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第百二十四の話 これぞパニック祭り!<後編>

ようやく更新できました…レポートしんどかったです。



〜アルス(龍二)視点〜



「……。」

「……。」

「……。」

「……。」

『……。』



ってお〜い、この沈黙前回の冒頭とまんま同じじゃねぇかよこの使い回し作者。



「…リュウジさん、ホントにどうしましょう…?」

「知るか。」

「即答ですか!?」


だって知らんもんは知らんもん。


「…まぁ、なるようになるんじゃない?」

「フィフィ、他人事だと思って…。」


は〜〜〜〜っと深いため息吐きながら重い足取りで学校へと向かう見た目クルル中身アルス。


あ、そうそう。只今学校登校中、以上。あ?説明不十分だぁ?知らんもんは知らん。


「お〜〜〜。歩幅が広い♪」


一人、アルスとは正反対に俺の体を満喫してるクルル。大股で歩いては距離を取り、小走りをしてはキャッキャとはしゃいでいる。人の体をオモチャにすんでねぇ。


『…アルス…ではなかった、リュウジよ。貴様は別に何とも思ってはおらんのか?』

「別に?フィフィの言う通りなるようになるべ。」


言っておくが、エルは今まで通り俺の腰、つまりクルルが所持している。あっちの方が落ち着くらしいし。俺の腰は部屋じゃねえぞテメェ。


まぁ俺は…うん、うまいこと切り抜けてやっかな。




「よぉ。おはようお前ら。」


っと、歩いてたら前方に雅発見。片手上げて爽やかに挨拶。


「よぉ、マサコノビッチ。」

「だぁら誰なんだっつーのそ……………れ?」


……?んだぁ?ツッコミの途中で急に目を点にしやがって。


「………。」

「お〜い?雅〜?雅ぴ〜ん?お〜い?」


未だ呆然としてる雅の目の前で手をヒラヒラ。あれ?反応無し?



「ちょ!?り、リュウジさん!」

「うおっと。」


いきなし背後からアルスにグイっと手を引っ張られた。何すんねん。


「リュウジ!アンタ今どういう状況かわかってんの?」

「は?別にどういう………っと。」


あ、そうそう。今の俺アルスだった。ははは、そりゃ混乱するわな〜。


「………。」


…で、まぁだ石像んなってるよこいつ。


……………


よし、ならここは一発誤魔化すしかねぇな。



「…って、リュウジさんが言ってましたよ?」

「「「『それ誤魔化してるつもり!?』」」」



うっせぇこれが最良の方法だと思ったんだいコンチクショウ。


「……え?あ、ああ…そうなのか…?」


あ、覚醒した。


「おぅ…じゃなかった、はい。」

「……………そ、そうか。」


納得(?)したぜこいつ。意外と天然だな。


んにしても、アルスがこんなこと言い出したらそんなビックリすんのか?そうなのか?


(ちょっとリュウジさん、今のあなたはボクなんですから気をつけてくださいよ?)

(へいへい。)


こっそり耳打ちするアルス。一応気をつけてはいるんだがなぁ。



「おっはよ〜龍二☆」

「リュウちゃ〜ん!」


出たよかしまし娘一号と二号。


「おっすーバ花鈴にバ香苗。」

「「……へ?」」

「?あ?」

(リュウジさぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!あなたはまたあああああああ!!!)


………何だ?俺のこと凝視しやが………




オウチ、しまった。またやっちまったぜ。




…しゃーねぇ、ここは…


「………ってリュウジさんが言ってました。」



天丼で乗り切るぜ!



「…ってだからそれで誤魔化してるつもりなんですか!?」

「当たり前だろ。」

「その自信はどこから!?」

「ちょ、二人とも落ち着いてよ〜!」


花鈴達をほったらかしにし、言い争いをおっ始めた俺達。中身が入れ替わってもああ言えばこういうよなぁアルスは。


「??????」

「え?え?ち、ちょっとアンタ達?」

「んだよ?」

「「!!??」」

「あぁぁぁぁ!!ですからリュウジさんもう喋らないでくださいお願いします!!!」


ビックリして引いてる花鈴達の前で俺に懇願するアルス。そして俺は『またやっちった、反省♪』ってな感じ。


「…ね、ねぇ?アルスだいぶキャラ変えた?」

「………………………………………………いいえ別に?」

「何その間?」


地が出そうだったから必死にセリフ考えてましてん。


「…クルルちゃんってそんなツッコミ役だったっけ?」

「え!?あ、えとそのあとうんと………ち、チャレンジ?」

「ものすっごく動揺してたよね?」

「……////」


おーい顔赤いぞーアルスーバレるやんけー。


「えーと…じ、じゃ龍二…。」

「?」


おぉっと、花鈴の奴、今度は俺の体になってるクルルに質問する気か。うし、うまく誤魔化せよークルル?


