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第三の話 騒動起こりそう・・・。

受験前で〜す♪

「勇者と魔王だぁ?」


とりあえず龍二の家。龍二の家はごく普通の一軒家で変わっているといえばソーラー電池を利用したEcoなハウス。基本一人暮らし。何故基本なのかはおいおい話すとする。


無駄話はこのくらいにして(オイ)。とりあえず龍二はこんな所でなんだし、とりあえず家に来て話を聞こうと言い出し、魔王?と勇者も仕方なく龍二の家にお邪魔することになった。


当然、彼女らの世界には龍二の家みたいなのは無いから全てが珍しい為、とても落ち着かない。因みに魔王はここに来て(それまで鎧ガチャガチャ鳴らしながら歩いてきた)そっこう鎧を脱いで今じゃチンチクリンな女の子になってしまっている。勇者も鎧を脱ぎ、身軽な服装となっている。とりあえず自分達の事は話した。


「アホか。んなRPGみたいな職業、今の世の中ないっちゅーねん。」


当然と言ったら当然な反応だが、何故か関西弁。しかも職業って割り切っちゃってるし。


「RPG?何ですかソレ?」

「大体、魔王と勇者は職業じゃないよ〜。」


勇者と魔王?に言われて渋い顔をする龍二。


「てゆーより、アンタ私達の言ってる事信じてないでしょ!!」


妖精、再び登場。今度は勇者の髪の毛の中から出てきた。


「今はそんな気分じゃない。」


意味がわからん。


「うぬぅ〜!こうなったら力ずくで信じてもらうしか「キンチョ〜ル〜♪」ないと思ったけど人ってそれぞれだからしょうがないよね!!」


龍二の懐から取り出された殺虫剤の恐ろしさを知った妖精は慌てて訂正した。


「まぁこんなチミっこいのいるしな。嫌々信じてやろう。」

「え、嫌々?」

「チミっこいの言うなーーー!!」


また妖精が出てくる。


「まぁチビは置いといて。」

「まだ言うか!?そして置いとくの!?」


この妖精はツッコミ気質らしい。


「ではでは、これからどうするか皆で話し合いましょ〜♪」

「何故に楽しそうに言う?」


勇者のツッコミ。


「さ〜んせ〜い♪」

「アンタもかい!!」


魔王は案外ボケ専門らしい。


「さて率直に聞きます。」


龍二は一泊置いた。


「これからどうする?」

「いやだからそれ決めるってさっきから言ってるんですけど?」


勇者の冷ややかなツッコミが炸裂する。


「…じゃお前はどうしたい?」


龍二が勇者に問いかける。


「そりゃ、ボクらははぐれてしまった仲間達を探したいし…。」

「でもここがどこなのかしっかり把握できてないしね。」


マイナスな思考にもっていかせる魔王。さすがに魔王名乗ってない。


「…じゃどうすんのよ?」


妖精がテーブルの端に腰掛けながら言う。


「それを考えるのがテメェらの仕事だ。」

「え、皆で話し合うんじゃ」

「文句あんの?」

「な、無いです無いです…。」


龍二のすごみに押し負けた勇者。哀れなり。



「あ、私今考えた。」


魔王が手を挙げる。


「何だ?言うてみ。」

「お腹すいた。」

「「おい。」」

「よし、メシ作ってやるから待ってろ。」

「「いいんかい!?」」


勇者と妖精によるハモりツッコミ。



「おぉ、そうだ。」


龍二がキッチンに向かう途中振り返って言う。


「お前ら名前なんだ?」


普通最初に聞けよと思う。


「あ、ボクはアリス・フィート。でも今はアルスと名乗っているのでそう呼んでください。」

「私はフィレイド・フィアラ。フィフィって呼んで。」

「クルル・バスティでぇす♪クルルでいいよ。」

((え、名前可愛い!?))


