第十一の話 バッグの中はつらいよ・・・
前回の話と矛盾してるなーと思ったら教えてください。お願いします。
〜フィフィ視点〜
ふぁ・・・よく寝た・・・。
「スー・・・スー・・・。」
「クー・・・クー・・・。」
二人まだ寝てる・・・。
・・・。
「もっかい寝よ♪」
二度寝よ二度寝♪
それじゃおやすみなさ〜い・・・。
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・。
「グッモーニイイィィング!!!!!!!!」
「「みぎゃあああああああああああああああ!!!?????」」
いきなり何ですかーーーーーーーーーい!!????
「ふぅ・・・つーわけで、おはよう。いい朝だな。」
「アンタのおかげで最悪な朝よ・・・。」
何かと思ったらリュウジのバカでかい大声だった。てか耳元で叫ばないでよ・・・。
「み、耳が痛い・・・。」
「そうか、朝飯できてっから早く来な。」
「え、ボクの訴えスルー?」
何気にひどいねリュウジ・・・。
「クー・・・クー・・・。」
まだ寝てんのクルル!?
「あれ、まだ寝てんのかクルルは?」
リュウジ、思ったことそのまんま言っちゃってるね。
「・・・。」
何か考える仕草をした後、寝てるクルルの横に立った。
「クー・・・クー・・・。」
それを知らずにまだ寝てるクルル。
で・・・。
「あ、よいしょー。」←棒読み
【ズゴン!】
「ふぐぉお!?」
・・・。
ぜ、全体重をかけての肘打ち・・・。
「早く起きろよー。」
そう言い残してとっとと寝室から出て行くリュウジ。
そしてまだ身悶えてるクルル・・・。
「「・・・。」」
次から二度寝は控えよっと。
「さて、学校行くか。」
朝食を食べ終えて、赤いバッグを肩に担いだリュウジが言った。
「ねぇ、ガッコウって何?」
うん、私も気になってた。
「いろいろする場所。」
ごめん、説明不十分です。
「あ、やべ。トイレ行きたくなってきた。」
そう言うなり、リュウジはカバンを置いてトイレへと駆け出した。
「・・・じゃ、私寝よっと♪」
また寝るんかいクルル。
「ボクは・・・どうしよっかな。」
「フトンでも片付けてたら?」
そのほうが私も手伝わないで済むし。
「あ、じゃそれにしよ。」
アルスって素直で純粋なんだけど、流されやすいってのが玉にキズなのよねぇ・・・。
「さてっと・・・。」
私はどうしよっかなぁ・・・。
あ。
「いいこと思いついちゃった♪」
「じゃ行ってくるぞー。」
「いってらっしゃーい。」
「むにゃ・・・。」
「アルス、そこのバカ起こしとけ。」
ふふん、侵入成功♪
こっそりリュウジのバッグの中に潜り込んでやったわ。これでリュウジのいうガッコウと
やらがどんなところか偵察できる・・・。
偵察っつっても私が知りたいだけなんだけどね♪
で、バッグの入り口が少し開いてるからそこから外を見てみた。バッグを背負ってるから後ろの方しか見えないけど、外の風景が後ろへと流れていって、これはこれで何かいいな。
「よ、マッサーチン。」
マッサーチン?
「朝のその変なネーミング何とかならねえ?」
「無理だ。」
「即答かよ。」
あ、この声はリュウジの友達のマサか。前見た時は結構かっこいいって思ったのよね。
「ところでどうだ?スティルとの生活は?」
マサの家ではスティルがお世話になってたっけ。
「まぁ、いいとこかな?本人も初日と違って大分落ち着いてるし、後は今の環境に慣れてもらわねえと。」
「そうか。まぁあいつらにとっては全部見慣れない物ばっかだ。俺らがフォローしてかねえとな。」
「そうだな。」
ず、随分まじめな話してるなぁ。
「まぁ、それよりも・・・。」
「?」
「スティルが・・・姉さんの料理に耐えていけるかどうかが問題なんだよ。」
???
「あ、なるほどな。」
「あいつ・・・死なねえよな?」
「大丈夫だろ、何かあいつ仲間の中でもいじられ役だし、丈夫だと思う。」
「そんなもんなのか?」
・・・すっごい深刻そうな話してるようだけど、傍から聞いてみればまじめな話と思えない。あ、でもスティルが仲間の中ではいじられ役っていうのはあってるな。
「で?お前んところはどうなんだ?アルスとクルルとフィフィだっけ?」
「ああ、あいつらか。うん、俺にとっていいイジリ役だな。」
うぉい!!
「相変わらずお前恐い性格してんな。」
「失礼な。」
「いやお前のせいで肉体的にも精神的にもボロボロになった奴が大勢いるからな。」
「あ、そうだっけ?」
「同居人は大事にしろよ?」
「はいはい。」
・・・。
え、ちょと待って今の会話でおかしい点あったよね?何?肉体的にも精神的にもボロボロになったって。え?ちょっとホントにリュウジが恐くなってきたんだけど?
