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第四十一の話 真相 その1


〜龍二視点〜


「・・・・・・・。」

「・・・・・・・。」

「・・・・・・・。」

「・・・・・・・。」








しょっぱなから気まずいな〜おい。




さて、今の状況説明。普段は色々のんびりしたり遊んだりしてるはずの午後の休息タイムの時間なんだが、いかんせんクルルがなぁ・・・・・・昨日の一件ですっかり塞ぎ込んじまってねぇ。普段底抜けに明るい奴がドンヨリ曇り空だと、こっちも気が滅入っちまうんだよ。

おかげで家の中までも暗雲状態。晴れる気配はない。


『魔王・・・大丈夫なんでしょうか?』

『さぁな。こればっかりは俺じゃどうにもできん。』

『でもこうも暗いとな〜・・・。』


昨日の晩のうちに、アルスとフィフィに詳細を説明してやったから何でクルルが暗いのか理解している。


あ、ちなみにさっき喋って会話したんじゃねえよ?俺らの間では可能なアイ・コンタクト。


しばらく生活してたらこんなんできるようになっちゃいました♪


・・・無理して明るくしようとしたら失敗したな。今画面の向こうで引いた奴出て来い、龍閃弾食らわしたる。


「・・・・・・。」


今現在、クルルは縁側で庭に置いてあるうちのジジイが送りつけてきた盆栽をぼんやりと眺めている。その後ろ姿は何つーか、ものっそい憂いを感じずにはいられない。


「・・・はぁ・・・。」


思わずため息が出てます。ため息つくと幸せ逃げるって言われるが、すでに何かもう幸せ逃げちまってるっつーのって感じだね。


「・・・。」


にしてもまぁ・・・・・・見てていたたまれねぇなぁ・・・。


「魔王・・・。」


アルスも俺と同じ気持ちらしい。顔がそんな感じだし。


「何か・・・いつものクルルらしくなくてしっくり来ないな〜。」


それさっき俺も思ったぞフィフィ。


しかしあれだな・・・そこまでして思い悩んでたなんてな。スティルとの一件は、本人にとっては精神的ダメージがでかかったらしい。


でもいくら何でもこのままだとクルルそのうちマジで寝込んじまうな。


「・・・しゃあねえなぁ。」

「リュウジさん?」


首を傾げるアルスをよそに俺は立ち上がって、


「よっと。」


クルルの隣に腰掛けた。


「・・・。」


チラっと目だけ俺を見たが、すぐに視線を正面に戻す。足をプラプラさせてながら無表情でボケ〜っとしてんのは一見黄昏てるみたいに見える。


「・・・。」

「・・・。」


とりあえず無言・・・まず何から話そうか・・・。


「・・・おいクルルよ。」

「・・・。」


返事なし・・・当然か。


「いつまで塞ぎ込んでんだ?お前らしくねえ。」

「・・・。」


・・・。


「・・・なあ、前々から思ってたんだがよ。」

「・・・?」


あ、ちょっと反応した。


「魔王ってよ、世界征服が目的なのか?」

「・・・。」

「まぁ無理に返事しなくていい。」


あんまり本人にとって酷なことは聞きたくないんだが、今回ばかりはしゃあねえし。


「・・・うん・・・。」


小さいが、返事はしてくれた。


「・・・じゃいきなり聞くけどよ・・・












お前、ホントは魔王やりたくなかったんじゃねえか?」

「!」


さっきの無表情から驚きへと表情を変えた。


ピンポン・・・だな。


一緒に生活してると、こいつの性格がわかってくる。


一時、こいつから魔王ってのは何なのか聞いたことがある。魔王ってのは魔族の中で一番魔力がでかい奴がなり、そして人間やその他の種族が住む世界を支配し、生き物を虫けら同然に扱う、逆らう者は誰であろうと苦痛を与えながら殺していく・・・よくゲームとかに出てくる典型的悪役っつーわけだ。




魔王が何であるか、こいつも深く理解はしている・・・つーかしてるつもりなんだろうと思う。




だがそんな残忍で冷酷で無慈悲な者が魔王としての理想像に対して、こいつはどうだ?


純粋で無邪気で明るくて優しくて、誰かと一緒にいなければ寂しがって、いっつも遊ぼう遊ぼうとせがんできたり、珍しい物には素直に驚いて、丸分かりな嘘だって信じ込んで、俺がどっかから帰ってきたら飛びついたりして喜んで・・・今は人に毛嫌いされてるのが物凄く辛くて悲しんでる。


メチャクチャ魔王の理想像からかけ離れてんじゃねえか。そんな奴が魔王になって世界征服して、他の連中から恨み買うような真似したいとか本気で思うか?


否、ありえない。俺はそう思う。


「・・・。」

「お前見てみればわかるぞ。ホントは魔王になんてなりたくなかったんだろ?」


クルルの家系は、先祖代々から魔王としての地位が決まっていた為に、クルルも強制的に魔王となることが決まってたってわけ。本人から聞いた。


自分の進む道が周囲の人間や家族に決められていく・・・完っ璧俺の大嫌いな生活だ。


「・・・お前、ホントに人から恨まれるようなことしたか?」

「・・・。」


押し黙る・・・それを肯定として受け止めるべきか、否定として受け止めるべきか・・・



・・・・・・・・・。



・・・ダメだな、勝手な憶測はこいつを傷つける。


「・・・しゃあない、か。」


質問を取りやめ、素直に引き下がるとするかな・・・。


「・・・リュウくん。」

「?」


お、話かけてきたか。


「何だ?」

「・・・あのね・・・。」


うんうん。


「リュウくんの言ってること・・・ほとんど合ってるの。」

「ほとんど?」

「うん・・・。」


じゃちょ〜っと違うってことか。


「私ね・・・




魔王になりたいって・・・自分から言ったの。」

「・・・。」

「もちろん、周囲からの期待もあったし、小さい頃から魔王になるべき子だって言われ続けてきたよ?・・・それ聞いて、ホントにやだったんだ。」

「・・・。」


それで?とうながしてやりたいが・・・


黙っておこう。


「でもね・・・今の私にとって、魔王っていう地位は必要だったんだ。」

「必要・・・ねぇ・・・。」

「うん・・・。」


・・・。


「・・・その必要だったっていう意味、教えてくれるか?俺に。」

「・・・。」


理由によったら、こいつに対する周りの偏見が無くなるかもしれん。それに俺に話すことで少しでも気が楽になれんならそれでオッケーって形で。


「・・・ホントは今まで一部の人にしか話さなかったけど・・・リュウくんなら。」

「サンキュ。」


・・・それによ・・・








こいつらが・・・アルスもフィフィも含めてツライ顔してんの見るの、何か嫌なんだよな俺。


多分、このお話は四話まで続きます。読んでくださる方々には大感謝です。

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