第百二十七の話 逆立ちハンデ
更新遅れました、ごめんなさい。
あ、でも理由はちゃんとあります。あとがきで言いますので。
〜アルス視点〜
「あ、くぅぅぅぅん………っと!」
朝、爽快な気分の状態で起きて思いっきり体を伸ばす。
……すいません、さっきの声に関してはツッコミ無しでお願いします。
「さてと。」
布団から起き上がって窓のカーテンを開ければ…
【シャ】
「………ん〜〜〜♪」
心地いいお日様の光が降り注いできて気持ちいいんです♪こう、体の奥底から力が湧き上がってくるっていうのか、何というのか……まぁそんな感じです。
「…え〜と今の時間は…。」
目覚まし時計をチェックしてみると、時刻は六時半を指し示していた…いつもより早く起きすぎちゃったな。
う〜ん、二度寝するわけにもいかないし、かといって魔王もフィフィもまだ寝てるし……………。
「……朝の稽古でもしよっかな。」
まぁ暇だし、リュウジさんが朝食を作りに起きてくるまで打ち込みでもしよう。
ともかく、顔を洗うために洗面所へ行くために襖を開けて
【スッ】
「………。」
「………。」
「………。」
「………。」
「…リュウジさん?」
「おうおはようアルス。」
「あ、はい……じゃなくてですね。」
「んあ?」
「……何してるんですか?」
「見てわからんか?」
「全くわからないから聞いてるんですけど。」
「言うねぇお前。」
「いえこれくらい言いますよボクだって。」
「さいか。」
「……で、何をしてる……んじゃなくて何でテーブルの上で頭だけで逆立ちを?」
「ノリ?」
「即答!?後聞かないでくださいよ!?」
「ノリでテーブルの上に乗ってるだけに。」
「乗り………って何言わせてるんですか!?」
「お前が勝手に乗っただけじゃんよブァ〜カ。」
「………もういいです。」
最後の“ブァ〜カ”という言葉にものすごい悪意が込められていたので泣きそうになりました。
……それにしても、いきなり襖を開けたらテーブルの上に布巾をしいてさらにその上に頭のみで逆立ちしてる人見たら……驚きますよね?
最近、リュウジさんの行動が突拍子なく行われるので若干恐いです。こないだ一緒に歩いてる時なんて前を歩いていた派手なメイクと大胆な服装をした女性の人達三人に何の前触れもなく飛び蹴りかまして吹っ飛ばして後日アマゾン……だっけ?というところでその人達が発見されたというニュースが流れたんでしたっけ………いえ、ホントにいきなりの出来事だったんですけど……。
因みに飛び蹴りをした理由は『俺の第六勘がとりあえず何かを蹴り飛ばせと告げた』とのこと。そんな適当な理由で他人を不幸にしないでください。
「で?今朝はえらい早起きだな。」
「はい、昨日は早く寝ましたからね。」
「そうか。」
………昨日の昼に魔王が公園の子供達と団結してボクに襲い掛かってきたのを相手にしてたからすごく疲れたのが最大の理由でしょうけど。
「で、目覚めがいいから朝の訓練でもするってか?」
「はい。よくわかりましたね?」
「勘。」
あ、相変わらず鋭い…。
「まぁ適当にやってろ。呼んでやるから。」
「はい。」
「じゃ俺は今からヘッドスピン型テーブル磨きをやるから。」
……あえてツッコまないでおこう。
ひとまず、洗面所へ赴いて蛇口を捻り、出た冷たい水で顔を洗い、未だに寝ぼけていた頭を覚醒させる。そして顔を濡らしたまま鏡台の前に置いてあるチューブに入ったねりわさびを手に取って
「ってあぶなあああああ!!??」
【バシン!】
いきおいよくねりわさびを背後の壁に投げつけた。
「おお、ナイス反応だアルス。」
「やっぱ犯人あなたですか!!」
「ご名答。」
「ご名答じゃないです!こんなの洗面所に置いとかないでください!!」
咄嗟にねりわさびという名前が見えたから回避できたけど…実際に顔に付けてたらどうなっていたか…
ともかく、リュウジさんのイタズラに対して怒りつつもいつもの洗顔フォームを手に取る。
「もう!勘弁してくださいよリュウジさん!」
「ハハハ、ワリワリ。」
リビングにいるリュウジさんに文句を言いながらチューブの中身を出して手で泡立てる。とゆーよりあの言い方絶対反省していない……これからも用心しないと。
「まったく…。」
【ペタ】
「いいいいいいいいいいいいぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
「………わさびとフォームのチューブの中身入れ替え作戦、大成功。」
目が!目が目が目が目が目が目が目が目があああああああああああああああああ
〜【ピンポンパンポーン♪】アルス混乱中につき、しばらくお待ちください〜
「…………………。」
「おーい、まだ怒ってんのか〜?」
「怒ってないです!!」
「お〜恐い恐い♪」
様々な意味で覚醒したボクは、庭で愛剣(鞘付)を手に取り木製人形に向かって構える。朝日がボクがいる庭に降り注いでキラキラ光っていて落ち着く空間の中、全然落ち着けないボク。
そしてリビングのテーブルの上で胡坐をかくような姿勢で頭だけで逆立ちしながら回転してテーブルを磨いているリュウジさん。もうわけがわかりません。
「………はぁ。」
もういいや…気を取り直して特訓しよ。
「………えい!」
【ドン!】
木製人形に一瞬で駆け寄り、腹の部分に横薙ぎを叩きつける。剣は鞘に入れたままなので、鈍い音しかしない。
「はぁ!」
【バス!】
「せい!」
【ドス!】
「そいやぁ!!」
【ドシュウ!】
そこから渾身の突き、切り上げへと繋げ、最後に右上段足刀蹴りで人形を吹き飛ばす……この連続攻撃が一番使い勝手いいかな。相手と距離を離せるし。
「……よいしょっと。」
吹き飛んだ人形を拾って元の位置へと戻し、もう一度構える。体にしっかり動きを覚えさせないと。
「おーいアルスー。」
「?はい?」
いざ切りかかろうとしたらリュウジさんが家の中から呼んだ………って!?