「まぁ見てて楽しいからな。廃人にならない程度にいじっていくさ。」
「結局いじるんかい。」
「はっはっは、ジョークだジョーク。」
「お前が言うとジョークに聞こえないっての。」
「気ニシナーイ。」
「またそれかよ。」
すでに私の頭の中ではリュウジはクルルを蹴落として魔王の座に君臨していた。
「リュウちゃーーーーーーーん!!」
ってあれ?何か向こうからスゴイ勢いで駆け寄ってくる人がいるんだけど・・・。
あ、カナエだった。
「あ、どっこいしょー。」
【バゴン!】
「「むぎゃあ!!」」
「ん?今声が二重に聞こえなかったか?」
「?気のせいだろ?」
ば、バッグで殴るなあああ!!メチャクチャ痛かったわよ!!
「む〜!リュウちゃんひどい〜!」
「毎朝の事だろが。慣れねえと。つーか慣れろ。」
「命令形!?」
やっぱ魔王よこの人・・・。
「さて、次は・・・。」
次?
「龍二ーーーーーーーーーーーーー!!!!」
へ!?何!?
「今日こそ覚悟――――――――!!!!」
「よし、逝け。」
【ズドン!!】
「「びゃああああああ!?」」
またバッグで殴るうううううううう!!!!
「あれ?また二重に・・・。」
「さあ?俺もよくわからん。」
か、確信犯だったら確実にシメてやる・・・。
「うぐぅ・・・相変わらずやるな龍二。」
この声はクミか。
「お前なぞに負けるわきゃねえっつの。いい加減諦めろ。」
「あ、諦めるか!絶対に君を負かす!」
す、すごい気合・・・てゆーかこの二人ってライバルなの?あ、クミが勝手にそう思ってるだけか。
「それに私が君を負かした時が、その、え、えっと・・・。」
?急にドモりだした。
「何だ。」
「だ、だからえっと・・・。」
・・・。
なるほど。クミもリュウジのことが好きなわけね。で、勝ったら告白と・・・何だかありがちな展開ね。
「そんで?お前らんとこはどうよ?リリアンとロウ兄妹。」
あ〜あ、クミの言いたいこと遮っちゃったよリュウジ。この鈍感野郎。
「あ、ああ。随分と落ち着いているぞ。家の手伝いもしてくれるし。」
「私も最初は警戒心剥き出しだったけど、今じゃ美紀と美香のいい遊び相手になってくれてるよ。」
「なるへそ。あいつら順応力高いな。」
「お前には負けるだろうな。」
「そうか?」
「「「イエス。」」」
皆が認める龍二の順応力の高さって一体・・・。
「それにしても今日お前早いな。いつも普通に授業がある日は遅刻ばっかしてんのに。」
「偶然早く起きすぎてさ、暇つぶしにアルスらを起こそっかな〜と。」
じゃ私らあのまんま寝ててもよかったじゃん。
・・・。
・・・。
朝に痛めつけられたクルルが不憫に思えてしょーがくなってきたじゃない。
「・・・でもよ、あんま早いって時間じゃねーぞ?」
「「「?」」」
「さっきからずっと立ち止まってるから今、8時25分。」
「「「「・・・。」」」」
一瞬、時間が止まったように思えた。
「「「ち、遅刻・・・。」」」
「だな。」
リュウジ、明らか焦ってないね。他の三人声震えてるよ。
「走るぞ!」
「「了解!!」」
「へいへい。」
いや、だからリュウジ何でそんな焦ってないの?関係ないから?
【ズドドドドドドド】
って、いきなり走り出すなアアアアアア痛い痛い物が跳ね回ってて痛いいいいいい!!!
「い、今何分!?」
「は、8時29分!!」
「走れーーー!教室まで死ぬ気で走れーーーー!!」
「あ〜ねみ〜。」
あ、頭痛い・・・体も痛い・・・揺れすぎ・・・気持ち悪くなってきた・・・あ、でも揺れ大分マシになってきたかな。
「あ、あと十秒!!」
「いやーーー!間に合わない!!」
「諦めるな!とにかく走るんだ!!」
「今日の晩飯何しよっかね?」
一人場違いなこと考えてる人がいる・・・。
【ガラッ!】
「「「と、とうちゃ『遅いわあああああ!!』
【ビシュシュシュシュシュシュシュ!!!】
「ぐあああ!!!」
「いやああああ!!」
「くはっ!!」
今度は何!?
「ふふふ、後は貴様だけか龍二。」
「おっす、神楽さん。」
「おっす、龍二死ねえええええええ!!!」
【ズドドドドドドドドド!!!】
「あーらよっと。」
【ビシシシシシシシシシ!!!】
グッはぁあああああああ!!!????
「な!?わ、私の新必殺技『デスブロウ・ショット』が・・・!」
「フッ、まだまだだね。」
「ちぃ!某テニスアニメの主人公気取りってかい!」
「勝ちは勝ち、だろ?」
「・・・ふん、まあいいさ。席に座りな。」
「はいは〜い。」
ば、バッグを振り回すな〜・・・ガク。
・・・んゃ?気絶してどんくらい経ったの?
