第三十の話 龍二の怨念!恐怖の大王以上!?(前編)
こ、今回の話はマジメにいろいろやばいです・・・。
〜雅視点〜
あ〜、今日はいい天気だ・・・。
?何故だ?俺が言った筈ではないのにもう一度言った気分になったのは?
まぁいいか。今日は姉さんがスティル連れて買い物へ行ったし、龍二の家へ行くか。
そんなわけで、今俺は道を歩いているんだけど・・・。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。」
「ひぃ、ひぃ、ひぃ、ひぃ、ひぃ。」
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ。」
うん、まさにそんな感じの荒い息を吐きながら、花鈴とアルスとクルルが必死になって走ってきた。何なんだ一体?
「おい。」
「あ、ま、雅!?」
花鈴はここに来てまだ浅くて女子には“ちゃん”を付けるが、男子に対しては呼び捨てだ。
「どうしたお前ら三人揃って?何かあったのか?」
「え、えっと、です、ね。」
「そ、その、ね。」
ぜえぜえはあはあ言いながら言葉を紡ごうとするアルスとクルル。無理するな。
「き、来たぁあ!!」
「「「!!??」」」
フィフィが向こうから飛んでくると、女子三人が驚いた表情で振り向く。
・・・で、フィフィが飛んできたさらに向こうからは・・・。
『むぁてやこんのボケええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あ〜・・・何て言うかな・・・
不良やチンピラやヤクザは当たり前、ヤクザの親分も裸足で逃げ、さらに全国ヤクザ連合(そんなんあるんか?)のトップに立つ人間さえも逃げ出し、ジェイソンも仮面とって逃げ出し、フレディも泣き喚きながら逃げ出し、エイリアンも惑星へと逃げ帰り、プレデターも同じく惑星へと逃げ帰り、かの有名なノスト○ダムスの大予言の恐怖の大王もさっさと宇宙へ戻り、悪霊も思わず成仏し、地獄の鬼も金棒捨てて逃げ出し、閻魔大王も椅子から腰上げて逃げて、悪魔も飛び去り、魔界の帝王も逃げ出し、つーか全世界に限らず魔界冥界天界森羅万象すべての存在とかが恐れおののく程
“ものごっつ凶悪な顔”をした“龍二”が“新幹線よりも速いスピード”で“俺ら”に迫ってきていた。
「「「に、逃げろおおおおおお!!!」」」
それを見たアルス達は半泣き状態になりながら駆け出した。
「・・・お、俺も逃げる!」
何故逃げるか?条件反射だ!!
『キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!』
お前それ人間が出す声じゃないだろおおおお!!!!
〜どっか(?)〜
「はぁはぁはぁはぁ・・・。」
「ひぃひぃひぃひぃ・・・。」
「ぜぇぜぇぜぇぜぇ・・・。」
「ふぅふぅふぅふぅ・・・。」
と、とにかく逃げ切れたか?
「・・・うん、なんとか撒いた・・・かな?」
フィフィがフワフワと飛びながら状況報告。現在地は町のとある薄暗い路地裏。ここなら目立たないし、格好の隠れ場所になる。
「と、とりあえず助かった〜・・・。」
クルルが襟をパタパタさせながら言った。いや、そのさ、そんな大きくパタパタさせられたら・・・って今は切羽詰った状況だから仕方ないな。
「い、今までで一番危なかった・・・。」
アルス、今までって今まで何されてきた。
「こ、こわ〜・・・。」
花鈴があまりの恐怖にガクガクブルブル震えている。
「・・・それより理由を聞かせてもらおうか。何でこうなった。」
まず最初に思うことはこれだろう。普段のあいつはあそこまでキレない。とは言ってもあれを見たのは最初じゃないが、それこそ一回こっきり、それも中学の頃に、だ。よほどの理由が無い限りありえない。
「え、えっと〜・・・ね?」
「聞くな。」
こっちは命かかっているんだ。
「あ〜・・・あれは・・・。」
〜花鈴の回想〜
『おう、花鈴じゃねえか。』
『やっほー龍二。』
あれはお昼が終わって一時間経ってからだった。龍二が散歩に行っていて留守の間に遊びに来たアタシをアルス達が入れてくれたんで家の中で待ってたんだよね。
『何しにきた〜?』
『ん〜?遊びに〜。』
まぁここまではいつもと変わらないよね?
