第六十二の話 煙の罠と人質
第三部です。
〜フィフィ視点〜
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・うぅ・・・。
「・・・?」
・・・どこ・・・ここ?
「!?」
そうだった・・・確かあの時私、いきなり・・・。
「ほい上がり〜!」
「!テメ、さっきから連勝じゃねえか!」
「イカサマしてんじゃねえだろうな!?」
「んだとぉ〜?」
?
あ、だんだん視界がハッキリしてきた・・・。
場所は・・・・・・・全く見覚えのない、何かゴチャゴチャした・・・倉庫?
少し離れた位置で机を囲んで何か言い争っている男が数十人・・・
ホントどこよここ?
「お〜?お目覚めかぁ妖精さんよぉ?」
へ?
「・・・。」
声がした方を見上げれば、何かいかつい顔した金髪の男が、下卑た笑みを浮かべながらこっち見てた。
正直に言います、気持ち悪。
「・・・アンタ、誰?」
「おぉ、日本語話せんじゃねえか。どこぞのアニメとは違うな。」
・・・質問答えてない・・・。
「話聞きなさいよ。アンタは誰よ?そんでここはどこなのよ?」
「・・・チッ。」
舌打ちされる意味がわかんない・・・。
「テメェさぁ、この状況わかってんの?」
「この状況?・・・・・・!」
・・・
はぁ、何で全然気が付かなかったかなぁ・・・
思いっきり檻に入れられてるし。ご丁寧に鍵付き。
「お前はな、これから売りに出されんだよ。希少動物としてな。」
「売る?」
「ああ。だからって調子乗ってると、痛い目見るからな。大人しくしとけよ?」
・・・・・・・
まったく・・・どっちが調子乗ってるんだか・・・。
大体何?売る?私を?
フン、冗談じゃないわ。何が希少動物として売りに出されるよ。欲に満ちた奴ってホント考えることが愚かね。どこの世界でも一緒ってとこ?
こっちはねぇ・・・一族の中じゃ一番高い魔力を持ってる妖精族なんだから。
【シュボッ】
「・・・にしても、こいつ売るのはちょっともったいねえな・・・見世物にしても売れるんじゃねえか・・・?」
・・・金髪がこっちから目を離してる今がチャンスね。
私に恥かかせたこと、後悔させたげるわ。
『炎よ、飛
・・・!?ゴホッゴホッ!」
くはっ!・・・・・・な、何?息が・・・苦し・・・。
「?おい、テメェ何してんだ?」
くっ・・・!
こんな・・・こんなこと、今まで一度も無かったのに・・・
げ、原因は・・・何なの!?
「・・・ははぁん、さてはテメェ・・・
タバコの煙が苦手なのかな〜?」
た、タバコ・・・?この男が口に咥えてる奴・・・?
「キヒヒヒ、妖精さんは意外な弱点をお持ちで・・・プハァ。」
グッ・・・!カハッ!・・・はぁ、はぁ・・・
「ふ・・・不覚・・・ね・・・。」
この煙の毒・・・私の魔力を打ち消してる。
ハハッ・・・油断・・・してたわ・・・。
「おーい、一つ提案なんだが、こいつを売るのもいいが見世物にするってのもいいんじゃねえか?」
「お?そういうのもありですね。」
「リーダー、頭が回るぜ。」
「はっ、これくらい誰でも思いつくっての。」
見世物・・・って・・・くっ!
「だ・・・誰がアンタ達の言いなりになんかなりますか・・・。」
「あ?」
・・・ふん、そんな睨み・・・リュウジに比べたら屁でもないわ・・・
・・・・・・・。
・・・・・なのに、何で・・・?
「テメェ、リーダーの前で調子乗ってんじゃねえよ。」
「・・・。」
「おい、何とか言えよテメェ!」
「やめとけ。大事な商品に傷がつく。」
暴れようとしてる下っ端をさっきの男が抑えた。
「じゃ、これからのことについて話していかねえとなぁ。」
「へへっ、大金ガッポリ儲けてやるぜぇ。」
・・・・・・・・・・・。
恐くない・・・こんな奴らモンスターに比べたら恐くない・・・
なのに・・・
何で震えてんのよ・・・私。
・・・。
「・・・・・・うっ・・・ひっく・・・。」
・・・こんなことなら・・・あの時怒って出て行かなきゃよかったなぁ・・・
・・・アルスぅ・・・。
【ガシャン!!】
「フィフィーーーー!!」
・・・?
〜アルス視点〜
「はぁ、はぁ、はぁ・・・。」
結局川原から魔力を辿っていった結果、街から離れた古い倉庫街の一角まで来てしまった・・・遠かった・・・。
「おい、何だテメェは。」
「ガキ・・・?」
・・・派手な服装をした男の人が数十人、一番奥にも一人・・・
「!フィフィ!」
その隣に、鳥籠の中に閉じ込められているフィフィがいた。
「・・・アルス・・・?」
よかった・・・意識はあるんだ。
「んだよこいつの知り合いか?」
「さしずめ緑色だからピーター○ンってとこか〜?ヒャヒャヒャ!」
・・・・・・・・・。
「悪いんだけどさぁ、こいつの今の所有権、俺らなんだわ。」
「そういうことだから、ガキはさっさと帰りな。」
「それともネバーランドにでも飛んで帰るか〜?」
「ギャハハハハ!それ最高!」
・・・・・・・・・
許せない・・・。
「・・・フィフィを・・・。」
【スッ・・・・・・・パシューン】
『!?』
「・・・フィフィを返せえええええええええええ!!!!!」
右手に召喚した剣に気を取られている隙に、一気に叩く!
【ガス!】
「がっ!?」
一番手前にいた男の腹に剣を叩き込む。ただ殺したら元も子もないから鞘付き、それでも十分威力はある。
「テメ!」
「!」
【ガキン!】
迫ってきた鉄棒を剣で受け止める。
「でやぁ!」
【ゴスッ!】
「ぐぇ!」
すかさず腹に蹴りを入れて距離を取った。
人数が多いけど、実力はない・・・いける!
「死ね!」
「!くっ!」
【ガゴン!】
背後から・・・。
「はぁ!」
【バキィ!】
「おごっ!」
剣を振り上げて顎を砕く。
でも・・・実力は無いけど・・・数が・・・。
「はぁ・・・はぁ・・・。」
・・・さっき走り過ぎて・・・体力も無くなってきてる。
・・・。
でも・・・。
「負けない!」
【ズゴッ!】
「ぐえぇ!?」
正面から襲ってきた男の腹に一突き。
よし、これで活路は・・・!
「止まれ。」
「!?」
な・・・!?
「・・・お前、こいつがよほど大切らしいなぁ?」
「・・・うぅ・・・。」
くっ・・・!
「ひ・・・卑怯な・・・。」
「おい、そんな口叩いていいのかぁ?」
「!!」
「・・・こいつ、刺すぞ?」
「や、やめろ!」
リーダー格の男が、フィフィにさらにナイフを突きつけた。
「ア・・・ルス・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
・・・くっ・・・!
【ガシャン!】
「アルス・・・!?」
「へへっ、物分りいいじゃねえか。」
剣を捨てたら・・・周りにさっき打ちのめした男達が集まってきた。
「さっきはよくもやってくれたよなぁ、あぁ?」
「あ〜あ〜、メチャクチャ痛かったんだぜぇ?・・・覚悟しろよこのガキ。」
・・・・・・。
「・・・ごめん、フィフィ・・・。」
【ガスッ!!】
・・・自分で書いてて敵がすんごいムカつきました・・・
あ、すいません。続きます。