第百六十六の話 始まりの罪
遅くなりました。言い訳しません。ええしません。
俺と虎次は、あれから何も変わらず接していた。
いや……ちょっと変わった。
最初の頃と打って変わって、あいつとつれんのはどこか落ち着く。初めは鬱陶しい存在でしかなかったあいつと、ただそこら辺をブラブラするだけで充実感を得ることができた。
前の、転校したての頃に比べれば明らかに大きな変化とも言えるだろう。何をしても、どうしようとも、何も変わらない、モヤモヤした気持ちを抱えていたあの頃……。
それが今となっては、遠い昔の話のようだった。
俺の中にあった空白が、満たされていく。空虚な心が、埋まっていく。
表に出すことはしない。けれど、俺は今、こいつに感謝している。昔と同じ頃に戻れるきっかけを作ってくれた、こいつに。
堂々と“友”と呼べる、こいつに。
それから、数ヶ月後……8月の中旬。
「っちぃなぁクソ……。」
風が全く吹かない、夏真っ盛りの日。和室の縁側の柱にもたれかかりつつ、片手にラムネアイスバーを舐めながらギラつく太陽を睨み付ける。
「あの太陽……ぶっ壊してやろうか……。」
「よしなさい龍ちゃん。太陽さんも頑張ってるのよ?」
そう言いながら冷たい麦茶の入ったコップとガラスポットをお盆に乗せて持ってきたお袋が、能天気にそんなこと言いやがった。太陽さんてなんだ太陽さんて。さん付けるな。
「ホラ、太陽って英語でSunって言うでしょ? 結構うまいこと言ったと思わない?」
「うまかねぇよ。つかそれだとサンさんになっちまうだろうが。さん二個も付いたら鬱陶しいっつの。そして思考読むな。」
「ウフフ、龍ちゃんは細かいのね♪」
「張り倒したろかコラ。」
思わずドメスティックバイオレンスに走りそうになったが、まぁ暑さのせいだってことで抑えこんだ。いい子だな俺。
「ったく、これだから夏は嫌いなんだよなぁ……ったく、あちぃ。」
首にかけた白いタオルで、顔の汗を拭う。しょっちゅう目に入ってきて視界の邪魔んなるから嫌だホント。
「……ウフフ。」
「………んだよイキナリ笑いだしやがって………。」
そんな俺を見て何が可笑しいのか、麦茶をコップに注ぎながら微笑むお袋をジロリと睨む。
「いやだってね? 最近の龍ちゃん、随分変わったなぁって。」
「は?」
何言ってんだこのオカン。
「前より笑うようになったし、学校もサボらなくなったし。何かいいことあった?」
「いや別にねぇよ…………ってちょと待て。お袋、まさか俺がサボってたこと知ってのかよ。」
「ええ。アナタの行動なんて、お母さんお見通しよ?」
「…………はぁ。」
ダラ〜っと柱からずり落ちてほとんど寝てる体勢になってしまった俺。まさか気付かれてたとは……やっぱ親にゃ敵わないってわけだ。
「大丈夫よ大丈夫! 私も大学時代はサボって単位落としまくってたから♪」
「アンタもかよ。」
ムクっと起き上がって張り手ツッコミしてしまった。俺は本来ボケ役なのに。
「まぁまぁ、過ぎたことは水に流しましょう?」
「……はいはい。」
呆れて何も言うことなくなったんで、お袋が入れた麦茶を啜った。
【ピンポーン】
が、いきなりインターホンが鳴った。
「あ、はいはーい。」
お袋がのほほんと返事して立ち上がり、インターフォンを手にした。
「はいどちらさまでしょう?」
『おーいマイフレー!! 遊ぶでー!!』
………………………インターフォン越しで声が丸聞こえってどんだけデケェ声で呼んでんだあいつは。後マイフレって何だ。略か? マイフレンドを略しやがったのかコラ。
「龍ちゃん、虎ちゃんよ?」
「わぁってるっつの。声だけ聞いただけでも。」
朗らかに笑うお袋に、俺は正直複雑。いつの間にかあいつの呼び名、“虎ちゃん”なってるし。ホントいつの間にかだよいつだよコラ。
…まぁ、考えたってしゃーねぇか。
「おーい何してんねやー!? 早く来ーい!!!」
「あぁあぁわぁったわぁった。急かすんじゃねぇよったく。」
暑いからそこら辺に脱ぎ捨てておいた黒のパーカーを羽織って立ち上がると、横で小さな笑い声が聞こえた。
