第四十七の話 両親からの贈り物
〜龍二視点〜
さて、今日の昼飯は手作りハンバーグっつーわけでただいま挽肉とその他もろもろの材料をコネコネしております。こねこね。
【ピンポーン】
?誰か来たか?
「おーいアルス。悪いがちょっと出てくれねぇか?」
「あ、はーい。」
アルス達がリビングでかの有名なサングラスのオッサンが出てるお昼の番組『いい○も』を見てたんで暇と見なし一番物分りがいいアルスにインターフォンを取らせる。
「はい。・・・あ、はいわかりました。」
【ガチャ】
「リュウジさん。宅配便だそうですよ?」
「あ、そうか?じゃ判子持って出てくれ。下駄箱の上にあるから。」
「はいはい。」
大分慣れてんなアルス。
「リュウジさ〜ん、こんなの届きましたよ〜。」
しばらくしてから、大きめの箱を抱えたアルスが帰ってきた。
「誰から?」
「さぁ・・・この言葉はボクにはちょっと。」
「私も無理〜。」
「私も。」
「やれやれ。」
しゃあねぇから手についた肉を洗い落として三人のところへ。
「えっと・・・。」
英語か・・・ある程度の読解力を持ってるから差出人くらいわかる。
日本語に訳すと・・・
『差出人 荒木 省吾・荒木 真帆』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
バカ親からだった。
「誰からですか?」
「あ〜・・・うちのバカ親どもだ。」
「え!?それじゃお義父さんとお義母さん!?」
「何故に!?」
つーかクルル、お前の親父とお袋じゃねえっつの。
「とりあえず開けてみようよ。」
「そうだな。」
贈り物とは珍しいし。
箱の蓋に付いているテープを剥がして・・・
【パカ】
開いた。
「どれ・・・。」
中身を覗きこんでみる・・・。
「・・・。」
「リュウジさん、何が入ってたんですか?」
「見せて見せて〜!」
「私も〜。」
三人も中身を覗きこんだ。
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・何ですかこれ?」
「ガラクタ。」
「一言で片付いちゃったね。」
「見たまんま・・・。」
しゃーねぇじゃん。ガラクタなんだからよ。何よこのお土産みたいな使い道のわからん奴の数々は。
うーん親に対しては俺ツッコミに回りそうだな〜。
「・・・お?手紙が。」
ついでに手紙も同封されていた。ちゃんと親父とお袋の名前も書いてある。
え〜っと・・・?
『愛しい愛しい息子こと龍二へ。恐らくこの部分だけでよし、破り捨ててやろうと思ったに違いないけど最後まで聞いてくださいお願いします。
私、荒木 省吾とマイスウィートエンジェル荒木 真帆は、この度なんと・・・あれ?何だっけ?忘れちゃったーあははははってすまない冗談だからホント謝るだから燃やそうとしないでお願いだから。
あ〜この度なんと・・・結婚記念日ということで世界各国旅行中でーす!どーだすごいだろー!ははははってああああああすいませんすいません粉々にはしないでくださいお願い!!!
ま、まぁこれだけで手紙を寄越したわけじゃないんだ。お前にも寂しい思いをさせているだろうと思い、訪れた国の特産品を一部送ってやろうと思ってな。気に入ってくれたらいいんだけど。
私とハニーは元気だよ。ハニーからは“あまり人を精神的にダメにしすぎちゃダメよ?”と伝えておいてくれと頼まれたからここに書いておくけど、ハニーの言うことはちゃんと守れよ?
それじゃ私は旅行しながらハニーと愛のファイティングバトルをしつつ、楽しんでくるよ。
PS・そのうちそっちに一旦帰ろうと思うからよろしく。
パパとママ、あ、ごめんなさい父と母より。』
・・・うん、いつ見てもきったねぇ字。
「・・・ホントすごいですねお二人とも・・・。」
「まぁな。」
俺でも認めるくらいだからよっぽどだ。
つーか親父は予知能力でもあんのか?破り捨てようと思ったし焼き捨てようと思ったし粉々にしようと思ったし、全部当ってんじゃん。やるね親父。
・・・それといつか帰ってくんのかあいつら・・・まぁいいけどな俺とっくの昔に慣れてるし。でもこいつらが・・・大丈夫かね〜?
「あ!リュウくん見て見てー!」
・・・ま、今更心配してもしゃあないな。
「何だクルル?」
「これ可愛い〜!」
差し出された手を見てみれば・・・。
「お?マトリョーシカじゃねえか。」
「まとりょーしか?」
首を傾げるクルル。そうか、こいつらの世界には無いんだな。まぁ予想ついてたけど。
「ちょっと貸してみな。」
クルルからマトリョーシカを受け取って頭の部分を引っ張ってやる。
【パカ】
「あ!小さいの出てきた!」
「まだ出てくるぞ。」
でもっかいパカっと。
「すごーい!!可愛いー!!」
そこまで喜ばれたら親父達も報われるだろうな・・・俺どう反応したらいいかわからんが。
「・・・・・・・・。」
「ん?どしたアルス?」
マトリョーシカで遊んでいるクルルに対し、アルスはある物を凝視していた。
「・・・こ、これは・・・。」
「?」
アルスが取り出したのは・・・
「あぁ、パンダのぬいぐるみか。」
「ぱ、パンダ・・・ですか・・・。」
多分中国のだろう。いや〜可愛いもんだ。
「・・・あ、あの・・・。」
「あ?」
「これ・・・も、もらっても・・・?」
「ああいいぞ。」
「あ、ありがとうございます・・・・・・・・やった♪」
今すっげぇ嬉しそうな声で呟いたろ。
「ホントいろいろあるね〜。まぁ私には興味無いのばっかりだけど。」
「ほぉ〜?じゃお前がさっきさり気なく箱から引っ張り出してその上楽しそうに乗っかってるそれは何だ。」
「ぴぇ!?あ、いやそのぉ〜・・・・・・・・べ、別に何だっていいでしょ!!」
逆ギレすんなイタリア製クッションに乗っかった贅沢妖精が。
にしても・・・まったくうちの親どもは・・・。
・・・。
「・・・ま、こいつらが喜んでるからいいか。」
さて、そろそろハンバーグ焼くかな。
・・・あの二人が帰ってきたらこいつらどんな反応すっかね?
まだ両親は出ませんが、そのうち出します。ただ今ネタ考え中ですので。
ついでにマトリョーシカというのはロシアの人形です。卵みたいな形してて中から次々と小さい同じ人形が出てきます。小さい頃はまってました。
あ、そうだ。最後に一つ小話を。
うちの親父のセリフ
「サンド〜バッグに〜♪」
あ、これ明日のジョーのテーマね。
「立て!立つんだ、ジャーーーーーー!!!」
ジャーって何よ?