勇者と妖精、もといアルスとフィフィは心の中で魔王の以外な名前に驚いた。


「わかった。えっとお前がクルルでお前がフィフィで…アリスだっけ?」

「いやですからアルスだって。」

「お、そうかわりぃわりぃ。気をつけるぜアリス。」

「また間違えてるし!?」


哀れ勇者。


「じゃこっちが名乗ったんだからそっちも名乗りなさいよ。」


フィフィが挑戦的な口調で言う。


「ん?俺?荒木 龍二。」

「アラキ…リュウジ?ふ〜ん、変な名前「さて殺るか。」じゃなくて素晴らしい名前ですね!!」


慌てて言い直すフィフィ。冷や汗かきまくり。


「まぁこの家で堅苦しくなる必要なんざねぇさ。ゆっくり休め。それとアリス。」

「だからアルスですって…何ですか?」

「お前腕と頭ケガしてるだろ?」

「へ?…あ、はい。」


この家に来る途中、魔力を完全に消費してしまったので簡単ながら応急処置を自らの手で施したアルスは、若干気恥ずかしそうに返事をした。


「ちょっと貸せ。」

「は?わ!」


何言ってるのか理解する前にボロ布を包帯代わりに巻いた腕を取る龍二。そして近くにあった救急箱を手繰り寄せる。


「さて、と。」


箱を開けて中から消毒液と包帯とガーゼを取り出す。そしておもむろに腕に巻かれた布をほどいていった。火傷によってひどく爛れてしまっている。


「え、な、何を…」

「決まってんだろ?包帯の取替え。」


戸惑うアルスに対し、さも当たり前のように言う龍二。


「な!?こ、こんな傷なんて自然に治る…」

「ジッとっせえや。」

「…はい。」


ドスの利いた声で言われて仕方なく包帯交換を待つアルス。


「あんなぁ、こういう傷はほっといたら後々めんどくさくなるんだから早いとこ治療しといた方が得なんだよ。わかるか?」

「……はい。」


包帯を巻きつつ説明する龍二に、気まずそうに頷くアルス。


その表情からは、自らの醜くなった腕を見られているという抵抗感が見られるが、当の本人、龍二はそんなのまったく気にしていない、もとい興味が無いかのようにさっさと巻いていく。


「はい次頭。」


そして腕が終わると今度は頭に包帯を巻き始める龍二。


「しかしまぁ…。」

「?」


ふと、包帯を巻きながらも、アルスのツヤのある髪をソっと撫でる龍二。


そして…



「随分と綺麗な緑の髪だな。」



平然とこんな事を言いました。



「!!???」



一瞬にして顔を赤くするアルス。


「?どしたぁ?」


何も気にしている素振りすら見せない龍二。


「い、いやいやいやいや別に何もももも!?」


落ち着いてるように見せようとしているのがバレバレだ。


「そうか。」


気付けよ。



「よし終わった。」


そうこうしてるうちに包帯を巻き終えた龍二は、軽くポンと包帯を叩いた。


「じゃメシにするな。」

「は、はぁ・・・。」


アルスはキッチンに向かう龍二の背中をボ〜っと見つめていた。


「……。」


そしてそんなアルスをニヤニヤと見つめるフィフィ。


「…むぅ…。」


何故か複雑な表情のクルル。


「〜♪」


キッチンに立って鼻歌を歌いながら調理する龍二。




傍から見たら『お前ら何があったん?』と聞きたくなる状況。




「アルス?」


しばらくの沈黙を破ったフィフィがアルスの耳元まで飛んできた。それに気付いて慌てるアルス。


「な、何?」


因みに顔から熱はまだ下がらない。


「顔真っ赤♪」

「へ?」


フィフィに言われてしばらく呆けていたが、やがてサっと顔を覆った。


「え、いや、あの、その………あぅぅ。」


フィフィに背を向け、膝に顔を埋めてしまったアルス。


「ぶぅ……。」


そんな様子を見て頬を膨らませるクルル。この顔を見た男性はおそらく一発KOだろう。ある意味。



「ほれ出来たぞ〜。」

「「早い!?」」


フィフィとクルルによるハモリツッコミ。まだアルスは赤面中でうずくまっておりま。


「ありょ?アリスどしたぁ?」

「ちょ〜っとね〜♪」


ニヤケ顔を必死に堪えながらフィフィが言う。


「?おい、どしたよ?」

「……。」


龍二が声を掛けても反応がない。


「ふむ…。」


顎に手を添えて考える龍二。



そしておもむろに・・・。



【ムギュッ♪】



「いぎゃあああああああああああああ!!!???」






耳を引っ張りあげました♪


「覚醒覚醒♪」

「そんなんで覚醒させないでくださーーーーーーい(泣)!!!」

「無理。」

「即答!?って力入れんなあああああああみぎゃああああああ(泣)!!!」




しばらくアルスの耳で遊んだ後、龍二特製山菜チャーハンを腹いっぱい食べた一行。


「ふ〜、満足…。」


居間でコロンと横になるクルル。


「コラコラ。風邪引くぞそんなとこで寝てたら。」


皿を洗いつつ注意する龍二。


「わ、スッゴ〜イ!こんなとこから水が出てくるんだ〜!」


蛇口から出てくる水を見て龍二の周りを飛びながらはしゃぐフィフィ。


「……。」


そして耳をまだ赤くしながら半分寝かけのアルス。


「?何だアリス眠いんか。」

「だからアルスですって・・・あぅ。」


頭がカックンとなって慌てて元に戻す。


「……。」


龍二が顎に手を添えて考え込む。


((まさかまた耳引き!?))


