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第百五十四の話 皆で初詣じゃ

今年最初の話は初詣です。え? 遅い? 

〜ライター視点〜



新年、明けましておめでとうございます。元旦、お正月です。







「ん、うまい。」

「おいしー♪」


コタツで重箱に入ったおせち料理に舌鼓を打ち、龍二達は正月を満喫していた。


「うん、やっぱ正月はおせちだな。」

「結構いけるわね。この数の子っていうの。」

「プチプチしてておいしいです。」

「私クロマメ好きー♪」

『食えん。』


龍二手製のおせち料理に大満足のアルス達も超ご機嫌である。


リビングは、まったりとした雰囲気に満たされていた。


「うーし、正月はいつもより倍にのんびりするぞー。」

「つまり楽しもうってことだね!」

醤油しょうゆうこと。」

『それはいろいろとまずいだろう。』

「よくテレビ見てるなお前。」


和やかに食事は進んだ。







「………だぁかぁらぁぁぁぁ………」

「「「「『?』」」」」



「何で我が家でやってんだよ!!??」



言い忘れ。現在地、楠田邸。つまり雅の家。クリスマス同様、ちゃっかり龍二達は雅の家のコタツに居座っていた。ぶっちゃけた話不法侵入真っ只中である。


「あ、そうだった。」


いっけねー、と後頭部をかきながら、全員コタツから出て雅の前で正座する。


「「「「『明けましておめでとうございます。』」」」」

「あ、こちらこそおめでとうございます。で誤魔化そうとすんじゃねぇよ。」


残念。龍二の『新年の挨拶で適当に誤魔化しちまえ作戦』失敗。


「いつからいた?」

「話すと」

「三秒で済ませろ。」


前回よりも雅は素早く、かつ的確に龍二の言い分を遮った。


「え〜っと、リュウジが雅の家の屋根に乗って一部を」

「よーしそっから先は大体理解できたとゆーわけで警察行けそしてできれば屋根直してから死んでください。」


前回よりきついツッコミが大炸裂した。


「ちょっと! 私まだ説明中でしょ!?」

「だぁからそっから先がわかるんだっつーの。」

「じゃあ違ってたら?」

「百歩譲ってそれはない。」

「そ、そうとは限らないでしょ!」

「そうとしか言えないんだっての。」

「…ホントに違ってたら?」

「ハッキリ言って違うなんてありえない。」

「…………。」

「…………。」

「……リュウジ、言っちゃっていい?」

「いいぞ。」

「いいんかい。」

「屋根壊しました。」

「テメェ妖精コノヤロウ。」

「わ、私じゃないわよリュウジよ!!」

「罪を認めろフィフィ。」

「こぉんのクソリュウジーーーー!!!」


さて、誰が何を言ったのでしょう。



「あら龍ちゃん達じゃないの。明けましておめでとう♪」

「おお涼子さん。明けましておめでとさん。」

「あ、おめでとうございます。」

「おめでとー!」

「おめでと。」

『うむ、おめでとう。』


リビングに入ってきた涼子は龍二達の存在を難なく受け入れ、新年の挨拶を交わした。


「あれ、皆どうして」

『明けましておめでとうございます。』

「へ? え? あ、はぁ、お、おめでとうございます……?」


続いてスティルも入ってきて、早速雅が疑問に思ったことを口走ろうとしたので龍二達は即挨拶。川のように流されたスティルは訳もわからず挨拶を返して誤魔化された。


「……で? 今日は何なんだ。」


もう何かいろいろ諦めた雅は、毎度の如く髪を掻きながら聞いた。ハゲるよ。


「うるさい。」

「誰に言ってんだ?」

「……いや、何でもねえ。それより用件言え。」


さくしゃにツッコんでますますストレス溜まる雅でした。


「うむ、今日はだな。」



【スポ】



「行こうぜ。」

「どこにだ。」


龍二達は今度は門松(を模した帽子)を被って主語を省略しつつ爽やかな笑みを浮かべて親指を立てて雅の鋭いツッコミが炸裂した。


