第百十九の話 ウンザリ勝負事(でも勝負してやんない)
第百九の話
〜龍二視点〜
最近になって、この町にいたガラの悪ぃ兄ちゃんどもを見なくなった。いや、見なくなったっつーか、ものっそ見た目変わった奴が多数だ。
例えば、こないだ久しぶりにチュッ○買いに行きつけのコンビニ行ったら、いつもの店員さんではなくて別の野郎がレジうってた。
よく見てみれば、そいつ随分前に俺にカツアゲしてきた金髪ジャラジャラピアスの兄ちゃんだった(まぁ当然、半殺しの目に合わしてやったけど)。でもそん時とは違って、髪も黒髪に、ピアスも全部外して、今じゃなかなかのイケメンアルバイト店員としてコンビニで働いてるのだそうな。これ、ご近所の奥さん情報。
…でもさぁ、俺見た瞬間この世の終わりみたいな顔すんのやめてくんねぇかね?いや、確かに俺やり過ぎたよ?【ピーーーーー】だってしたよ?だからってその顔はねぇんじゃね?
と、まぁこういう奴が最近増えてきてんだよねこの町。皆して俺見て頭下げるのは何か不服だけど。
でもさ、おかげでご近所から何故か感謝の気持ちだって言われて色々おすそ分けしてくれるのは悪くない。何故感謝されたのかはよくわかんねぇけど、これで食費浮くし。だから細かいことは気ニシナーイ。
ま、俺どっちかってーとのんびり過ごす方が好きだし、チンピラがいなくなって毎日いろんな奴から声かけられずに済むし、万々歳だな。いやぁよかったよかった♪
……って思ってた矢先によ〜〜〜〜……。
「テメェが荒木龍二か!?」
………………
散歩の最中、普通に道歩いてたら普通に横道から普通にヌっと普通に図体でかい男が普通に出てきたっつーか俺普通って言いすぎ。
「………………………そうだけど?」
「…すっげぇ間あいた割に正直に答えたな。」
だってお前、違うっつったって『嘘つけ!!』って言うんだろ?だったら正直に話した方がめんどっちくなくていい。
「…ともかく、ホントにテメェが荒木龍二なんだな!?」
「だからそうだっつってんじゃん。」
二回も繰り返さんでいい。
「そうか……ならお前、俺のこと誰か知ってるな?」
「知らん。」
「………え゛。」
いや何さその『こいつそんなことも知らねーの?』的な顔は?初対面だろがアンタ。いきなり失礼な奴だな。
「…こ、この隣町の全学校を仕切る律ヶ丘高校番長にして喧嘩最強と謳われている、この明坂 三郎を知らないだと?」
「リツガオカ?どこだそこ?つか隣町にあったっけ?」
「…………。」
うん、世間一般では俺のこと情報屋っていうことになってるけど、俺正味興味ねぇことは全く無知だかんね。そこんとこよろしく。
「……………。」
「でさ、どうでもいいけど用件言え用件。早く帰りたいんだけど俺?」
何か知らんが呆然としてる……あれ?誰だっけ?……まぁいいか、二郎?に言ってやった。
つかこいつの服装、長ランに下駄、学生帽……何か古いぞ色々。いつの番長?