「……何笑ってんだよお袋。」
ジロリとクスクス笑うお袋を睨む俺。
「いや、だってねぇ? ホント、今のあなた楽しそうよ? 花鈴ちゃんと一緒にいた時以来ね、そんな顔。」
「………フン、付き合ってらんねぇよあんな野郎。」
笑いながら「いってらっしゃいね〜。」と見送るお袋は放っておいて、まぁだ叫んでるクソやかましい野郎の下へ急ぐことにした。
「遅いわ!!!」
「声でかいわ。」
家から出ての第一声がでけぇんだよやかましぃんだようるせぇんだよテメェ。
「…んで? 今日はどこ行く気だ? またゲーセンじゃねぇだろうな?」
鬱陶しさを隠さずに言う俺。昨日も一昨日も商店街にあるゲーセンでしこたま遊んだおかげで、俺の財布が少し寂しくなってきたからやめておきたいのが本音である。
「うん!!」
本音無視しやがったこのボケナス。
「……わりぃんだが、金がない。他行くぞ。」
「金ならあるで!!」
「だぁら俺がねぇんだよバカ。」
「貸したげるがな! 利子つきで!!」
「死ね。いっぺん東京タワーの天辺から垂直落下して死ね。」
前々から思っていたが、こいつ結構金にがめつい。つか借金してまでゲーセンなんざ行きたかないわ。
「え〜。でも俺、一日一回はゲーセン行かへんと落ち着かへん。」
「どーでもいい。ホントどーでもいい。テレフォンショッピングで商品を大袈裟に解説するのと同じくらいどーでもいい。」
「いやそれどうでもよくないやろ? 意外と言ってることがホントやったりするし。」
真に受けるなこのアンポンタンが。
「え〜……じゃもうあれや。適当にブラつこ。」
「ゲーセン以外に何か無いのかテメェはよ。」
「ない!!!」
即答すな。
「そもそもゲーセンの無い世の中なんか無くなってしまえばええとさえ思うとる!!!」
ゲーセン依存症患者発見。
「……お前はダメ人間だということが今わかった。」
「失敬な! 俺は純粋にゲーセンを愛するってコラ最後まで聞けやぁ!!」
虎次は無視して、俺はさっさと歩き出す。そして追ってきた虎次が強引に肩に手を回した。
「あっついっつーの。離れろボケナスが。」
「気にすんな気にすんな♪」
輝かしいばかりに笑う虎次の横で、俺は今、相当嫌そうな顔をしてる……と思う。内心は別にどうとも思ってない。むしろ慣れていた。
「いやぁにしても今日はホンマあっついよなー。」
「引っ付いてるからじゃね?」
「今日の最高気温35度やて。地球温暖化が進んどる証拠やな。このままやと地球滅びるで。」
「お前が滅びろ。」
「南極とか氷が解けて水位が上昇しとるんやて。ペンギン達かわいそうやんな?」
「俺の怒りメーターが現在進行形で上昇している。」
「いやぁにしても今日はホンマあっついよなー。」
「さっき言った。」
「……素っ気ない返事ばっかで俺寂しいやん。」
「だからどうしたこのドアホが。」
こんなしょーもない会話を繰り広げつつ歩く俺ら。素っ気なく返す俺だが、虎次は嫌な顔一つせずに笑い続ける。普段の俺なら速攻で殴り飛ばしているだろう。これもやはり、慣れっていう奴なのかもな。
いやはや、慣れとは恐ろしい。
「なぁなぁ、ホンマにゲーセン行かへんの?」
しつこいのは慣れねぇ。
「行かねえ。そもそもテメェ、こないだみたくまぁた雑魚どもに絡まれるだろが。」
こないだ貞和良とその他をボコボコにして以来、他の雑魚どもがどこで聞きつけたのか俺らを見るやいなや速攻で殴りかかってくるようになり、それを俺と虎次が適当に返り討ちにしるというのも慣れてきてしまった。こないだのゲーセンでもそうだ。シューティングゲームで遊んでる俺らの背後から思い切り殴りかかってきた連中を、俺はシューティングゲームの銃で殴り飛ばしてやったし。因みにその時壊れた銃は返り討ちにしてやった連中が弁償することになったのはまぁいいとして。
「平気やって平気。」
相変わらずケラケラ笑う虎次。
「何てったって……。」
と、続けて回した肩をバンバン叩く。
「こっちにゃ普通の人間とはちゃう、心強いダチがおるさかい。挑んでくる連中なんてかわいいもんやって!」
「…………。」
