第三十九の話 今夜だけのダチ
若干シリアスです・・・シリアスかな〜?
〜龍二視点〜
あ〜買い過ぎたな〜。タイムセールスだからって調子乗り過ぎたか?つーか気付けば日ぃ暮れちまってるし〜。
「あいつら怒ってんだろーな〜。」
特に腹減り魔王が。
まぁそんな一人ごとを呟きつつも買い物袋掲げながら街灯の下をとっとと歩いてたんだが・・・。
『・・・・・・・・。』
「・・・ん?」
何か聞こえた?・・・気のせいか。
あ〜夜は冷えるな〜。
『・・け・・・・・。』
ん〜?・・・気のせいか。
『・・け・・・さ・。』
今朝?・・・気のせいか。
『た・け・・さい。』
竹菜?・・・気のせいか。
『助けてください・・・。』
助けてください?・・・気のせいか。
『・・・え、いやあの・・・気付いてるんでしょ?』
「気付いてません。」
『あ、そうですか・・・・・・・・・いえいえいえ!?返事するなら聞こえてるんでしょ!?』
「ノー。アイドンスピークジャパニーズHAHAHA。」
『思いっきしエセ外人丸出しじゃないですか!!』
「ワタシニホンゴヨクワカラナイ。」
『片言で日本語喋ってるじゃないですか!!』
「だって日本人だし。」
『いきなり開き直り!?』
うっせーなーこいつ。フワフワ浮かんでるんじゃねえよ。
「・・・つーかアンタ何?体透けてね?」
『そ、そりゃ私幽霊ですもん。』
衝撃告白!!!!
・・・・・・・・・・・・。
「でもぶっちゃけどうでもいいけんな。」
『え、ええええ!!??ふ、普通幽霊見たら驚くとか逃げるとか腰抜かすとかあるじゃないですか!』
「幽霊よりも結構すごい超常現象目の当たりにしてるからな。」
『幽霊よりもすごいの見たって何なんですか一体!?』
「つーかそれ以前に迫力ゼロの幽霊に言われてもね〜。」
『はぐあ!!』
リアクション豊富な幽霊だなおい。つーか俺は幽霊とかで驚かない。
あ、説明してなかったけどこの幽霊女な。長い髪とワンピース着てるのが特徴。後はご想像で。
「そんでぇ?何をどう助けて欲しいわけ?」
『へ?聞いてくださるのですか!?』
「うんにゃ聞くだけ。内容によっては帰る。」
『ひ〜ん!(泣き)』
「泣くなバカ鬱陶しい。」
『ひ、ひどい・・・。』
あ、何か落ち込んだ。
「とりあえずさっさと用件言えや。」
『は、はいぃ!え、えっと実はですね・・・。』
「はいはい。」
『あの・・・ですね〜・・・・・・。』
「はよ言えや。」
ドスを効かせてみました。
『ひぃぃぃ!ゆ、幽霊よりも恐いです!!』
「失礼な。つーかさっさと用件言えっつってんだろーが御祓いすっぞ。」
『は、はい!じ、実は・・・。』
〜場所は変わって川原〜
「ここか?」
『はい・・・。』
結構離れた場所にあったんだなぁおい。最初に幽霊にあった場所から歩いて三十分もかかっちまったよ。
「で?どこにあるんだお前さんの言う物は。」
『えっと・・・あそこだったと・・・。』
あそこってのは川につかるギリギリの所か。
え〜っと・・・。
「暗いな・・・ケータイ。」
【パカ】
ケータイの明かりはそんな強くは無いが、無いよりマシだな。
だがなぁ・・・・・・あんなモン一目見ただけじゃわかんねえぞ。
「ホントにこの辺か?」
『ええ、間違い無いです・・・多分。』
「多分かよ。・・・ってあれ?」
『ありました!?』
「いや。」
お目当てのモンじゃないが・・・。
「・・・。」
『あ・・・これですか?』
俺の目の前には血で黒く染まった大きめの石とその傍らに置かれた数々の花束があった。
「ここでアンタ死んだのか。」
『ええ・・・不覚にも足を滑らせて・・・。』
悲しげな表情で俯く幽霊。あ、名前は聞いてないから幽霊で。
「ふ〜ん・・・お?」
『え?』
【キラン】
・・・一瞬草むらが光ったな・・・あれか?
