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第四十二の話 真相 その2

じっくり考えてたら更新が遅れてしまいました。ごめんなさい。



〜龍二視点〜



「ホントに大丈夫なんでしょうか・・・?」

「さぁな、俺らは基本的には裏方だ。大丈夫なのかどうかはクルルにかかってんだ。」

「・・・。」

「クルル・・・。」


え〜、只今俺らは雅の家へと向かってます。


何故か?そりゃ決まってんだろ。クルルに対するスティルの偏見を無くすためだ。


でも憎しみとかは完全には消えねえだろうな。簡単に許せるんなら全世界の人間仲良しこよしだ。


あくまで、スティルが抱くクルルに対する敵対心を消すため。その為には本人とクルルが対談しなけりゃならん。


これは俺らが提案したんじゃなく、クルル本人から言い出したことだ。昨日の話の後に申し出たってわけ。


しかしまぁ、本人にしては相当な覚悟を要しただろうな〜・・・。


「・・・。」

「クルル、ホントに無理しなくていいよ?」

「だ、大丈夫だから・・・ありがと、フィフィ。」


そうは言っても顔色が優れねえぞ。


「・・・。」


昨日の話・・・・・・・・あれを聞いてから、こいつに対する印象は微妙に変わった。


いや、これからだってこいつの扱い方は変える気ゼロだけんな。


だがその話を実現させるには・・・やっぱりスティルとは仲良くしたいんだろう。それにずっと睨まれっぱなしってのも気分悪いしな。


「・・・ん?」


考え込んでたらいつの間にか雅の家まで来たが・・・門の前にいるのは・・・


「久美、香苗、リリアン、カルマにケルマ。」

「あ、リュウちゃん。」

「龍二!」

「龍二、アルス、フィフィ・・・。」

「「魔王さま!」」


双子だけにハモってるね〜。息ピッタシ。


「もう来てたか。」

「うん、今来たとこ・・・それよりクルルちゃん、ホントに大丈夫なの?」

「それさっきアルスも言ってたが、それはクルルしだいだ。」


あぁ、こいつらが来てる理由はだな。昨日の晩に電話で久美と香苗に事情を説明してから皆も連れて来い伝えといたからだ。


俺に昨日話してた内容を知っているのはロウ兄弟とかその他の城の一部の連中だけらしいからな。内容を知ってる奴も来ていた方がもしかしたら役立つかもしんねえ。


それにスティルもアルス達の仲間なんだから、皆で立ち会うべきだ。とアルスが言い出したし。


無論、雅にも連絡はしてある。


「「魔王様・・・。」」

「カルマ、ケルマ・・・久しぶりだね。」


そういやここしばらくこいつら会ってなかったんだよな。俺はこないだロウ兄弟に会ったけど。悲惨な状況で(第二十九の話参照)。


「じゃ行くぞ。」

「う、うん・・・。」


緊張した面持ちで返事をするクルル。


それをちょっと見てから、俺はインターホンを迷わず押した。


【ピンポーン】

【ガチャ】


『あ、龍二か。待ってたぞ。』

「よう雅。」


今回はいつものやり取りは無しだ。クルルにとっては重要な話だからな。


【ガチャン】


門の鍵が開く音がし、俺らは門を開けて敷地内に入った。


【ガチャ】

「入ってくれ。」

「おう。邪魔するぜ。」

「・・・。」


雅が扉を開けて出迎えてくれて俺らはゾロゾロと家の中へと入っていった。


いつもなら皆で談笑とかすんだが・・・今回の件が終わるまでそれも無しだ。


「あ、皆いらっしゃい。」


涼子さんがお出迎え。いつもならニコニコしてんだが今日は曇った表情をしている。


「スティルは?」

「リビングにいるわ・・・でもすごい機嫌が悪そう・・・。」


だろうな〜・・・。


「・・・・・・。」

「ほらクルル、しっかりしろ。」

「う、うん・・・ごめんねリュウくん。」


機嫌が悪いっていうのがわかって緊張感アップすんのはわかる。だがこうなることは覚悟してたはずだし。


「魔王様、お気を付けて・・・。」

「もしもの場合は、ボクらが駆けつけます。」

「うん、ありがとう二人とも。」


二人を連れてきたのはそん時のために備えるっていう意味でもある。





あ〜、とりあえず内容はこうだ。クルルとスティルが一対一で話をする。これだけ。





?大雑把過ぎだぁ?これ以上どうしろってんだ。


まぁ確かにいきなり一対一で話をつけるっていうのはきゅうすぎだ、という意見もあるだろう。でもこれはクルル本人が一対一で話したいっていう要望でね。


ま、早い話が俺らがその場にいれば話が余計こじれる可能性大ってわけよ。いざとなったら飛び出すけどな。


・・・今思ったけど今日の俺ってえらい饒舌だよな〜。


「じゃあ、頑張って魔王。」

「落ち着いてね。」

「大丈夫・・・わかってもらえる。」

「「お気をつけて。」」


アルス、フィフィ、リリアン、ロウ兄弟の順で声をかけていく。


「・・・うん・・・。」


皆の言葉を受けて、スティルがいる部屋へと入っていこうとするクルル。


「・・・クルル。」

「?」


と、俺も言いたいことがあるから呼び止めた。


「・・・お前が言いたいこと、ありのままに伝えろ。目を背けるな。」

「リュウくん・・・。」


・・・これぐらいしか言うことねえしな。


「・・・行きな。」

「・・・うん!」


力強く頷くと、リビングへの扉を開けた。




〜ライター視点〜



ここからは俺が話すとしようか。龍二達もいないし、スティルもクルルも頭が色々一杯一杯らしいから。




広いリビングへと足を踏み入れたクルル・・・。


「あ・・・。」

「・・・。」


部屋の中央の長テーブルの向かい側に、スティルが座っていた。


