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第二十五の話 サクランボと恥ずかしがり屋

今回は短め+久々にあの人出ます。

〜龍二視点〜


「いや〜大根が安くてよかったぜ」

「これで晩御飯困らないね」


龍二で〜すっと。只今買い物中っつーわけで買い物袋引っさげて商店街をのんびり歩いてます。ついでに俺の頭にはフィフィがとまっております。アルスとクルルはのんびり留守番中だ。


ついでにさっき八百屋のオッチャンに安くてうまい大根を勧められた。色、ツヤ、匂い、農薬の問題無し。これが安いなんて素晴らしい。あれほどいい八百屋が他にあるだろうか? いやない。


「じゃ今日は機嫌がいいからサクランボでも買ってやるよ。」

「え! サクランボ!? やった!」

「ただし、二人にはナイショな。」

「はぁい♪」


最近発覚したんだが、こいつサクランボ好きなんだとよ。サクランボっつったらあれだよな。某アイドル歌手が歌ってるメジャーな曲。歌詞? 何だっけ? お前と俺がどうのこうの。


忘れた。まぁいいかっつーことで、脳内から削除した。


「?ってあれ? あそこにいるのって…」

「んにゃ?」


と、フィフィが前方を指差した。その先には見知った顔の奴がいた。


「なんだ、リリアンじゃねえか」


はいせっかくなのでお忘れになった皆さんに説明します。本名リリアン・ヴェルバー。アルスの仲間で、一番力がある女性戦士。斧を得物としております。危険人物じゃねぇからそこんとこよろしく。で、現在久美の家でお世話になっとります。


「あ…リュウジにフィフィ」


あちらさんも気付いたようで、俺達の方へ振り向いた。


にしてもあれだな。最初は気が強いっていうイメージだったんだが、今じゃ髪は下ろしてストレートの黒髪にしてるし、切れ上がってたような目は今じゃ半開きののんびりした表情なってるし。服装も落ち着いたピンクのカーディガンに白のロングスカート。

まぁそんなんだから結構目ぇ引くわな。道行く男が皆して振り向いてるし。確かに美人っちゃ美人なんだが、別に振り向く程じゃねぇだろうと俺は思う。と言っても俺の美的感覚から判断してだから、世間からしたら振り向く程なんだろうな。んなこたぁどうでもいいが。


「よう、久しぶりだな。元気してた?」

「…久美達には、よくしてもらっている」

「そかそか。ところでそれ、久美の服か? あいつには似合いそうもねえな」

「久美…結構身軽な服着てるから…これお古」

「あぁお古ね。なるへそ」

「…リュウジはどしてここに…?」

「そりゃ商店街なんだから買い物に決まってんじゃん」

「それもそうね…」

「だろ? つーかお前もか? お使い?」

「そう」

「馴染んでるなぁお前も。」

「アルス達には負ける…」

「はっはっは、言えてる言えてる。バカみてぇに馴染んでんだもんな」

「誰がバカよ!」

「大丈夫…間違ってないから」

「リリアンもうっさい!」


傍から見たら世間話してるように見える会話。内容はよく聞くのか聞かないのかわからんもんだ。


「ところで…魔王は何をしてる?」

「ん? クルルか?」

「ええ」


そういやこいつも最初の頃にクルル達に襲いかかろうとしてたっけなぁ。あん時は目がマジだったから、止めなかったら俺の家めちゃくちゃになるところだった。そうなったら全員半殺しにしてどっかの谷底に紐無しバンジーさせてただろうけど。


ん? 待てよ。じゃスティルと同じ対応すんのか? いつぞやの雅ん家行った時に。


「それ知ってどうすんだ?」

「別に…聞いただけ」

「あ、そ」

「軽っ!?」


いやだって聞いただけならいいじゃんそれで。別に殺しに行ったらー! みたいな殺伐とした感じじゃないし。俺難しい話嫌いなの。


「ただ伝えておいて欲しいことがあって」

「伝言か。何だ?」


やっぱ殺すーってか? そいつぁ勘弁願いたいとこだがねぇ。



「私は…別にあなたのこと恨んでいるわけじゃないから…」



「…ほぉ?」


だが、俺の予想とは180°違った伝言だった。


「う〜ん、まぁ一応伝えといてやるが、それ本人に直接言えばいいんじゃねぇか」


俺としちゃそれでいいけど、そういうのは直接伝えた方が気持ちが伝わるっていうじゃねぇか。何? お前が言うな? やかましわい。


「わかってる…でも今はまだ…」

「まだ?」

「何かあるの?」


まだなんかしこりみたいなもんがあるのか?


「…恥ずかしい。」

「こら」

「あ〜わかるわかる」

「納得すんな!」


と思ったけど、別にそんなことなかったぜ。


「じゃ…私、これから頼まれたの買いに行くから」

「ああ、そうか。ところで何頼まれたんだ?」

「…いべりこ豚という肉を」

「久美に伝えとけ。今度会ったら豚の骨でぶん殴ると」

「…了解」

「何故に!?」


あんのブルジョワ家族め…だが雅んとこよりマシか。


「じゃ…また」

「おう。また遊びに来いよ」

「是非、そうさせてもらう…」

「バイバ〜イ」


リリアンに手を振るとあっちも振り返し、人ごみに紛れていった。う~ん、やっぱあいつも馴染むの早ぇわ。


「今思ったけど…リリアンって結構謎よね〜」


リリアンが行って少しして、フィフィが俺の頭の上で肘つきながらぼんやり呟いた。


「そうか? 親しみやすいいい奴だぞ? 初めて会った時と違って」

「まぁねぇ。あの人って初対面の相手に対しては結構警戒するから」

「犬みたいだな」

「それ失礼だからやめときなさいよ」


可愛いだろうが犬。犬舐めんな。


「ま、次会ったらゆっくり話すとすっかな」


あんま口数多くないようだが、結構話すと楽しいって改めて気付いたし。斧はマジ勘弁して欲しいがな。


「そんじゃあ、サクランボ買いに行くぞ」

「わーい! サクランボサクランボ♪」


何はともあれ、約束どおりのサクランボを買いに行くとするか。頭の上の虫も待ち遠しそうだし。


「虫じゃない!!!」

「思考読んでんじゃねぇよ」

「アウチッ!?」


ツッコミ入れたフィフィを叩いた。ペチンと。なんか本当に虫叩いた気分になった。



〜で、久美の家〜


「ただいま」

「おぉ、おかえりリリアン」

「あ、久美。リュウジから伝言が…」

「龍二から? 途中で会ったのか」

「ええ………今度会ったら豚の骨で殴り殺してやるから覚悟しろって」

「え、えええ!?」


若干物騒に捏造された伝言に衝撃を隠せない久美なのでした。


作 まぁ今回は出番が少ない人にピックアップしてみました。

龍 一人だけな。

作 この小説はアルスとクルルとフィフィと龍二の交流が中心なので、自然と出番が少なくなってしまうのが難点なんだよなぁ。

龍 素直に偏りすぎちまうって言っちまえばいいのに。

作 ・・・うっせぇ。

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