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第百二十三の話 これぞパニック祭り!<前編>

作者も軽く混乱しております。

〜龍二視点〜



「……。」

「……。」

「……。」

「……。」

『……。』

「…リュウジさん。」

「何だ?」

「…どうしましょう…この状態。」

「わかってたらとっくの昔に解決してるっちゅーねん。」


まぁ混乱するのも無理ねぇわな、うん。


…っと、説明せにゃならんな。俺らが今、どういう状況なのか。







〜事の始まりは、ほんの十分前………〜



【トントントントントントン】

「フンフフ〜ン♪」


朝、俺は朝食を作るために台所で鼻歌歌いながらニンジンを切っていた。いいねぇ今日は、絶好の昼寝日和だ。あ、もち屋上で寝るぞ?サボって。



『リュウジ、煮物そろそろいいんじゃないか?』

「おお、そうだな。サンキューエル。」


最近、包丁に何の抵抗も無くなってきたのか細かいところにも気を配るエルはまさにホントの万能包丁としての役割を全うしている。一家に一本、置いておきたい包丁として売れるくらいだし。あ、でも売らないぞ?一度貸し出しした時もあったけど。


「【ズズズ…】…オッケー、んなもんだろ。」


小皿に少量注いだ味噌汁を啜って味見して、朝飯の準備終わり。


ん〜……もうちょいでアルス達起きてくるかな。





【シュー】

「…おはよございます…。」

「おぅ、おはようさん。」

「…ふぁ…。」


最初に襖を開けた寝ぼすけさん第一号はアルス。パジャマが肩からずり落ちてて下着の紐が見えている。正直どうだっていいそんなこと。


それより注目するべきなのは、無駄にはねまくった緑色の髪。アホ毛だアホ毛。ピョコンと飛び出てる感じ。やーべマジおもしれーわコレ。ケータイで写真撮っとこ。【カシャ】


「……………うみゅ?どうしたんれすかぁ〜?」

「無理に話そうとせんでええぞ。」

「ふぁ〜〜〜〜い………。」


トコトコとテーブルへと歩いてくアルス。つーか喋りにくそうな上に呂律回ってねぇべ。




「ふみぁ〜〜〜〜〜〜………。」

「お、クルルおっはー。」


続いて二号はクルル。まぁまぁまた見事な寝相の悪さだったようで



っておいおい。



「クルル、上の服どうした。」

「ふみゅ〜……。」


顔が(−w−)←こんなんなったまま返事になってない返事を返したクルルは、見事に上のパジャマが脱げていて上半身スッポンポン。下着しか付けてない。こんなんで寝てたんかいこいつは。


「風邪引くぞオメェ。」

「…みゅへへ〜♪」


何がおもしろいこの寝ぼすけヤロウが。


「ほら、さっさと着替えてこい。ずっとそのまんまだったらさすがに冷えるぞ。」

「ふぁ〜い……♪」


酔っ払いの如く千鳥足になりながら和室へと戻っていくクルル。まったく、腹壊すぞあいつ…………今度腹巻でも買ってやっかな。



……?何かどっからか久しぶりの冷視線ビーム発射されてる気がしないでもねぇな…ま、いいかね。



「おっはーリュウジ!」


今度はピュ〜っと小さな羽をパタつかせながらフィフィが和室から出てきた。


「おっす。随分目覚めいいな?」

「まぁね〜♪」


昨日早く寝たからかもしれんな


あ〜にしてもあれだよな、こう朝の目覚めのいい奴っていうのは何かと苦労しないよな。





「リュウくんたらいま〜……。」

「おーしどこをどうしたらスカートとカーディガンそれぞれ上下逆になるのか五百字以内で述べてみよ。」



目覚めの悪い奴はホントいろいろメンドクセーよな。因みにクルルがどういう状況なのかはご想像にお任せする。


まぁいいか、それよっか何気にやばいのがいるんだけど?