「…アンタ本物の龍二?」

「うん、本物だよー!」

「うん、絶対嘘だ。」


断定しやがったなバ花鈴。そしてクルル、俺はそんなテンション高い返事はせん。


「え!?あ、いや、その…………あ、新しいキャラ作り!」

「…は?」


うん、難しい言い訳だねクルルや。つか今考えたろ。


「……ま、まぁ龍二のことだし……ね?」

「…そうだな。いっつも何考えてるのかわかんねぇし。」


おいコラ雅に花鈴。俺んことそんな風に思ってたのか。


…まぁ否定はしねぇけど?


「と、とにかくガッコウ行きましょ…じゃなくて行こ!」


あたふたしながら言い直さなくてもいいんじゃねぇかアルスよ?


…まぁ、あれだしな。さっさと事進めないといつボロが出るかわかんねぇからだろうな。つーかもうバラしてもいんじゃね?って思うのは俺だけか?


「そ、そだね!じゃさっさと「龍二―――――――!!!」!!?」



…あ、忘れてた。朝っぱらからやっかましい奴。



「今日こそ覚悟おおおおおおおおおお!!!」


俺達が来た方向から土煙を上げながら駆け寄ってくる久美に対し、俺はいつも通り普通にあしらう気でいた。


「てりゃあああああ!!!」


そしていつも通り飛び蹴りを放つ久美。



しかしそれは俺には向かってこず…



【ズバキィ!】

「ぴぎゃあ!?」




“俺の体”になってるクルルにぶち当たった。




「…え?」

「「「へ?」」」


…雅と花鈴と香苗がビックリするのはいいけど、蹴った本人が一番ビックリしてどうするよ?


「いった〜い!」


で、見事に背中を蹴られて吹っ飛んて地面にキスしたクルルは鼻を擦りながら復活。


「む〜……いきなり何すんの〜クミちゃん!?」

「え、その……え?クミちゃん?ちゃん付け?つか女口調?え?え?」


……………はぁ。


「おいクルル。今の俺らの状況をお忘れなく。」

「え?………ってああ!忘れてた!!」

「はぁぁぁ…も〜…。」


隣では顔を覆いながら呆れたようにため息吐くアルスと、うっかりした!てな顔したクルル。


「「「………………。」」」


そして、もう何が何だかわからずに呆然としてる他三人。これがボロボロというものだ。


「…ふぅ…なぁアルス、ぶっちゃけていいかもう?隠すのそろそろしんどくなってきたぞ?」

「…朝一でさっそくバレるっていうのもあれですけど…しょうがないですね…。」


やっかいごとをこれ以上増やしたくないアルスとしてはあまり話したくないんだろうけど…しゃーねぇわな、いずれバレることだ。


「…あ〜…俺ら実はさ。」


未だに硬直したまんま動かない雅達に、事情を説明した。




**************************




「…………………にわかには信じられないな。」

「事実だししょうがねぇじゃん。」

「……まぁ、確かにアルスがノリでこんな口調になるわけないし…。」

「真実…なんだろうな、うん。」


一通り説明し、まぁ一先ず納得してくれた様子。最初は芝居か何かかと思われていたが、いくら何でもアルスがここまで乱暴な口調になるわけがないと思ったとのことで確証を得たっつーか俺ってそんな乱暴な口調なんかいな?って言ったら何か即答されると予感がするから黙っておこう。