「つか何で門松頭に被ってんだ。」

「え? ショウガツってこれを被るんじゃないんですか?」

「誰から教わったお前ら。」

「フフフ、俺だ。」

「バカじゃねえの?」


純粋なアルス達に間違った知識を教え込んだ龍二(含み笑い付き)をバッサリと切った。物理的には無理だから言葉で。


「で? どこ行くって?」

「決まってんだろ? 初詣だ。」

「……あぁ、なるほど。」

「ボクらハツモウデってよくわからないんですけど、何事も経験だって言われて半ば強制的に…。」

「……ドンマイだなお前ら。」


初詣。年が明けてから神社に参拝し、一年の平安と無事を祈る行事。年が明けてから朝や昼に行く人も多いが、中には夜の十二時、ちょうど年が明けてから初詣をする人も多い。


「あらちょうどいいじゃない。私達も初詣行こうとしてたのよ。」

「私も興味ありますから。ハツモウデ。」

「よぉし決まり。じゃ行こうや。」

「待てっつの。」


何だかトントン拍子に話が決まっていき、一人置いてかれる寂しさを覚える雅。


「んだよ文句あんのか?」

「いや、せめて準備くらいさせろよ。姉さんが着物着たいって言ってるし。」

「キモノ?」


着物にアルス達が反応した。


「キモノてなぁに?」

「ん、着る物。」

「まんまやんけ。」


最近関西弁ツッコミのキレが増してきてる気がしないでもない。


「じゃあ皆も見る? 着物。」

「え、いいんですか?」

「ええ♪ あ、何なら私のお古があるけど、着てみる?」

「着たーい!」

「…どんなのか知らないけどね。」


ご機嫌な涼子に連れられて、アルス達はリビングを出る。


「…着物ねぇ。」

「? 何だ?」


取り残された男性陣は、龍二の呟きに反応した。


「いやさ、俺毎年見てんだよね。香苗達の。」

「うん。」

「それが何か?」






「綺麗すぎて目が痛くなるから嫌いなんだが。」

「「…………。」」




全世界で着物を愛する方々に謝れ、と思った雅であった。









さて、所変わってここは天分町で唯一の神社、『天川あまかわ神社』。想像通り、多くの人でごった返していた。


「うひゃあ、やっぱスッゲェなぁ。」

「すごいですね……人だらけです。」

「わひゃ〜……びっくり。」

「シブヤほどじゃないけど、すっごいわねこれ。」

『…また私はこんな羽目に……。』


龍二達は神社の入り口にある鳥居の前に立ち、アルス達は辺り一面、人、人、人だらけのこの光景に圧倒されていた。エルは渋谷の時と同じようにイン・ザ・スポーツバッグ。


「毎年これくらい集まるのよ?」

「あんま人ごみは好きじゃないけどな。しょうがないし。」

「にしてもホントすごいですね。」


スティルは除いて、楠田姉弟はもう慣れっことでも言うが如く平然としていた。


「じゃあよ、ここで久しぶりに一発『龍爆陣』使ってもいいか?」

「絶対するな。マジでするな。」


意味もなく全周囲破壊技を繰り出そうとした龍二を雅は表情を変えないまま全力で止めた。


「まぁまぁ、半分冗談だ。」

「半分やる気だったんかい。」

「さてそれより。」


相変わらずのスルーの方向に龍二は持っていった。


「香苗達がもう来てるはずだが…。」

「あれ? 呼んでおいたのか?」

「おうよ。新年の挨拶ついでに。」

「……そこら辺は抜かりねぇのな。」

「気ニシナーイ。」


今年初の名言。




「リュウちゃーん。」

「っと、噂もすれば。」


振り返れば、手を振りつつ駆け寄ってくるお馴染み女性メンバーズの方々とプラスアルファ達。


「やっほ、お待たせ!」

「ホント待った。死ね。」

「え、新年早々毒!?」

「ど、ドンマイですカナエさん。」

「そりゃあんだけ時間かければな。」

「そこは黙っておこうよカルマくん。」

「……。」


一着の香苗に挨拶の代わりに爽やかに毒を浴びせてショックを受けさせた龍二。香苗の後ろについてきた双子sも相変わらずである。