「え〜っと・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
ビンゴ。
「あったぞ。」
『ほ、ホントですか!?』
幽霊に向けてお目当ての物を差し出した。
『あぁ・・・やっと見つかった・・・。』
お目当ての物、『イヤリング』を見つめて涙声で呟く幽霊。
そ。これがこの幽霊が俺に頼んできた内容。何でも死んだ拍子に川原に大切なイヤリングを落として無くしちまったらしく、あれが無いと死んでも死に切れないというわけで自縛霊みたいになっちまったんだとよ。
で、自分は昼にしか出てこれないもんだし、オマケに目が何か相当悪いっつーこと(聞いた瞬間帰ろうとしたら泣きつかれた)で夜道を歩く人片っ端から頼んでたらしい。でも皆して気付かないか、霊感ある奴はビビって逃げ出すっつーわけで。
本人が言うには、家族全員霊感が強いから見えるはずなんだけどな〜・・・どっか引っ越しちまったらしいからなぁ。
で、この付近の連中にはあらかた頼んでみたがダメだったらしく・・・仕方なく俺らが住む地区まで来たってわけで俺に会ったっつーことだ。
そういや今思い出したけど学校で夜道に幽霊が出るぞ〜って誰か言ってたな。
つーかこんな恐くも何ともない幽霊なんぞに皆して何ビビってんだか。
『・・・ウッ・・・。』
ってあ〜こりゃマジ泣きだな〜。
「まぁ何はともあれよかったな幽霊。」
『はい・・・本当にありがとうございました・・・』
「気ニシナ〜イ。」
やれやれだぜホント。
「・・・で?それで満足?」
『あ、はい・・・。』
「ふ〜ん・・・未練、もう無いんだな?」
『・・・はい。』
「成仏すんの?」
『・・・・・・・はい。』
やっぱな〜。幽霊って未練無くなると成仏するもんなんだな。
『あ・・・。』
「?おぉ?」
ありゃりゃ、何か体光ってやがらぁ。
光る=成仏ってか?何かありがちだな。
「じゃマジでお別れだな。」
『そう・・・ですね。』
ったく、最後の最後まで切なさそうな顔すんなや。
「まぁホント短い時間だけだったが、お前さんなかなか面白かったぜ。からかい甲斐があって。」
『それどういう意味ですか!?』
「そのまんまの意味。」
『ぐぅ・・・言い返せません・・・。』
やっぱリアクションおもろいわコイツ。
『・・・あの・・・。』
「あ?」
『最後に・・・お名前は?』
そういやお互い名前言ってなかったな〜。
「荒木 龍二だ。」
『荒木・・・さん。』
「“さん”いらねえよ。普通に荒木か龍二でいいし。」
『・・・じゃあ龍二くん。』
“くん”かい。まぁ“さん”より堅っ苦しくなくていいか。
「で?アンタは?」
『ワタシは・・・川野 夏美です。』
「夏美、な。覚えておこう。」
『うん・・・それと。』
幽霊もとい、夏美の体がさっきより強く光りだした。
『ワタシ・・・
最後にあなたみたいな人に・・・龍二くんに会えて・・・よかった・・・。』
夏美が俺に手を差し伸べてきた。
それに応えて、俺も手を伸ばしてその手に触れる。
幽霊だから実体は無いはずなんだが・・・。
手を放した途端、夏美の体がさっきより強く光りだした。
そして・・・
『ありがとう。』
少し微笑んだかと思うと
夏美は消えた。
今度は無くしていたイヤリングをしっかり耳に付けて。
〜帰宅〜
「リュウくん遅い!!」
「何してたのよも〜!お腹減り過ぎて気持ち悪かったんだから!」
「あ〜わりぃわりぃ。すぐ支度すっからよ。」
案の定、家に帰ったらクソやかまし腹減り星人二人がギャイギャイ騒ぎ立ててお出迎え。
「・・・あれ?リュウジさんそれ何ですか?」
「ん?これか?」
俺は手に握っていたのをアルスに見せる。
「今夜だけの新しいダチからもらった♪」
俺の手には、金色に輝くイヤリングがあった。
どうでした?ちょっと書いてみたいな〜って思って書いてみました。