でもね、問題はこの後・・・。
『さて・・・と。ラーメン食うか。』
『あ、龍二?』
『あ?』
【パカ】
返事をしながらキッチンにある普段乾物とかの食べ物を置いている扉を開けた龍二なんだけど・・・。
『・・・・・・・おい。』
『?』
『ラーメン・・・どこいったか知らないか?』
『あぁあれ?アタシ“達”が食べちゃった。』
『ご、ごめんなさいリュウジさん。』
うん、アルスはペコリと謝ったよ?
『ごめん・・・だと?』
『『へ?』』
『・・・ごめん・・・とな?』
『あ、あの、龍二?』
普段と何か違う・・・そう感じたアタシは龍二に手を触れようと伸ばし・・・。
【バシィッ!】
『いっ!?』
一瞬静電気がバチっと弾けたような音と同時にアタシの手は遮られた。
思わず手を引っ込めたけど・・・・・。
何か・・・めちゃくちゃ殺気が・・・いや近寄れないくらいの殺意が・・・龍二の体から滲み出てきていた。
『く、ククク・・・クフフフフ・・・クハハハハハハハハハハハハハ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・コロス(笑)。』
〜はい回想終了〜
「・・・・・・・・・・。」
し、しょーもね〜理由・・・まずそう思った。
「ま、まさかあそこまでキレるとは・・・ね?」
「た、確かにボクらに責任はありますけど・・・。」
「でもリュウくんがあそこまで怒るなんて・・・。」
「何でだろ〜ね〜?」
「・・・。」
ん?まさか・・・。
「花鈴?」
「何?」
「あのよ、そのラーメンの名前覚えてるか?」
「え?え〜っと確か・・・・・・・・あ!喜多方ラーメンだったわね。」
「・・・パッケージの色は?」
「えっと確か黄色と赤だったわ。」
「何人前?」
「え〜っと、アタシとアルスとクルルで三人前。」
「フィフィはボクのを少し食べてたから。」
「・・・・・・。」
「?それがどうしたのよ?」
やっぱな・・・謎は全て解けた。
「・・・まぁ言わなかった龍二も龍二だが、勝手に食ったお前らも悪い。」
「な!?たかがラーメンでしょ!?」
「ラーメン好きの人にとっては宣戦布告とも言える発言だな。」
かくいう俺もラーメン好きだけど。
「あのな、それ食べ物入れのどこにあった?」
「え?奥だけど?」
「・・・確実だな。」
「「「「へ?」」」」
「それな、限定品でそうそう簡単には手に入らない超貴重なラーメンだったんだよ。おそらくお昼に皆で食おうとしたのを、お前らが全部勝手に食べてしまったからあいつはキレたんだ。今まで食うのを我慢するために封印的な意味で奥に隠していたんだろうな。」
「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」」」」
はいむご〜ん・・・。
「・・・あ〜・・・。」
「そ・・・そんな・・・。」
「あちゃ〜・・・。」
「あわわ・・・。」
うん、そらキレるわ。あいつあれいつ食おうか時々話してたし。それで今度のお昼にでもアルス達にも食わしてやろうとかも言ってたしな。
で、勝手に食った上に自分は食い損ねたっと・・・大切に取ってた分、怒りのボルテージが尋常じゃなかったんだろーな。
「・・・ま、とにかく・・・。」
ポンと花鈴の肩を叩く。
「・・・謝罪しろ。そして潔く死」
「無理!無理です!!ホント無理!!!」
腕にしがみついてブンブン首を振る。いや痛い痛い痛いって力強いって。
「ちょ、お願いだからホント助けて雅!あいつの親友でしょ!?」
「な、何で俺が・・・。」
「お願いです雅さん!ボクらだけじゃどうにも・・・!」
「リュウくん止め方教えてよ〜!」
「お願い!」
う・・・・!そ、そんなキラキラ光線飛ばされると・・・・・・・クッ、四人とも美形だから余計に・・・・・・・・!
「わ、わかった・・・手伝う。」
「「「「やったぁ!!」」」」
そこまで喜ばれるのか・・・?
