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第二の話 そろそろ騒動が始まる・・・。

作者、すでに入試前おい




「ふい〜食った食った。」


夜の十時。辺りはすっかり真っ暗になってしまった。こんな夜中になるまでラーメン食ってた龍二は寄り道せずにさっさと我が家へと帰る事にした。


因みに食べ始めたのが夕方の六時。超大盛りどんぶりに入ったラーメンを三十分以内に食べた人は無料というサービスにかってでた龍二は、余裕しゃくしゃくで完食。時間たったの五分。もちろん大盛りラーメンは無料になったが、その店のラーメンを500杯と、衝撃的な食欲をその店の人間全員に知らしめた。


当然、奢ることになっていた雅の財布はスッカラカン。本人は何か滝のごとく涙を流していたそうな。ゴチ。


で、その後皆別々の帰り道なため、今は龍二一人。誰もいなくなった夜のグラウンドの周辺を歩いている。


「さて、帰って枝豆食いながらドラマ見るか……



【チカッ】



っておりょ?」



ふと一瞬何かが光り、龍二は足を止めた。


「…何だ今の?」


光った場所に目を凝らし、暗闇に目を向ける。


「…あ、また光った。」


今度は確実に捕捉した。


「……花火かね?季節的に外れじゃね?」


呑気に憶測を建てる龍二。


しかしふと、嫌な予感がよぎる。


(あ、まさか…火事か?)






「ここは…一体…。」


魔王城での光で目が眩んだ後、気絶した勇者は目を覚ますと立ち上がって辺りを見回した。辺りは真っ暗だが、少し遠い所から明かりがポツポツ見える。おかげで足元もそう暗くなく、混乱も少なかった。


(ここは外?さっきまで城の中にいたはず…まさかあの時の時空魔法で?………!?)


「スティル!リリアン!フィフィ!!」


一緒にいたはずの仲間達を探す。しかし返事はなく、暗闇と静寂が辺りを包んだまま。


「皆…どこに…。」



「残念ながら貴様の仲間はここにはいない。」

「!?」



背後からの声に勢い良く振り返る勇者。そこには辺りの闇に溶け込むかのような漆黒の鎧とマントを羽織った人物がいた。この人物を、勇者は知っている。そいつは、決して許してはならない者…。


「魔王…。」

「まさか貴様が我と一緒とはな…。」


魔法はククッと笑った。ただ、黒いフードを深く被り、顔は見えない。


「ふむ…どうやら我の従者達もいないようでな。」

「…じゃあ今ここで決着をつけようか。」


勇者は足元に落ちていた光の剣を拾い上げ、構えた。すると淡く発光し、辺りを照らした。


「それが貴様の力か…先ほどの戦いで力を消耗したようだな。」

「チッ!」


思った以上に力が出ず、忌々しげに舌打ちをする勇者。対する魔王は、右手を高く掲げると、その掌の先から紅蓮の炎が生まれた。


「さぁ…勇者よ。


死ぬがよい!!」


【グォッ!】


魔王の手から燃え盛る火炎弾が放たれ、勇者はとっさに横へと転がった。火炎弾は勇者の後方へと飛んでいき、爆発した。その場が勢い良く燃え上がる。それから次から次へと火炎弾が発射され、それをからくもかわしていく勇者。


「なるほど、まだ避けられる体力はあったか…だが!」


魔王は両手を合わせ、少しずつ広げていった。するとその手の中からゆっくりと火炎弾が大きくなっていく。


「これはどうだ!!」


魔王の叫びと共に、巨大な火炎弾は勇者目掛けて飛んでいく。それを咄嗟に避けようとする勇者。


「!?くぅ…!」



しかし、先程の戦いで負傷した足が痛み、思わずよろけた。


【ゴォォッ!!】

「ああああっ!!」


完全に避けきれず、右腕の上腕に火炎弾が掠り、煙を上げる。火炎弾は大きな爆発を起こし、燃え上がった。


「フッ、どうやらここまでのようだな。」


魔王が嘲笑を浮かべる。勇者は膝を着きながら傷ついた右腕を押さえ、苦しそうに呻く。魔王はゆっくりと手を勇者に向ける。


「終わりだ…勇者!!」


手から火炎弾が膨らんでいくかのように現れる。


(クッ…皆…ゴメン。)



