第二十九の話 元気なガキ軍
〜龍二視点〜
只今、俺は近くの公園にいる。ここ結構広くて、よく子供とかが遊びに来る。ついでにお年寄りの皆さんもよくゲートボールとかしてるな。
そしてここは、俺のお気に入りのベストスポットでもある。
あ〜にしてもいい天気だ〜。公園でのんびり日向ぼっこ、そしてお気に入りのベンチ、さらにはラーメン・・・。
最高のシチュエーションじゃねえか。
今度アルス達誘って遊びに来るかな。
あ〜やべ、ラーメン食ってねみくなってきたにょ〜・・・・・・。
「リュウお兄ちゃ〜ん!」
ん〜?・・・あ、美紀の声か。
はいまたまた説明。駆け寄ってきたのは香苗んとこの双子の姉妹の美紀と美香。小学校三年生。明るいのが美紀で、大人しいのが美香。う〜ん例えるなら美紀はクルルを小さくした感じ、美香はリリアンをちっこくした感じっつったらわかるか?ま、二人揃って香苗そっくりなわけよ。登場した話は第七の話と第八、第九の話に少々。俺は誰に何を説明してるんだ。あ、読者か。←自問自答
「ん〜、久しぶりだなお前ら。」
軽く手を振る。すまない、今は眠気が強い。
「む〜!半分寝かけた状態で挨拶するのは失礼じゃないの〜?」
「・・・【コクリ】。」
む〜・・・眠い。
「あ〜・・・・・そういや保護者はどした。香苗とか。今の世の中危ないじゃん。」
つっても連れ去ろうとした奴はあの世でもこの世でも後悔させてやるがな。
「ううん、今日は生徒会で何かあるらしくて来れないって。」
「・・・代わりにカルマとケルマ・・・。」
あ、あいつらか双子の兄弟。香苗んとこで預かってたな。
「で?どこにいるよそいつら。」
「「あそこ。」」
え〜っと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「・・・楽しそうだな。」
「でしょ?」
「【コクリ】」
何十人の子供に追いかけられてんだあの双子。
「で?何で追いかけられてんだ?」
「鬼ごっこする?って私が提案したら・・・。」
「・・・皆でロウ兄弟を捕まえよう〜って。」
あ、納得。
「少し観察してるか。」
「助けないの?」
「・・・?」
うん、美香よ。小首を傾げたところで何聞きたいのかわからんぞ。俺はわかるけどよ。
「俺が見てて楽しいようなことをあえて止めると思うか?」
「「ううん。」」
「だろ?」
よく鬼畜だとかSだとか言われるが、俺は褒め言葉として受け取っている。
「じゃ傍観しとくか。」
ベンチの背もたれにもたれながらのんびりと観察しとくことにした。両脇に美紀と美香も座り込み、一緒に傍観。
〜観察中〜
いやぁ見た目熱いですねぇ、小さな子供達(以下ガキ軍)vs少し年上の双子の兄弟(以下ロウ兄弟)。鬼ごっこでしょうか、ロウ兄弟めちゃくちゃ慌ててます。鬼気迫る勢いで走ってます。まさに鬼ごっこ。つーか鬼ごっこって一人の鬼が他の奴ら追う遊びなのに大多数が鬼で二人が逃げる側っていつからルールが変わったんだ。
おぉっと?ロウ兄弟が速度を上げた。速い、速いです。でもガキ軍も速いです。見た目デブからガリ勉タイプの子供があんな速さを生み出すとは。子供というのは素晴らしいです。
お?次はブランコへと向かっていきます。何をするのか、っと何とロウ兄弟が同時に二つのブランコを勢い良く押し出した!これは危ない!ガキ軍がケガしたらどうするっという心配はご無用。ガキ軍数名はブランコをヒョイと避けたり飛んできたのを飛び越えたりして誰にもダメージを与えられなかった。
どうするロウ兄弟っとおっとぉ?今度はシーソーです、シーソーへと向かいます。しかしロウ兄弟はシーソーが何なのかよくわからなかった様子、無視して通り過ぎた。おっと?ガキ軍の中で一番軽そうなのがシーソーの手前側に座った。そして次は一番重そうなのがそれとは向かい側の浮いてるシーソーの上へと・・・勢い良く飛び乗ったぁ!衝撃で最初に座ってた子がこれまた勢い良く吹っ飛んでいく〜〜!!そしてロウ兄弟のちょうど前へと着地!二人に立ちはだかる!あぁっと、見事に着地したのはよかったがあまりのことで驚いたロウ兄弟は止まらずその子に体当たり、吹っ飛ぶくらい軽い子供はそのまま砂場へと飛んでいってしまったー!