「さっきより回転スピード上がってません!?」
「イエーイ。」
まるでクリーナーのブラシのごとく高速回転して、机をピッカピカに磨き上げているリュウジさんはハッキリ言って何だか異様に恐いです……速すぎて顔見えないし。
「これぞ人間クリーナー。」
まんまですね。
「……ところで、何ですか一体?」
「おう。あ、ちょっと待ってな。」
そう言ってから回転を止めてピョンとテーブルから飛び降り
【ゴン!】
…………。
「何でそのままの体勢で飛び降りるんですか!?」
「いや何となく?」
「何となく!?」
すっごい鈍い音しましたよ!?でも全然応えてないし!?
「そりゃー。」
【シュルルルルルルルルル】
………そして再び回転しながら床を滑るように移動して………
「ほいっと。」
【ドス】
ベランダから庭へと頭から着地した。
……あの、ホント何がしたいんですか?
「あんよ、俺さっきからテーブル磨きまくってたんだけどさ。」
「……はい。」
そりゃあんだけ回転してたら綺麗にもなりますよ……テーブル、いつも以上にすっごい光沢放ってるし。
「で、磨くの飽きたわけ。」
「……はぁ。」
……確かに飽きると思います。
「てなわけで、暇つぶしに俺と特訓もといタイマン張るぞ。」
「…………。」
「?どした?何か不満でもあんのか?」
「い、いえ!不満とかじゃなくて!………。」
まさか、とは思うんだけど………。
「……その姿勢でやるんですか?」
「当然。」
即答でした。
「……あの、逆立ちしたままの状態というのは無理がありすぎるのでは……。」
「いやさ、何かこういう格好で動き回るのって新鮮じゃん?」
いろんな意味で新鮮ですよね……。
「だーいじょうぶだって。それなりに動けるし。」
「……まぁ、リュウジさん自身がそうならボクもとやかくは言いませんけど…。」
………あ、考えてみれば……これってすごいハンデですよね?不安定な姿勢からだと行動も制限されるし、腕も使えないし………
これは……逆転のチャンスかも……。
「じゃ、さっそくやるか。」
「は、はい!!」
ボクは剣を構え……リュウジさんは頭だけで逆立ちして胡坐をかくポーズをとる。それ構えですか、とはツッコミません。
「……。」
「……。」
互いにジリジリと距離を取り、間合いを測る。互いとは言っても、ボクはリュウジさんの周囲を周る感じに足を動かし、リュウジさんはその場で頭のみで回転してボクを見続ける……あの、恐いんですけど?
「……。」
「……。」
……………よし!
「でりゃああああああああああ!!!」
剣を横に振りかぶりながら一足飛びで接近する。
狙うは……支えとなっている頭!
「ほいっと。」
【ピョン】
!?え、うそ!?そのまま跳んで避けた!?
「とう。」
【バキィ!】
「はぅ!」
「そりゃ。」
【ドゴ!】
「ふぎゅ!」
【バゴ!】
「あきゅ!」
【ズゴス!】
「ぴぎゅ!」
【ドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!】
「!#?“+*@:>#QW!*.@!!!!????」
「どすこーい。」
【ドカーーン!!】
「!!!!!!!!!」
…………………顔目掛けて左右の足からの連続蹴りの後、高速回転蹴りを食らってとどめに両足揃っての蹴り上げが顎に炸裂し、ボクは剣を手放すと同時に見事に後方一回転半してうつ向けに倒れこんだ。
や、やば……尋常じゃないくらい痛いですこれ……く、首の骨が折れかけました……。
「俺の勝ち。」
「………きゅぅ。」
…実は咄嗟に肉体強化を施しておいたから口から血がちょっと出た程度で大事には至らなかったけど…施してなかったら多分、顔面複雑骨折だけじゃ済まなかっただろうなぁ…。
……少しでも逆立ちしたリュウジさんを侮ったボクがバカでした。
「よし。」
【シュ】
…伏せた顔を少し上げてみれば、リュウジさんが逆立ちの状態から飛び上がって普通に立ち上がってるのが見えた。
「逆立ち飽きた。」
「………あ、飽きたって………。」
今さらですか…。
「うむ、十分暇つぶしできたし、そろそろ朝飯にすっぞ。」
「……あい。」
うぅ……ボクってやっぱりまだまだ修行が足りませんね…………
でもいつか……いつか絶対にリュウジさんよりも……!
「あ、アルスそのままじっとしてろ。死ぬぞ。」
「へ?」
【ドン!!】
「…………。」
ちょうど目の前に空高く宙を舞っていたボクの剣が突き刺さった。ちょうど鼻との距離紙一枚分……前髪が少し切れました。
「な?」
「…………。」
やっぱこの人に勝つのは無理かも………。
ただいまー!
?何のことかと?ああ、言ってなかったですね、ごめんなさい。実は昨日までデンマークに行ってたんですよ。旅行とかじゃなくて、ある世界大会に参加してたために更新遅れたんです。
で、さっそく帰って他の小説が更新されたかどうか確認したり、感想とかも見てみたら……うわぁびっくり、多くの方が感想評価を送ってくださってて、狂喜乱舞の如く転がりました!ありがとうございます!!
…………あの、少し時差ボケで疲れてるんで返信はもう少し……すいません。