「でもさぁ、ぶつかって人格交代したって何かベタじゃない?」

「ベタだな。それは認めよう。」

「…ベタだからどうこうって言ってる場合じゃないのでは…。」


まぁそりゃそうだけどさ。


「で?元に戻る方法ってあるの?」

「それが…わからなくって…。」

「もっかい頭ドーン!ってすりゃいんじゃね?そりゃもうまるでトマトの如くつぶれ」

『他の方法を検討しましょう。』


むむ、俺の画期的な案を全員揃って跳ねつけるとは。


「いや頭ぶつけるのはいいとしてトマトの如くっつーのがダメだったんじゃねぇか?」

「…あ?そうなんか?つかまた俺声出してた?」

「普通に考えたらダメに決まってるだろ。そして声出てたぞ。」


あれま。


「…でも、もう一度同じことを再現するのは正直…。」

「…恐いよ〜…。」

「…まぁ、あんだけ盛大に音たてればね。」


ああ、さすがの俺でも目の前一瞬真っ白ってな感じになったからな。よほどの衝撃じゃねぇとダメなんだろう。


…すすんでやろうと思う気にはなれねぇな。主にこいつらが。


「…まぁ、とりあえず元に戻るにはどうするかは置いておこうか。」

「ちょ!?よくないですよ!?」

「そうよ!このまんまだとアンタ達だけじゃなくてアタシ達まで混乱しまくってしょうがないわよ!」

『同感だ。』


いや、だってねぇ…。


「…なぁ?今何時かわかるか?」

「は?え〜と………。」


雅が左腕を上げて腕時計を見る。


「………………………八時二十五分。」

「………。」

「………。」

「………。」

「………。」

『………。』

「な?」


ちーこーくー。あ〜あ〜、待ち合わせした意味がないし、朝のラーメン食い損ねちまったなぁ。しゃーねぇ、また今度にしとくか。








『急げえええええええええええええええええ!!!』



皆駆け出したんで、俺も便乗してレッツゴー。





〜で。〜




「雅!後何分!?」

「あと三十秒!!」

『いっそげええええええええ!!』


下駄箱で一瞬にして靴を履き替えてただいま一階廊下を全力疾走。俺は手加減疾走。ん?何それだと?俺語だ。


ともかく、皆揃って階段をズダダダダダダ!ってな感じで駆け上がって三階の俺らの教室に到着。で。


【ガララ!】

「間に合ったか!?」

「遅刻じゃボケぇ!久しぶりの必殺技ラッシュ・ガン!!」


【ズガガガガガガガガガガガガガガガガ!!】

『いぎゃああああああああああああああ!!!』



お〜来るわ来るわ神楽さんのチョーク投げ。そして倒れるわ倒れるわ雅達。ドンマイ。


さ、てと俺は…。


「そぅれ!!」

【ドドドドドドドドドドドドドドドドド!!】

「みぎゃむぎゃうぎゃあぎゃぴぎゃひぎゃ!!??」


いつも通り、全チョークを叩き落した。




クルル(中身アルス)の足持って振り回して。




「よし、ビクトリー。」

「きゅ〜〜〜………。」


全弾打ち落とし、膝ついてピース。ついでにまだクルルの足持ってる。クルルもといアルスは死にかけている。


「……………。」


…っと、いつもと何か違う神楽さん。そしてクラス全員が沈黙…ってありゃれ?


「どした神楽さん?」

「……あ、アルス?」


…………あ。


「おま……そんな性格だったか?」

「気のせいです。」

「え?いや、でも」

「気のせいです。」

「いやだから」

「気のせいです。」

「…その」

「気のせいです。」

「……。」

「……。」

「…だ」

「気のせいです。」

「……。」

「……。」


「…わかった、席つけ。」

「はい。」

「…荒木、そこで死んでる奴ら持っていけ。」

「はーい♪」

「ってお前まで!?」


びっくらする神楽さんを尻目に、チョーク攻撃を受けて屍と化した雅達を引きずってそれぞれの席に置く。途中で周囲の机やらイスやらにぶち当たってさらに重傷になったのは秘密だ。