普通の人間じゃない……この言葉は、俺にとってはまさに言葉のナイフ。周囲はその事実を知らないから、こういった陰口を叩かれる心配はない。だが、お袋と親父の会話を盗み聞きしたあの日から、その言葉は俺にとっての重石となっていた。
自分を勝手に抑えつけていた、きっかけの言葉。
「……また挑んできたら今度はお前を盾にしてやる。」
「えぇ!? そ、それだけは堪忍してや!?」
「断る。」
だが、その言葉は今は重石でも何でもない。言われても何も不快に感じない。抑圧されてたはずなのに、今では何とも思っちゃいない。
その理由は、こいつにある。こいつが自分の身の上を、話してしまうと今まで仲良くしてきた連中が離れてしまうと恐れていた話を俺にしてくれた次の日。俺は、同じように自分の出生を話した。
その時は、本気で恐かった。
例え相手がこいつでも、俺のことを奇異の目で見るのではないかと。
それがたまらなく恐ろしかった。
だから話すのを躊躇い、その日のうちに話せなかった。
俺は、人間であって、普通の人間じゃない……。
――――別に普通やのぉても化け物でも、お前はお前やろ?
でも。そんなあいつはあっけらかんと、何にも考えていない顔をしながら言い放った。
明らかバカとしか思えない顔。明らか間抜けな人間が発するとしか思えない発言。
たった一言。それだけ。
それだけで、俺の中にあった重石は消えた。
わかっていたつもりだった。こいつが、そんなことにこだわる人間ではないことを。
それでも、心のどこかでまだ信じきれていなかった。こいつのことを。
こいつは、救いようのない大バカだというのがようやくわかった。
俺は、そんな大バカと出会えたことに感謝していた。
「……オイ、虎次。」
「? 何や?」
ふと、歩きながら呼ぶ。それに応えて、虎次は首をかしげた。
「…………。」
「……オーイ、どしたー? どしたんやー?」
掌を俺の前でヒラヒラさせながら続きを催促する虎次。俺は、言うべき言葉を言おうとした。
が、ヒラヒラが鬱陶しいのでやめにして、
「……ゲーセン、ぜってー行かねーぞ。」
「ガーーーン!? 何でやぁぁぁぁぁぁぁ!!??」
横で絶叫するクソやかましい奴はポイしておいて、俺はさっさと歩き出した。
まぁいい。こんなん今言わなくてもいいか、と。いつでも言えるか、と。
それが、永遠に言えなくなるなんて、微塵に思っていなかった。
「おーい、待ってーなー!」
「待たん。」
俺は虎次を放って、さっさと歩く。そしておもむろに横断歩道の白線に足を付けた。
「あ、龍二!」
「? あ?」
が、急に切羽つまったように呼ぶから歩きながら振り返る。
「どしたよ。」
「……今信号点滅中やで?」
指差す方を見れば、確かに歩行者専用の歩く人型マークが青く点滅しているのがわかる。もう数秒もすれば赤になるだろう。
だが、今んとこ車は来てないし、別に危険視することもない。
「気にすんなよ。さっさと渡っちまおうぜ。」
「いやいや、危ないって。こういうのはな、安心やって思った時が一番危険」
【パアアアァァァァァァ!!!】
「「!?」」
突然、虎次の言葉を遮るかのように鋭い音が辺りに響き、思わず身を竦める。だが、横から何かが近づいてくるのを感じた。
見れば、巨大なトラックが猛スピードで接近してきていた。明らかに制限速度を越している。
一瞬、冷静になった頭でトラックの運転席を見てみた。ベタにうつらうつらと舟を漕いでるのが見える。
俺は、何が起こってるのかわからずに愚か者のように立ち尽くした。
「危ない龍二ぃぃぃぃ!!!」
突然、横から声が聞こえ、その後に衝撃を感じて俺は弾き飛ばされる。
トラックからの衝撃じゃない、強くない衝撃。突き飛ばされたのだと、遅れて判断した。
【ドン】
何かがぶつかる音がした。
「……は?」
音は、電柱とか、そんな物体にぶつかった時のような音じゃなかった。
もっと違う、何か。電柱に衝突するより、鈍い音。
「……は?」
突き飛ばされた時に打った頭を抑え、上半身のみ起こす。体は痛まない。元々頑丈だから、大したことはない。
