第六十七の話 普通にズボンを買おう
今回は普通に買い物しにきました。
後ついでに大幅に本文修正しました。見てた人はごめんなさい。
〜龍二視点〜
「イェア!」
「な、何ですか!?」
「いやテンション上げてぇな〜って。」
「・・・はぁ。」
うむぅ、何だアルスそのため息はコラ。
「ところで今日は何を買いに来たんですか?」
「ズボン。」
一言で終わりました。
こないだこいつの服結構買ったんだけどなぁ(第五十五の話参照)・・・あいにく、こいつはスカートよりも動きやすいズボンの方がいいと駄々こねて・・・
「駄々こねてません!頼んだんです!」
「思考読むなっつったよなぁ?」
「はう!・・・す、すいません。」
一睨みで黙らせた。
まぁこないだ服買ったんだけど、そん中にズボンが一つしか無かったんだよね。だから買いに来たってわけ。
場所はもちろん決まっている。つーかもう店の目の前に来た。
『Happy Happy』
大体の服はここで買うんだよなぁ(第十の話参照)。
「・・・やっぱここですか。」
「?何だ悪いか?」
「いえ、そういうんじゃなくて・・・えっと・・・。」
なぁにウダウダ考えてんだか。
「さっさと行くぞ。」
「あ、待ってくださいよ。」
テテテと後を追ってくるアルス。
・・・。
「“テテテ”って何か可愛いよな。」
「へ?」
「気ニシナーイ。」
まぁこんな戯言どうでもいいとしてっと。
【チリンチリン♪】←ドアベルの音
「いらっしゃ〜い♪リュウリュウお久〜!アルちゃんもお久〜!」
「あ、アルちゃんて・・・。」
忘れた奴もいるだろうと思うが、ここの店主オカマのオッサン。派手な服装が眩しいピチピチの四十過ぎ。言って何か後悔した気分になった。
「久しぶりだなママさんよ。」
「も〜最近来てくれなかったから寂しい〜!」
「相変わらず気持ち悪い〜っと。」
「ひっど〜い!」
「・・・・・・・・・・・。」
アルス、付いていけねぇ〜って顔すんな。
「おろ?ところでママさん顔焼けたか?」
「わかるぅ〜?実はハワイ行ってたのよ〜♪」
「な〜る。そのまま焦げちまえばよかったのに。」
「相変わらずどんだけ〜♪」
「気ニシナーイ。」
「・・・リュウジさん、ズボン買いに来たんでしょう。」
疲れた顔すんなバカアルス。
「あっら〜久しぶりの再会に水差しちゃうの〜アルちゃ〜ん?」
「え!?い、いえそんなつもりは・・・。」
「変なところで律儀になんなや。」
「あ、あうぅ〜・・・。」
ま、とりあえずさっさとズボン買うか。
「で?お前の要望は?半ズボンか長ズボンか?」
「あ、はい・・・え〜っと。」
ワゴンに乗ってるズボンを品定めしていくアルス。
「え〜っと・・・。」
腕を組んで眉間に若干皺を寄せるアルス・・・そこまで深く悩むものか?
「アルちゃん、ズボンをお求め?」
「え?はい。」
ママさんが近づいて聞く。店員さんでよくいるな。何かお探しですか〜っとか。
「じゃあ、私が選んであげよっか〜?」
「いいんですか?」
「とうぜ〜ん♪だってアルちゃんは私のお・気・に・入・り・だから♪」
「は、はぁ・・・どうも。」
スッゲェ複雑な顔してるアルス。感謝していいのかわからんらしい。
「え〜っと〜・・・。」
傍にあるズボン売り場からどのズボンがいいか探すママさん。
「・・・これなんてどう?」
で、バッと広げて見せたものは。
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・勘弁してください。」
「あらま。」
う〜ん、そんなところどころに宝石みたいなのくっつけたズボンは珍しい。キラキラしてるし。
「ざんね〜ん。それじゃあ・・・。」
また探し始めたママさん。アルス、何か一瞬にして不安な表情に。
「これは?」
「やめてください。」
即答した。
まるでウェットスーツのような黒くてピッチリしすぎたズボン。足の細さが目立つだろうが、それどっちかってーとパンストだろ。
「う〜ん、じゃあ・・・。」
「・・・。」
もう何か諦めてねえかアルス?
「これ「却下。」・・・。」
まだ途中までしか言ってねぇのに遮った。短いズボン、まあ短パンともいうよな。
でもさ、丈短すぎて完璧普通のパンツみたいに見えるのは俺だけか?