「あわ、あわわわわわわわわわ……////////////////////」



…肩からズリ落ちたパジャマを慌てて直す緑髪がピョコンと出たバカアルス。今さらながらお目覚めのご様子で。


いやぁリアクションおもろー!なんちって。


「………あ、あの…リュウジさん…//////」

「見たぞ?」

「聞く前に答えないでください!!そしてさっきのは記憶から今すぐ消してください!!」

「無理無理。」

「うわあああああああああああああん!!!」


安心しろ、お前のそのクセッ毛は忘れねぇよ。つかもう脳裏に焼きついて離れねぇよ。



『…いや、アルスは髪ではなくさっきの格好のことを言っているのでは…。』

「まぁた思考読みやがったなテメェはよ?」

『す、すんません…。』


コアをグリグリと拳を押し付けてやった。つかさっきのアルスの格好なんて正味どうでもいい。


「ほれ、んなこたぁどうでもいいから顔さっさと洗ってこい。」

「…はい。」


納得いかないってな表情のままイスから立ち上がるアルス。さて、顔洗ってる間にさっさとメシ並べとくかな。


っと、あ。



【カチャン】



「ありゃりゃ、いっけねー。」



菜箸落としちまったから腰を屈める。あーあー、洗ったばっかなのに。



「あ、ボク拾いますよ。」



そして同じくヒョイと屈むアルス。



「リュウくん、着替えたよ〜〜〜……【ガッ】うみゃ?」



ついでに和室から着替え終えた寝ぼすけクルルが襖の仕切りに躓いて倒れこんでくる。



ここでちょっと解説。俺が箸を拾おうと屈み、そしてアルスも同じ目的で屈みこむとちょうど同じタイミングでお互い頭下げるわな?その上、倒れこんでくるクルルもピンポイントで箸の上、すなわち俺とアルスが屈んでるところへ頭を突っ込んでくる。


まぁ、何が起こるかは…大方予想できる。






【ゴッチーーーーン!!】

「「あいたあああああああああ!!??」」

「あうち。」




三人揃って、頭と頭がごっつんこ☆


いやぁ見事なまでにぶち当たったね。俺でさえ一瞬目の前白くなったぞ?


「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……。」

「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……。」



で、他の二名は見事に頭抑えてKOノックアウト



「お〜い、だいじょぶかぁお前ら?」


一応、声かけておいた…………ん?


あれ?俺ってこんな声高かったっけか?


「いっつ〜〜〜……頭割れそう〜……。」

「あたたたた………。」


痛そうに頭を抑えながら顔を上げるクルルと、若干涙目になっている俺。



……………………………




?俺?




「……はれ?」

「……へ?」



……………………………。



「…ボク?」

「俺?」

「私?」



俺が俺のを、俺のがクルルを、クルルが俺を指差す。



……ん〜〜〜?



「「「…………。」」」

【ペタ、ペタ、ペタ】


三人同時に顔や髪を触ってみた………この若干丸みを帯びた顔、そしてサラサラした髪……


ついでに三人同時に髪を一本、引き抜いてみて目の前に掲げてみてよ〜〜〜く目を凝らしてみた………………



「緑。」

「金色…。」

「黒髪…。」



………………………








「ボク(私)達、入れ変わってるうううううううううううううう!!!!?????」



…オゥ、マイゴッド。







〜そして冒頭に戻る〜



まぁ、そういうわけで、緊急作戦ターイム。


「……。」

「……。」

「……。」

「……。」

『……。』


…は、いいんだが…さっからいや〜んな沈黙が辺りを包んでおりますね〜。


「……。」

「……。」

「…え〜…っと…。」


やっとこさ口を開いたのはクルル(?)だった。


「…つまり、ボクが魔王に…。」

「私が…リュウくんに…。」

「で、俺がアルスってわけだ。」


う〜ん、実に頭がこんがらがっちまう展開だなこりゃ。


え〜……分かりやすくするとしたら、



・俺→アルス

・アルス→クルル

・クルル→俺



……う〜ん、こんな図かね?