「あ、どっこいせっと。」

【トスン】


で、俺らも席について神楽さんの話を聞く体勢に。




「…おいお前ら、席違うぞ。」

「「「あ。」」」


そだそだ、俺はアルスの席に座るべきなんだな。あーややこし。


「…お前ら、ボケた?」

「まだそんな年じゃねぇけど?」

「ボケたつもりなんてないよー?」

「…魔王、ギャグのことじゃないですよ。」

「…ホントに何があったんだお前ら。」


神楽さんが呆気に取られてる表情を見るのはいつも愉快なんだが、今回ばっかりは笑えないね。状況が状況だしな。


「おーい神楽さん。それよっかさっさとHR進めようぜ?」

「……!?は、はい。」


俺が呼びかけると、覚醒した神楽さんは慌てて出欠票を開いた。


「……な、なぁアルスちゃん?どうしたんだよオイ?」

「あ?んだ影薄雑草太郎。」

「まだそのネタ続いてたのかよ!?つーかアルスちゃんそんなこと言う子だっけ!?」

「ノリだ。」

「ノリ!?その口調がノリなのか!?それとも今までのがノリだってのか!?」

「おらぁそこ黙れ!!」

「ぐぽぉお!!」


話しかけてきた影薄雑草太郎、別名恭田にチョークによる制裁を加える神楽さん。体罰教師としてレッテル貼られそうでハラハラするぜ。


「き、キョウタさん大丈夫!?」

「ぐぉぉぉぉ……お、俺もうダメだ…龍二が心配してくれてるなんて明らかおかしい…。」


いやお前大丈夫だろ。自己再生能力ついてんだから。


「いや大袈裟ですよ!?しっかりしてくださいキョウタさん!」

「あぁぁ…ありがとうクルルちゃん。物腰柔らかなクルルちゃんもまたいとをかし…。」


古語を混ぜるな。


「ぐふ……影薄同盟は……不滅……だ……。」

【ガク】

『恭田ああああああああああああああああ!!!』


クラスが一丸となって力尽きた影薄の名を叫ぶ。




「……はい芝居は終わり。出席取るぞー。」

『はーい。』


神楽さんの声に一瞬にして全員前を向く。シュバ!ってな感じの擬音が付くくらい。サラバ影薄雑草太郎、皆から見放された者よ。


「はいまずは相田ー。」

「はい。」

「次、青田ー。」

「はーい。」

「ほい、井上ー。」

「へい。」

「それ、伊川ー。」

「ほいほーい。」

「はい、宇都宮ー。」

「イエッサー!」

「それ、小田原ー。」

「ちょもらんまー。」

「どんな返事だ。」


このクラスは通称バカクラスと呼ばれてるらしい。うん、わかるけどこれはこれでおもしろいからいいや。あ、ついでに最後の奴、雅のツッコミな。


……つーか人数多いから省略ー。





〜三十分後〜



「……はい、私からの連絡は以上だ。HR終わり。」


うん、省略した感丸出しだな。だってしゃーないじゃん、連絡事項とか説明すんのメンドイんだからよ。


さて、そろそろチャイムが鳴るな…。





【よ、頼子!何をするんだ!!】

【うるさい!あんたが、あんたが全部悪いんだ!】

【頼子さん、やめて!明彦さんを放して!】

【ダメだ麻紀子!近づいたら危ない!】

【いやよ!明彦さんが死んだら、私どうすればいいのか…!】

【うるさいって言ってんだよ!そもそもこうなったのは、あんたが私よりその女を選ぶから!】

【な、何を言うんだ頼子!ボクと麻紀子の仲を認めてくれたんじゃなかったのか!?】

【そんなの、覚えてるわけないでしょ!こうなったら…こうなったら、あんたを殺して、私も死ぬぅぅ!!】

【頼子さん、やめて!!】

【や、やめろ頼子!】

【うるさい!死んでしまえええええええ!!】

【明彦さん!明彦さあああああああん!!!!】





【…以上、演劇部によるチャイムでした】

『長ぇしそれチャイムじゃねぇよ!!』


もはや名物、クラスツッコミ。あの昼ドラ的展開をチャイムと称していいのかわかんねぇが、それより現場に行きたい気持ちで一杯だ。


「じゃあな〜。授業頑張れよ〜。」


手をプラプラと振りながら教室から出てく神楽さんは、さながらやる気のないダメ教師みたいだとクラスの一部の奴らは語った。



「……神楽先生、さっきまで落ち着いてたけど最初の方、相当慌ててたな。」

「無理ないわよ。アルスがこんな口調だし。」


だからさ、俺ってそんな口悪いかい花鈴や?