勇者は心の中でここにはいない仲間達に謝罪し、目を閉じた・・・。










【バッシャン!!】




「な…っ!?」

「……?え?」


魔王の驚愕の声で目を開けると、そこには全身ずぶ濡れになった魔王が水を滴らせながら硬直していた。何故か足元には水色のバケツが転がっている。


「い、一体「くおるらああああ!!!!」!!??」


ふと勇者の背後から雄叫びが聞こえ、振り返ると、炎の逆光で暗くて分からないが誰かが突進してきた。そして…


「火で…」


地を蹴って飛び上がり…




「遊ぶなああああああ!!!!」




風を切るような音を出し…


「ごふぅっ!?」


誰かが勇者の頭上を通り越したかと思うと、魔王が苦しそうな声を上げた。見ると、魔王の腹に足がめり込んでいる…。





言わずもがな、飛び蹴りを放ったのは荒木 龍二本人である。





「ぐはぁ!!」


蹴りの衝撃に耐え切れなかった魔王はそのまま吹っ飛ぶ。そして龍二はその場に華麗に着地。魔王は少しスライディングして止まった。


「うぅ……。」


しかし立ち上がれない。そりゃ先程の蹴りは“めり込む”というより“突き刺さって”いたような感じであったから当然と言えば当然かもしれない。


そんな魔王に龍二は魔王の近くまでズンズンと歩み寄り、魔王の胸倉を掴んで引っ張り起こす。


「テンメェ、こんな所で火遊びしやがって。もし火事になったらどうすんだ、あぁ!?」

「き、貴様何を…。」

「何が貴様だコラ!つーか初対面に向かってその言い方は何だ!ビンタかますぞこの【ピーーーーー】野郎が!!」

「!?ひ、ひぃぃぃぃぃ!!??」


自分の事は棚に上げといて怒鳴り散らす龍二。ついでに最後の言葉はあえて伏せておきます。精神衛生上のため。


だって魔王、半泣きだし…魔王なのに。


「……。」


そしてそれを見て絶句する勇者。最初に魔王を蹴り飛ばした事もさることながら、あの世界中の生き物全てが恐れる魔王をあそこまで怯えさせるとは…いや、もうハッキリ言ってアンタ人間?とツッコミたい所な勇者。


「す、すみませんすみませんすみません!もう火撃つのはやめますから許してぇ!!」


遂に魔王が可愛らしい声で平謝りした。


「よし、わかりゃいいんだわかりゃ。ったく、小っちゃい女の子がこんな夜中に火遊びなんてするから・・・。」

「う、うるちゃい!!…あ、噛んだ。」

「バァカ。」

「うえええええええん!!!」


……。



「へ?」



勇者、思わず呟く。


「ん?」


龍二が声に反応して振り向く。


「え…小さい・・・?…女の子・・・?」


よ〜く魔王を見てみる………



そこにいるのは、ブカブカの鎧とマントを着た、ウェーブのかかった金髪でレッドアイズの子顔で可愛らしい女の子がいた。年は大体14、5才程度…(大雑把)。



「って、ええええええええええええ!!??」



勇者、絶叫。


「絵?」


信じられない勘違いをする龍二。

「グズ…何?」


泣き止むとキョトンとした風に聞く魔王(?)。


「いやいやいやいやいや!だ、だってさっきまで、ホラ、あれあれあれあれ!!」

「あれって何だ?」

「あ…この体のこと?」


魔王?が自分の体を指差すとコクコクと頷く勇者…赤べこみたい。


「えと、これが元の私の姿。今までのは雰囲気作りの為の幻影。」



ここに雅がいたら『雰囲気作りかよ。』とツッコミをいれていたであろう。



「……。」


言葉もでない勇者。



「ふぁ〜〜〜……。」



何かわかんない展開になって欠伸をする龍二。



「…ま、とにかくこの火消すかな。」


一人そう呟いて、「よっこらせ。」っと言いながら龍二は立ち上がった。


「おら、お前らも立って火ぃ消すの手伝え。」

「へ?私も?」

「当たり前だ張本人。引っ叩くぞコラ。」

「………消させていただきます。」


睨まれてしまい、大人しく従う魔王(?)。いまだに呆然としている勇者のもとへと歩き出す龍二。


「ホラ、おめぇさんも手伝え。」

「へ?ボ、ボクも?」

「当然。ってなわけでさっさと立て“少年”。」


しかしこの言葉にカチンとくる勇者。


「だ、誰が少年だ!ボクは女だ!!」

「……。」




「…へ?」




魔王?が変な声を上げた。


「え…あなた…女?」


一応再確認。


「そうだって…あ。」


『しまった!』みたいな感じで口に手を当てる勇者。


(まずい…ずっと隠してきたのに…。)


と思っても後の祭り。


だが……


「あぁ〜はいはい。お前が女だってのはわぁったからさっさと立て。」


心の底からどーでもいいらしい龍二。


「へ?いや、あの「立て。」は、はいぃ!!」


睨まれてビビリながらも立ち上がる勇者。お前ホンマに勇者か?と思う。


後、火の明かりでわかった事だが、勇者の服装は銀色の鎧に焦げた青いマントを羽織っている。髪の毛は翡翠色の整ったショートヘアー。顔立ちは活発な少年のような感じ。傍から見たら美少年。でも中身は実は女の子っつーわけで美少女。見た目15才。そんな事がわかっても何の欲情もしない思春期真っ只中のはずの龍二。言っておくけどホモではない。どーでもいいけど。