「で?どうやって止めるの?」
え〜っと確か・・・。
「・・・前回は・・・俺が・・・いや何でもない。」
「「「「?」」」」
この話はよそう。
「前は自然に止まった。場所は教室の中で被害は少なかったし、狙った連中は全滅したからな。」
「「「「で?」」」」
「今回も恐らく同じだろう。全ターゲットを殲滅しない限り、あいつは止まらない。」
「・・・えっと全ターゲットっていうのは・・・。」
「・・・お前らだろうな・・・多分一緒に逃げ出した俺もその内の一人に入ってるだろう。」
今思うとあいつ猛獣か。いやそれ以上だな今のあいつは。
「じゃあ・・・助かる見込みは・・・。」
「いや、一つだけある。」
「「「「?」」」」
多分・・・試したことはないが・・・。
「あいつのキレた原因はラーメンだ。ならラーメンをやれば落ち着くはず。」
「まさか・・・あの限定ラーメン?」
「そうだ・・・でもあれは抽選でしか得られない貴重品だし・・・俺も応募したがダメだったし・・・。」
「「「「「・・・・・・・・・・。」」」」」
打つ手ないじゃん。
「・・・役立たず。」
グハッ!か、花鈴、その一言はキツイ・・・。
「と・・・とにかく何とかしてリュウジさんを止めないと・・・。」
あ・・・そうだった。
「確かに止めないと。今のあいつの行動範囲は教室どころか町全体が範囲だから・・・。」
「え、それって・・・。」
「ああ・・・被害が拡大する。」
これ聞くだけだとかっこいいけど、原因と暴れてる奴を考えると迷惑極まりない話だな。
「でもボクらだけで?」
「何とかするしかない。」
クソ!こうなったらヤケクソだ。
「で?まずどうする?」
「とりあえずここから出よう。ここじゃ何もできない。」
「うん、臭うし。」
それは否定しない。
そうして俺達は路地裏から出た。
「じゃどうする?」
「あぁ、まずはあいつを探すのが先だ。じゃなきゃどうすることも・・・。」
そう言いかけて・・・
【ズドオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!】
「「「「「!!??」」」」」
近くの塀が破壊された。つーか吹っ飛んだ。
『おったあああああああああああああああああああ!!!!!!!!』
うん、探そうとしたら向こうから出てくるっていうのはありがちな展開だな。
ってそんなこと言ってる場合じゃない。
「と、とにかく逃げよう!」
「「「「ラジャ!」」」」
駆け出す俺達。
『逃がすかあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!』
当然、追いかける龍二。つーか速い。速すぎる。これはそのうち追いつかれる。
「な、何とかしなさいよおおおおお!!!」
「できるかああああああ!!!」
や、やばい。叫んで体力が・・・。
「こうなったら・・・。」
「?」
クルルが何か呟いたけど・・・?
【キキィ!】
「!?おいクルル!?」
「「クルル!?」」
「魔王!?」
急にクルルが立ち止まり、龍二の方へと向く。
「こうなったら・・・私がリュウくんを止めてみせる!」
「な、バカ!死ぬぞ!」
いや冗談抜きで!
「大丈夫!私魔王だもん!」
少し振り返って微笑を浮かべつつ、右手を何も無い空間へと突き出す。
【ブゥン】
すると手の先から黒い穴が出現し、そこから真っ黒な剣を引き抜く。それを構え、龍二を見据えた。
「行くよ!『ナイトメア』!!」
剣の名前なのか、叫ぶと同時に大きく振りかぶる。
「えい!」
【ブォン!】
剣を振ると、切っ先から黒い球弾が勢いよく飛び出し、龍二へと向かっていく。
『ふん!』
【ガィン!バゴォン!】
しかし腕を振ってそれを弾く。玉は横の塀にぶつかると、塀はただの石ころとなった。つまり崩れた。
「まだまだぁ!!てぃやああああ!!!」
【ブォン!ブォン!ブォン!】
次々と黒い玉を射出していくクルル。さすがにあの数は・・・。
『はんっ!龍閃弾!』
【ドゴオオオオン!!】
・・・い、一発で全部かき消しやがった・・・。
「む〜!なら・・・『氷よ、凍てつけ!』」
【ビキビキビキビキビキ・・・】
魔法らしき呪文を唱えると、龍二の足元が徐々に凍っていく。
『炎よ、飛べ!』
【ドォォォォン!】
続いて火球がクルルの掌から飛び出す。直撃を受け、爆発する龍二。
『闇よ、集え!』
続いて剣を掲げると、黒い雲みたいなのが剣に集まっていき、やがて身の丈程の大きさがある漆黒の鎌となった。
「す、すごい・・・三度連続詠唱・・・。」
「さすがね。」
何かよくわからないが、アルスとフィフィが感心してるなら確かにすごいんだろうな。
「・・・リュウくんのおかげで魔力は満タンなんだけど・・・。」
・・・やっぱ傷つけるのは怖いか・・・。
「・・・・・・・・ごめん、リュウくん!後で治してあげるから!」
悲痛な表情で鎌を振りかぶり、龍二がいるであろう煙が立ち込めてる場所目掛けて駆け出すクルル。
そして鎌を勢いよく振り下ろす・・・。
【ガキン!】
「「「「「!!???」」」」」
な!?