「…やっぱり混乱しますよねこれ。本人だけじゃなく周りまで…。」

「でも反応見るの楽しいよ?」

「それあなただけです魔王。」


アルスー。ここにも皆の反応見て楽しんでる奴いるぞー。無論俺だけど。


「はぁ…でもどうすんだよホントにお前ら。そのままずーっとだと俺らも精神的にまいるぞ。」

「知るか。」

「そこ即答するべきとこじゃないよな?」


だって知らんもん。


「ま、何はともあれ、このまんま今日一日を乗り切るべ。」

「…明日になっても元に戻らなかったら?」

「そん時ゃそん時、勝負は時の運。ついでに元に戻らなかったら俺名前改名してアルリュウにすればいい。」

「そん時で済ますなそして何の勝負だ何のさらに何だその語呂悪い名前はぜってぇ改名させねぇぞコンチクショウ。」

「うぁ、マサさん早口でツッコミ入れましたね…。」

「さすがリュウくんのツッコミ役!」

「…嬉しくねぇ…。」


…つーか、体入れ替わっても大して何も変わりがないし、別にいんじゃねぇのこのまんまで?


…って言ったらアルスが何かうるさいだろうからやめておこうか。殴って黙らせりゃいい話だが、生憎今の状態で殴ったら拳痛いんだわこれが。案外ヤワだなこの体。







〜数学の授業にて〜



……………………………。



「待てええええ魔王おおおおお!!!」

「キャハハハ!こっこまーでおーいでー♪」



……………………………。



「こ、こらクルル、龍二!授業中に暴れるな!」

「ご、ごめんなさい近藤さん…。」

「やーい怒られてるー♪」

「やっぱり許せなーーーーーーーい!!!」

「お、お前らいい加減にギャアアアアアア!!」



……………………………。



「…おい、龍二。止めなくていいのか?」

「…止めたいんだが、体痛ぇんだよ。」

「え、マジか?」

「眠くて。」

「コラ。」


眠いと体重たくなるっしょ?…まぁつっても正直な話メンドイから動かないだけなんだが。



……あー、今の状況?さっきのやり取り聞いてわかったろ大体?クルル(中身アルス)と俺(中身クルル)が教室の中で喧嘩してんだよ。


原因か?そりゃあれだ、授業聞いてるアルスをクルルがおちょくったから。



普段の俺は、アルスが前、クルルが後ろと、挟まれてるような体系となっているわけで、まぁわかりやすく説明すると俺が前、クルルが真ん中、アルスが一番後ろってな形になってんだよ。


さらにわかりやすく解説すると、後ろから


“クルル、俺、アルス”


ってな形から、


“アルス、クルル、俺”


という形になってんだよ。ドゥーユーアンダースタンオーケー?(わかりましたか?)



…で、まぁクルルは近藤さんの授業すっげー退屈だったんだろーな。近藤さんが黒板の方へ向いた時を狙ってアルスの方向いてつっついたり笑わせようとしたりでイタズラしたわけよ。で、アルスはそれを徹底的に無視して授業に集中。そして痺れを切らしたクルルは、最終手段に出た。




アルスのおでこにシャーペンプスリ♪




結果、アルス痛みで絶叫、そして怒りのボルテージMAX。で現在。


「やーいやーい♪」

「うああああああああもう絶対許さなあああああい!!!」

【ドカーン!ボカーン!ズドーン!】


……アルス、許さないのはいいけどお前が無闇やたらと放った魔法弾のせいで教室の中(俺らいつものメンバーを除く)が悲惨なことになっとるぞ。一部の連中重傷だし。つーか近藤さん壁にめり込んでるし。出番少ないのにお疲れさんです。


俺ら?俺は普通に防御して雅達は安全圏に避難してますけど何か?