クルルが部屋に入ってきた瞬間、キッと鋭い目つきでクルルを睨む。


「!・・・・・・・・。」


一瞬怯んだクルルだが、その視線から目を逸らさずにスティルの反対側の席に座った。


「・・・。」

「・・・。」


しばらく無言・・・嫌な沈黙が辺りを包む。


「・・・あの。」

「・・・。」


クルルが声をかけるが、スティルは一切反応無し。


「・・・あの、私の話・・・聞いてくれませんか?」

「・・・。」


侮蔑を込めた目でクルルを見るスティル・・・それに気付きつつも、クルルは臆することなく言葉を紡ぐ。


「・・・あなたが私のことを怨んでいるのはわかってる。今までだって、散々苦しめてきたから・・・。」

「・・・。」

「だから絶対に許してくれるわけがないって思ってるの・・・でも言わなきゃって・・・。」

「・・・。」

「・・・・・・・ごめんなさい・・・・。」


ただ一言、小さな声で言った。スティルから初めて目線をはずし、深く頭を下げながら。


「・・・。」

「・・・ごめんなさい!!!」


イスから降りてフローリングの上で土下座をするクルル。


クルル本人も謝って許されるはずが無いと自覚していた。


でもどうしても謝りたかった。怨まれる心当たりは腐るほどある。魔王という立場上、かならず怨まれる。それが自分達の世界の常識だった。


「・・・。」

「・・・ごめん・・・なさい・・・。」


土下座の姿勢を崩さないまま、小さな声でポツリと呟くクルル。その声はすでに涙声だった。


次に何を言われるかを恐れながら。


「・・・言いたいことはそれだけか。」

「・・・。」


やっと喋ったスティルから出た言葉は、冷たく、明らかに侮蔑が込められていた。


「ふん・・・それだけが言いたくて私の前に来た、というのか・・・バカらしい。」

「・・・。」

「・・・謝っただけで、自らが犯した罪が許されると思うか?」


しだいに、スティルは肩を震わせていった。


「貴様が・・・貴様が私の・・・俺の家族を、村の人間を・・・殺したんだ。」


冷たかった声が、熱が込められた怒鳴り声へと変わった。


「六年前!俺がいつも通り村はずれの畑から戻ってみれば、貴様の手下であるモンスターどもが、村を襲撃したせいで!!父も母も、妹も!!!村の皆も!!!全員慈悲など最初から無いかのごとく皆殺しにした!!!!」

「・・・・・・・。」

「その時の俺の屈辱!皆の無念!!それが貴様にわかるというのか!!??わからないだろうな!!!!貴様は所詮、人間など虫けら以下にしか思ってない魔王なのだからな!!!!」

「ちが・・・。」

「何が違う!!!現に、俺達の村以外の人里も襲っているだろう!!!!」

「・・・うっ・・・。」

「謝って許されると思ってるとはいいご身分だなぁ!!!??だが言っておくぞ!!俺は、家族を、村の皆を殺した貴様を絶対に許さない!!!許すわけにいかないんだ!!!!!」

「・・・・・・・・・・・・。」

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」


散々怒鳴り散らし、いつの間にか立ち上がっていたスティルは力なくイスに座り込んだ。額には汗を流し、目からも涙が溢れている。


「・・・もういい・・・俺の・・・私の前から消えろ・・・。」

「・・・。」

「本当は今すぐでも殺してやりたいけど・・・ここでは分が悪すぎる・・・。」

「・・・。」

「・・・・・・・・早く消えろと言っている!!!」

【ガァン!】


立ち上がる際に隣のイスを蹴飛ばすスティル。一瞬怯んだかのように震えるクルルだが、頭は上げようとしない。ずっと同じ姿勢のままだった。


「・・・・・・・・ごめん・・・・・・・なさい・・・・・・ヒック。」

「・・・チッ!」


もはや何を言っても無駄だと判断したのか、泣いているクルルに目もくれずに脇を通り過ぎ、リビングから出て行こうとした。













【ガチャ】

「はいちょっとストップ。」

「!?」




その行く手を遮るかのように扉が開いて、龍二が中に入ってきた。


「な、何ですか・・・。」

「急に敬語かよ。ま、そんなこたぁどうだっていいけどな。」


後ろ手で扉を閉め、龍二はため息を吐く。


「とりあえずまぁ席戻れ。俺からも話がある。」

「・・・嫌です。いくらあなたでもこればかりは・・・。」

「拒否権なし。座れ。」

「だ、だから・・・。」

「座れ。」

「・・・・・・・わかりました。」


有無を言わさぬ迫力に押され、渋々元の席に戻るスティル。


「クルル。」

「・・・うぇ・・・ひっく・・・。」


龍二が呼びかけても、ずっと泣いたまま立ち上がろうとしないクルル。仕方なく、龍二はクルルの背中を擦りながら微妙に顔を上げ、スティルを見据えた。


「なぁ、スティルよ・・・。」

「・・・何ですか・・・。」


不機嫌丸出しのスティルに対し、龍二は平然と話しを進める。


「・・・今から俺が話すこと、全部ホントのことだから信じて欲しいんだが・・・いいか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・はい。」


長い間を置いて、スティルは頷いた。


「・・・いいよな?あの事話して。」

「・・・・・・。」


背中をポンポンと優しく叩きながらクルルに問いかける龍二。それに対してクルルは、ホントに小さく、小さく頷いた。


それを龍二は見逃さなかった。


「・・・じゃ話すぞ。」


次は長編最終回です。最後まで読んでくださるなら感激です!

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