第三十二の話 風呂場パニック!
すこ〜し短め?
〜アルス視点〜
「「「ふゃ〜・・・。」」」
気持ち〜・・・・・・。
「やっぱりお風呂最高〜♪」
えっと・・・今お風呂に入ってます。魔王とフィフィと一緒に。
お風呂っていう文化(?)は、ボクらの世界には貴族や王族以外無かった物。基本的にはボクみたいな庶民の出は外にある池や川とかで水浴びをして汚れを落とす。
で、貴族とか王族がお風呂に入る理由は、体の汚れを落とすのが目的じゃなく、地位の高い者としての威厳と誇りをいつまでも保つようにっていうおまじないみたいな物。
・・・そんなとんでもなく貴重な時間を、今ボクは味わっている・・・あ、何もこの世界に来て今日初めてお風呂に入ったっていうわけじゃないですよ?ちゃんと入ってましたから。まぁ最初は物凄く抵抗あったし緊張したけど今は平気。
「ふあ〜・・・ぬくぬく♪」
かくいう魔王は・・・地位的には王族クラスだったからいつもお風呂に入ってたみたいなんだけど・・・。
「・・・ねぇ魔王。」
「ふにゅ〜?」
ちゃんと返事しようよ。
「元の世界でもそんなゆったりした感じにお風呂入ってたの?」
「ぜんぜ〜ん。」
うわ、即答。
「あっちのお風呂なんて堅っ苦しくてゆったりできたものじゃなかったな〜。いっつもメイドさんが私の体にお湯かけてさ、姿勢は正さないといけないとかさ、自由なんて全然なかったよ。」
「へ〜、アンタんとこもそうなんだ〜。」
「フィフィも?」
あ、フィフィは洗面器にお湯入れて入ってます。
「うん。昔からお風呂は神聖な儀式の一つだって子供の頃から習ってたし。」
「・・・あれ?フィフィって王族だったの?」
「!そ、そんなわけないじゃん!ただ習っただけ。」
今ので多分バレたと思うけど・・・。
「あ、そうなんだ。」
バレませんでした。
「あ〜でもこの世界のお風呂最高〜♪気持ちいいし、ゆったりしても構わないし、一人で体洗えるし、こうやって気兼ねなく話せるし♪」
「そういやアルスは水浴びで体洗ってたよね。それと比べてどう?」
「う〜ん、やっぱり冬は物凄くキツイからこっちがいいかな?」
夏は快適なんだけどなぁ。
「あ、そうだ。」
「?何?」
魔王のことだから何かよからぬこと考えそうだけど・・・。
「えい!」
【バシャ!】
「はぷ!?」
いきなりお湯かけられた。
「な、何を・・・。」
「あはは!誰かと一緒に水のかけあいしてみたかったんだ〜♪」
したみたかったんだ〜って・・・しかもこれ水じゃなくてお湯だし・・・。
「えい!えい!」
【バシャバシャ!】
た、耐えろボク・・・ここでかまうと魔王の思うツボ・・・。
「てい!てい!」
【バシャバシャバシャ!】
が、我慢我慢・・・。
「そりゃそりゃ!」
【バシャバシャバシャバシャ!】
・・・・・・・・・。
「うりうり!」
【バシャバシャバシャバシャバシャ!】
・・・・・・・・・・・・・・。
「・・・。」
「・・・。」
『水よ、飛べ。』
【ズゴン!】
「はぎょ!?」
い、いきなり後頭部に衝撃が〜・・・。
「あっはっはっは!ナ〜イスリアクション♪」
「ま、魔法を使うな〜!」
い、痛い・・・水球飛ばしたよこの人。
「む〜!お返し!『水よ、降り注げ!!』」
【バシャアアアアン!】
「みぎゃっ!」
上からの水圧に耐え切れずにお湯に顔面を突っ込む魔王。あ〜スッキリした♪
「プハッ!くの〜!『水よ、弾けろ!!』」
「何の!『水よ、かの者を襲え!!』」
【ドガアアアン!!】
【バシャアアアン!!】
「うりゃあああ!!」
「やああああ!!」
【ズバシャアアアアアン!!】
【バッシャアアアアアン!!】
「ちょ、ちょっと二人とも!?」←フィフィ
「ちぇりゃあああ!!」
「とうううううう!!」
【ズドバアアアアアアン!!】
【ザシャアアアアアアン!!】
〜一時間二十分後〜
「はぁ・・・はぁ・・・。」
「ぜぇ・・・ぜぇ・・・。」
「う、うあ〜・・・・・・。」
くっ・・・さすが魔王・・・。
「こ・・・これで・・・終わらせる・・・。」
「の・・・望む・・・ところです・・・。」
「・・・もう勝手にして・・・。」
こうなったら・・・最後の力を!!
「「てぃりゃあああああああああああああああ!!!!」」
行けえええええ!!
「じゃかぁしんじゃワレコラアアアアアアアアアアアア!!!!」
【*訳*うるさいよ君達!】
!!??
「「あ、ヤバ・・・。」」
・・・あ、暴れすぎた・・・かな・・・?
「風呂場で暴れるなんざどーゆー神経しとんじゃこらあああああ!!!」
ひ〜!だ、脱衣所から怒鳴られてるのに物凄く恐い・・・!
「とーーーーにーーーーかーーーーく!!!さっっさとここ片付けて風呂から出ろおおおおおおおおおお!!!!」
「「「は、はいいいいいい!!!」」」
【バンッッ!!!】←脱衣所の扉閉めた音+ちょっとガラスにヒビ入った
「「「・・・・・・・・。」」」
え・・・・・・・っと・・・・・・・
しばしの沈黙の後、とりあえずボクらはいそいそと風呂場の片付けを始めた・・・。
〜で、風呂上がり〜
「まったく・・・理由はどうあれ、次からは風呂場での魔法は禁止、それと入浴時間は最低三十分、最高四十分までオーケーとする。いいな?」
「「「はい・・・。」」」
お風呂から上がってパジャマに着替えてすぐさまリュウジさんの前に三人揃って正座して少し説教を受けた後に風呂場での魔法禁止条例及び入浴時間指定を言い渡されたボクら。もっと説教されるかなって思ってたけどそんなにガミガミ言われなかったのが救いだった。
「まぁ遊ぶのはいいけどな、程々にしろよ?」
「「「は〜い。」」」
完璧一家の大黒柱ですリュウジさん・・・。
「ん、よろしい。」
満足そうに言った後、座っていたイスから立ち上がった。
「じゃ俺風呂入ってくるわ。」
「あ、はい。」
「「ごゆっくり〜。」」
首に手を当ててコキ、コキと音を鳴らしながらお風呂場へと消えていくリュウジさん・・・。
うん、今度からゆったり入ろう。
自分でもちょっとやり過ぎたかな〜って思ったんで変更しました。さすがにね〜?