「わははははははははー!どうしたー!もう終わりかー!」

「うぅぅぅ…全然効いてないです…。」


…あ、そっかー。今のクルルは俺の体だから、魔法弾が効かんのかぁ。さっきから全部の攻撃弾き返してノーダメージだし。おかげで周囲は大ダメージだし。


まぁ、とによりかくより……



……………。



「…花鈴?」

「?何よ?」



「眠いんだが?」

「この状況で!?」


昨日夜寝るの遅すぎたんだよ、文句あっか。


…あーでもマジねみーな……やっぱ体入れ替わっても寝不足っつーのはキャンセルされんのか。


うーし、そうと決まれば寝るとするかな。うん、もう多分っつーか絶対に近藤さん再起不能だし、今日の数学はこれにてしゅーりょー。


それじゃ、おやすみな、さい……………。






【ドカドカドカアアアアアアン!!】

「ふははははははは!リュウくんの最強の体を手に入れた私に、もはや勝てる者などはいなーーーーーい!!」

「この!このおおおおおお!!」

【ドガンバゴンズゴン!!】



…………………。



「くらえええええええ!!リュウクルパーーーンチ!」

【ドカアアアアアアアン!!】

「みぎゃあああああああああああ!!!」



…………………。



「あーっはっはっは!勝負ありー!!」

「うぅぅぅぅ……あんな技にやられるなんて……。」



…………………。



「これこそ!私とリュウくんの愛の形よー!!」

「……!?な!?」

「んですってクルルーーーーー!!??」

「クルル、その言葉はご法度だぞ!?」

「そんな愛の形認めない!!」

「ニャハハハハハハ!!今の私は何言われても大丈夫なのだー!!」

「………その自信、根本から断ち切ってさしあげます!!!」

「応援するわアルス!」

「アルス、行け!」

「ファイトー!」



…………………。



「魔王!こうなったらこちらも本気でいかせてもらいます!覚悟!!」

「おもしろい!最強の力の前に屈するがいいわああああああああ!!」








「うっせぇぞこの【ピーーーーーーーーーーーー】どもがああああああああああ!!!!」

【ドカアアアアアアアアアアアアン!!!】

『ひぃっ!?』



眠りを妨げられたので俺、火山大噴火。










〜放課後〜



「はぁ〜〜〜〜〜〜……今日はすごい疲れました……。」

「だね……。」

「まぁ、さすがにな。」


すでに授業が終わった教室の中、俺と頭にタンコブを付けたアルスと疲れ気味のクルルはその場で机に突っ伏した。



あの後、俺は眠りを妨げたアルス、クルル、そして便乗して騒ぎ立てた花鈴、久美、香苗それぞれの頭に拳骨落として(クルルには拳骨効かなかったからもういいや)、並べて正座させて軽く一時間説教した。


説教が終わった後に片付けをしたんだが、その時に花鈴がポツリと呟いた言葉は、『龍二ほどじゃないけどキレたアルスもこわ〜……』とのことだったそうな。


…因みに自分に説教された気分になったアルスは心身ともども衰弱しきっていた。



「…結局、アンタ達そのまんまの体で一日過ごしちゃったわね。」

「お疲れさん。」


頭にタンコブつけた花鈴が俺の前の席に座る。フィフィは俺の肩にチョコンと止まっていた。


…そうそう、言い忘れていたがアルスとクルルによる被害を受けたクラスの一部の奴らは皆保健室へ運ばれていった。他ほとんどの奴らは無事に今日一日を終えた。さすが回復力は伊達じゃないね。