「すまない、遅れた。」

「ごめんごめん。」

「……。」


香苗達に続いて、花鈴、久美、リリアンも到着。全員集合した。


「ったく遅ぇってのオメェら。」

「ごめんって。準備に時間かかっちゃってね?」


若干怒ってる龍二を花鈴は苦笑しながらなだめた。


「……ま、いいか。とにかく、明けましておめでとうなお前ら。」


怒りを静めて、微笑しながら新年の挨拶をする龍二。


「うん、よろしくねリュウちゃん♪」

「よろしくな。」

「よろしく龍二。」

「皆よろしくー!」

「……よろしく。」

「魔王様、よろしくお願いします!!」

「よろしくお願いします。それとうちのバカなケルマがすいません。」

「え、サラリと毒?」


花鈴達も新年の挨拶を返した。



「あ、龍二……と、ところで、さ。」

「あ?」


突然、花鈴が顔を赤らめてもじもじし始めた。


「え、えっと……その…。」

「んだよキショク悪い。はよ言え。」

「……キショク悪いって……ま、まぁいいわ。」


いつものことだが、ちょっとショックを受けた花鈴であった。


「こ、これ……どうよ?」

「どれよ。」

「……こ、これ!!」

「どれだっつの。主語言え主語。」

「…………き、着物………どう?」


顔を赤らめて少し顔を逸らしながら小声で言った。



そんな花鈴の着物は、色鮮やかな赤色の生地に白い花模様が縫い付けられた何とも綺麗な物。いつものポニーテールには、ゴムではなく金色の髪飾りが付けられている。



「ん、ああ着物か。」


それを見て感想を言おうとした龍二。



「り、龍二! あ、あたしのはど、どどどどうだ!?」

「リュウちゃん、どう? どう?」


が、花鈴を左右から挟む形で香苗達も感想を求めた。



香苗のは白い生地に薄いピンクの花が模様となっている着物。久美のは青い生地に金魚が縫い付けられた着物。二人とも花鈴と同じような髪飾りをつけている。因みに香苗の双子の妹も姉と同様の着物で、見た目からは全く区別がつかない。



「…………。」



で、黙ったまま三人の若干後ろで言いそびれた感丸出しのリリアンの着物は、花鈴と同じ赤だが模様が金色の波を縫い付けた物であった。



「うわ…………。」

「…………。」


龍二の背後にいる男性陣、雅とスティルは、そんな彼女達の美しさに見惚れ、しばし硬直していた。通りかかった男性達も思わず振り向いたり立ち止まらずをえないくらい。


そんな彼女達に感想を求められた龍二は、



「あ、いんじゃね?」



若干目を逸らして軽く言った。


「………そ、そう? なら、いいけど。」


意外にも毒ではなく、素直な感想を聞いて少し反応が遅れた花鈴は照れを隠すつもりで顔を赤くしながらそっぽ向いた。香苗に至っては「リュウちゃん大好き!」と言いながら龍二に飛びついて殴られ、久美は「え、えっと…。」と花鈴同様顔を赤くして軽く慌てふためいていた。



因みに龍二が目を逸らした理由は照れたわけではなく、目がチカチカするという理由だからである。感想はそれを誤魔化すために言ったのであり、それに気付いたのはスポーツバッグの中に入っているエルだけであった。



『……我が主ながら、何て鈍い奴だ……。』



と、小声で言ったとか言わなかったとか。


「…皆さん、綺麗ですね。」

「ホント、キレイだなぁ……。」


しかし、アルス達は純粋に憧れの眼差しを向けていた。


「え、いや……アルスちゃん達も負けてないよ?」

「う……確かに。」

「え!? …………そ、そんなこと……/////」

「えへへ♪」


アルス達を見て普段見られない二人の魅力に戸惑った女性陣に対し、アルスは赤面、クルルは嬉しそうに笑った。



アルスのは若草色の生地にピンクや赤の花が散りばめられた着物で、クルルのはシックな黒い生地に同じような花柄が縫い付けられている着物。クルルだけ髪を上げて髪飾りで結い上げてある。