「……は?」
突っ込んできたトラックのバンパーはひしゃげ、フロントガラスにもヒビが入っていた。相当強い衝撃だったというのを物語っている。それほどまでにスピードを出していたから当然だ。
「……は?」
トラックから離れた位置に広がる、赤い何か。夥しい量の、何か。
「……は?」
その中に倒れている、誰か。体中が真っ赤に染まった、誰か。
「……虎、次?」
立ち上がり、力の入らない足で歩み寄る。
ひどい姿だった。真っ白な髪は真っ赤に染まり、顔中からも血で染まっている。服も、ズボンも。Gパンは赤黒く変色していた。
「虎次……?」
ピクリとも動かない。胸が上下していない。息をしている音が聞こえない。
そこだけ時間が停止してるかのような、異様な空間の中に虎次が取り残されているかのような、そんな錯覚を覚える。
「虎次……?」
手で、虎次の肩を揺さぶろうと触れる。その時、俺の手は異様なほどに真っ白だった。
【ヌチャ】
触れた瞬間、粘着性のある液体が俺の掌にへばり付く。生暖かった。
それが何なのか、俺は知っている。だから、認めたくないかのように、恐る恐る自らの掌を見た。
真っ赤だった。
「……あ。」
全てが赤くなった。
「あぁ…。」
死んでいた。
「あぁぁぁ……。」
死んでいた?
「あぁぁぁぁ……。」
違う。
「あぁぁぁぁぁぁぁ……。」
死んでいたんじゃナイ。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……。」
そうジャなくテ。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……。」
安全ダト思っテいた俺ガ。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!」
コロシタ。
「あぁぁあぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁああああああぁぁぁああああァァァアアアアァァアアアァアァァァアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
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…………。
(最悪な……夢だな。)
暗闇の中……と言っても、瞼を閉じているせいなのだが……俺は、目覚めた。
過去の記憶。俺の正体。あいつとの出会い。あいつとの生活。そして、あいつの死。
忘れられるはずがない。明るく、楽しかった生活から、一気にどん底に突き落とされたあの日。
あの後、俺はどうなったか全く覚えていない。お袋と親父が慰めてくれていたとか、そんな程度の記憶しかない。ただ、その内容は覚えていない。
それから俺は、雅と出会って、恭田と出会って、香苗と出会って、久美と出会って…………雅と出会う、その前の記憶が一切無くなっていた。
唯一、残っていた物は……罪悪感と後悔と悲しみ。
俺が殺したようなもんだ。あの時、俺の不注意のせいで、あいつは俺を庇って死んだ。
トラックに撥ねられた程度で怪我するほど、柔な体じゃないと自負していたから、それもあって油断していた。
その時の俺は、まだ咄嗟の判断ができず……結果、あぁなってしまった。
……俺が、あの時止まっていれば。待っていれば。何にもならなかった。あいつは死ななかった。
けど、結局死んだ。何をどうしようが、もう元通りにならない。死んだ人間は生き返らない。
だから……俺は一生、この罪を背負っていかないとならない。
なのに、あいつは俺の前に現れた。生きて。それも変な力を行使して。
性格も、違和感があった。狂っていた。何かが狂っていた。
だからわかっていた。もう、昔のあいつじゃないことは。
あいつは………殺しを、楽しんでいた。
だから……俺は……。
「リュウジさん……リュウジさん……!」
…………暗闇に思考を捕らわれていた俺は、突然聞こえてきた声に意識を再び蘇らせた。
(……アルス……?)