その後、勇者と魔王を手伝わせながら消火を行う龍二。近所からの通報で警察の人達が来たけど、龍二がとりあえず警官達の鳩尾殴って無かった事に……(注:犯罪です)。





「よし終わった。」

「「は、はぁ…。」」


消火を終え、手をパンパンとはたく龍二。そして龍二の足元に意識のない変わった服装(警官の服のこと。勇者達の世界に警察はない)を着た人間が二人転がっているのを畏怖の眼差しで見つめる勇者と魔王。



「ところ、で。」



グルゥリと振り返る龍二。二人は縮こまる。


「お前らこんな所で何してた?」

「「う………。」」


いきなりの質問に口ごもる二人。


「つーか何で火遊びしてたんだ?何でマントボロボロなんだ?何で鎧着てんだ?何でブカブカなんだ?何で刃物(剣)持ってんだ?何で血ぃ出てんだ?何で髪の毛緑色なんだ?染めたのか?どこから来たんだ?何で空は青いんだ?何で世の中の若者は明日に向かって羽ばたこうとしないんだ?何で作者は納豆が嫌いなんだ?」


怒涛の質問に追い詰められていく感覚に見舞われる二人。しかし後半は意味が全く理解できない。因みに今宵は曇りである。そして作者は納豆が嫌いである(マジ)。


「え、えっと…(ど、どうしよう。魔王と決闘していたなんて言ったら何言われるかわからない…何かこの人魔王より強いしなぁ…)。」


すでに勇者は勇者らしからぬ事を考えている。ヘタレ。


「そ、その…(まずいって、この人冗談抜きで恐いって。勇者を殺そうとしました♪なんて言った日には何されるかわかんないし……それに……何だろう、この気持ち……)//////」


対する魔王も魔王としての尊厳さえも失われる可能性大な事を考えていた。つーか姿的にもう威厳なんてないし。そして何かいらんことまで考えてるし。顔若干赤いし。





『って、何やってんのよアルスぅ!!』

「「!!??」」

「?」



突然聞こえた声に驚く二人。龍二は首を傾げただけ。突然、勇者の鎧の胸当てと胸との隙間から何か白く光る物が飛び出してきた。



「フィ、フィフィ!?」

「あ、ハエ。」



【パアン!!】

「えみゅ!?」



「……。」

「……。」

「……?」













「ニャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!???」

「猫?」




飛び出してきた勇者の相棒でもある妖精は、ハエと勘違いした龍二に叩き落とされて一生を終えた。



めでたしめでたし。











「め……めでたくない〜……(怒)。」


かなりのご立腹な状態で地面にヒラヒラと落ちていったはずの妖精が龍二の眼前まで浮かんできた。


服装は妖精ってな感じで緑色の何かやたら露出度高い服、胸だけ隠した布とボロ切れを加工したかのようなミニスカート。顔立ちは魔王?より若干幼い感じで、腰まである長い髪は綺麗な銀。パッチリとした瞳は右ピンクと左水色のオッドアイ。そして小さな耳は微妙にとんがっている。そしてご丁寧に虫のような透明感のある四枚の羽が背中に付いている。それがピョコピョコ動いていて見た者を癒す。


でも今はめちゃくちゃキレているので癒すどころの騒ぎじゃない。


「アンタァ…よくも〜…。」

「……。」


とりあえず妖精に睨まれて俯く龍二。


「普通の人間のクセしてぇ〜…どうなるかわかってんでしょうねぇ?」

「……。」

「言っとくけどねぇ、今の私だったらアンタなんて丸焦げにできるんだからね?」

「…………。」

「まぁ、今すぐ謝るって言うんなら許してあげなくもないんだけどね〜?」

「………………。」

「……ねぇちょっとさっきから何で黙ってんのよ。何とか言いなさいよ。」

「……………………へ?」



足元にいた蟻が気になっていた龍二は妖精の話をちっとも聞いちゃいなかった。



「あぁ、わかったわかった。便秘だろ?」


大間違い。


「……。」

【ブチリ】


この発言に完全に何かが切れた妖精。



「もぉーーー我慢できない!殺す!!」



殺す発言すると赤く輝く妖精。


「ち、ちょっとフィフィ落ち着いて……!」

勇者が止めに入ろうとするが…




「はいキンチョール発射。」

【プッシュー】

「はご!!」






龍二による殺虫剤攻撃喰らってフラフラと落ちていった妖精であった。


〜完〜















「だ…だから、死んで、ないって、ば……グフゥ。」



〜やっぱ続く〜


赤べこ 会津若松の郷土玩具。赤く塗った張り子の首振り牛。赤牛。

(広辞苑参照)

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