第百四十四の話 再び大混乱!?
今回は長編のその後。コメディです。後短いです。
〜龍二視点〜
さて、前回化け物騒ぎのせいで住民は皆戸惑っていたが、化け物が全部消えたことによって何とか落ち着いたようだ。んで、結局のところあれは一体何なんだという声が上がって問題になったんだそうだ。専門家も何が何やらということで頭捻ってるようだが、多分アンタらのかったい頭じゃわからんだろうよ。まぁ我が家にはわかる奴がいるけど。
でもまぁ、避難勧告出したタイミングがよかったのとスティル達の活躍のおかげなんだろうな。町の死傷者は奇跡的にゼロ、せいぜい逃げてる途中でこけて膝を擦り剥いたとかそんなもんばっかだ。運いいねぇこの町。
……まぁそれはいいんだが……やっぱ仕事はあった。
町の復興作業だ。
死傷者はいなかったが、代わりに町に被害が出たんだそうだ。塀が破壊されてたのは勿論、電柱折れてたり、家一軒吹っ飛んでたり、ビル崩壊してたり……結構でかい。
原因は当然、化け物の仕業。塀は俺が化け物吹っ飛ばした時に破壊され、電柱は俺が化け物もろとも飛び蹴りかました時に吹っ飛び、家一軒は俺が手刀で化け物と一緒に粉みじんにしたり、ビルは俺の正拳突きの衝撃波で化け物もろとも一掃したり、他にも俺が殴ったり俺が蹴ったり俺が切ったり俺が投げたり………
はぁい、そこで『原因全部お前やんけ。』とツッコんだ奴。ゴキブリとミミズとムカデを口の中にぶち込まれたくなければ黙れ。
「おーい、龍二。こっち頼む。」
「ほいほーい。」
まぁそんなわけなんで、若い連中は皆復興作業にボランティアとして駆り出されたわけで、当然学生である俺らも手伝ってるわけさ。今は半壊した一軒屋(これは俺が化け物を投げ飛ばしたのが原因)の修復中で、周囲では男性女性が忙しそうに動き回っている。
普通、力仕事は男衆の仕事で女衆は身の回りの手伝いをするのが仕事だと言うが、それなりに力のある女性も力仕事をしている。何故か?そりゃあれだ。『テメェら力あんなら手伝え』と俺が言ったら皆素直に従ってくれた。
反論した奴もいたけど、そいつらは今俺から離れた場所でボロボロの状態で木材を数人で運んでいる。ボロボロなのはあれだ、どっかでこけたからだ(嘘)。今の世の中男女平等。
つかまぁ、復興作業つっても生徒とかはさすがに建築とかそういうのには疎いわけだし?簡単な雑用やら力仕事を任されてて、家の修復には大工とか専門家が担当している。
「龍二〜!」
「あん?」
若干遠くで花鈴が呼んできた。あ、言い忘れてた。俺以外にもアルスや雅といったお馴染みのメンバーもそれぞれ別々の場所で役割を任されていて、今はバラバラだ。花鈴は偶然、俺と一緒だけど。
そん時、クルルとかその他女性陣がすっげぇブーイングしてたが、やっかましいのでぶっ飛ばした。
「何だぁ?」
…つーかお前から来いよ。何で俺が行かないといけねぇんだ馬鹿花鈴このボケナスが。
「……今すっごい罵倒された気分なんだけど?」
「精神科行ったら?」
「やっぱ罵倒した!!」
本音が出たけど気ニシナ〜イ♪
「で?何だ?」
「これ運んで。」
「断る。」
「即答!?すんごい速さで即答!?てかいいじゃない!この木材大きいし重いんだから!」
「んなもん数人で運べばいいじゃねぇか。」
「女の子はか弱いもんなの。」
「ペッ。」
「つば吐くな!」
何がか弱いか。全ての女性が力無いわけではなかろうが。つーかお前がか弱いなんて言葉使うな吐き気するわい。
「……アンタはもう少し女の子をいたわるという気持ちはないの?」
「あるわけねぇだろバーカ。」
「……この人間性皆無男め。」
「…………。」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいホントごめんなさいだから殺さないでください。」