「な…なんでこんなことに…。」

「ん〜…お互いぶつかって人格が入れ替わるっていう映画が昔あったよ〜な〜…。」

「そ、そんなことありえるの?」

「今起こってんじゃんよ。現に。」


事実はありのままに受け止めましょう…つっても今回のはさすがに突拍子すぎてオラびっくりしたぞ。


「ま、原因探るよっかまずはこの状況をどう打破すっかが問題だわな。」

「そ、そうよね…。」

「…ホントどうしましょう…。」

『…それよりリュウジ、貴様さっきから落ち着きすぎだ。』



うっせぇテメェこれでも大パニックだこんチクショウ。



「う〜ん……視点が高いなぁ〜♪」

「…こっちはこっちで何か楽しんでるし…。」


俺の体…中身クルルは立って周囲をウキウキしながら見回している。フィフィ何か呆れてるし。


ふむ……にしても、俺の体はアルスになっちまってるのかぁ……なるほど、勇者名乗ってるだけにそれなりに筋肉つけてるみたいだな。目立たないだろうけど。


「…まさかボクが魔王になるなんてなぁ…。」


どこが気に入らないのか若干憂鬱そうに呟くクルル…じゃない、アルス。


あぁ、もうこれややこしい。誰が誰で誰なんだっつーのこの野郎。作者も軽く混乱してっぞ。


『…にしても、これはホントややこしいな。』

「そうね…誰が誰かわかんなくなる。」


おお、共感してくれたかエル妖精フィフィ。オメェらはいいよな入れ替わってなくてさ。


「ん〜……でもこりゃちと不便だなぁ。」


マジで不便だぞコレ?アルスの背って俺の体より低いから高い位置の物取るのに苦戦しそうだし……う〜〜〜〜〜〜〜む。


「………………。」

「……?どしたアルス?」

「……いえ、目の前で自分が悩んでる仕草してるの見るのって何だか新鮮というか何というか…。」


…まぁ、鏡の中の自分が全く違う動きしてるっていう感じだもんなぁ気分的に。


っとと、そんなことより…っと。


「さて、どうするよ?ず〜とこのまんまってわけにもいかんだろうし。」

「う〜ん……そりゃ元の体に戻りたいですけどぉ……。」

「…でもどうやって?」



……今さらながら思ったけどさ、クルルが丁寧口調っていうのもあれだな。違和感感じるな。つーか俺が首傾げると何かいろいろおかしいよな。何?いろいろって何だだと?んなもん推して知れ。


「…つーかさ、アルs…じゃなかったリュウジ。アンタホント焦ってるの?」

『さっきからかなり冷静だが…。』

「気ニシナーイ。」

「うっわぁアルスがそれやってるのってすっごい違和感。」


今回の話は違和感だらけの違和感祭りだ。


「つーか失礼なこと言うな。俺は俺でスッゲェ混乱中だ。」

「『嘘だぁ。』」

「フィフィ、冷凍庫に入れ。エル、焼却炉に突っ込め。」

「『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。』」


フィフィが土下座してんのはわかるけど、エルは壁に立てかけられたまま口で謝ってるだけにしか見えない。まぁいいけどなそんなこと。


……でも、解決の糸口が見つからんなこりゃ……どうすっかね〜?




「…………あ。」

「?どしたアルス?」


見た目クルルだけど。何か少しだけど慣れてきた。


「…リュウジさん、ガッコウ…。」

「?…ああ、今日はちゃーんと遅刻せずに行くぞ?それがどうした?」


朝の限定カップ麺の発売日だし。それに雅達と朝の待ち合わせもしてあるしな。たまにはいいか〜ってことで。


「……いえ、違うんです。そういうことではないんです。」

「?」


じゃ何さ?







「このまんまで行くんですかボク達?」

「「………………………。」」





あ。





【後半へ続く】←ち○丸子ちゃんのナレーター風


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