まさに飛んだハプニングだったが、すぐに逃げ出すロウ兄弟。ガキ軍は、戦友の亡骸を泣く泣く踏み越えてそれを追う。いや死んでねーけど。
お次は・・・ジャングルジム!ロウ兄弟は地面を軽く蹴ってジャングルジムの上へと飛び乗った!ジャングルジムへガキ軍が登ってる間に飛び降りて少しでも距離を稼ぐという魂胆なのでしょうか。しかしこのジャングルジムは普通のと違って結構高い!ガキ軍が登るのに時間がかかりそうだっておぉっと!ガキ軍が走りながら重そうな奴が肩車、それに登ってさらに肩車、また肩車と、どんどん合体していく!そして何とちょうどジャングルジムの高さまで到達!そのまま突進していく〜!まさかの合体技に驚きつつもジャングルジムから飛び降りるロウ兄弟!危機一髪、ジャングルジムへと合体突進攻撃が炸裂したぁ!すかさず合体を解き追いかけるガキ軍。因みに合体解くのに三秒もかかってねぇ。
他に何か役に立つ物はないか探すロウ兄弟。滑り台は左右から挟まれる恐れがあると考えたため却下、登り棒でもアウト。
もはや役立ちそうな遊具はない、逃げるしかないと悟ったのか駆け出すロウ兄弟。
しかし、この戦いは呆気なく終止符を迎える。
地面からバッと飛び出したガキ軍精鋭部隊。土と同じ色のシートを被っていたため見た目での判断がつきにくい。焦っていたロウ兄弟は、その気配を感じられずにいた。つーか忍者かって話だ。
そしてロウ兄弟は精鋭部隊に取り押さえられ、追いついたガキ軍がロウ兄弟に次々と覆い被さっていった。
その時のロウ兄弟の顔が世界の終わりを悟ったかのような表情をしていた。
〜観察終了〜
「うっわ〜・・・。」
「・・・。」
いやぁ呆気に取られるね。いや取ってねえけど俺。でも姉妹唖然としてるし。
あ、何か悲鳴聞こえる。そろそろ助けてやっか。
ベンチから腰を上げ、群がるガキ軍へと歩み寄って行く俺。その後をトコトコついてくる姉妹。
「お〜っす。」
とりあえず軽く手を上げて挨拶。
「あ、龍二兄ちゃん!」
「龍二さん!」
「兄貴!」
「師匠!」
多種多様な呼び名で呼ばれながら今度は俺の周りに群がってくるガキ軍。うん、子供好きな俺にとって悪い気はしねえ。
「あ〜わりぃけどちっとどいてくれよ?」
素直にどくガキ軍。
で、見事にボロボロのロウ兄弟。
「お〜い、二人とも〜?」
「「・・・・・・。」」
「・・・。」
「お〜い?」
「「・・・・・・。」」
「・・・。」
返事はない、ただの屍のようだ。
「「死んでません!」」
【ガバッ!】
あ、復活した。顔ラクガキされてるし。
「ぷはは、変な顔だ。」
「「言わないでください!!」」
いや、言う。
「あ〜お疲れ様っと。子供達の相手は疲れたろ?」
ポンと笑顔で二人の肩を叩く俺。対してガクリとうなだれたロウ兄弟。
「し、死にかけた・・・。」
「に、人間はここまで進化するのかと実感しました・・・。」
う〜ん、いい体験(?)をしたようだ。
「まぁよかったじゃん。楽しければ。」
「「だから死にかけたってば。」」
ハモりん。
「龍二兄ちゃ〜ん!」
「ね〜龍二さん遊ぼう!」
「また特訓してよ兄貴〜!」
「師匠!お願いします!」
あ〜あ〜も〜服を掴まないの。
「わぁったわぁった。またさっきみたいなの教えてやる。」
「「アンタの仕業だったんかい!!」」
いやダブルでツッコまれましてもね〜?あんくらいやんちゃじゃないとおもしろくないだろ?
「じゃ鬼ごっこするぞ〜。」
『は〜い!!』
「「も、もういやだあああああああ!!」」
もちろん、ロウ兄弟の悲痛な叫びは無視。
作 はい第二十九の話更新!
カルマ&ケルマ ボクらこれだけですか!?
作 イエス
カ&ケ おい!
作 そいじゃね〜。