「であるからして現在の日本経済は・・・で・・・して・・・から・・・。」
め、目覚めの一発で難しすぎる話って・・・全然ついていけない。あ、バッグが全開になってる。中に入ってた本が影になっててリュウジにはバレなかったみたいね。ちょっと覗いてみよ。
んしょっと・・・。
えっと、広い部屋にリュウジと同年代の人達がたくさんいて、一番前に何かハゲたオッサンがいて・・・さっきから訳のわかんないことをツラツラと喋っていた。ニホンケイザイって何なのよ?つーかその前にある白い字で書かれたでかい板は何?
『ンガァ・・・。』
ってリュウジ寝てるし・・・。
「おい荒木。何をしている。」
っていきなりハゲのおじさんが来たー!隠れよ隠れよ。
「んむ・・・寝てまんねん。」
「どこの方弁使ってんだお前は。」
今のセリフは隣にいたマサね。リュウジに対して随分冷静ね。私達なんて驚愕しっぱなしでそんな言い方できないわよ。
「俺の授業で寝るとはいい度胸してるなぁ?」
うっわぁ、この人ネチネチした喋り方してる・・・何か嫌い。
「んむ・・・ええ度胸・・・ムニャムニャ。」
寝言の意味がわかりません。
「ちっ・・・起きろこら。」
【パコン】
「オウチ。」
何オウチって?
「何すんだよ〜昨日ギャンブルで大負けしたくせに〜。」
「!お、お前何でそれを・・・!?あ。」
『・・・。』
へ、部屋の温度が一気に下がった気がする・・・。
「・・・先生。」
うわ、近くの人の声めちゃくちゃ低。
「な、何だ?」
「先生は賭け事をしてはいけないという校則があるのを知ってますか?」
「校則は生徒だけにあるんじゃないという事をご存知ですか?」
「生徒だけ校則守ってりゃいいとか思ってません?」
「つーか校則は常に守れと言い続けてたのは先生ですよね?」
「教職員がそんなんでいいんですか?」
「いつも厳しすぎると批評を受けてる先生がギャンブルですか?」
「いくらほど賭けたんですか?」
「つーか何したんですか?」
「パチンコ?競艇?競馬?それともカジノですか?」
「どうなんですか先生?」
『どうなんですか?』
こ、この人達恐いよーーーーー!!!
「・・・。」
『・・・。』
「・・・すいませんでしたああああああ!!!!(泣)」
うわぁ・・・おじさん泣きながら出てっちゃったよ・・・。
『グー・・・。』
ってアンタは寝るんかい!!
・・・まぁ、その後は・・・まさに地獄だった。
【ガツン】
「あ、すまん龍二。」
【バシャ】
「やべ、カバンに水かけちまった。」
【ゴツン】
「おっと、筆箱が。」
【ビシビシビシ!】
「てめぇ!私のチョークをカバンでガードすな!」
「使える物は徹底的に使えというだろが。」
し・・・死ぬ・・・誰かの足がバッグに当るわ、リュウジが水こぼしたり筆箱私の頭に落としたりするわ、あげく朝の悲劇(連続チョークカバン受け)が蘇るわ・・・生きた心地がしない・・・。
そしてやっとリュウジが家に帰る時間になって私は開放感に浸った。
でもその帰り道・・・。
「リュウちゃーん!今日は私と愛の逃避行「訳わからんから逝け。」
【バゴン!】
「龍二!それなら私と愛「お前も逝け。」
【ズガン!】
「荒木 龍二!!今日こそ貴様「地獄に落ちろ。」
【ズドバゴグシャ!!!】
せ・・・迫るカナエとクミと昨日襲い掛かってきた連中を撃退するのにバッグを振り回すリュウジ・・・は、早く・・・家に・・・グハァ。
〜そしてその晩〜
「フィフィ!どこ行ってたのさ!?」
「そうよ!心配してたんだからね!」
リビングでアルスとクルルがフィフィに問い詰めるが・・・
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいもう勝手なことしませんから許してくださいバッグはもういや・・・。」
泣きながら呪詛のように呟きつつ何度も手を合わせて懇願するフィフィを見て訳もわからずに慌てたアルスとクルルなのでした。
〜余談〜
「へ?フィフィの様子が変?」
「うん、何か物凄く取り乱してて・・・。」
「・・・。」
「・・・(ボソッ)やり過ぎたか・・・」←小声
「へ?」
「ん?いや、何でもねえさ。」
やっぱ龍二は確信犯でした。
作 さて、十一話に来た訳だが・・・さすがにやり過ぎじゃねえか?
龍 まぁ確かにな。
作 つかどの辺で気付いた?
龍 あ〜、登校してる時に香苗ぶっ飛ばした時。
作 初っ端からかい。
龍 まぁ過去の話は気ニシナ〜イ。
作 ・・・まぁいいや。