こうやって呼ぶ奴は、アルスしかいない……薄っすらと、目を開けてみた。
場所はどこだかわからない。虎次との戦いで、何も考えず、体の傷を癒やすために適当な場所を選んだからだろう。ただ、食い物の匂いとか、埃っぽい匂いとかする。おそらく、飲食店の倉庫だろう。
それよりも一番驚いたのは(表面には出さなかったが)、目の前でボロボロと涙を流すアルスとクルルとフィフィ。そして、その後ろで信じられないといった顔をしている雅達。アルスは必死に俺の名を呼び、クルルは俺のジャケットにしがみついて号泣し、フィフィは耳元で「起きなさいコラ!」とか涙声で喚いていた。正直耳痛いからやめんかい。
「リュウジさん……嘘、ですよね……こんなの……こんなの……!」
「リュヴぐん起ぎでよぉぉ!! 死んじゃ、死んじゃヤダァァァ!!」
必死に呼びかけるアルスに、号泣しながら揺さぶるクルル。やめれ。服ビロンビロンになるからやめれ。後ものっそい涙と鼻水でビチャビチャだし。
だが目を開けてるのに気付いていないらしく、未だに呼びかけ、揺さぶり続ける。このタイミングでどう起きろっての? 何か気まずいぞコレ。
「龍……二……オイ、嘘だろ? 嘘だろオイ?」
「リュウちゃん……?」
覚醒した雅と香苗が、呆然と呟く。まだ信じれていない様子。いや生きてるけど。
「龍二……そんな……龍二……。」
「……………。」
久美はヘナヘナと座り込み、リリアンはまだ覚醒しきれていないのか呆然としている。
「龍二ぃぃぃぃぃぃ!!!!」
「リュウジ……。」
「嘘……。」
恭田は号泣し、カルマケルマの双子も揃って呆然としていた。
「龍二? ちょっと、これ冗談よね? 冗談に決まってるでしょ? ねぇ?」
「か、カリンさん、落ち着いてください!」
唯一かろうじて冷静だったらしいスティルが、混乱してる花鈴を落ち着かせようとしていた。
……超起きづらい。マジで。何か、きっかけが欲しい。マジで。起きれないし。
「龍二……頼むから、起きてくれよ……龍二ぃ!!」
恭田が、必死に俺を起こそうとクルルと一緒になって揺さぶった。いや起きたいんだけどね? 起きれないのマジで。
「俺、俺!
お前が半年前に俺に貸してくれたCD、まだ返してなかったんだぞぉぉぉぉ!!!!」
「逝きさらせえええええええええ!!!!」
「ぐれんちょべらぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!????」
ありがとう影薄。サンキュー影薄。きっかけを作ってくれたお前を俺は忘れない。五分ほど。
遅くなっていながら、次の話の構成ができてるにもかかわらずまだ一話の前半も書けていないので、また更新遅れる可能性あります。こんな不甲斐ない作者ですが、なにとぞ、なにとぞ見守ってくださいませぇぇぇ!!! 生暖かくても冷たくてもぬるくても結構ですので!!!!