「とゆーより、そんな服どこにあったのよ?」

「フフ♪ 私のお古よ♪」

「姉さん、着物集めるの好きなんだよな。」


質問する花鈴に、白い生地に小さな花が裾にところどころ散りばめられたシンプルな着物を着た涼子が嬉しそうに言った。


「まぁ、もらっちまったもんはしゃーないしな。」

「アンタ何嫌そうな顔してんの?」

「気ニシナーイ。」


肩をすくめる龍二に、ポケットから顔を覗かせたフィフィが聞いたが軽く受け流された。


「ま、とりあえずお披露目会はこんくらいにして行こうや。」


龍二が先頭に立ち、鳥居をくぐって神社に入った。皆もその後に続く。


ここの神社の敷地は、龍二の家がすっぽり入るほど広い。当然、それだけ広ければ人が大勢入り、広さ関係なく人いっぱいになる。その上、広さもあってか人が多すぎる。


ゆえに、迷子になりやすいので……、


「お前ら、服の裾持っとけよ。」

「はーい!」

「……ああ、シブヤのトラウマが……。」


一番危なっかしいアルス達に細心の注意を払う龍二と、


「皆、ちゃんと手繋いでてね?」

「うん!」

「……。」

「ま、魔王さまと手を!」

「……。」


幼稚園の先生のような香苗の手を繋ぐ斉藤姉妹と、その斉藤姉妹に繋がるように手を繋ぐロウ兄弟。因みにケルマが世迷い事を口走ったため、カルマが手に力を入れて砕いた。


「並んでる時は大人しくな?」


振り返った龍二の目に、カルマによって砕かれながらもまだ力強く握り締められて絶叫を上げようにも痛みで上げれないケルマの顔が入って一瞬でブッ!! と吹き出した。


「? リュウジさん?」

「……わり、何でもねぇ。」


止めることなく、龍二は笑いを堪えて正面に向き直った。





とりあえず、ケルマの手の犠牲以外は何事もなく列は進み、龍二達の番が来た。


「じゃ、願うか。」

「えっと……どんなことでもいいんですよね?」

「ま、初詣だから何でもいんじゃね?」

「わかりました。」

「いっぱい願っちゃおー!」

「一個だけにしときなさい。」


テンション高いクルルをフィフィが嗜める。


「ほれ。」

【チャリンチャリン】


龍二とアルスとクルルとフィフィ(ポケットから)は一斉に五円玉を投げ込み、天井に吊るされた鈴を鳴らす。


「よー!」

【パンパン!】

「その掛け声いらねえ。」


雅のツッコミも冴える。




(これからもリュウジさん達と一緒にいられますように。)


アルスはごく普通の願い事。


(皆と仲良くすごせますように。)


クルルも普通。


(後、リュウくんとデート♪)


でもなかった。


(とりあえず、アルスの恋愛成就ってとこかな?)


何も思い浮かばなかったフィフィはアルスの応援。


(私は何もない。今のままでいい。)


エルはスポーツバッグの中で何の夢もない願い事。


(世界の全てをラーメンに。)


龍二は龍二でいろいろと物騒なことを願っていた。




「じゃあ次は私達ね♪」

「ああ。」

「これを投げ込めばいいんですね?」


次は楠田姉弟達が願う番である。




(今年も全員、健康でいられますように。)


雅はベタな願い事。


(後、龍二の奴がもうちょいどころかもっと大人しくなりますように。)


も一つはベタじゃなかった。


(料理うまくなりますように。)


涼子は神様に試練を与えた。


(涼子さんの料理がうまくなりますように。)


スティルによって便乗効果。




「じゃ願いますか。」


続いて花鈴。




(どうか、どうか龍二がアタシに………あ、アタシに………す、少しだけ振り向いてくれますように!)