「・・・すいません、やっぱり自分で選びます。」
「そ〜お?お役に立てなくてごめんね〜?」
「いえ・・・。」
とうとう自分の力で探すことになったアルス。おそらく何でも人に頼ったりしてはいけないと自覚したんだろう。
大人の階段の〜ぼる〜♪っと。
「さて・・・と。」
じゃ俺はアルスが悩んでる間に・・・。
「ママさん、ジャケットあるか?」
「いいのがあるわよ〜。」
とりあえずジャケット売り場にでも行って新しいジャケットでも買うかね。
ほぉ・・・このジャケットは手触りが何とも・・・
「リュウジさ〜ん。」
「?何だ?」
「こっちの茶色のズボンとこっちの青いズボン、どっちがいいと思います?」
そう言って二つのズボンを掲げて見せた。
茶色いのは百パーセント綿のブカブカの半ズボンで、青いのはぴっちりしたデニムの長ズボンな。
「ん〜・・・茶色のブカブカの方がおもしろいんじゃね?」
「じゃこっちの青いのにします。」
「デコピンで顔粉々にされたいか。」
「ごめんなさい嘘です冗談です。」
似合う、似合わないかじゃなくておもしろさを追求した俺も悪いけどな。
「まぁ金はちょっとあるし、二つぐらいなら買ってやるぞ。」
「あ、そうですか?ありがとうございます。」
「気ニシナーイ。」
ホント律儀だなぁこいつ。
で、また悩み始めたアルスはほっといてっと。
「・・・ん、これにすっか。」
ちょっと袖に通してみたらなかなかの着心地。肌触りもいい。何より全体的に黒くて袖んとこに白いラインが引いてあるのがいい。
んでもってこれ一番重要。安い。
「買った。」
まぁ俺は一着でいいかな。
「アルスー。決まったかぁ?」
ジャケット持ってズボン売り場に行く・・・ってあれ?いない。
「あら、アルちゃんなら試着してるわよ?」
「あ、そうかい。」
まぁ服とか買うのに重要なのはまず試着だしな。
「で?どんくらい前に入ったんだ?」
「さっき二つとも試着したからそろそろ出てくると思うけど?」
もう履いたんかい。速ぇな。
【シャッ】
店の奥の方でカーテンが開いた音がしたってことは出てきたようだな。
「リュウジさん、お待たせしました。」
「おう。決まったか?」
「はい。」
で、差し出されたのはさっきと同じ綿百パーの茶色い半ズボンと同じくデニムの長ズボン。悩んだ末これにしたってか。
「ん、じゃ会計済ますか。」
ズボンを受け取ってジャケットと一緒にレジへ。
「はいはーい、毎度おおきに〜♪」
ママさんはおそらく関西出身だ。多分。
【ピッピッピッ】←レジの音
「え〜っと・・・三点で二千九百円になりまーす♪」
「あいよ。」
「あ、そうそう。」
「?」
ポンと手を打つママさん。何だ?
「今日は再会の印として、と・く・べ・つ・に♪アルちゃんに新作の服を一着サービスしちゃうわぁ♪」
「え、ボクに?」
ほぉ、そいつぁありがたい。
「サンキューママさん。あ、それもちろんタダだよな?」
「当然♪」
紙に包まれた新作とやらをさっきかった服が入った紙袋の中に入れるママさん。
「ところでぇ・・・」
?
「リュウリュウとアルちゃんってさぁ、付き合ってたりする?」
「!!!!????」
「?」
いきなり何言ってんだ?
「ち、違います!付き合ってなんかいません!/////////」
「買い物には付き合わせたりするけど何か?」
「「・・・・・・・・・。」」
「?」
何だ?二人して沈黙しやがって。俺変なこと言ったか?大体、付き合ってたりするって言われても何に付き合ってんのかっていう主語が抜けてるし。
「・・・リュウリュウがそういった話に関しては無知だっていうの忘れてたわ。」
「・・・はい。」
今スッゲェ無礼なこと言われた気がする。
「ま、いいわ。とりあえずこれ。」
「ん、サンキュ。」
紙袋を受け取ってっと。
「じゃ帰るか。」
「はい・・・。」
元気無くなってんじゃねえよ。
「そんじゃあなママさん。」
「またね〜リュウリュウ♪アルちゃん、頑張って!」
「い、言わなくていいですってば!////////」
何を頑張るのやら。
〜帰宅〜
「ただいま〜。」
「リュウくんお帰り〜!」
「ポイ。」
【ドゴン!】
何か飛び掛ってきたけど普通に背後の玄関に投げ飛ばしておいたから気ニシナーイ。
「おかえり〜二人とも。お目当ての物買った?」
「おう。」
袋から服を床に広げてるととフィフィが飛んできて肩に止まった。
「ところで、ママさんがくれた新作の服って何でしょうね?」
「さぁな。見てみんとわからん。」
とゆーわけで、さっそく拝見。紙に包まれた服を取り出してみることに。
さて、どんな服なのか・・・
【ガサガサ・・・】
「・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・。」←クルル復活
「・・・何だこりゃ?」
「え・・・っと・・・。」
「う、うわぁ・・・。」
「何だろね・・・これ。」
これどっかで見たなぁ・・・えっと確か何とか喫茶ってので・・・。
「・・・・・・・・・・。」
「ねぇ・・・この形どっかで・・・。」
「え〜っと私のお城にいた人達が着てる奴より短いけどこの服は〜・・・。」
「「あ。」」
・・・?
「「メイド服。」」
「こんなのヤだーーーーーー!!!」
・・・本人嫌がってるし、クローゼットの奥にでも置いとくか。
・・・メイドとかよくわかんないんですけどね。
アルスが買ったズボンは後日また履きます。