『ククク・・・。』
煙が晴れると、そこには掌で鎌の刃を受け止めている龍二が・・・し、しかも無傷!?
『・・・防御技、龍鉄風。』
何か新技っぽいこと呟いてるし!?
『・・・・・・・DIE。』
*訳*【くたばりやがれコンチクショウ♪】
『龍閃弾脚!!!』
【バコオオオオオオン!!!】
「みぎゃあああああああああああ!!!」
「く、クルル〜!!!」
何か青く光った回し蹴りをモロにくらったクルルはこっち目掛けて吹っ飛んできた。
ってうぉあ!?衝撃波がこっちにまで!?
【ボスッ!】
「ぐは!」
「みぎゅ!」
お、思いっきりクルルが俺の腹にストライク・・・。
って俺まで吹き飛ばされそう!?
「「「ふんぬぅ!!」」」
【ズザアアアアアア!!!】
はぁ、はぁ・・・三人(アルスとフィフィと花鈴)が後ろから抑えてくれて助かった。
「だ、大丈夫!?」
「みゅ〜・・・。」
あぁ、こりゃダメだ・・・目ぇ回してる。
『・・・【ニヤリ】。』
ゾクッ・・・・・・・・!!!
「く、くそ!逃げるぞ!」
『逃がしまへんえ〜♪』
再び逃走を開始した俺達に、何故か京都弁を呟きながら追いかける龍二。やばい、気分はター○ネーターかクロッ○タワーの逃げる側だ。
『ハハハハハハ!!殺戮死亡破滅崩壊呪怨爆発怨念消去死刑抹殺暗殺必殺抹消!!!』
ものすごい壊れ方してるうううううううう!!???しかも恐さが尋常じゃねええええええ!!!!
「ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ・・・!!」
隣で花鈴がクルルを背負ったまま呟いている。うん、それはかなり同感だ。
そして角を曲がる瞬間・・・
『龍閃弾脚!!』
【ズゴオオオオオン!!】
「うおおお!?」
や、やべえ!衝撃波が・・・
俺らが通り過ぎた家木っ端微塵にしやがった!(因みに空き家だった)
「え、えぇ!?あの技あんな威力だったの!?」
た、確かに・・・クルルだって吹っ飛んだ程度で、あそこまでの破壊力があるとは・・・。
「う〜・・・あれ、くらったらやばいよ・・・。」
「クルル!?」
フィフィがクルルの傍を飛ぶ。
「あのね・・・あの技食らう寸前に、私防御壁張ったんだけど・・・。」
咄嗟にか・・・さすがだな。
「私の防御壁はどんな衝撃でも簡単に防いでくれる程頑丈なんだけど・・・防御壁張って吹っ飛んだ上に破壊されたのは生まれて初めてだよ〜・・・。」
・・・ま、マジか・・・?
「・・・つーかあいつマジメにアタシ達殺す気!?」
そりゃあんな一発で家を粉微塵にするような蹴りを受ければ・・・死ぬな普通に。
『あひゃひゃひゃひゃひゃ!!くたばれやああああああ!!!』
絶対殺す気だあああああああ!!!
「クッ・・・こうなったらグラウンドへ逃げるぞ!」
「え、えぇ!?どうすんのよ!?」
そりゃもちろん・・・。
「止めるに決まってんだろ!」
この悪夢をな!!
・・・自分で言ってて何だが、ホント迷惑極まりないなこの話・・・。
ここまでで龍二の技紹介
・龍閃弾 拳に氣を集め、相手に向けてパンチを繰り出す技。最大威力は鉄板五枚重ねを軽々と打ち抜く。
・双龍弾 両手に氣を集め、押し出す感じで相手の腹目掛けて叩き込む技。その威力は龍閃弾の二倍。
・龍鉄風 大気中の氣を周りに集め、鋼鉄よりも硬い防御壁で自らをコーティングする防御技。ミサイルなんかも弾き返す。
・龍閃弾脚 氣を足に集めて回し蹴りを放つ。威力はもちろん、同時に飛ばす衝撃波も鉄筋の家一つを軽々と消し飛ばす。
自分で書いててなんだけど、龍二が一番ファンタジーなんじゃなかろうか・・・後ついでに今回の話、自分が一番恐がってたり・・・。
この超迷惑な戦いに終わりは来るのか!?次回、衝撃の展開が!?言ってみた!