「……ま、まぁいい……それよりテメェ!」
「おう。」
早く言え。さっさと言え。
「この俺様と…タイマンはれ!!」
「何貼れって?」
「いやシップとかの貼れじゃねぇよ!?タイマンしろって言ってんだ!!」
タイマン?………………………………………
ああ。
「饅頭の親戚?」
「そう!………ってちゃうわ!!!」
ノリツッコミしたよこいつ。
「俺とけんかしろっつってんだよ!!つかタイマンくらい理解しとけ!!」
「オゥ、イェー。」
「…………こいつホントに噂の最強野郎なのか?」
小声丸聞こえ。失礼な。
「ん〜…つかアンタ俺に怨みでもあんのか?覚えないんだけど。」
「んなの決まってる!テメェを倒して、この町の学校も全て仕切ってやるのさ!」
「いやだから怨みあんのか無いのかどっちだっつってんじゃんよ?」
全然人の話聞いてねぇやこいつ。
「つか俺、この町仕切ってねぇけど?そーゆーのは町内会の人達にでも言え。」
「え?あ、いや、その……って話逸らしてんじゃねぇ!!」
いや逸らす気なかったぞ?真実を言ったまでだけど?つか町内会が町の権限握ってるのかどうかは知らんがな。多分握ってる。
「とにかくだ!テメェを倒さない限り、俺はこの町の全学校を仕切ることができねぇ!俺と勝負しろ!!」
「断る。」
「早っ!?」
0.2秒の即答。
「そんなに仕切りたきゃ勝手に仕切りゃいいじゃん。俺はパスだパス。勝負なんざめんどくせーよそれに帰りてーし。」
…つーかまた勝負かって思ったぜホント。過去どんだけ勝負挑まれたか俺。別世界からも挑まれたんだぞオイ?どっからかはあえて言わない。
まぁそんなことが多々あったから、正直勝負なんてもうウンザリザリ。さっさと帰ってラーメン食いたい。
「……く、ククク……。」
「?」
いきなり何か目の前で笑いだした一郎(?)。気持ち悪。
「…まさか最強と謳われた奴が、こぉんな腰抜け野郎とはなぁ。聞いて呆れるぜ。」
………。
「おぉおぉ、そんなに帰りたきゃさっさと帰れや。この腰抜けの負け犬野郎が。大人しく家で親に尻尾振ってなぁ?その代わり、この町の学校は全て俺が仕切ってやるぜぇ?ククク。」
「そか。そんじゃお言葉に甘えさせてもらって帰る。」
ヒョイと五郎(?)の脇を通り抜ける。なんだよ〜帰っていいってんならさっさと言えよな。
「………ってちょっと待てええええええええ!!?」
「…んだよ今度は〜?」
何かイライラしてきた。
「テメ、そこは普通キレるとこだろ!?」
「?何で?」
「『こいつ何言ってんの?』みたいな顔すんじゃねぇ!!」
こいつ何言ってんの?
「だからさぁ、俺帰りたいんだけど?帰るためならもう負け犬になっちゃってもいいぞ俺?大体、アンタ挑発下手過ぎ。もっと国語勉強しろ。」
いや、でもツッコミうまいよな。雅くらい?
「………………………………………。」
およ?何かすっげぇこめかみにピクピク血管浮きまくってるぞ?キレてるなこりゃ。
「………そんじゃ負け犬は負け犬らしくここで死ねやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
【スコーン】
拳振り上げて突っ込んできたんで、ちょいと小指で突っついたら空の彼方まで吹き飛んでいった。
「…さて、帰るか。」
帰ってあいつらにオヤツ作ってやんねぇとな。
………
いやぁにしてもさっきのは愉快な飛び方だったなありゃ。“く”の字型だぜオイ?お笑い狙えるくらいじゃね?しかもセオリー通り『覚えてろよー!』て叫びながら飛んでったし。
…………………………………。
「…お前の名前、しっかり覚えてやったぜ……六助。」
お前は将来、立派なコメディアンになるだろう…ツッコミ何かうまかったし。
〜その晩〜
『今日午後六時、アフリカ北東部のサバンナの空から燃え盛る何かが降ってきて、地面に巨大な穴を開けました。現地の人達が調べた結果、隕石ではなく素っ裸の大男だったもよう。NASAはこの大男を未知の異星人として調べる方針です。』
「……ねぇリュウくん、ナサってなぁに?」
「説明すると長くなるから寝る前に話してやるよ。」
……大男ってワードに心当たりがあるような気配もあったけど、多分気のせいだな♪
つーわけで、再び晩飯のサバの味噌煮に箸を刺しながらニュースが流れてるテレビに視線を戻した。
どうもお久しぶりですコロコロです。
え〜、更新遅れた理由はですねぇ…ついこないだまでちょっと大風邪ぶっこいてました。ええ、今は大丈夫です。一時入院まで勧められました(マジ)
ふぅ…でも今回の話、ちょっと微妙かな。タハハハ…はぁ。
病み上がりはきついっすね…。