「アホか。殴っただけで死ぬわけねぇだろお前が。」
「鉄筋を片手で軽々と持ち上げて振り上げる奴に殴られたら普通に死ぬわよ!!」
「え、こんな軽いモンに殴られて死ぬのか?」
「何さその意外な事実を知った時の顔!?つかそれ軽くない!!」
「お前の体重より?」
「ぶっ殺すぞテメええええええええええええええ!!!!!」
結局持っていた鉄筋をやかましく騒いでいる花鈴に投げつけておいて俺はとっとと仕事に戻った。背後から何か潰れた音と悲鳴が聞こえたが幻聴だろう。
「おーい、そこの君。それをあそこのテーブルまで運んでくれないか?」
「おうよ。」
どこぞの誰かわからんオッチャンに言われ、足元にあった木材をせっせと指定された場所へと運ぶ。
「あ、それと悪いけどこれを向こうまで運んでおいてくれないか?」
「オッケー。」
でっかいダンボール箱を片手でヒョイと目的地まで運ぶ。
「おーい、こっちも手伝ってくれー。」
「ほいほーい。」
数人ででかい木材を持ち上げようとしてるのを手伝って運ぶ。
「あ、悪いこれも。」
「任せとき。」
ついでに木箱をどっこいしょ。
「おい、茶。」
「はいはい。」
足組みながらイスに座りコップを差し出したオッサンの頭の上から熱湯を注いであげた。
………ふぅ。
「……何か飽きたな。」
背後で『ギャーあちーーーー!!!』と騒いでる中、俺は欠伸した。
つーか運ぶのって木材とか鉄筋とか軽い奴ばっかじゃねぇか、おもしろくもねぇ……第一仕事が単純作業なのばっかだから退屈だ。
「あ〜あ〜、さっさと復興作業なんか終わらして〜。」
はい、そこのお前。PCの前で『自業自得だろ』っつったお前。口の中にゴキブリとミミズとムカデの他に耳の中と鼻の穴にナメクジを突っ込まれたいのか?
「………。」
はぁ……にしてもどうしたものか……後ろでは何かうるせいし、ストレス溜まる。復興作業さえさっさと終わらせればいい話なんだが、これが後数ヶ月続くとなると………あ〜しんど。
「………………。」
……お?
「…いいこと思いついちった。」
そうそう……この手があったか…………これなら効率がいい。
うし。そうと決まれば……。
「おい、起きろバ花鈴。」
「………。」
鉄筋を体に乗せて布団代わりにして寝ているバ花鈴(何か血だまりできてる)を軽く小突く。
「おい起きろって。」
「…………。」
「オイコラ起きろ。」
「…………。」
「おーい。」
「…………。」
「…………。」
「…………。」
「…………。」
「…………。」
「……三キロ。」
「何!?呼んだ!?」
耳元で呟くとシュバっと起きた起きた。因みに何が三キロなのかは推して知れ。
「うし、とりあえず口から血を飛ばすな。そして起きろ。」
「あ、ごめん……ってこれ原因アンタでしょ!?つか起きれるかああああああ!!!」
気ニシナーイ。
「しゃーねぇなぁ……ほれ。」
【ドゴン!】
花鈴に乗っかっていた鉄筋を蹴り飛ばす。そしてまだ『熱いー熱いー!!』と騒いでいるオッサンの体に鉄筋がブチ当たり何か余計に周囲が騒がしくなった。どうでもいいけどなんなこと。
「ほれ。」
「……あんがと。」
差し出した手に掴まって立ち上がる花鈴。体血だらけなのはご愛嬌。
「……で?何?」
「ああ、実はな……………」
〜説明中〜
「というわけでよろしく。」
「……………え、マジ?」
「マジ。拒否権なし。拒否して死ぬか大人しく従って生き延びるかどっちか選べ。」
「全面的に協力します。」
わかりゃいい。
「……どうでもいいけど、どういう風にすればいいのよ?」
「適当に考えろ。」
「え……ちょ、マジぃ!?」
マジだっつーのバカ。
「じゃ、さっそくやるぞ。」
「………はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………。」
…長いため息だなぁオイ。
