。リュウくんはラーメンにつられることが多いです。




〜川原〜



「そんじゃ遊ぶぞー。」

「はーい!」


場所は変わって近所の川原。お年寄りの人や子供とかがよく遊びに来るところだって。リュウくん曰く。


うん、植物が生い茂ってるし、広いし皆集まるのも無理ないよね!


「で?何して遊ぶよ?」

「これ!」


懐から取り出したのは・・・


白いソフトボール!


「キャッチボールしよリュウくん!」

「・・・おもしろいかね?それ。」

「すっごくおもしろいと思う!」

「そうか。じゃやるぞ。」


リュウくんって結構単純なんだなぁ。


「いくよー!えい!」


キレイな放物線を描いてボールをリュウくんに!


【パスッ】

「よっと。」


それを軽々と受け止めるリュウくん。


「あいよ。」


ポーンと緩やかに飛んでくるボール。


【パシッ】


で、普通に受け止める私。


「う〜ん・・・あんまおもしろくねえっつーか退屈だな。」

「これからおもしろくなっていくんだよ。」

「そうか、じゃもうちょっと続けてみっか。」


単純なリュウくんに感謝。


・・・これ見てて何かおもしろくないな〜って思う人もいるだろうけど・・・


実は前々からやってみたかったんだよねぇキャッチボール♪テレビの中で親子が笑い合いながらボール投げあいしてるの見て楽しいのかな〜って思って。


「えい!」

【パシ】

「ほい。」

【パス】

「うりゃ!」

【パシ】

「よっ。」

【パス】


・・・う〜ん・・・何か違う・・・


やっぱりただの投げ合いだとおもしろくないな〜・・・。


・・・。





あ、そうだ!


「ほい。」

【パス】


リュウくんからのボールを受け取って・・・


「いっくよー!『ダークネスショット』!!!」


【ズギュウウウン!!】



ボールに魔力を込めてみました!!



「むっ。」


【ズゴオオオオオン!!!】


!!


「・・・やるなクルル。」


・・・う〜ん、さすがリュウくん。片手で受け止められちった。


「じゃお返しだ。『龍閃球りゅうせんきゅう』」


【ドオオオオオオオン!!】



!速い!?



【ズドオン!!】


「んぬぅ〜!!」


【ズガガガガガガガ!!】


お、押される〜!


【ガガガガガガ・・・】


ふ〜・・・・・・止まった。


「どうした?もう終わりか。」

「ま、まだまだぁ!!」


うにゃあああああああ!!燃えてきたああああああああ!!!




〜一時間後〜



〜ライター視点〜



・・・・・・・・・・・・・・。


「おい、あれ何してんだ・・・?」

「パフォーマンスじゃない?」

「にしてはリアルだな。」

「女の子、可愛いのに・・・。」

「うわぁ!危ない!」

「そこだ!やってしまえええええ!!」


・・・・・・・このセリフ、龍二とクルルのじゃありません。これ野次馬のセリフです。


何故野次馬?とお思いのあなた。次のセリフをどうぞ。








「えいやああああ!!」

【チュドオオオオン!!】

「そおれっと。」

【ドオオオオン!!】



・・・まぁ・・・あれから龍二とクルルは何かエスカレートしてって・・・その・・・


キャッチボールが本格格闘技決定戦みたいになっちゃいました。


何か地面とか抉れちゃってるし。


で、騒ぎに乗じて結局野次馬集まってきちゃいましたっというわけです。


「それええええ!!」

「よっと。」

【バゴオオオン!!】

「みぎゅ!」


戦況は、クルルが劣勢、龍二が優勢、といった感じ。クルルの攻撃を魔力のこもったボールを普通に受け、倍返しにして返す龍二。それを受けて吹き飛ぶクルル。お互い、ちゃんとボールを使用したフェアなバトルとなっている為、理論上はキャッチボールということになっている。


うん、これをキャッチボールと分類した俺は一体何なんだ。


「うぅ・・・。」

「まだまだだなぁクルルよ。」


膝を着いて呻くクルルに対し、ポケットに手を突っ込んで平然としている龍二。


今回は普通にキャッチボールして終わろうと思ったのに、何なんだこのどこかでありがちなバトルシーンは。


「・・・こうなったら・・・最後の手段!」


足元に転がるボールを手に取り、立ち上がるクルル。にしてもよくボール割れてないな。傷が目立つけど。


「リュウくん、覚悟!!『ナイトメアクラッシュ!!』」


まぁたすんごい技名。


真っ黒な闇がボールを覆っていき、そして少しずつ膨れ上がっていく。


「はあああああああああ!!!」


そして膨れ上がり、通常のボールの二倍の大きさとなったボールを振りかぶるクルル。


「てああああああああああああ!!!!」


【ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!】


クルルが力いっぱい投げつけると、凄まじい風が闇のボールと共に龍二に押し寄せてくる。しかし龍二はそれを先ほどと変わらない平然とした表情で見つめていた。


「・・・ふん、甘い。」


そして右手の人差し指を突き出すと・・・


【ピシィ!!】


「!?」


いとも簡単に闇のボールを弾き返した。


「ひゃあ!?」


慌てて飛び退いたクルル。その瞬間、ボールはクルルの後方へと飛んでいった。


「ぬ〜!まだまだぁ!」

「どっからでも来い。」


体勢を立て直したクルル、挑発する龍二。場面は緊迫した空気に満たされていた。










「え!?」


【ドガアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!】

「ぎょばげれぶぼべばああああああああああああああああああああああ!!!!????」


あ。


「「あ。」」


・・・・・・・・・・・











偶然クルルの遥か“後ろ”にいた“恭田らしき”人物にボールが“当って爆発”して“吹っ飛んだ”。




『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』


突然のことで龍二とクルルのみならず他の野次馬全員が黙り込んだ。



川原に漂う沈黙・・・大きく開いたクレーターから立ち上る煙以外、確かに時間が停止していた。


本当に静かに停止していたのだった・・・。







しばらくし、その中で沈黙を破った者がいた。










「さ、疲れたしアルス達呼んでラーメン食いに行くぞ。」

「賛成♪」


龍二の言葉に嬉しそうに笑うクルル。そしてそのまま川原の土手を登っていった。


「・・・さ、帰るか。」

「買い物行かないといけないし。」

「母さん、お腹すいたー。」

「はいはい。」


野次馬達も口々に言い合って帰路に着いたのだった。


・・・じゃ俺も帰ってカレーでも食おっかな♪









翌日、龍二達が学校へ行くと恭田が緊急入院したという報告を受けるのはまた別のお話。


う〜ん戦闘描写というのは難しいものですね。


え?恭田はどうなったか?恭田って誰ですか?アハハハハ♪

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