先ほどの情景を思い出すクルルとフィフィ。


しかし予想とは裏腹に龍二は和室へと向かう。


「予備の布団あったっけな?」


ブツブツ呟きながらガサゴソと襖の中を漁る。


「お、あったあった。」


敷布団から掛け布団、毛布、枕、それらを三つずつ和室に並べる。そして居間に顔を出す。


「布団敷いたから眠い奴は寝ろよ。」

「へ!?」


素っ頓狂な声を上げるアルス。


「布団?何ソレ?」

「寝るってことはベッドみたいなモン?」


対するクルルとフィフィは布団という単語に興味深々。


「ね、寝るって、泊まってけということですか!?」

「足りめえだ。それ以外に何がある。」


さも当然、という風に答える龍二。


「いや、だって!仮にも男の人の家に泊まるなんてこと・・・!」

「今までだって一応男で通してきたじゃないの。つっても通しきれてなかったけど。」


フィフィは泊まる気満々だ。


「…で、でもあなたの親が何て言うか…!」

「…お前、うちの親が世間でなんて言われてっか知ってっか?」

「「「?」」」



「『世紀のバカップル』って呼ばれてんだぞ?うちの親。羽伸ばしてくるーっつってしばらく帰ってきてねぇんだ。今頃海外でイチャついてるだろうさ。」



はい、これが龍二のある意味一人暮らしの意味。因みに生活費は両親がきっちり送ってくれてる+龍二の貯金が結構溜まってるから問題はない。らしい…。


「せ、世紀の…。」

「バカ…。」

「ップル…。」


無理矢理区切んな。


「てなわけで、別に泊まってっても問題ナッシンあるよ〜。ケガのこともあるし、おまけにこんな時間だし、まぁ身寄りがないんならお仲間が見つかるまでここにいればいいべよ。」


変な日本語は置いといてやろう。


「でも…ホントにいいの?」

「いいと言ったらいいっつってんだろ。それとも何か?俺の家では寝れんと?」


酔っ払いが言う『俺の酒が飲めんと?』的な感じで言われ、思わず首を振るアルス。


だって龍二の瞳に何か殺気みたいなの感じたから。


「あぁ眠ぃ…俺も寝よかな。」


時計を見てみると既に十二時前。基本龍二は十一時には寝る体質なため、頭が少しお寝むモードに突入してしまっている。


「わりぃが寝巻き全部洗ってて無いから今日はそのままで寝てくれ。」

「は〜い♪」


一人修学旅行に来たみたいな返事。当然、魔王である。


「……。」


それとは対照的に少し不安気なアルス。


「…リュウジ?」


フィフィが龍二を睨みつける。


「ん?」

「…襲っちゃダメよ。」

このセリフに、龍二は思わず慌てふためいて赤面


「?そんなことする理由ないぞ?」


しなかった。真顔で返答。ずっこけるアルスとフィフィ。


「私は別にいいよ〜♪」


セクシーポーズで誘惑しようとしてるクルル。


「何が?」


普通に聞く龍二。ずっこけるクルル。


「つーか遊んでねぇでとっとと寝なさい。明日起こすぞ。」

「は、はぁ…。」

「うわスゴイ!これ床に敷いて寝るんだぁ。」

「えっと、私には大き過ぎるんだけど・・・。」


腑に落ちない顔をしてるアルスに対し、クルルは布団で泳ぐようにはしゃぎ、フィフィはどうやって寝るのか悩んでいた。


つーか魔王、順応力高すぎ。










〜深夜〜





「……。」



…………………眠れない…。



「はぁ…何でこうなったんだろ…。」


大体、どうして勇者であるボクが魔王と一緒に寝てるのかわからない。


とゆーよりここがどこなのかもさっぱりわからない。何かすごく文化が発達してて、火が無いのに部屋が明るくなったりとか水が出てくるとか、全てが初めて見たものばかり。しかもここの人が何だかすごく親切で泊めてもらったのはすごくありがたい。でもいつまでもい続けるのは悪いから、皆見つけたら出て行くことにしよ。



……………それにしても…。



「『綺麗な髪』・・・か。」


そう呟いて髪を撫でてみる。


勇者になる前では髪の色で故郷の村の同い年の人達にからかわれていっつも泣いてたっけ。それでこの髪が嫌いになって髪の話題とかはいつも避けてきたけど・・・誉められたのは初めてだった。


だからかな?こんな気持ち。


「……。」


もういいや。また明日考えよ。





この時、ボクは気が付かなかった。この気持ちが、今まで抱いたことのない特別な感情だということに。











それより、魔王の寝返りキックを受け続けて眠れないんですけど…。


つーか小説書いてねぇでさっさと勉強しろ作者。 by雅

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