若干へっぴり腰ながら強気な願い事であった。




「はい。」

「ありがと、お姉ちゃん。」

「……ありがと。」

「か、カルマ? 手が使えないから代わりに投げてくれないかな?」

「無事な手を使えバカ。」


カルマの毒が神様の前で炸裂しつつ、香苗達の番。




(リュウちゃんと幸せになれますように。)


花鈴と違って積極的だ。


(今年も楽しく暮らせますようにー!)


美紀は可愛げのある願い事。


(…………楽しくなりますように。)


何に? というツッコミが聞こえてきそうな美香の願い事。


(魔王様!!)


ただ頭の中で名前を呼んだだけのケルマ。


(とりあえず隣のバカがもうちょっと黙りますように。)


ここでも毒なカルマ。




「あたし達か。」

「……そうね。」


久美とリリアンの番。因みにエリザさんは仕事の都合で来れなかったそうな。




(神様神様……龍二に勝つためにも、見守っててください。)


神様に対してまで他力本願ではないところが久美らしい。


(………………/////////)


実は着物を着て龍二に見られて恥ずかしいと思っているリリアンは願い事どころじゃなかった。








「さぁて、おみくじだ。」


何事もなくお参りが終わり、龍二達はおみくじ売り場に集まった。


「? おみくじって何ですか?」

「今年の運勢を占うの。大吉から大凶まであって、大吉が一番よくて、大凶が一番最悪なの。」

「へぇ。ギャンブルね。」


香苗の説明に、フィフィが何かいろいろ合ってるようで違うことを言った。


「とりあえず一回百円だな。」


とゆーわけで、各々百円でおみくじを購入することに。




「えっとボクは………小吉?」

「私中吉ー。あれ? これって私の勝ち?」

「勝ち負け決めるもんじゃないでしょ。私は末吉ね。」

『私はいらん。』

「で、龍二は何?」


キャイキャイはしゃいでいたアルス達だったが、


「ん、これ。」


龍二に見せられたくじを見て、止まった。


「だ、大吉…。」

「さすがリュウくん…。」

「まぁ大吉は大吉でも、内容を見ないとな。」


そう言ってから、書かれてある内容を読み上げた。


「『待ち人、多分来る』。」

「うわ、何その適当な感じ丸出し?」

「『商売、多分儲かる』。」

「何で多分なの?」

「『病気、ありえねえ』。」

「タメ口ですか!?」

「『恋愛』。」


途端、アルス達だけじゃなく花鈴、香苗、久美、リリアンの耳がでっかくなった(幻覚です)。


「『アンタ鈍いからとりあえず鋭くなってください。じゃないと一生結婚できません。まずは周りの気持ちに答えましょう』?」


やたら長い上に的確なアドバイスである。


「まぁ今んとこ結婚なんて興味ねぇし、別にいいか。」


とゆーわけで、このアドバイスは意味なしとなった。




「……何て言うか、あいつらしいな。」

「ですね。」

「雅、スティル、何だった?」


傍ら、こちらは楠田姉弟達。


「えっと、私は…中吉ですね。」

「やった! 大吉!」

「……。」


はしゃぐ涼子の隣で雅は硬直した。


「……ハリセン?」


紙にはただそう書かれてあるだけだった。


「どーゆー意味だこれ? え〜、『今年もツッコミだ!!!』。これ書いた奴死ね。」


くじに文句を言う雅であった。




「…と、とりあえず…。」


龍二の気持ちを垣間見た花鈴は、ちょっと落ち込みながらもくじを開く。


「え〜………凶!? ………じゃない、え、何これ?」



『凶吉』



「どっちよ!?」


『合体させてみました。つまり人生いいこともあるし悪いこともある。まぁ頑張れ。』


「こんなもっともらしい説明いらないわよ!!」




「じ、じゃあ皆見てみよっか?」


香苗も香苗で何かいろいろガッカリ。


「あ、私吉。ん〜普通かな?」

「わーい、大吉〜!」

「……大吉。」

「ん、僕は末吉か。」

「よし、僕は…。」


最後、ケルマがくじを開く。



「…え、大凶?」



最も最悪な運勢が出た。


「お前らしいな。」

「う、うるさいよカルマ! ふん! 大凶だか大根だか何だか知らないけど、全然恐くなんかないさ!!」


言った瞬間、背後から太ったおばさんが体勢を崩してケルマにそのでかい腹をぶち当て、弾き飛ばされたケルマはまだ見ぬ明日に向かってヘッドスライディング。こうしてケルマは防寒用の焚き火に突っ込んだ。