まぁ、近藤さんは並の回復力しか持ってねぇから病院に運ばれてったけど。


「はぁ〜……明日もこんな状態で過ごすんでしょうか…?」

「さぁな。まぁ俺は別に何とも思っちゃいねぇけど。」

「私、まだリュウくんでいたいな〜♪」

「…勘弁してください…。」


さめざめと泣くなアルス。これも人生だ。


「さ、てと。じゃ帰ってメシにすっか。」

「わーい♪」

「…食べる気分じゃありませんよ…。」

「まぁまぁアルス。」

『いいじゃないか。誰かになって生活するというのは貴重な体験だぞ?』

「…はぁぁぁぁぁ…。」


フィフィとエルに励まされ(?)、ガクリとうなだれましたアルス。ドンマイ。


「じゃ帰るとすっかー。




【ガン】っとっとっと?」


やべ、机に足引っ掛かっちまった。



「!?リュウジさん!」

「リュウくん危ない!」

「おっと。」

「受け止めてやるぜ!!」



…上からアルス、クルル、雅、かげ……恭田が、俺を支えようと身を屈める。


いや、助けようとしてくれんのはありがたいんだがさぁ……


お前ら、そんな同時に頭下げたら




【ゴチーーーーーーン!!!】

『ぐっはぁぁぁぁぁぁん!!??』


ほれ見ろー全員頭突きー……ってやべ、これ結構痛い。さすがアルスの体。


「いったーーーーい!!」

「あぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁあぁ………。」


頭抑えて泣き喚くクルルと、同じく頭抑えてうずくまるアルス。いやぁ実に痛そうだ。クルルの場合はタンコブの上から痛みが来たようなもんだから二重に




「…って、あ。」

「え?………あ。」

「ありぇ?」



……………。



「「「……………。」」」



…自分の手を見てみる…いつもの俺の手。


自分の顔を触ってみる…いつもの輪郭。


体を見てみる…いつもの体。



そう、“いつもの”体。



「……。」

「……。」

「……。」

「……戻った……。」




「ボク達、元の体に戻りましたーーーーーー!!!」

「おー。」

「にゃあああああああああああああああ!!!!???」




アルス、元の体に戻って歓喜のあまり大ジャンプ。


クルル、膝をついて絶望のポーズ。


「り……リュウくんの体……。」

「お前は何がしたかったんだ。」


ガクリと手をついて暗い影を落としてしまったクルルに、雅の如くツッコミを入れた俺。俺もやればできんじゃん、ツッコミ。


「も、戻ったの三人とも!?」

「は、はい!戻りました!!」

「やったなアルス!!」

「おめでとーーー!!」


花鈴、久美、香苗も大喜びでアルスと手を繋いで輪になってアハハハハ♪と笑いながら回った。こいつらバカじゃね?


で、俺はというと軽くジャブをする…うん、やっぱこの体が一番落ち着くぜ。


「いやぁよかったじゃないのアルスー♪」

『いや、まったくだ。どうなるかと思ったぞ?』

「ありがとうフィフィ、エル!」


お前ら半ば見捨てるような発言しなかったっけ?


「まぁ、何にせよ元通りになってよかったじゃんな?」

「はい!」

「……うん。」


まぁだ意気消沈しとんのかお前はクルル。しっかりせんかい。


いやぁにしても、よかったよかった。めでたしめでたし。









「「…………。」」


……?あれ?雅と恭田が無言なんだけど?


「おい、お前らどうしたよ?嬉しくねぇのか?アルスも元通りだぞ?」


特に恭田が喜ぶかなぁと思ったんだが。


「……嬉しくなんかねぇ……。」

「はにゃ?」


雅がボソリと呟いた。


「……何かさぁ……。」

「うん?」






「「今度は俺らが入れ替わっちゃってるんですけど!?」」



……………。



『え゛?』


……あらま〜……。


「何で…何で俺がこんな奴と…。」

「こ、こんな奴って何だよ!?どういう意味だよチクショウ!?」

「そのまんまだコンチクショウ!!」

「うっせーよ!そんなら言わしてもらうけどなぁ、俺だってお前みたいなツッコミバカの体なんかになりたくなんかなかったわい!!」

「な、なんだとぉ!?俺だって好きでツッコミになったわけじゃねぇよ!!この影薄!!」

「むがああああああ!!テメェェ、人気あるからって調子乗ってんじゃねぇぞコラアアアアア!!」



……………。


「…なんか、口調似てますよね?」

「どっちかどっち?」

「さぁな。」


……………


しゃーない、かくなる上は…!!









「じゃー帰るか。」

「はーい♪」

「「「賛成ー♪」」」

「あーお腹すいたー。」

『帰って休むか。』

「………お二人とも、ごめんなさい!」


「え!?ちょとお前ら帰っちゃうの!?」

「お、おい待てよ!?俺らこのまんまかよ!?」



さぁて、今晩のおかず何しよっかなぁ〜♪



「ねぇ、マジ!?マジで帰んの!?ちょっと誰か返事してお願い!」

「つーかこんなオチってあるかあああああああああああああ!!!!!」




その後、彼らを知る者は誰もいなかった。









〜お・ま・け♪〜



その日の晩……




「……い、いやあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「?アルスーどったー?」

「…体重測ってみたらかなり増えてたらしいよ?」

「…リュウくん、アルスの体でお昼にラーメン山ほど食べてたもんねぇ…。」

『…リュウジ…。』

「ありゃぱ。」


う〜ん盲点だったぜ。


……何で前編、中編、後編と分けなかったんだろう……長すぎた……そして疲れました。

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