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〜花鈴視点〜
………………。
「おーいそっちよろしくー。」
「あいよ。あ、お前はその木材あっち運んどいてくれ。」
「おらよっと!」
「おーい設計図見せてくれー。」
「ゲンノウどこやったっけ?」
「ほいパス。」
「サンキュ。」
「じゃ俺ビルの修復行ってくるわー。」
「三丁目の家、全部修理終わったぞー。」
「ノコギリあるー?」
「釘足らないぞー。」
「うし、溶接完了!」
「おーいこっち終わったぞー。」
「そんじゃ次の家行っといてー。」
「この木材どこ置いとくよ?」
「あぁ、上に上げといてくんね?」
「おいそっちに鉄筋投げるぞ。」
「オッケー。」
「わりぃ、工具箱からドライバー取ってくれ。」
「任せろ。」
「お茶買ってきてー。」
「あいよー。」
【ドンドンドンギュイーンバリバリバリギコギコギコ……】
………………。
「……な、なぁ、こりゃ一体どういうことだ?」
「す、スゴイけど……え?何で?」
……………。
「ね、ねぇ高橋さん?あれ一体どういう」
「着ぐるみです。」
「……へ?着ぐるみ?」
「そ。」
「……いや、でもあれは」
「選りすぐりの職人が作った着ぐるみです。」
「……と、とゆーより何でそんなことする必要が」
「ノリです。」
「ノリ!?」
…………アタシは、状況が飲み込めないでいる同級生を宥めながらその光景を見ている。
……龍二がアタシに頼んだこと、それは………
数十人に分身した龍二を見て混乱している人達に嘘の状況を説明するというもの。
……本人曰くこの修復作業がとんでもなくつまらないらしくて……さっさと終わらせたいがために、分身して町の各場所へと赴いて作業に当たっているんだそうで。
いや、そりゃね?誰だってそっくりそのまんまの人間が大勢で家修理してたらビックリするどころか心臓弱い人とかは多分ヤバイんじゃないかな?
でもさ、すごいのよこれが。一日かけて直せるくらい半壊した建物を、五分もかけずに完全修復しちゃうし、数ヶ月かかるくらい派手に壊れた建物なんか、数十分で終わっちゃうのよ?現に今修理に取り掛かってる家なんて三分前は完全崩壊してて見る影もなかったっていうのに、もう家の形を為してるし。
「おいおい……どうなってんだよこりゃあ……。」
「ソックリさんボランティアの会の方々です。」
で、アタシはその間何の感情も込もってない声で誤魔化す。正直しんどいのよコレ?信じさせるの。
…………町はもうすぐ直りそうだけど……また一つ問題起こるわね、これ………はぁぁぁ。
「おーい花鈴。弁当持ってきてー。」
…………。
「…行けばいいんでしょ行けば。」
………慣れてきた気がする自分が時々恐くなるアタシでした。
その日、数ヶ月はかかるであろう町の修復作業は龍二そっくりな外見を持つ人達によって二時間で終了した。
その場に居合わせた人達は、精神科へ行ったり、眼科へ行ったり、大工の方々は彼らをスカウトしようと躍起になったりで騒ぎになったそうな。
更新ペースが落ちかけてる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?
ふぅ、クラブは朝練あるし、今からバイトだし、忙しい忙しい。ああ、長編の頃の連続更新が懐かしい……
っとと、せっかくですのでここで少し、龍二の技を。
百烈龍閃弾・読んで字の如し、無数の龍閃弾を放つ。
五頭龍糸貫・五本の指からレーザー光線発射。
龍鉄風・牙・いわゆるカウンター技。発動した瞬間敵はバラバラになる。
龍閃斬・二重三日月・龍閃斬、二刀流バージョン。
龍糸貫・乱・壁やら障害物やらに反射するかのように飛び回るレーザーを発射。
……こんなもんですかね?詳細はまぁ、省きましたが……
さて、バイト行ってきます。