「……まぁいいか。」


それを見て少し呆然としたカルマだが、悲鳴を背後に見なかったことにした。と同時に、『くじびき恐ぇ。』と、幼いながらに体感したのだそうな。




「…全く、龍二の奴は…。」

「…彼らしい…。」

「…そう言われたら何も言えないだろう。」


呆れる久美に、リリアンはもっともなことを言ってなだめた。


「まぁいいか……リリアン、出たか?」

「……出たけど、久美は?」

「あたしは末吉だ。まぁまぁといったところか……リリアンはどうだ?」

「……大吉。」

「なぬ!?」


素っ頓狂な声を上げた久美。


「え、えと…何て書いてある?」

「……『待ち人、来たる』。」

「く、来るのか……それで?」

「……『恋愛



……』ヤッ。」

「そこで恥ずかしがるか!? 何だ、何が書いてあった!?」

「…………/////」

「無言で隠すなああああ!!!」


そこに何が書かれてあったのかは、神とリリアンのみが知る。







「あ〜……やっぱ人ごみは苦手だな。」

「疲れましたぁ…。」

「おダンゴ、おいしかったぁ♪」

「アンタは食えりゃ何でもいんでしょ。」

『私はずっとこのまんまだったがな。』


神社の入り口に集まり、未だに絶えない参拝者の波から逃れた龍二達は疲れた体をほぐすかのように伸びをした。クルルは口に出店で買った団子の串を咥えている。危ないから捨てなさい。


「何か初詣すると今年も頑張れちゃう気がするよね♪」

「そういえば、そうですね。」

「まぁ、そう言われりゃそうだな。」


充実した涼子に、スティルと雅が賛同する。


「さ、てと。そんじゃこれからどうするの?」


花鈴は若干乱れた髪を整えながら今後の方針を聞いた。


「ああ、雅ん家行くぞ。おせちあるから。」

「やっぱ俺ん家かい。」


龍二の即答にうなだれる雅。脳裏にはドンチャン騒ぎして家中を散らかす龍二達の姿が浮かんだ。


「いいじゃないの。毎年恒例なんだから。」

「……まぁ、姉さんが言うんじゃしょうがないな。でもお前ら、ちゃんと片付け手伝えよ?」

『ラジャー!』


気だるげな雅に元気いっぱい返事する龍二達。


「うし、じゃ雅ん家行くぞー。」

「毎年これが楽しみなのよね、久美ちゃん?」

「そうだな。」

「へぇ、楽しそうね。」


雅の家で行う今年初めてのイベントに、新参者のアルス、クルル、フィフィ、エル、スティル、ロウ兄弟(ケルマ頭に包帯)、リリアン、花鈴は内心わくわくしながら龍二達についていった。



やはり、皆で新年をすごすのは楽しい……全員の気持ちは一緒だった。









「あれ?」

「? リュウジさん? どうしたんですか?」


が、龍二はふと立ち止まった。


「いや、さぁ……



誰か忘れてね?」

『…………。』


全員、沈黙した。









〜一方その頃〜



「チクショウ……何で俺だけ……俺だけバイトなんだよおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

「うるさい!! お客様の迷惑だろうが!!」

「す、すいません。」


年中無休の洋食レストランの厨房の裏で、皿洗いをしていた凶田、じゃない恭田は大絶叫。店長にこっぴどく叱られた。


クリスマス同様遅すぎてすいません。

それというのも、昨日までちょいと親戚中回って帰ってくるのはいっつも夜。疲れた体のままちょっとずつ書き進め、その後はチャット。いやチャットする暇あるなら書けってな感じですが、スルーの方向でお願いします。

とりあえず、ようやく今年最初の更新ができたので遅ればせながら……


皆さん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。 byコロコロ

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